リャム・アダムスが五輪標準を僅かに逃す
昨年の神戸マラソンを優勝したオーストラリアのリャム・アダムスが2:11:36の6位。中盤から単独走で大きく崩れなかったともいえるが、淡々とペースを刻んで走る姿が印象的だった。しかし、東京五輪の参加標準記録(2:11:30)を僅かに逃して悲壮な表情でフィニッシュラインを越えた。
ゴールドコーストのようなゴールドラベルのマラソンで5位以内に入るか、WMM(ワールド・マラソン・メジャーズ)で10位以内に入っても東京五輪の出場資格が付与されるが、アダムはこちらも僅か届かずの6位だった。
オーストラリア男子マラソンはコモンウェルスゲーム2連覇のマイケル・シェリーもいるが、先述した標準をクリアしているライナーとロビンソン、そしてこのアダムスが3強となっている。次のレース(福岡や別大、びわ湖など日本のマラソンになる可能性も高い)で巻き返して、来年の8月の東京で彼の走りを見れることを楽しみにしたい。
バーナード・ラガトが全米マスターズ新記録
44歳のアメリカのバーナード・ラガトは2:12:10(66:26 – 65:44 =ネガティブスプリット)で7位。18年前には1500mで3:26.34を記録し、44歳で臨んだこのレースでメブ・ケフレジギの全米マスターズ記録(M40)を更新。レースでは中盤からは木村慎と並走し、フィニッシュ後は息子とハグ。
歳を重ねてもその模範的なパフォーマンスには驚かされる。すべてのマスターズ競技者、いや、すべての競技者の模範的存在といえる選手である。
“Absolutely thrilled and humbled at the same time. Still have mad respect for my buddy Meb for inspiring me to challenge myself in the marathon.” – Bernard Lagat
“興奮したけど、それと同時に謙遜の気持ちにもなった。私の友人のメブ(@runmeb)には今でもすごく尊敬の念が強い。彼は、マラソンで挑戦するモチベーションを私に与えてくれたからね” – バーナード・ラガト(LetsRunより)
その他のハイライト
ゴール前で気迫あるガッツポーズでフィニッシュしたのは、オリンピックと世界選手権でともに2回出場しているオーストラリアのベン・セント・ローレンス。現在37歳であるが、ネガティブスプリットで2:14:27の9位に入り自己記録を10分更新した。
そのベン・セント・ローレンスと25kmもレースを作ったのは桃澤大祐。初マラソンで前後半をほぼ同じペースでまとめ2:15:23の12位。フィニッシュラインで2人は称え合った。
今大会8年連続出場で、2013年大会の覇者である川内優輝は2:15:32の13位の終わった。しかし、90回目のサブ2:20を達成し、自身が持つサブ2:20達成回数の世界最高記録を更新した。
女子はケニアのロダ・タヌイが2:27:56で優勝。
地元オーストラリアのミリー・クラークが2:28:08の自己新で2位に入った。
男子レースで五輪標準をクリアできなかったアダムスとは対照的に、2:29:18の自己新で五輪標準(2:29:30)をクリアしたモンゴルのザヤ(Munkhzaya Bayartsogt)。
オーストラリア史上最高レベルとなった男子マラソンを筆頭に、男女ハーフ、マラソンともに熱戦が繰り広げられた。
【結果】
アシックスハーフ
男子
1位:ジャック・ライナー(オーストラリア)62:30 – 2連覇
2位:佐藤悠基(日清食品グループ)62:36
3位:服部勇馬(トヨタ自動車)62:39
女子
1位:シニード・ダイバー(オーストラリア)69:46
2位:エリー・パシュリー(オーストラリア)69:51
3位:リサ・ウェイトマン(オーストラリア)70:32
ゴールドコーストマラソン
男子
1位:設楽悠太(Honada)2:07:50 – 大会新
2位:バーナバス・キプタム(ケニア)2:08:02
3位:ゼーン・ロバートソン(ニュージーランド)2:08:19 – ニュージーランド新
女子
1位:ロダ・タヌイ(ケニア)2:27:56
2位:ミリー・クラーク(オーストラリア)2:28:08 – 自己新
3位:ナズレット・ウェルドゥ(エリトリア):2:28:57 – 自己新
Text & Photos:Sushiman Photography