十種競技の右代啓祐選手(現在世界ランク25位)の件で、IAAFが作成したドーハ世界選手権の大会要項やその記載文が話題となりましたが、特に以下の部分が注目されました。
10000m、3000mSC、混成種目、フィールド種目、競歩、マラソンのエリアチャンピオンはIAAF Technical Delegatesの競技レベルの確認および承認を必要とする(競技力が基準に満たない選手は承認されないことがある)。
※ドーハ世界選手権大会要項より
また、ニュージーランドのニック・ウィリス選手も1500mのインビテーション待ちでのドーハ世界選手権出場を有力視していましたが、結果的には標準突破者を1名も持たない国への“男女で1枠のみの参加枠”によってはじき出されてしまいました。
ウィリス(現在世界ランク34位)は参加標準を切っていなかったものの1500mのターゲットナンバー45に対して今季ベスト3:36.99は(ドーハ世界選手権に出場しない選手を除けば)今季42番目にあたります。しかし、標準突破者を1名も持たない国への“男女で1枠のみの参加枠”に埋められ(それらの選手はウィリスよりも自己記録が低い)、彼にインビテーションが届くことはありませんでした。
大会要項に記載してあるものであればなおさら、このようなルールはいささか不透明でわかりにくいものです。そのようなことから、この5年(2015〜2020年)の世界大会の要項を見比べて何がどう変化してきたのかを見つけたいと思います。
【対象大会】
・2015北京世界選手権
207カ国1,933名がエントリー。実際には205か国1,771人が出場(最多は130名のアメリカ)。
※大会要項に年齢制限に関する記載は無し。
・2017ロンドン世界選手権
※リオオリンピックに続いて難民キャンプ選手団の選手に出場の権利を付与した(南スーダン3名、ソマリア1名、エチオピア1名、計5名)。これらの選手は全てケニアでトレーニングをしている。
※ロシアは無期限出場停止処分を下されていたが、19人のロシア人選手をIAAFが中立的な立場としての出場を許可した(そのうち1名が金メダル、5名が銀メダル獲得)。
【年齢制限】
20歳未満(ジュニア選手):マラソンと50km競歩には出場できない。
※前回このルールがなく、北京世界選手権の男子マラソンで当時19歳のギルメイ・ゲブレスラシエが優勝
18歳未満(ユース選手):投てき種目, 混成種目, 10000m, マラソン, 競歩に出場できない。
16歳未満:全種目に出場できない。
※ヤコブ・インゲブリクトセンは当時16歳で3000mSCに出場。
・2019ドーハ世界選手権
【年齢制限】
20歳未満(ジュニア選手):マラソンと50km競歩には出場できない。
18歳未満(ユース選手):投てき種目, 混成種目, 10000m, マラソン, 競歩に出場できない。
16歳未満:全種目に出場できない。
・2016リオオリンピック
総勢2,005名程度のエントリーを想定。
※難民キャンプ選手団の選手に出場権利を付与し、オリンピック初出場。トラックとフィールド種目で計6名が出場。
【年齢制限】
20歳未満(ジュニア選手):マラソンと50km競歩には出場できない。
18歳未満(ユース選手):投てき種目, 混成種目, 10000m, マラソン, 競歩に出場できない。
16歳未満:全種目に出場できない。
・2020東京オリンピック(大会要項)
総勢1,900名程度のエントリーを想定(前回大会よりも105名削減)
※4 × 400mリレーを新たに種目に採用
【年齢制限】
20歳未満(ジュニア選手):マラソンと50km競歩には出場できない。
18歳未満(ユース選手):投てき種目, 混成種目, 10000m, マラソン, 競歩に出場できない。
16歳未満:全種目に出場できない。
① ターゲットナンバー(想定出場者数)
・2015北京世界選手権
種目 |
ターゲットナンバー |
100m |
56 (※予備予選後の数) |
200m |
56 |
400m, 800m |
48 |
1500m, 3000mSC |
45 |
100mH, 110mH, 400mH |
40 |
フィールド種目, 混成種目 |
32 |
リレー |
16 |
5000m, 10000m マラソン, 競歩 |
参加標準記録突破者のみ |
※参照:予備予選の実施
・2017ロンドン世界選手権
種目 |
ターゲットナンバー |
100m |
56 (予備予選後の数) |
200m |
56 |
400m, 800m |
48 |
1500m, 3000mSC |
45 |
5000m, 100mH, 110mH, 400mH |
40 |
フィールド種目, 混成種目 |
32 |
リレー |
16 |
10000m, マラソン, 競歩 |
参加標準記録突破者のみ |
【前回大会(北京世界選手権)からの変更点】
