3000mSCのファンにとって、コップの中身は半分が空になっているのか?(まだ余地があるのか?)それとも半分の容量のグラスになってしまったのか?(もう余地はないのか?)
種目によっては確かに悪い方向にコップが傾いている。 円盤投と三段跳は2020年から男女1大会ずつのDL開催で、ハンマー投に至っては元からDL開催はない。 3000mSCも以前よりも悪い状況にある。
「陸上競技の最大のリーグであるダイヤモンドリーグが、3000mSCの大会数を減らすというのは、将来に向けて前進するためには不適切だ」
と、ジェイガーは話す。
特にフレリクスにとっては、2005年ヘルシンキ世界選手権から正式種目として始まった女子3000mSCの進化の過程を見ることが重要である。2014年シーズンはサブ9:10が1人も出なかっが、2019年シーズンは9人がサブ9:10を達成。チェプコエチは昨年に世界記録を8秒更新し、この種目を牽引した。
アメリカの選手においては、2017年ロンドン世界選手権3000mSCでワンツーを決めた(コバーン、フレリクス)。この種目を専門とするコリーン・クィグリー(フォロワー17万人)とエマ・コバーン(フォロワー約30万人)の2人が、インスタグラムで※最も人気のあるアメリカ女子陸上中長距離選手である(800m、1500m、5000m、10000m、マラソンの選手を差し置いて)。
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ただし、キプルトの代理人であるボーティングは希望を失っていない。
「最も人気のない種目であることは確かである」
と、ボーティングは話す。
「しかし一方で、私に連絡をしてくる多くの大会主催者がいて、DLやコンチネンタルツアーの主催者から、キプルトが3000mSCに出場する気はあるか?という問い合わせを貰う。大会で3000mSCを実施したい主催者はまだまだたくさんいて、それは 私にとって良い兆候である」
「3000mSCは現在をみても、※これまで以上に多様化していて、 ロンドン、ドーハ世界選手権では5カ国のメダリスト(ケニア、エチオピア、モロッコ、アメリカ、ドイツ)がいて、過去3年のDLでもケニア、エチオピア、モロッコ、アメリカ、バーレーン、ドイツの優勝者がいる。
(※)5000mや10000mよりも東アフリカ勢以外にもチャンスがあるという意味
「3000mSCは全ての陸上ファンがお気に入りの種目ではない。でも、陸上競技では常にそうだ。一部の種目のファンがいて、概ね他もそう。単独の種目でスタジアムが埋まるということは通常無い。 それでも、色んな種目のファンが1つの場所に集まってスタジアムを埋め尽くして素晴らしい歓声を贈る。陸上競技の種目がだんだん分離してしまって、スタジアムから人が離れてしまうことを私は恐れている」
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