“東京の猛暑”と“午前6時スタート”は2020年東京オリンピックのマラソンにどのような影響を与えるだろうか?

2020年オリンピックの開催地が東京に決まった時点(2013年9月)からすでに、夏の東京の気候が問題になるとわかっていた。1964年に東京オリンピックが開催された時は10月に開催されたが、2020年は夏にオリンピックが開催され、東京の夏は厳しい暑さとともに湿度が高い。そして、オリンピックが開催される8月は、東京において1年のうちで1番暑さが厳しい月である。

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左にオリンピックスタジアム(新国立競技場) ©︎2019 Sushiman Photography

そして、その平均気温は約30.5℃にもなる。ケッペンの気候区分を見ると、東京は湿度が高い亜熱帯気候に属している。アメリカのワシントンD.C.、ダラス、オーランド、そしてアトランタも同じ区分に分類される。それらの地域のランナーは承知だと思うが、真夏の太陽が降り注ぐなかで走るのは、決して楽しいものではない。

それらの都市の中で、アトランタは最もわかりやすく比較できる。1996年のアトランタオリンピックが開催された時、東京と同じ問題に直面した。東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会はマラソン選手にとって走りやすい状況を用意しようとしている、

スタート時間を早め(アトランタも同じ措置を取った)、地面の熱を下げる特殊なアスファルトを整備したり、日影を多く作るために都市の緑化を促進する。しかし、どんな措置を試みても、アトランタや東京のような場所で真夏にマラソンを走ることは、相当チャレンジングなことに変わりはない。

最近の高温下に行われたマラソンだと2007年シカゴマラソン、2012年ボストンマラソン、2015年北京世界選手権、2018年ゴールドコーストコモンウェルスゲームズが挙げられる。

気温 露点温度 湿度
2007年シカゴ 30℃ 19℃ 51%
2012年ボストン 26℃ 14℃ 47%
2015年北京世界選手権 27℃ 15℃ 48%
2018年コモンウェルスゲーム 25℃ 19℃ 69%

コモンウェルスゲームズ男子マラソン(2018年4月15日午前8時15分スタート。出場者25人のうち8人=32%が途中棄権)では、終盤まで独走していたカルム・ホーキンス残り1マイルのところで熱中症になり倒れて途中棄権したことは記憶に新しい。

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Japan Running Newsのブレット・ラーナー氏が昨年の夏、東京オリンピックの女子マラソン開催日の8月2日と男子マラソン開催日の8月9日にコースの試走を行い、朝7時に走り始めた(当時、東京オリンピックのマラソンは7時スタートとされていた)。ラーナー氏の感想はJRNのこの記事で詳しく読めるが、重要なポイントは以下の通り。

“2020年東京オリンピックに出場するマラソン選手が直面するであろう状況は、かなり明瞭である。暑さ、湿気、直射日光(太陽)である。台風が直撃したり雨が降る以外、直射日光(太陽)は1番インパクトを与えるだろう。それを見越してコース設定は、直射日光をできるだけ避けるように設定されており、※1 “東側に高い建物がある南北道路の日陰”を最大限に利用して走ることができる。それだけでは十分ではないように聞こえるが、先週の試走(2018年8月2日午前7時〜)で感じたことを考慮すれば、それだけでも随分違う。試走をする前はオリンピックマラソンが※2 “朝7時スタート”だということに反対だったが、今はそれも実行可能だと考えている”

(※1)朝の太陽光は東から差す。特に以下の道の東側を走る際は日陰の恩恵を受けられる
a. 神田須田町⇆日本橋(中央通り:8.7〜10.1km、28.4〜29.9km)
b. 日本橋浜町⇆浅草(江戸通り:11.8〜18.2km)
c. 日本橋⇆新橋(中央通り:19.9〜22.0km、26.2〜28.4km)
d. 西新橋⇆芝公園(日比谷通り:22.6〜25.8km)
(※2)2018年8月時点では7時スタートだったが、現在では6時スタートに変更された

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出典:TOKYO2020ホームページより

また、ラーナー氏はある提案もしている。オリンピックマラソンのスタートを夜にする。露点温度や湿度の問題は必ずしも解決されるわけではないが、直射日光なしで2時間走るのは随分楽に感じるはずだ。今年開催されるドーハ世界選手権のマラソンは夜の23:59にスタートする。

“体調や安全性の影響は別として、箱根駅伝から東京国際マラソン、そして近年好記録が連発している東京マラソンという、これまでの東京のロードレースの歴史が詰まった2020年東京オリンピックのマラソンコースは、東京の名所を多く含んでいる。その名所は夜にライトアップされる。東京ドーム、日本橋、雷門、浅草の東京スカイツリー、銀座、増上寺、24kmの折り返し地点から見える東京タワー、33km地点の皇居、夜開催になればライトアップされ、これらは記憶に残る景色になる。※ 隅田川沿いでは花火を打ち上げることもできるかもしれない。世界中に東京の魅力をみせるのにいい機会だと思うのだが”

(※)日本橋浜町⇆浅草の往復区間:11.8〜18.2km地点

スタート時間を夜にするとなればスケジュールを組み直さなければならない。男子マラソンは伝統的にオリンピック最終日に開催されてきた。太陽が沈む(大体午後6:37)のを待ってスタートとなると、閉会式に重なる危険性がある。しかし、マラソン開催を東京以外の場所でやるというプラン以外では、マラソンを夜開催にするのがこの難しい問題への1番の解決策かもしれない。

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