・5000mのターゲットナンバーを40に設定
・2019ドーハ世界選手権
種目 |
ターゲットナンバー |
100m |
48 (有資格者のみの数) |
200m |
56 |
400m, 800m |
48 |
1500m, 3000mSC |
45 |
5000m |
42 |
10000m |
27 |
100mH, 110mH, 400mH |
40 |
フィールド種目 |
32 |
混成種目 |
24 |
マラソン |
100 |
20km競歩 |
60 |
50km競歩(男女合計で) |
80 (男子50 + 女子30) |
リレー |
16 |
【前回大会(ロンドン世界選手権)からの変更点】
・混成種目:8枠削減(32 → 24)
・5000m:2枠増加(40 → 42)
・100m:有資格者のみで48。
・競歩、マラソン(100)、10000m(27)のターゲットナンバーを設定
・2016リオオリンピック
ターゲットナンバーは要項に記載無し(総勢2005名程度のエントリーを想定)。
【実際のエントリー数】
(a=有資格者数、b=インビテーションでの出場者数、c=Universality placesでの出場者数)Wikiより
男子 |
種目 | 女子 |
88(a:64+b:1+c:23) |
100m | 69(a:52+b:1+c:16) |
71(a:69+b:1+c:1) |
200m | 68(a:65+b:0+c:3) |
55(a:51+b:1+c:3) |
400m | 60(a:54+b:1+c:5) |
58(a:49+b:3+c:6) |
800m | 57(a:52+b:2+c:3) |
38(a:35+b:2+c:1) |
1500m | 42(a:39+b:1+c:2) |
48(a:42+b:0+c:6) |
5000m | 32(a:31+b:0+c:1) |
33(a:33+b:0+c:0) |
10000m | 40(a:40+b:0+c:0) |
162(a:158+b:0+c:4) |
マラソン | 171(a:168+b:0+c:3) |
45(a:38+b:7+c:1) |
3000mSC | 59(a:58+b:1+c:0) |
42(a:40+b:1+c:1) |
110mH / 100mH | 44(a:41+b:0+c:3) |
42(a:39+b:2+c:1) |
400mH | 44(a:43+b:1+c:0) |
45(a:45+b:0+c:0) |
走高跳 | 32(a:31+b:0+c:1) |
32(a:31+b:1+c:0) | 棒高跳 |
36(a:36+b:0+c:0) |
27(a:26+b:0+c:1) | 走幅跳 |
36(a:35+b:1+c:0) |
43(a:41+b:0+c:2) | 三段投 |
37(a:35+b:1+c:1) |
36(a:34+b:0+c:2) | 砲丸投 |
36(a:34+b:0+c:2) |
30(a:30+b:0+c:0) | 円盤投 |
31(a:31+b:0+c:0) |
20(a:17+b:3+c:0) | ハンマー投 |
29(a:29+b:0+c:0) |
30(a:29+b:0+c:1) | やり投 |
31(a:30+b:1+c:0) |
七種競技 | 33(a:31+b:2+c:0) | |
34(a:33+b:1+c:0) |
十種競技 |
|
86(a:86+b:0+c:0) | 20km競歩 |
83(a:82+b:0+c:1) |
84(a:84+b:0+c:0) |
50km競歩 |
|
16(世界リレートップ8+ ランキング上位8チーム) |
4x100mリレー |
16(世界リレートップ8+ |
16(世界リレートップ8+ ランキング上位8チーム) |
4x400mリレー |
16(世界リレートップ8+ |
【Universality placesについて】
標準記録達成者が1人もいない国は、男女1名ずつを10000m、3000mSC、混成種目以外の種目に出場させることができる。フィールド種目、競歩、マラソンに選手を出場させたい場合はIAAF Technical Delegatesによる競技レベルの確認および承認を必要とする(競技力が低い選手は承認されないことがある)。
(QUALIFICATION SYSTEM – GAMES OF THE XXXI OLYMPIAD – RIO 2016より)
・2020東京オリンピック
種目 |
ターゲットナンバー |
100m |
56 (予備予選後の数) |
200m |
56 |
400m, 800m |
48 |
1500m, 3000mSC |
45 |
5000m |
42 |
10000m |
27 |
100mH, 110mH, 400mH |
