・その他質問に対するロンセロのコメント
「仕事を辞めたことが、私が進歩した根本的な理由だった。私は5年間映画業界で働き、午前8時から午後3時まで仕事をしていた。1日2回、週160km走っていたが、そこで何が起こったか?睡眠時間が6〜7時間程度になり、ヘマトクリット値は38%に低下していた」
「朝はなるべく早く職場に到着して、休憩時間と夕方にトレーニングをするようにしていたが、その方法ではトレーニングが体に馴染みにくかった。そして、仕事を辞めてから4か月後に私はスペインのマラソンチャンピオンになった」
「10000mを27:14で走れると、世界選手権と五輪で何ができるか?おそらく、ハイレとテルガトらの後ろで5番目ぐらい。ではマラソン2:07では?私はそこで勝つことができる」
この後、ロンセロが3000〜5000m中心の選手(5000m14:11)だった21歳の夏のトレーニングスケジュールも公開された。遥かに少ないボリュームで、1500m / 3000mのレースペースが多く、時には800mペースのインターバルを行い、週間走行距離は約90km。さらに沢山のテクニカルドリルを行なっている。
「ファビアンのマラソン練習では、これらの短い練習を行う時間もエネルギーもないが、20代前半のスピードを重視したトレーニングで培ったことが、ファビアンが天使のように走る理由である」(フェレロコーチ)
【編集考察】
このトレーニング期間中、ペースの速い“エアロビックコンディショニング”の2部練習で走行距離は稼いでいるが、いわゆる典型的な”ロングラン”(30kmを超える2時間前後の持続走)はほぼ見られない。
ロンセロはレースにも積極的に参加しており、スペイン式のマラソントレーニングでは短い距離のレースのパフォーマンス向上も重視しており、マラソン特有のポイント練習はあまり行わない事がわかる(この点は類似点も多く見られるイタリア式マラソン練習との大きな違いである)。
一方で、コーチも触れているように、マラソン前に大きなレースに出過ぎたこと、タイムに拘り練習をハードに行い過ぎたことは、ロンセロ自身も反省点として挙げていた。
ロンセロは2001年にベルリンハーフマラソンで59:52を出した3週間後のロッテルダムマラソンでは2:10:08の7位という結果に終わっている。ロンセロはベルリンハーフの前にはトレーニングで15kmを2:50/kmのテンポ走も行なっていた。
ロンセロは30代半ばからは故障で苦しみ、息の長い選手が多かったスペイン勢の中では比較的短命の選手に終わった。短い距離のレースのスピードを高めつつも、狙ったマラソンでピークに持っていくためにはトレーニングやレーススケジュールのバランスが大切になってくる。
(参考記事)
https://www.letsrun.com/forum/flat_read.php?thread=1089389