メアリー・ケイン(2014年世界ジュニア金メダリスト) がオレゴンプロジェクト在籍時の酷い扱いについてナイキとアルベルト・サラザールを批判

2019年11月7日、ニューヨーク・タイムズはメアリー・ケインの動画を公開し、彼女がオレゴンプロジェクト在籍時にナイキやアルベルト・サラザールから受けた酷い扱いについて厳しく批判した。 以下の7分間の動画でその内容が確認できるが、ケインが話した内容の和訳を以下に記載する。

私は全米歴代最速の女子高生でした​​。私は多くの全米高校記録を樹立し、成績優秀な学生でした。 私が16歳の時、ナイキのアルベルト・サラザールから電話がありました。彼は世界で最も有名なトラックコーチであり、彼は私に、

「今まで見てきた中で最も才能溢れた選手だ」

と話しました。私は大学1年生の時、(ナイキのプロ選手として=オレゴンプロジェクトの選手として)アルベルトの指導でトレーニングを始めるため(私の故郷の東海岸から)ナイキ本社に移りました。それは当時、世界最速の選手たちのチームであり、私の夢が叶ったものでした。

ナイキと契約したのは、歴代最高の女性の選手になりたかったからですが、その代償として、アルベルトが構築し、ナイキが後援したシステムによって心身ともに痛めつけられました。

これが私の身に起こったことです。

私が最初にチームに入ったとき、ナイキの全ての男性スタッフは順々に確信していきました。私がより速くなるためには“痩せて、痩せて、痩せる”べきだと。このナイキのチームは国内最高のランニングチームでしたが、認定されたスポーツ心理学者や栄養士は(そこに)いませんでした。

そこでは(NOPは)、アルベルトの友人たちで形成されていました。だから、私が誰かに助けを求めた時、彼らはいつも私に同じことを繰り返しました。

「アルベルトの話に耳を傾けること」

アルベルトは常に減量を求めました。彼は任意で“114ポンド(51.7kg)を設定し、彼は通常、チームメイトの前で体重測定をさせ、減量できていなければ私は彼らを前にして恥をかきました。彼は減量のために避妊薬と利尿薬を私に投与したいと考えていました。後者は陸上競技においては使用が許可されていません。

この時期に私は競技で酷い結果を残しました。スタートラインに立つ前にもうすでにそのレースには負けていたのです。なぜなら、その時私が頭の中で考えていたことは走り出すということではなくて、自分が(レース前に)測定した体重のことばかり考えていたからです。

スポーツで体重が重要であるという事実を知らないのは世間知らずです。ボクサーがある一定の体重を維持するかのように、または人々が“どのくらい痩せれば痩せるほど速く走れる”という算段を立てるかのように。

しかし、私のこの期間の体験での生物学的な学びは、若い女性がその年齢でできること以上のことを求められると、※RED-S症候群(相対的エネルギー不足)の発症リスクがあることを知ったことです。

(※Relative Energy Deficiency in Sport(RED-S)女性アスリートの三主徴(FAT) として、摂食障害の有無に関わらない「低エナジー・アベイラビリティー」「視床下部性無月経」「骨粗鬆症」の3つを指す。

気がつけば生理が数ヶ月止まっていて、数ヶ月だったのが何年にもなり、私は3年間生理がこなかったのです。そして、生理がないと骨の強度を保つために必要な卵胞ホルモン(エストロゲン)の分泌を促せません。私の場合は異なる5つの箇所を骨折しました。

ニューヨークタイムズマガジンは当時、アルベルトがどのようにして私を指導・育成したかについての(好印象な)ストーリーを掲載しました。しかし、私たちはそのようなトレーニングも育成も受けてなかったのです。とても怖かったし、とても孤独でしたし、閉塞感を感じて自殺願望を抱き始めました。私の自傷行為を見ていた人もいましたが、誰も何も言わなかったし誰も何もしてくれなかったのです。

2015年の5月のレースでは、あまりうまく走れませんでした。その後、雷雨の影響で選手たちがテントに集まっている時に、アルベルトは皆を前にして、私がレース前に5ポンド(2.27kg)太っていたことについて怒鳴りました。