40 |
フィールド種目 |
32 |
混成種目 |
24 |
マラソン |
80 |
20km競歩 |
60 |
50km競歩 |
60 |
リレー |
16 |
※トラック種目は100m (56)を除いてドーハ世界選手権と全て同じ。
【前回大会(リオオリンピック)からの変更点】
・混成種目:8枠削減(32 → 24)
・マラソン:約半数に削減(160 → 80)
※マラソンに関しては過酷な夏の東京の気象条件による途中棄権者を減らすことや、交通規制の速やかな解除を促すことなどが考えられる。
② 参加標準記録一覧
・2015北京世界選手権
男子 |
種目 | 女子 |
10.16 |
100m | 11.33 |
20.50 |
200m | 23.20 |
45.50 |
400m | 52.00 |
1:46.00 |
800m | 2:01.00 |
3:36.20 (3:53.30) |
1500m(1マイル) | 4:06.50 (4:25.20) |
13:23.00 |
5000m | 15:20.00 |
27:45.00 |
10000m | 32:00.00 |
2:18:00 |
マラソン | 2:44:00 |
8:28.00 |
3000mSC | 9:44.00 |
13.47 |
110mH / 100mH | 13.00 |
49.50 |
400mH | 56.20 |
2.28 |
走高跳 | 1.94 |
5.65 | 棒高跳 |
4.50 |
8.10 | 走幅跳 |
6.70 |
16.90 | 三段投 |
14.20 |
20.45 | 砲丸投 |
17.75 |
65.00 | 円盤投 |
61.00 |
76.00 | ハンマー投 |
70.00 |
82.00 | やり投 |
61.00 |
七種競技 | 6075 | |
8075 |
十種競技 |
|
1:25:00 | 20km競歩 |
1:36:00 |
4:06:00 |
50km競歩 |
|
世界リレートップ8+ ランキング上位8チーム |
4x100mリレー |
世界リレートップ8+ |
世界リレートップ8+ ランキング上位8チーム |
4x400mリレー |
世界リレートップ8+ |
【備考】
・リレーとマラソンを除く種目で期間内の大会のエリアチャンピオンは出場資格を得る。
・10000m:2015年世界クロカンシニア上位15名は出場資格を得る。
・マラソン:期間内のマラソンのゴールドラベルレース上位10名は出場資格を得る。
・2017ロンドン世界選手権
男子 |
種目 | 女子 |
10.12 |
100m | 11.26 |
20.44 |
200m | 23.10 |
45.50 |
400m | 52.10 |
1:45.90 |
800m | 2:01.00 |
3:36.00 (3:53.40) |
1500m(1マイル) | 4:07.50 (4:26.70) |
13:22.60 |
5000m | 15:22.00 |
27:45.00 |
10000m | 32:15.00 |
2:19:00 |
マラソン | 2:45:00 |
8:32.00 |
3000mSC | 9:42.00 |
13.48 |
110mH / 100mH | 12.98 |
49.35 |
400mH | 56.10 |
2.30 |
走高跳 | 1.94 |
5.70 | 棒高跳 |
4.55 |
8.15 | 走幅跳 |
6.75 |
16.80 | 三段跳 |
14.10 |
20.50 | 砲丸投 |
17.75 |
65.00 | 円盤投 |
61.20 |
76.00 | ハンマー投 |
71.00 |
83.00 | やり投 |
61.40 |
七種競技 |
6200 |
|
8100 | 十種競技 | |
1:24:00 | 20km競技 |
1:36:00 |
4:06:00 | 50km競技 |
4:06:00 |
世界リレートップ8+ ランキング上位8チーム |
4x100mリレー |
世界リレートップ8+ |
世界リレートップ8+ ランキング上位8チーム |
4x400mリレー |
世界リレートップ8+ |
【備考】
・10000m:2017年世界クロカンシニア上位15名は出場資格を得る。
・マラソン:期間内のマラソンのゴールドラベルレース上位10名は出場資格を得る。
・マラソンを除く種目で期間内の大会のエリアチャンピオンは出場資格を得る。しかし、フィールド種目はIAAF Technical Delegatesの競技レベルの確認および承認を必要とする(競技力が基準に満たない選手は承認されないことがある)。※この大会より新たに記載。下記参照
【有資格者でない選手(Unqualified Athletes)について】(大会要項より)
