アメリカと日本の長距離ナンバーワン大学:北アリゾナ大と東海大が9月7日のジョージカイトクラシックの7.3kmクロカンレースで対決

アウェイのチームにとって最も困難な状況、それは標高2,100mで現全米学生最強チームのホームコースでの対戦。しかし、東海大はバッファローパークでの7.3kmクロカンレースの日になっても不安が見られなかった。

クロカンシーズン開幕の時点では、毎年北アリゾナ大の選手はトレーニングのボリュームを重視し、ペースを抑えた距離走などを行い、このジョージカイトクラシックの7.3kmのクロカンでは練習を兼ねて出場する。レースでは毎年、序盤でペースを刻んで終盤にかけてスパートをする。今年の計画も同様だった。

北アリゾナ大は前日にファルトレクをこなし、レース当日はペーサーとしてチームからライアン・ランリーを起用した。彼は1マイル5:10〜5:20(3:12〜3:18/km)のペースで引っ張るという役目があった。チームの指示は1マイルまで誰もランリーを抜かさないように、としていた。

ただし、この北アリゾナ大の計画では、東海大の2人の選手が実際にレースが始まって最初の1マイルを4:40秒台前半(2:55/km前後)で走るということまで想定されていなかった。ランリーは彼らの動きに触発され、その結果、東海大の2人が標高2,100mのクロカンの土の上のコースで1マイルを4:48(2:58/km)で通過し、北アリゾナ大の選手がそれに続いた。

北アリゾナ大のルイス・グリハルバは、走り回るコーチのスミスを見つけて、微笑んで頭を振るしかなかった。 スミスが北アリゾナ大の後続の選手を確認した時、苦しそうにしている選手の表情を見て 彼は苦笑いを浮かべた。

「1マイル地点で彼らの顔を見たとき、とても楽しかった」

と、スミスは話す。

「彼らはその速いペースを楽しんでいなかったが、その光景は素晴らしいと思った。 東海大の選手がペースを作って我々がそれについていく。それはクールだった」

東海大の挑戦に直面した北アリゾナ大の選手はそれに応えた。そして、2つの大学の選手は速いペースで入った代償として、最後の5.6kmにかけて互いに競り合った。 北アリゾナ大のラフが先頭に立ち、大会記録ペースでラスト1マイル地点を通過。そして、東海大の名取燎太郡司陽大がそれに続いた。ラフはそのまま大会新の21:52.0で押し切った。

レースはでは北アリゾナ大が※ 1-4-5-6-9位で合計25ポイントを獲得して、東海大の2-3-7-8-10位の合計30ポイントにわずかな勝利を収めたが、このレース後に北アリゾナ大の選手がその勝利を喜ぶほどの雰囲気はほとんど無かった。

(※)上位5名の順位の合計の数字が少ないチームから1位となる

北アリゾナ大は全米学生室内選手権1マイルで優勝した4年のジョルディ・ビーミッシュ、昨年の全米学生クロカン優勝メンバーの2年のブレーズ・フェロの主力は温存し、1年のエースのドリュー・ボスリー(全体4位)は北アリゾナ大としてではなく無所属で出場。あと11週間後の11月の全米学生クロカン4連覇に向けて、北アリゾナ大の選手は仕上がっていなかった。

一方の東海大は、全日本インカレ出場の飯澤、小松、關、鬼塚、塩澤、西田そして主将の館澤、4年の西川、中島、松尾、阪口などの主力が出場しなかった。そして、日本での夏合宿よりも高い標高で1ヶ月弱を過ごし、短い距離でのクロカンレースは万全でなかったといえる。

「このレースでは、おそらく東海大の選手にいくらかの勇気を与えた」

と、全体の1位でゴールしたラフは話す。

西出コーチは東海大の選手たちのレースの感想をこう伝えた。

「彼らは高地でのレースで呼吸が苦しいと話したが、このレースを楽しんだ」

レースのタイミングとその雰囲気(スミスはレースの観客が数百人いたと推定している)は、陸上長距離において世界の2つの主要国、アメリカと日本で行われているベーシックな長距離トレーニングプログラムの段階での対決としてはあまりふさわしくない。

