“東京の猛暑”と“午前6時スタート”は2020年東京オリンピックのマラソンにどのような影響を与えるだろうか?

オリンピックのマラソンで優勝するには、選手は暑さに対処しなければならない。夏季オリンピックの種目であり、オリンピックが北半球で開催されるときは、暑くなることはわかり切っていることである。それが夏季オリンピックの売りでもある。

オリンピックのマラソンは誰が1番速いのかを決めるものではない。“その日に誰が1番強いのか”を決めるタフな※ 選手権スタイルのマラソンである。

(※)選手権スタイル:ペーサーがいない駆け引きの多いレース

ここで秘密を明かそう。オリンピックのマラソンで優勝したからといって、それによって世界最高のマラソン選手になれるわけではない。2016年(リオオリンピック)のエリウド・キプチョゲや2008年(北京オリンピック)のサムエル・ワンジルのように、オリンピックで優勝したことによって世界最高のマラソン選手として箔が付いた選手もいる。

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しかし、ワールドマラソンメジャーズ(WMM)で1度も優勝したことがなかったステファノ・バルディーニは、2004年アテネオリンピックで金メダルと獲ったからといって世界最高のマラソン選手になっただろうか?2012年のスティーブン・キプロティチはどうだろうか?彼もまたWMMでは優勝したことがない(キプロティチが2013年モスクワ世界選手権で優勝しているものの、ここで話しているのはWMMのことである)。

もちろん、彼らが世界最高のマラソン選手であると議論してもいい。

哲学者のリーアム・ニーソンの言葉を引用すると、

「オリンピックのマラソンは“とても限定されたスキル”を試すための舞台」

である。暑い気候の中で、選手権スタイルのレースでいかに走るか。トラックでは、それが当てはまる。トラックにおける選手権レースで優勝すると、時を超えて称賛される。そして、オリンピックの金メダリストは世界最高の選手としてみなされやすい。

しかし、マラソンではそういう認識はない。暑く厳しいコンディションで行われる選手権のマラソンで勝つことが、涼しくてペーサーがいるマラソンで勝つことより大切かどうかは、選手自身が決めることである。

それに加え、オリンピックの出場選手は近年、WMMに出場する選手よりも手薄になる傾向がある。ケニアはオリンピックで3人のマラソン代表を選出するが、その時に1番強い選手が出場しないことがある(2012年に※1 ジョフリー・ムタイ、2016年に※2 メアリー・ケイタニーがそれぞれオリンピックに出場しなかった)。

(※1)ジョフリー・ムタイ:2011年にボストン2:03:02(大会新)、ニューヨークシティ2:05:06(大会新)でWMM2勝。ロンドンオリンピックの翌月に行われたベルリンマラソンも優勝
(※2)メアリー・ケイタニー:2016年までにロンドン2勝、ニューヨークシティ2勝。その当時も現在も女子マラソンケニア記録保持者

オリンピックで予想されるコンディションに対処することが重要であるが、東京オリンピックに向けた懸念点としては、やはり厳しいコンディションが1番のポイントとなるだろう。とはいえ、オリンピックのマラソンで、誰が1番、暑さへ対処できるかどうかでマラソンの勝敗が決まってほしくないとファンたちは思っているはずだ。

そして、勝負を決定する1番の要素としてその日の選手たちの“走力”を見たいはずだ。来年、東京の気温(露点温度)が上がれば上がるほど、レース結果にもたらす影響は大きくなる。もしエリウド・キプチョゲが本番で凡走すれば(それは十分起こり得る)、猛烈な一撃を与えるのは母なる自然ではなく、他の選手である。

 

レッツラン記事

How Will the Tokyo Weather (And a 6 AM Start) Affect the 2020 Olympic Marathons?

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