ナイキの靴を履くために契約を断るか?アルファフライよりもVFネクスト%を好む選手もいる?靴が五輪マラソン全米選考会に与える影響

前回に引き続き、今回の五輪マラソン全米選考会でも、何のシューズを履くかどうかが、全米代表になれるかどうかの1つのポイントとなっている。前回は男女3名ずつの全米代表のうち半数の3人(男子:ゲーレン・ラップ、女子:エイミー・クラッグ、シャレーン・フラナガン)がヴェイパーフライ4%(以下VF)のプロトタイプを履いて、五輪への切符を掴んだ。

そのレースの当時は、そのプロトタイプはこれまでのナイキの既存のレーシングフラットのように見え、ナイキ以外の人間はその存在を把握していなかった。しかし、翌年の2017年にヴェイパーフライが市販された時には、その誇大広告が目を引いた。ナイキジャパンは「厚さは速さだ」のキャッチフレーズで、クッション性とエネルギーリターンが向上することを高らかにアピールした。

それは、Pebax(ぺバックス)という新しいミッドソール素材によって可能となり、湾曲したカーボンプレートとの組み合わせによって、ナイキのそれまでのレーシングフラットよりもランニングエコノミーが4%向上したことがわかった。

前回の五輪マラソン全米選考会からの4年間で、科学はこの事実を裏付け、VFを履いた選手は次々と記録を塗り替えていった。特に昨年、ナイキがVF最新モデルのネクスト%を販売してからの結果は驚異的である。マラソンのサブ2:04は2019年までに歴代で9人しか出していない記録だった。

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しかし、2019年の1年間だけで9人の選手がサブ2:04を記録し、その全員がVFを履いていた。

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先月、ドバイマラソンでは14人がサブ2:08を達成した。これは、1回のマラソンレースとしては史上初だったが、先日のセビリアマラソンでは再び14人がサブ2:08を達成した。そして今、ナイキはアルファフライというさらに高性能のシューズを作り出した。

ナイキはこのシューズが世界陸連の新レギュレーションの内容を満たしているとアピールした。VF4%やVFネクスト%がこれまでのシューズを比較してランニングエコノミーを4〜5%削減すると言われているなかで、アルファフライは7〜8%削減するとされている。

このようなことから、今週末の五輪マラソン全米選考会(または日本の東京マラソン)において、シューズが重要な話題とならないことはない。

全てのナイキの契約選手が全米選考会でアルファフライを履くわけではない

ナイキ以外のメーカーは過去3年間、VFに追いつくために研究開発に多大な時間とコストを費やしてきた。ディズリー・リンデン(ブルックス)やジャレード・ウォード(サッカニー)などの選手はWMMのマラソンにおいて、各々の契約メーカーのプロトタイプを履いてレースに出場した(リンデンは2018年ボストン優勝時にブルックスの黒いプロトシューズを履いた)。

世界陸連の新レギュレーションによると、東京五輪で使用するシューズは2020年4月30日までに市販されている必要がある。

この規定によって、エンドルフィンプロ(サッカニー)、フューエルセルRCエリート(ニューバランス)、アディゼロプロ(アディダス)、メタレーサー(アシックス)、およびジム・ウォームズレーが「Trials Dagger」と名付けたホカのシューズは全米選考会の後から春にかけて市販が予定されている。ブルックスは新製品のハイペリオンエリートを、全米選考会関連のイベントに投入してくる。

ただし、これらのメーカーだけが革新的な企業ではない。 ナイキが今月初めに公式発表したアルファフライの登場は、各メーカーが数年間かけてVFを追随するという市場状況の中で、さらにナイキがリードを広げるという構図を明らかにした。

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2017年のBreking2でペーサーを務めたデリックとバンバロー

ナイキの契約選手の中には今週末にアルファフライを履く選手もいるだろうが、例外もある。バウワーマントラッククラブのクリス・デリックはその1人である。彼はVFネクスト%を履くことにこだわりを持っている。

「私はVFネクスト%が好きだ」と、デリックは話す。

「ネクスト%はアルファフライよりも少し軽く、私はネクスト%で走る方が少しだけスムーズに走れるように感じている」

とはいえ…アルファフライは…7-8%のランニングエコノミーを…

「たまに、“アルファフライは陸上競技を破滅の道に進ませる!”といったようなツイートを見かけるけど、それじゃ自分が履くシューズを変えざるを得なくなるなぁ」

と、デリックは冗談半分に話した。

「ナイキが出したデータと自身の経験に基づくと、自分に合っていると感じるシューズを使用するべきだ。私にとってはVFネクストが自分に合っている」

彼のチームメイトのアンドリュー・バンバローは、全米選考会で何を履くかどうかについてまだ決定していないが、“VFネクスト%を着用する可能性が高い”と話している。彼は練習でアルファフライを何回か試したが、バンバローもアルファフライは少し重く感じることと、昨年のシカゴで2:10:56で走った時に履いていたVFネクスト%のほうがスムーズに走れると話した。

「アルファフライを試している時は、VF4%からVFネクスト%に移行した時ほどうまくいかなかった」

と、バンバローは話す。

「それでも信じられないぐらいのシューズである」

他の選手はどう感じているだろうか?

ゲーレン・ラップ、ジョーダン・ハセイ、アブディ・アブディラマン、バーナード・ラガトなど他のナイキの契約選手もアルファフライを履くことができる。ラガトは練習でアルファフライを着用しているが、彼がレースでそれを履くかどうかはまだわからない。

また、ナイキは全米選考会で数百のアルファフライを選手に提供して本番で履いてもらうという噂もある(東京マラソンも同様に多くのナイキ契約の選手や実業団選手が履くことが予想される)。

それはナイキの素晴らしいマーケティング戦略であるが、それはただの噂である。1つの問題としてはコロナウイルスの影響で多くの中国の工場が封鎖されていることにより、多くのメーカーの生産体制に影響が出るかどうかである。

(2/27更新:全米選考会出場者にはアルファフライが無償で提供される)

もう1つの注目点は、男子選手にはナイキの契約選手が多いが、女子のトップ選手は様々なメーカーの契約選手がいるということである。全米選考会ではハセイサリー・キピエゴだけが五輪代表の可能性があるナイキの契約選手である(前回覇者のエイミー・クラッグは欠場を発表)。

ハセイとラップが五輪代表となった場合は、シューズの影響についての議論が加速する可能性はないだろうが、男子レースでアルファフライ着用の選手が波乱を起こせば、シューズ論争が加速する可能性がある。

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ナイキの靴を履くために契約を断るか?アルファフライよりもVFネクスト%を好む選手もいる?靴が五輪マラソン全米選考会に与える影響」への1件のフィードバック

  1. ピンバック: スポンサー無しのアマチュア選手:ジェイク・ライリーがアトランタで東京五輪マラソン全米代表の切符を掴む – LetsRun.com Japan

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