2020ドバイマラソン展望:男女ともに3年連続の大会新記録誕生となるか?

ランニングファンにとっては良い1週間になりそうだ。

プロの室内サーキットがニューヨークのドクター・サンダー招待、ボストンのニューバランス室内GPで開幕するが、ドバイマラソンがそれらの前菜となる。

最も歴史的なレースや最も挑戦的なコース(6ターンのみのフラット=INEOS 1:59)ではないが、ドバイマラソンは高速レースとして知られ、年始の最初のメジャー大会である(正式にはWMMではない)。

今年のすべての招待選手が馴染み深いものではないが、2020年大会もレベルが高い。男子はサブ2:08が11人。これよりもサブ2:08の数が多かったのは2019年ではボストンマラソンだけだった。

女子は2019年ボストン優勝のワークネシュ・デゲファが、2:17:41で2位になった昨年に続いてドバイを走る。今回の女子はサブ2:24が6人いるが、男女ともに優勝者には10万ドルの賞金が授与される。

これは、世界のマラソンでも高額賞金として知られ、出場選手にとって人生を変える賞金となる。レースの詳細は以下。

レース:スタンダードチャータード・ドバイマラソン
日時:1月24日(金)UAE現地時間AM6:00(日本時間AM11:00)
場所:ドバイ(アラブ首長国連邦, UAE)
ライブ配信↓

【男子有力選手】サブ2:08まで

選手 国籍 自己記録 備考
ソロモン・デクシサ エチオピア 2:04:40 18年ムンバイ、ハンブルク優勝、19年アムステルダム2位
セイフ・トゥラ エチオピア 2:04:44 18年ドバイで自己位。19年シカゴ6位
大迫傑 日本 2:05:50 東京マラソンへの練習の位置付けで20〜25kmまで走る予定
アンデュレム・ビレイ エチオピア 2:06:00 この4回のマラソンで全て優勝(19年10月のリスボンを含む)
Tadu ABATE Deme エチオピア 2:06:13 19年ハンブルク優勝、アムステルダム6位
Aychew BANTIE Dessie エチオピア 2:06:23 19年衡水優勝
Tsedat ABEJE Ayana エチオピア 2:06:36 19年セビリアを自己新2:06:36で優勝
Belay ASEFA Bedada エチオピア 2:06:39 ↑に敗れてセビリア2位
Limenih GETACHEW Yizengaw エチオピア 2:06:49 19年バルセロナ5位、上海3位
Yitayal ATNAFU Zerihun エチオピア 2:07:00 19年ヒューストン、イスタンブール2位
Balew YIHUNIE Derseh エチオピア 2:07:22
Olika ADUGNA Bikila エチオピア 初マラソン 18年U20世界選手権10000m5位
Abe GASHAHUN Tilahun エチオピア 初マラソン PB 3000m7:45 / 5000m13:19 / ハーフ65:47
Tefera MOSISA Midekssa エチオピア 初マラソン 19年ハーフ2勝(PBは61:12)
エリック・キプタヌイ ケニア 初マラソン ハーフPB58:42(世界歴代7位タイ)
Zewudu HAILU Bekele エチオピア 初マラソン ハーフPB62:06

 

【女子有力選手】サブ2:29まで

選手 国籍 自己記録 備考
ワークネシュ・デゲファ エチオピア 2:17:41 19年ドバイ2位、ボストン優勝
ビズネシュ・デバ エチオピア 2:19:59 ボストンの大会記録保持者。この5年は良績無し
Bedatu HIRPA Badane エチオピア 2:21:32 19年東京5位でWMMデビュー
Dera DIDA Yami エチオピア 2:21:45 19年に初マラソン歴代7位(2:21:45)
Guteni SHONE Amana エチオピア 2:23:32 PBは5年前
Dibabe KUMA Lema エチオピア 2:23:34
Tigist ABAYECHEW Jabore エチオピア 2:24:15 19イスタンブールでPBを2:30→2:24に更新
Hayimanot ALEMAYEHU Shewe エチオピア 2:25:51 14回のマラソンでサブ2:25無し
Yenenesh TILAHUN Dinkesa エチオピア 2:25:51 19年セビリアで初マラソン(2:25:51)
Obse ABDETA Deme エチオピア 2:27:47 19年上海3位(初マラソン)
Buze DIRIBA Kejela エチオピア 2:28:06 ロードレースのベテラン。19年ヒューストンで初マラソン2:28:06
Hawi FEYSA Gejia エチオピア 初マラソン PB5000m14:38、15km以上のレース未経験

1)男女ともに3年連続の大会新記録誕生となるか?