男子か女子で標準記録達成者が1名もいない国は、男子か女子で1名のみを10000m、3000mSC、フィールド種目、混成種目、競歩、マラソン以外の種目に出場させることができる。フィールド種目、競歩、マラソンで選手を出場させたい場合はIAAF Technical Delegatesによる競技レベルの確認および承認を必要とする(競技力が基準に満たない選手は承認されないことがある)。
・2019ドーハ世界選手権
男子 |
種目 | 女子 |
10.10 |
100m | 11.24 |
20.40 |
200m | 23.02 |
45.30 |
400m | 51.80 |
1:45.80 |
800m | 2:00.60 |
3:36.00 (3:53.10) |
1500m(1マイル) | 4:06.50 (4:25.20) |
13:22.50 |
5000m | 15:22.00 |
27:40.00 |
10000m | 31:50.00 |
2:16:00 |
マラソン | 2:37:00 |
8:29.00 |
3000mSC | 9:40.00 |
13.46 |
110mH / 100mH | 12.98 |
49:30 |
400mH | 56.00 |
2.30 |
走高跳 | 1.94 |
5.71 |
棒高跳 |
4.56 |
8.17 | 走幅跳 |
6.72 |
16.95 | 三段跳 |
14.20 |
20.70 | 砲丸投 |
18.00 |
65.00 | 円盤投 |
61.20 |
76.00 | ハンマー投 |
71.00 |
83.00 | やり投 |
61.50 |
七種競技 |
6300 |
|
8200 |
十種競技 |
|
1:22:30 | 20km競歩 |
1:33:30 |
3:59:00 | 50km競歩 |
4:30:00 |
世界リレートップ10+ ランキング上位6チーム |
4x100mリレー |
世界リレートップ10+ |
世界リレートップ10+ ランキング上位6チーム |
4x400mリレー |
世界リレートップ10+ |
世界リレートップ12+ ランキング上位4チーム |
4x400m混合リレー |
世界リレートップ12+ |
※全体的に前回よりも水準がやや高い。
【備考】
・10000m:2019年世界クロカンシニア上位15名は出場資格を得る。
・マラソン:期間内のマラソンのゴールドラベルレース上位10名は出場資格を得る。
・マラソンを除く種目で期間内の大会のエリアチャンピオンは出場資格を得る。しかし、10000m、3000mSC、混成種目、フィールド種目、競歩、マラソンはIAAF Technical Delegatesの競技レベルの確認および承認を必要とする(競技力が基準に満たない選手は承認されないことがある)。
※この大会より10000m、3000mSC、混成種目、競歩、マラソン新たに追加。下記参照
【有資格者でない選手(Unqualified Athletes)について】
男子か女子で標準記録達成者が1名もいない国は、男子か女子で1名のみを10000m、3000mSC、フィールド種目、混成種目、競歩、マラソン以外の種目に出場させることができる。フィールド種目、競歩、マラソンで選手を出場させたい場合はIAAF Technical Delegatesによる競技レベルの確認および承認を必要とする(競技力が基準に満たない選手は承認されないことがある)。
・2016リオオリンピック
男子 |
種目 | 女子 |
10.16 |
100m | 11.32 |
20.50 |
200m | 23.20 |
45.40 |
400m | 52.20 |
1:46.00 |
800m | 2:01.50 |
3:36.20 |
1500m | 4:07.50 |
13:25.00 |
5000m | 15:24.00 |
28:00.00 |
10000m | 32:15.00 |
2:19:00 |
マラソン | 2:45:00 |
8:30.00 |
3000mSC | 9:45.00 |
13.47 |
110mH / 100mH | 13.00 |
49.40 |
400mH | 56.20 |
2.29 | 走高跳 |
1.93 |
5.70 | 棒高跳 |
4.50 |
8.15 | 走幅跳 |
6.70 |
16.85 | 三段跳 |
14.15 |
20.50 | 砲丸投 |
17.75 |
65.00 | 円盤投 |
61.00 |
77.00 | ハンマー投 |
71.00 |
83.00 | やり投 |
62.00 |
七種競技 |
6200 |
|
8100 |
十種競技 |
|
1:24:00 | 20km競歩 |
1:36:00 |
4:06:00 | 50km競歩 |
【備考】