また、このレースの夜にアルベルトとチームスタッフに、自傷行為を行なっていることを告げた時は、話に耳を傾けてくれずに“今日は早く床に着きたい”ということを(面倒くさそうな様子で)言っていました。

しかし、それは私にとって、

「このシステムはおかしい」

と、酷く衝撃を受けた瞬間でした。この時に、両親にも今何が起きているかについて話すことができて、両親もすごく怖がっていました。両親は飛行機のチケットを購入してくれて、そんなところから早く立ち去って実家に戻ってこい、と。私はもうオリンピックを目指してはいませんでした。私はただ生き延びようとだけしていました。だから、私は苦渋の決断を下してNOPを辞めました。

これらの改革(ナイキがNOPを閉鎖)は、ほとんどこのドーピングスキャンダルが関連しています。彼らは女子スポーツ全体において、危険にさらされているという事実を知ろうとしないし、女子選手の心も体もそのシステムによって蝕まれていくことをナイキは認めていないのです。

変化が必要であるのはこれであって、私たちが何かできるのはこの部分です。まず、ナイキが変わらなければなりません。陸上界では絶大な力を持っていて、ナイキはトップのコーチ、選手、レース、陸連さえもコントロールしています。

コーチを解雇してチームを閉鎖することで、問題が解決したかのように事はうまく進みません。私の懸念は、ナイキがそれまでの古いプログラムをブランディングし直して、アルベルトの古いアシスタントコーチを再配置するということだけなのです。

第2に、権力を持つ女性がもっと必要です。もし自分がもっと女性の心理学者や女性の栄養士やコーチと一緒にやっていたらどうなっていたんだろうか、と考えています。私は、男性によって構築されたシステム、若い女子選手の体を破壊するというシステムに巻き込まれてしまいました。若い女子選手にシステムの中で指導者の要求や、それを上手くかわす術を強いるのではなく、私たちは彼女たちを守らなければいけません。

私はこのスポーツに本当に希望を持っていて、私は今後何年も走り続ける予定なので、今回私が告発をした理由の1つは、この章を終わらせて、新しい章を始めたいということなのです。

メアリー・ケインはこの何年間も、孤独を感じ、誰にも本当のことを打ち明けられずにいた。

NOPの元チームメイトのキャム・レヴィンスは、当時チームメイトとしてケインが置かれていた状況を、見て見ぬ振りをして手を差し伸べられなかったことについて、告発の動画の公開後にSNSでケインに謝罪をしている。

ケインはチームの閉鎖的な雰囲気がその原因であると考えているが、チームを離れるまでは自身に問題があると考えていた。

「彼らに好かれようとは思っていないし、彼らの承認を必要としていない。私はようやく事実と向き合うことができ、世論と向き合うことができる。”このシステムはよくなかった”、と。今日皆の前でこのツイートができるのは、私が強くて、賢くて、勇敢だから。どうか私とともに私の味方として共に寄り添って欲しい」

 

【参考】メアリー・ケインの実績(NOP在籍期間:2013年秋〜2016年秋、高校卒業2013年)

2012年:世界ジュニア選手権1500m6位
2013年:モスクワ世界選手権1500m10位
2013年:全米選手権1500m2位
2014年:全米室内選手権1500m優勝
2014年:世界ジュニア選手権3000m金メダル
2014年:全米選手権1500m2位
など

【自己記録】

種目 記録 日付 大会 備考
屋外 800m 1:59.51 2013/6/1 ユージンDL 全米高校記録
1500m 4:04.62 2013/5/17 Oxy 前全米高校記録
3000m 8:58.48 2014/7/24 世界ジュニア 金メダル獲得
5000m 15:45.46 2013/6/8 ポートランドトラッククラシック 前全米高校記録
室内 1000m 2:35.80 2014/2/8 NBGP U20世界記録
1500m 4:06.63 2014/1/24 ボストン大招待 U20全米記録(通過記録)
1マイル 4:24.11 2014/1/24 ボストン大招待 U20全米記録+U18世界最高
3000m 9:04.51 2013/2/2 NBボストン室内 (通過記録)
2マイル 9:38.68 2013/2/2 NBボストン室内 U20全米記録+全米高校記録

レッツラン記事

Full Transcript: Mary Cain Slams Nike and Alberto Salazar For Her Treatment While Part of The Nike Oregon Project

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