2019ロンドンマラソン:男子はエリウド・キプチョゲが2:02:37の大会新記録でマラソン10連勝、女子はブリジッド・コスゲイが史上最高の決戦を制する

男子:エリウド・キプチョゲが2:02:37でマラソン10連勝

2019年ロンドンマラソンでもエリウド・キプチョゲの偉大さは際立っていた。男子マラソン世界記録保持者は再び素晴らしい走りで優勝を果たし、もはや“超人の領域”に達した。

キプチョゲは25マイル目(ラスト3.5〜1.9kmまで)を4:26(2:47/km)で走り、2018年ドバイ優勝のモジネット・ゲレメウと、昨年のアムステルダム2位(2:04:37)のミュール・ワシフンを引き離した。そして2:02:37で優勝して“マラソン10連勝”を果たし、2016年の自らの大会記録を28秒縮め、この記録は男子マラソンの世界歴代パフォーマンスで2番目の記録となった。

ゲレメウは2:02:55で2位に入ったがその価値は大きく、世界歴代パフォーマンスで3番目の記録であり、キプチョゲが昨年9月の2:01:39の世界記録を出していなければ、世界記録となるはずの記録であった。ワシフンは2:03:16で3位に入り、3位の記録としては過去最速(2018年ドバイ3位のタミラト・トラの2:04:06がそれまでの3位の最速)よりも、1分以上速い記録だった。2人の選手がサブ2:03を達成したレースはこれが初めてで、サブ2:04を3人達成したのも初だった。

AB206189
©︎2019 Andrew Baker  / Virgin Money London Marathon

キプチョゲはWMMで10連勝を達成した。マラソンを2:02:55で走った選手が、20秒差で負けるというレースとなった。

イギリスのモー・ファラーは中間地点で先頭集団から離れたが(ペーサーを振り切ってペースを上げたキプチョゲが引っ張る先頭集団は20〜25kmを14:14とペースアップ)、35km地点ではまだサブ2:04ペース(2:03:49)で走っていて先頭集団からも1分以内の位置につけていた。しかし、その後に失速して2:05:39の5位に終わった。

【ロンドンマラソン:男子ハイライト動画】※0分56秒〜

気温10℃、少し風が吹いていたレース当日。中間地点(61:37)までに先頭集団には9人がいて、61:37という通過はキプチョゲ以外の選手にとってはすごく速いペースだった。キプチョゲは14マイル目(中間点からの1マイル)を4:32(2:49/km)というラップで走り、9マイル(14.4km)あたりで1度先頭集団から離れたファラーを置き去りにした。

そして、キプチョゲは25kmあたりでペーサーをも置き去りにした後に、他の選手に「勝ちたければ、ついて来い」と言わんばかりに右手でジェスチャーをした。

kipchoge-motions-2019
「さぁ行くぞ君たち。勝ちたければ、ついて来い」

その後、最後までキプチョゲが“非公式”のペーサーとして機能した。彼が先頭を引っ張ってからペースが上がり、そこからゴールまででキプチョゲがリードを奪われたことは1度も無かった。

レースの前半は公式のペーサーが先頭集団を引っ張っていたが、前半のハーフのうちで2回だけ1マイル4:40(2:54/km)よりも速いペースでレースが進んだ。しかし、史上最強のマラソン選手がペースを上げ、※13〜18マイル(20.9〜29.0km)を4:32、4:34、4:34、4:32、4:39(2:49〜2:53/km)で走り、そして30kmを1:27:04(2:02:28ペース)で通過した。

(※)男子先頭の20〜25km:14:14、25〜30km:14:27、20〜30km:28:41

その結果、先頭手段は4人に絞られ、最終的に上位3位までに入る3選手とシュラ・キタタ(2018年ロンドンとニューヨークシティ2位)の4選手で、ケニア人(キプチョゲ)vs. 3人のエチオピア人(ゲレメウ、ワシフン、キタタ)の勝負となった。