しかし、このレースではどの国が最高のランナーや最高の大学チームを生み出すかを決めるための対決ではなかった。むしろ、これはお互いのチームへのリスペクトと、海の向こう側で言語も違う2つのチームが同時に走り、その偉大さを追求するという共通の熱意によって結ばれ、希少な機会を楽しむレースだった。

「この対決は毎年行われるわけではない」

と、ラフは話す。

「これは非常にクールなことだ」

そして、このレースでいくつかのアメリカのトップの大学チーム(および1つの有名なプロチーム)がレース出場の機会をできる限り少なくしていた時代に、北アリゾナ大がシーズンの早い段階でレースをしているのを見るのは爽快だった(それが当初計画ではなかったとしても)。

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レース後の両校の様子:写真提供北アリゾナ大Track & Field/XC)

「時々、コーチはそこから学ぶことがあると思う」

と、スミスは話す。

「我々はスポーツを通じて、互いのチームが持つ特異性についてのヒントをわずかながらお互いに与えることができると時々思う」

レース後、両校の選手は握手を交わして集合写真を一緒に撮った後、東海大の選手は翌日に日本に帰国した。当然のことながら、北アリゾナ大は再戦のために日本に向かうだろうか?

スミスはそれについて考えたが、ありそうもないと話す。日本の学生三大駅伝の最初の2つ(出雲駅伝、全日本大学駅伝)は、全米学生クロカンに向けてのシーズン中に開催される。

また、1月2、3日に開催される箱根駅伝はスケジュール上は可能であっても(仮定の話として)、他の問題もある。 1つは、アメリカの学生が競う種目の距離よりもはるかに長いということ。スミスは、北アリゾナ大がトレーニングを大幅に見直すことなくその距離で競い合うということは挑戦になると話す。

「(箱根)駅伝の選手の足を見た」

と、スミスは話す。

「それらのほとんどは、ハーフマラソンのための足作りのようなものである。そして、箱根駅伝での区間記録は(大学の選手としては)信じられないほどに速い。大体の上位選手は1マイル4:50(3:00/km)のペースでハーフマラソンの距離を走るし、完全に力尽きるまでは彼らにとってはそれはもっと長い道のりかもしれない」

そして、感情的な側面がある。

「これらの駅伝には非常に多くの重要な要素として“名誉・歴史・伝統”がある」

と、スミスは話す。

「彼らはそのために(長い距離を)走り続ける。そして、北アリゾナ大が東海大のようなチームの地元で行われる駅伝に、情熱を燃やして参加するための歴史的背景を持っているかどうかはわからない。しかし、(駅伝といった伝統のあるレース)それは、全米学生クロカンの歴史を見ても、そこへの情熱という視点では同じことが言えるだろう」

しかし、ラフはクロスカントリーへの船に乗っている。

「私はクロスカントリーが大好きだ」


ジョージカイトクラシック(7.3kmクロスカントリー)結果

【北アリゾナ大】
1. ライアン・ラフ 21:52.0 大会新
4. アブディハミド・ヌール 22:26.0
5. ルイス・グリハルバ 22:26.0
6. ブロディ・ヘイスティ 22:29.0
9. テオ・クァックス 22:48.8

上位5名の順位の合計25(1-4-5-6-9)

12. ケイド・バークス 23:02.6
16. ミッチェル・スモール 23:21.3
18. ジャック・シーア 23:30.1
21. ビュー・プリンス 24:29.6

【東海大】
2. 名取燎太 22:10.7
3. 郡司陽大 22:15.6
7. 鈴木雄太 22:32.6
8. 本間敬大 22:40.6
10. 松崎咲人 22:53.0

上位5名の順位の合計30(2-3-7-8-10)

13. 金澤有真 23:07.3
17. 竹村拓真 23:23.7
20. 市村朋樹 24:02.6

【SGH】
15. 三上嵩斗 23:12.6

 

レッツラン 記事

The Race For The Ages That No One Knows About: The US and Japanese Collegiate Champs Just Raced Each Other in Cross Country. Here’s What Happened.

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