スポンサー無しのアマチュア選手:ジェイク・ライリーがアトランタで東京五輪マラソン全米代表の切符を掴む

今からちょうど1年前、ジェイク・ライリーはマラソンでの全米代表を目指し、その僅かな可能性に賭けていた。

彼は2014年のシカゴマラソンを2:13:16で走り、2016年のリオ五輪マラソン全米選考会で15位だったが、その時点ではトップ選手としての地位を築いていなかった。そして、2016年のトラックでのリオ五輪全米選考会の10000mは12位だったが、その後アキレス腱の故障に悩まされ、彼は「完治するまでレースに出場しない」と決心した。

アキレス腱の手術を経て完治するまでには約3年間の時間を要し、その間に彼は離婚し、拠点をミシガン州からワシントン州へ、そして現在の住まいであるコロラド州に移した。

現在、スポンサー無しのアマチュア選手であるライリーは、一見、可能性が極めて低いとされていた夢物語を現実とさせた。彼は、今回の東京五輪マラソン全米選考会で2位になって全米代表の切符を掴むと同時に、風が強く起伏のあるアトランタのコースで※2:10:02の自己新を出し、これまでの自身のパフォーマンスをはるかに上回った。

(※)強い風と、ボストンマラソンよりも獲得標高が高いこのコースは、フラットのコースよりも2〜3分はタイムがかかるといわれている。

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ライリーは全米選考会がどのようなレースであるかを全身で表現した

コロラドのボルダーで、オーストラリア人のコーチであるリー・トゥループに師事を受けているライリーの3年ぶりの復帰戦は、2019年5月にコロラド州ブルームフィールドで開催された小さなロードレースだった。

そして、2019年10月、彼はシカゴマラソンで2:10:36で走り、五輪代表候補の1人としてアピールした。それでも、そのレース後、彼は今回の有力候補として名前が挙がらなかった。今回のレース後の記者会見で、5度目の五輪出場を決めたアブディ・アブディラマンが、ライリーの名前を再度確認するために“少しの間”があった。

今では、今回のレースを注視していた誰もがジェイク・ライリーの名前を知っている。それは彼が今回の展開の激しいレースにおいて、落ち着きながらレースを進めて、自分自身の走りを貫いたからである。

それでも、ライリーはレース中に何度か難しい選択を迫られた。そして、その決断はうまくいった。

今回のレースの重要な局面は15マイル(24km)付近だった。優勝者のゲーレン・ラップがペースを上げて先頭集団が崩れた。そこでライリーはそれについていくかの決断をしなければならなかった。

ラップに何人かついていった一方で、ライリーはジャレード・ウォードスコット・ファウブルを含む後方の集団に身を置いた。そして、ライリーは先頭争いから脱落するかもしれない選手を終盤に拾うことを想定してレースを進めた。

ライリーは20マイル(32km)で3位と39秒差をつけられていたが、16マイルから集団が分かれ、先頭集団とライリーとの差がどんどん開くにつれて、16マイルでの判断を後悔していた

「(4周の周回コースにおいて)最後にピーチツリー通りに入った時、自分は16マイルでの判断を後悔していた」

と、ライリーはレース後に振り返った。

しかし、彼が19マイル以降(30.4km以降)に順位を上げ始めた時に、2位争いをしていた選手との差が詰まりはじめ、自分の選択が正しかったことを悟り、最終的にはラップ以外の全員よりも速くマラソンを走った(後方の集団から抜け出した時に6位 → 2位でレースを終えた)。

ライリーのもう1つの難しい選択は、今回のレース数ヶ月前にもあった。ライリーはシカゴを2:10:16で走ったが、そのレースに臨むにあたり、その時点でシューズメーカーのスポンサーを持っていなかったので、シカゴにはヴェイパーフライネクスト%を履いて臨んだ。

シカゴでのブレークスルーの後、機械工学の修士号の取得を目指して現在コロラド大学で勉強をしている32歳のスタンフォード大学卒のライリーは、シューズメーカーからいくつかの契約のオファーを貰った。

彼はシカゴのレース後に「トランポリンのように走っている」と、VFネクスト%についてコメントをして、少し話題となったが、彼はシューズメーカーが金銭的に魅力のある契約条件を提示しない限りは、今回の全米選考会においてVFネクスト%を履くことを想定して練習を継続したいと考えていた。

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2位のライリー(左)、優勝のラップ(中央)、3位のアブディラマン(右)

「契約のオファーはいくつかあったが、金銭的に魅力のある契約はなかった」

その代わりにライリーは自分の選択を信じ、うまくいけば“五輪出場”という、スポンサー契約よりもさらに大きい夢を抱いて、全米選考会に臨んだ。そして、その選択は“吉”と出た。

ライリーは結局、全米選考会にVFネクスト%を履いて臨まなかった。彼はレースの前日に、ナイキが出場者に無料で提供したアルファフライを前日練習で履いて、その感触を確かめた。そして、彼はこれまでにアルファフライを履いたことが無かったにも関わらず、アルファフライはVFネクスト%よりも良いという選択をした。

この選択はさらに吉と出た。

ライリーの“最後の選択”はレースの最期に訪れたが、それはこれらの選択の中で最もリスクの伴う価値のある選択だったかもしれない。

42.195kmの最後の600mで、アメリカ国旗の小旗をボランティアがトップ3で帰ってきた選手に渡そうとしていた。ライリーは、そこで1つのアメリカ国旗の小旗を掴んだ(ライリーと最後の600mで競っていたアブディラマンは小旗を受け取る選択をしなかった)。

ライリーのわずか数秒後ろには、リオオリンピック10000m全米代表のレオナルド・コリルが、ラストスパートをかけていたにもかかわらず。ライリーの判断は五輪代表をかけたレース終盤の最大の局面において、とても大きなリスクを伴っていた。

(動画9:45〜 アメリカ国旗の小旗を持つライリーのラスト400m)

「私はアメリカ国旗の小旗を受け取った後に後悔した」

と、ライリーはレース後に話した。

コリルのラストスパート次第では、ライリーとアブディラマンは逆転される可能性もあったが、ライリーはまだラストスパートへの余力を持っていた。そして、今週のライリーのすべての選択と同様に、アメリカの小旗を受け取るという選択は最終的には吉と出た。

 

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