中盤のペースはとても速かったが、キプチョゲが先導する4人の先頭集団はそこからペースが落ち、18〜23マイル(29.0〜37.0km)で4:50(上り坂, 3:00/km)、4:43、4:51、4:45、4:46(2:55〜3:00/km)と刻んで23マイル(37km)まで先頭集団を形成していた。

Embed from Getty Images

24マイル目(37.0〜38.6km:4:42 = 2:55/km)でキタタは振り落とされ、そして、3人の勝負となった。 彼らは39km地点を1:53.37 (2:02:56ペース)という高速ペースで通過したにも関わらず、キプチョゲはこの終盤でまだ2人のエチオピア人を振り切らなければならなかった。そこから彼はどのような作戦に打って出たか?

この終盤にキプチョゲにはまだ余力があったとはいえ、今回のレースの25マイル目(38.6〜40.2km)のギアチェンジと40km手前での駆け引きは、マラソン史上最高の勝負としてマラソンファンの記憶に残るべきである。

キプチョゲは※ 39〜40kmの1kmを2:42/kmと、このレースで1番のスピードまでギアを上げて2人を引き離した。まず、ワシフンを39.6kmで引き離して、その20秒後にゲレメウを振り切った。

(※)25マイル目 38.6〜40.2km:4:26 = 2:45/km

それでも、ゲレメウは大失速しなかった。彼は終盤でペースを落としたもののフィニッシュまでサブ2:03ペースを維持していた。しかしキプチョゲは、もはや“マシン”だった。

彼はフィニッシュ地点のバッキンガム宮殿前の200mの直線に最高の形でやってきた。直線のいたるところでほほ笑み、彼のレースの最後の15秒間は、オーディエンスへ感謝の気持ちを込めたパフォーマンスをみせた。

まず右手の人差し指で“ナンバーワン”。

それから、右、左と交互に両側のオーディエンスにアピールし、ゴールラインに近づくにつれて両手を上げて、右、左と敬意を込めてサインを送った。

そこに、成熟した1人のマラソン職人の“生きがい”を見た。


エリウド・キプチョゲ:2:02:37(前半61:37 – 後半61:00)
5kmごと(最後は2.195km)
14:23 – 14:39 – 14:42 – 14:43 – 14:14 – 14:27 – 14:52 – 14:26 – 6:18

スクリーンショット 2019-04-30 0.27.35

【ロンドンマラソン:全レース動画】※男子スタートから

23km付近(動画1:07:41〜)2:49〜50/kmペースになりファラーが離れる
25km付近(動画1:14:18〜)ペーサーを振り切りキプチョゲが先頭に立つ
38km手前(動画1:52:06〜)キタタが離れ先頭争いが3人だけに絞られる
40km地点(動画1:57:06〜)レース最速の2:42〜45/kmで2人を振り切る
42km地点(動画2:02:57〜)余裕残しで4度目のロンドン制覇のテープへ

トップ25の結果と分析は以下の通りである。

【ロンドンマラソン男子:TOP25の結果】

Screenshot-2019-04-28-at-10.52.00-768x470

ページ【1】【】【】【▶︎

広告

2019ロンドンマラソン:男子はエリウド・キプチョゲが2:02:37の大会新記録でマラソン10連勝、女子はブリジッド・コスゲイが史上最高の決戦を制する」への2件のフィードバック

  1. ピンバック: 様々な視点からみる史上最速・最強のマラソン選手:エリウド・キプチョゲ – LetsRun.com Japan

  2. ピンバック: 世界のメジャーマラソン13撰(WMM6大会 + 7大会) – LetsRun.com Japan

コメントを残す

以下に詳細を記入するか、アイコンをクリックしてログインしてください。

WordPress.com ロゴ

WordPress.com アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト /  変更 )

Google フォト

Google アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト /  変更 )

Twitter 画像

Twitter アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト /  変更 )

Facebook の写真

Facebook アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト /  変更 )

%s と連携中