過去2年間のドバイマラソンでは男女両方の大会記録が更新されている(男子は3年連続で大会新記録が出ている)。現在の世界中のマラソンの記録水準向上の流れを反映している。

男子優勝者 記録 女子優勝者 記録
2017年 タミラト・トラ 2:04:11 ワークネシュ・デゲファ 2:22:36*
2018年 モジネット・ゲレメウ 2:04:00 ロザ・デレジェ 2:19:17
2019年 ゲタネ・モッラ 2:03:34 ルース・チェプゲティチ 2:17:08

*2017年女子は大会記録でない

これらの大会新はレベルの高い記録である。男子の大会記録の2:03:34は世界歴代16位、女子の大会記録の2:17:08は世界歴代4位。金曜日のレースでこれらを上回ることは簡単なことではない。

スクリーンショット 2020-01-23 9.51.04
男子マラソン世界歴代16傑(サブ2:04)のうち8つが2019年に記録された

しかし、最近のシューズ事情を考えると、2008〜2018年で8人しか達成できなかったサブ2:04が2019年には9人が達成している(↑のリストの右端が2019年になっている選手8人+ロンドンでのキプチョゲの9人)。

今年もまた大会記録が更新される可能性はあるだろう。

2)男子は誰が優勝するか?

多くの選手は、ドバイマラソンをマラソンキャリアの足掛かりにしようと、このレースに出場することを選択している。このレースで良い記録を出すことによって、その後のマラソンでのアピアランスフィー(招待出場料)を稼ぎたいからだ。ただ、このドバイマラソン自体にはアピアランスフィーはない(ゲブレセラシエベケレが出た時を除いて)。そのため、前回や前々回の優勝者が毎年このレースに出るというわけではなく、優勝予想が難しくなる。

今回の男子は有力選手が多い。エチオピアのソロモン・デクシサは、2019年のアムステルダムで2位。自己記録は2:04:40で、出場選手中最速記録であるが、他の7人はそれよりも2分差以内の自己記録を持っている。現実的にはそれらの8人に優勝のチャンスがあるが、特に興味深いのは以下の2人。

1人目は、別のエチオピア人、アンデュレム・ビレイ。 2019年に入って、ビレイは2019年までにマラソンを14回走り、サブ2:11は1回だけだった(2015年ドバイで2:09:59)。現在27歳のビレイは2019年に飛躍。スペインのカステロンで2:08:16の自己新で優勝、続くリガで2:08:51で優勝。10月にもリスボンで2:06:00の自己新で優勝。

3大会ともに大会新で優勝。ビレイは2018年にもマラソンで優勝しており、現在マラソン4連勝。2019年までは無名だったが、今ではドバイマラソンの有力選手の1人である。

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注目すべきもう1人の男は、招待選手で唯一のケニア人であるエリック・キプタヌイ。キプタヌイは、イテンの陸上名門校のセントパトリック高校で、“ブラザーコルム”こと、コルム・オコンネルの下でトレーニングを積み、その後5年間スポーツを辞めてケニア軍に従事した。

彼は2015年に陸上競技に戻って、現在レナート・カノーバの指導を受けている。彼は2018年にハーフマラソンで58:42(世界歴代7位タイ)で走った。彼は2019年はハーフで良い成績を収めることができなかったが、トラックでは5000m13:11と10000m27:33で走っている。

過去8回のドバイマラソン男子優勝者のうち4人が初マラソンであったことを考えると、キプタヌイが2018年のハーフの走りを取り戻していれば、優勝候補として考えることができる(キプタヌイについてはNN Running TeamのWebサイトで彼に関する記事を参照できる)。

有力選手の中には日本の大迫傑の名前がある。しかし、彼は優勝候補ではない。コーチのピート・ジュリアンによれば、大迫は3月の東京マラソンのための練習の位置付けでこのドバイを20-25kmまで走る予定。恐らく途中棄権するだろう。

3) ワークネシュ・デゲファは多忙な2020年の開幕戦を走る

男子の有力選手とは異なって、女子の有力選手にはワークネシュ・デゲファという強力な選手がいる。彼女は昨年のボストンで優勝し、ドバイは今までに3回走って毎回自己新で走っている。

2017年は初マラソンを2:22で優勝、2018年は2:19で4位、2019年はドーハ世界選手権金メダリストのルース・チェプゲティチに敗れて2:17:41(世界歴代5位)で2位だったが、チェプゲティチがロンドンを走るので今回はデゲファが優勝の最有力選手である。

2019 Boston Marathon Weekend
2019年ボストン優勝のデゲファ(左)とチェロノ(右)

デゲファは2:17:41の世界歴代5位の記録を持っているが、今回のドバイではあと1人だけがサブ2:21を持っている。そのビズネシュ・デバは、2014年ボストンで優勝し、2015年ボストンで3位になってからマラソンで良績が無い。

デゲファは、2019年4月のボストンで優勝して以来マラソンに出場していないが、今週金曜日のレースは彼女にとって多忙な1年の開幕戦となる可能性がある。今回のドバイに加えて、彼女は2020年4月20日にボストンにデ前回王者として出場する。この2レースで十分な成績が収められれば、8月8日に札幌で東京オリンピックのマラソンに出場することができる。

2020年1月下旬〜8月上旬の6ヶ月半でマラソン3レース。彼女はその3レースを走ることについて※ディズ・リンデンと話すべきだろうか?

(※)ロンドン、リオと2大会連続でマラソンでのオリンピック出場を果たしているアメリカのリンデンは、2月末の東京オリンピック全米マラソン選考会で3位以内に入れれば、2月末全米選考会 → 4月20日ボストン → 8月8日東京オリンピックの3回のマラソンを5ヶ月間で走ることになる。

 

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