【ブログ】陸上競技で2018年より導入された電子ペーサー(ウェーブライト)のテクノロジー

オランダの国際競技会のFBKゲームで、2018年大会からウェーブライト(Wave Light)と呼ばれるIAAF公認の電子ペーサーのテクノロジーが正式にローンチした。

オランダ発の最新テクノロジー

ウェーブライトは屋外LED照明などを開発するオランダのテック企業スポート・テクノロジーズ(SPORT Technologies)と、同じくオランダのスポーツマネジメント会社のグローバル・スポーツ・コミュニケーションズ(Global Sports Communication)が共同開発した最新テクノロジー。

400個のLEDを400mトラックの縁石の真下に、1mおきに配置し(設置の詳細写真)、事前に決められたペースで発光していく。緑のライトが通常使用されるが、2色または4色のカラーバリュエーションが設けられている。主に、国際競技会等で記録をアシストするテクノロジーとして今後使用されていくが、トレーニング時の使用にも期待できるテクノロジーである。

グローバルスポーツ(GSC)の創業者で代表のヨス・ヘルメンスは、1976年モントリオールオリンピック男子10000mのオランダ代表。引退後はGSCを創業しハイレ・ゲブレセラシエや、ケネニサ・ベケレ等のマネージャーを務め、2017年のBreaking2ではナイキと連携を図りながら、GSC所属のキプチョゲをレースに送り出し、正規の一大イベントをサポートした。

そのGSCがプロデュースし、Breaking2以降にテクノロジー面で陸上競技に貢献することとなるこのウェーブライト。その広報はオランダの800m記録保持者、PB1:43.45のブラム・ソムが担当(現在はコーチ、陸上大会マネージャー、DL等のペーサーとしても活躍。7/20ロンドンDLの男子1マイルでもペーサー予定)。

ウェーブライトは2017年にオランダで開発情報がリリースされ、試運転を重ね翌年2018年6月のFBKゲームでIAAF公認の最新テクノロジーとして正式に使用された。

令和元年はウェーブライト輸出元年

ウェーブライトは今年に入りオランダのレースで相次いで使用された(カッコ内は設定ペース)。

 

2019年6月9日:オランダ・ヘンゲロ – FBKゲーム

男子5000m(13:00ペース)

 

女子5000m(世界記録14:11ペース)

 

男子800m

 

2019年6月15日:オランダ・ナイメーヘン – ネクスト・ジェネレーション・アスレティクス
ブラム・ソムが大会マネージャー

女子800m

 

男子10000m

 

女子3000mSC

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そして、7月のイギリスでのナイト・オブ・ザ・10000m PBs(欧州10000mカップ)でもウェーブライトが使用され(IAAF公認)、オランダのレース以外で初めて導入された。

 

2019年7月6日:イギリス – ナイト・オブ・ザ・10000m PBs

女子10000m

夜のレースの方がグリーンライトは見やすく観客にとっては設定ペースと実際のペース(ペーサーが作り出すペース)との比較がわかりやすい。

 

男子10000m最終組(27:40ペース=ドーハ世界選手権参加標準)

また、最終組だけでなく他の組でも組ごとのペース設定によってウェーブライトが使用された。

この大会でウェーブライトが導入されたことにより、イギリスのメディアのみならず、世界中のランニングメディアからその新しいテクノロジーが注目されることとなった。

 

2019年7月16日:オランダ・ヘンゲロ  – ドーハ世界選手権エチオピア代表選考会

男子10000m(27:00ペース)

エチオピアの選手にとっては真新しいウェーブライトの先導もあり(実際のペーサーももちろんいるが)、このレースでは6人の選手がサブ27:00を達成した。

トレーニング時にも利用可能

トラックでの競技会では、特にペーサーが抜けた後、このウェーブライトの光を追えば選手だけでなく観客もどれぐらいの記録を出せるのかがわかりやすく、オリンピック / 世界選手権の参加標準など記録を目指す大会での需要は高いだろう。一方、ペースアップの駆け引きの多い選手権であれば、このウェーブライトは意味をなさないものかもしれない。

余談であるが、このウェーブライトは感覚的にいえば私が小学生の時に結構やっていたスーパーファミコンのマリオカートのゴーストに近い。ゲームでもそうだったが、ゴーストが先にいってしまうと、時に心理的ハードルを設けてしまうかもしれない。

しかし記録に挑戦するという観点では、ペーサーではなく光を追いかけ(or 光から逃げ切り)、時に心理的ハードルを乗り越えられる指標となり得る(特にペーサーが抜けた後は)。

日本では日体大記録会をはじめとする大学の記録会、その他ホクレンディスタンスチャレンジ、八王子ロングディスタンスなど、ペーサーを起用して記録を狙う中長距離記録会が豊富にある。その多くは走力の高いケニア人選手がリードすることが多いが、この電子ペーサーでレース全体の視認性を高めることができれば、見るスポーツとしての陸上競技をサポートしてくれる可能性を秘めている。

また、スポート・テクノロジーズ社はこのウェーブライトのアプリケーションを開発。有料サービスにはなるが、ウェーブライトが導入されている競技場では、アプリケーションでペース等の詳細を入力すればトレーニング時に利用することができる。そこでは、各々のレベルに応じてペースを設定することができ、短距離選手のスピードに設定することもできるという(短距離選手にも需要がある)。

将来的には学校などの教育機関等でも導入される見通しで、ウェーブライトのテクノロジーは競技的な用途以外にも多くの人の運動をサポートしてくれる可能性を秘めている。

 

WAVELIGHT:インスタグラム

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