今までのレースで良かったレース
“ポリットクラシック”(2016年2月13日:ニュージーランド・ハミルトン)
ポリットクラシック:1分48秒92で優勝。U20世界選手権の標準をクリア
(青のユニフォーム)
『ここでU20世界選手権の参加標準記録(1分49秒50)を突破できたことはとても嬉しかった(当時18歳)。クラシックレースは多くの人が観戦し、競技会全体が独特の雰囲気に包まれている。ニュージーランドのクラシックレースは会場、参加人数、観戦者、種目数などの大会規模は大きくはないけれども持てる力を最大限に発揮できる大会だと思う』
“U20世界選手権”(2016年7月22、23日:ポーランド・ブィドゴシュチュ)
予選5組で1分49秒69の組トップで準決勝進出
(5レーン:上下黒のユニフォーム)
『様々なところでニュージーランドのレースとの違いを感じた大会だった。まず競技場が大きかったことが1つ。ニュージーランドはどこも小さい競技場で風が直接吹き込むようなところしかないからね(笑)』
Embed from Getty Images準決勝1組で1分48秒06の自己新ながら組7着で準決勝敗退
(中央:黒のユニフォーム)
『(準決勝の)レースは1人の選手が飛び出す展開で、1周目はかなり速かったと思う。自己記録が1分44秒や45秒の選手にとってはイーブンペースに感じる入りだとは思うけれど。自分にとっては今までにはなかった高速のレース展開だった』
『そして、今では一緒に準決勝を走った彼らがそれぞれの国を代表する選手になっている。オリンピックや世界選手権で走る彼らの姿を見るとなんだか不思議な気分になるけどね』
“ブリュッセルGP”(2018年6月30日:ベルギー・ブリュッセル)
1レーンがジェームス
『ネガティブスプリット54秒 – 53秒というレース展開で久しぶりの自己記録を記録できた。ベストを出すというよりは、走りの状態を上げていくためのレースであったにもかかわらずこの記録が出たことが驚きだった』
1分47秒76の約2年ぶりの自己新記録で2位に入る(左)
筆者は現地で写真を撮っていたが、非常にリラックスして走っていた姿が印象的であった。
国内レベルから国際大会まで一気に駆け上がった4年間の中でも足跡を残すだけではない。1つ1つの経験を次への1歩を踏み出す力に変えている。
競技生活の始まり
2015年からジェームスを本格的にランニングの世界に向かわせていったのは“エヴァン・クーパー”。ニュージーランドの若手コーチである。
2015年、まだ本格的にランニングに取り組んでいなかったジェームスにエヴァンがこう話した。
『ジェームスには中距離を速く走る才能がある。ナショナルレベルにはすぐになる。その先の世界大会も目指せる』
ジェームスは当時、ランニングに関しては多くのことは考えていなかった。しかし話を聞いているうちに『それは面白そうだな』と思うようになったという。それ以降エヴァンと共に6ヶ月サイクルのトレーニング計画に取り組むようになる。
その当時、ジェームスが小さい頃から行っていたホッケーは“先”へ進むことが困難な状況であり、練習しても周りのレベルと比べればいつも現状維持か、やや周りに抜かれるような状況であった。それとは対照的に、ランニングは計画的に練習を進めていくと周りの選手をどんどん追い抜いていった。
そして“ただ練習を行っているだけ”でいつの間にかナショナルタイトルまでたどり着いていたのである。
ニュージランド選手権(U18)で優勝し、U20世界選手権で各国のホープと走る中で“楽しい”という気持ちだけで世界選手権やオリンピックを思い描いていた。
しかし、順調と思われた競技生活に突如、壁が立ちふさがることになる。
その2に続く。
【筆者プロフィール:谷本啓剛】
ニュージーランド・ウェリントン在住
ランニングガイド・RunZ(ラン・ニュージーランド)代表、酒井根走遊会主宰
【RunZ(ラン・ニュージーランド)】https://runnewzealand.wordpress.com/
【酒井根走遊会(オンライン陸上部・駅伝部)】https://ameblo.jp/dashpiro
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