・マラソン:期間内のマラソンのゴールドラベルレース上位10名、北京世界選手権マラソン上位20名は出場資格を得る。
・5000m、10000m、競歩、マラソン以外の種目はターゲットナンバーに満たない種目は参加標準記録を切っていない選手で世界ランキング上位(タイム順)の選手にインビテーションが送られる。
【Universality placesについて】
標準記録達成者が1名もいない国は、男女1名ずつを10000m、3000mSC、混成種目以外の種目に出場させることができる。フィールド種目、競歩、マラソンに選手を出場させたい場合はIAAF Technical Delegatesによる競技レベルの確認および承認を必要とする(競技力が基準に満たない選手は承認されないことがある)。
・2020東京オリンピック
男子 |
種目 | 女子 |
10.05 |
100m | 11.15 |
20.24 |
200m | 22.80 |
44.90 |
400m | 51.35 |
1:45.20 |
800m | 1:59.50 |
3:35.00 |
1500m | 4:04.20 |
13:13.00 |
5000m | 15:10.00 |
27:28.00 |
10000m | 31:25.00 |
2:11:30 |
マラソン | 2:29:30 |
8:22.00 |
3000mSC | 9:30.00 |
13.32 |
110mH / 100mH | 12.84 |
48.90 |
400mH | 55.40 |
2.33 | 走高跳 |
1.96 |
5.80 | 棒高跳 |
4.70 |
8.22 | 走幅跳 |
6.82 |
17.14 | 三段跳 |
14.32 |
21.10 | 砲丸投 |
18.50 |
66.00 | 円盤投 |
63.50 |
77.50 | ハンマー投 |
72.50 |
85.00 | やり投 |
64.00 |
七種競技 |
6420 |
|
8350 |
十種競技 |
|
1:21:00 | 20km競歩 |
1:31:00 |
3:50:00 | 50km競歩 |
世界ランキング制度の初導入で参加標準記録が向上。有資格者以外の中で世界ランキング上位の選手からターゲットナンバーの残りを埋めていく。IAAFの想定ではターゲットナンバーに対して半分を参加標準で、残りの半分を世界ランキングで埋めるとされている。
【備考】
・マラソン:期間内のマラソンのゴールドラベルレース上位5名、WMM(ワールドマラソンメジャーズ)上位10名、ドーハ世界選手権上位10名は出場資格を得る。また、要項には記載がない(後日に発表された)が、アメリカと日本の東京オリンピックマラソン選考会はゴールドラベルレースとして扱うため上位5名は出場資格を得る。
【Universality placesについて】
標準記録達成者が1人もいない国は、男女1名ずつを10000m、3000mSC、混成種目以外の種目に出場させることができる。フィールド種目、競歩、マラソンに選手を出場させたい場合はIAAF Technical Delegatesによる競技レベルの確認および承認を必要とする(競技力が基準に満たない選手は承認されないことがある)。
【まとめ】
・東京オリンピックではリオオリンピックと比較して陸上競技全種目の総エントリー者数の想定を105枠減らしているので、大会をコンパクトにしようとしている(特にマラソンの80枠減)。そのなかにも話題の混成種目(32 → 24)の8枠減も含まれている。
・出場者の総数を減らすなかでも、リオオリンピックで初めて登場した難民キャンプ選手団の出場・招待を増やそうとしている。
・日本はいずれかの種目で標準突破者がいるので、Universality places(標準突破者を1名も持たない国への参加枠”)というルールに馴染みがない。現行のルールでは世界選手権は男女どちらか1名を出場させることができるが、オリンピックでは男女1名ずつ出場させることができる。
・ターゲットナンバーの数に有資格者を引いた残りの数に対してのインビテーション枠、Universality places等の優先順位が明確になっていない(公表されていない)。
・いくつかの種目のエリアチャンピオンやインビテーション待ちはの選手は参加標準記録突破者よりも確実性がない。また、東京オリンピックからは世界ランキング制が重要になってくるが、ランキングはその都度更新されるので、参加標準記録を突破することが出場権利を得るためには1番確実な方法となる。
・東京オリンピックの要項には記載がない(後日に発表された)が、アメリカと日本の東京オリンピックマラソン選考会はゴールドラベルレースとして扱うため上位5名は出場資格を得る(=MGCの上位5名は期間内に男子2:11:30、女子2:29:30の参加標準記録をクリアする必要がない)。