2019ボストンマラソン男子展望:川内優輝、ジョフリー・キルイ、レリサ・デシサ、ローレンス・チェロノなど16人の有力選手をピックアップ

表彰台候補

7. ケネス・キプケモイ, ケニア (自己記録 2:05:44), 34歳
2018年マラソン成績: ロッテルダム優勝 (2:05:44)、シカゴ4位
調整レース:無し

キプケモイは昨年に2回2:05台をマークしており、4月のロッテルダムでは2:05:44で優勝し、10月のシカゴでは2:05:57で4位に入った。この結果は、昨年までサブ2:09ではなかった34歳のキプケモイのキャリアではブレイクスルーの1年となった。

 

6. レミ・ベルハヌ, エチオピア (自己記録 2:04:33), 24歳
2018年マラソン成績: ボストン途中棄権、衡水優勝 (2:08:51)
調整レース:無し

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2016年大会で優勝したベルハヌ

ベルハヌは2016年のボストンで優勝した後、ボストンでは2年連続で途中棄権に終わっているが、昨年のレースは多くの途中棄権者がいたので参考外とみていい。

それ以外では彼は依然として力のあるマラソン選手であり、2017年のニューヨークシティで4位、昨年秋の中国の衡水では2:08:51で優勝した。

衡水でベルハヌに負けて2位だったのが、2019年1月のドバイで2:03:40で走ったヘルパッサ・ネガサだった。

 

5. ソロモン・デクシサ, エチオピア (自己記録 2:04:40), 25歳
2018年マラソン成績: ムンバイ優勝 (2:09:34)、ハンブルク優勝 (2:06:34)、アムステルダム3位 (2:04:40)
調整レース:無し

マラソン選手の戦績を評価するとき、我々は“優勝”という文字と速い自己記録を目にするのが楽しい。デクシサの昨年のマラソン成績はそのどちらも持っており、アムステルダムで大幅の自己新となる2:04:40(この記録はそれまでの大会記録よりも29秒速かった)を出す前に、1月のムンバイ(2:09:34)と4月のハンブルグ(2:06:34)でともに優勝している。

レベルの高い春のヨーロッパの大会で優勝しており、さらに彼のマラソンキャリアでは完走した5回のマラソンのうち4回トップ3に入っている。しかし、2年前の東京マラソンで初のWMMを経験し(そして今までのところ、彼にとって唯一の)そこで好走できなかったことが(2:09:31の12位)、我々が彼の評価を少し落とした理由である。

 

4. シセイ・レマ, エチオピア (自己記録 2:04:08), 28歳
2018年マラソン成績: ドバイ5位 (2:04:08)、プラハ2位 (2:07:02)、リュブリャナ優勝 (2:04:58)
調整レース:無し

世界歴代19位の記録を持つレマにとって、2018年は飛躍の1年となった。2:04:08という大幅な自己新を1月にドバイでマークしたが、そのレースで彼の前に4人が先着しており5位だった。4ヵ月後にはプラハでゲーレン・ラップとの競り合いには敗れたものの2位に入った。秋にはスロベニアのリュブリャナで2:04:58の大会新で優勝し、昨年に2回サブ2:05を達成した3人のうちの1人となった。

それはこれまでの彼にとっては最高のマラソン成績である。 唯一の懸念は、彼の一番最近のボストン、2017年大会で途中棄権に終わっていることである。彼はこのコースでしっかりと走れるということを証明する必要がある。

優勝候補

3. ローレンス・チェロノ, ケニア (自己記録 2:04:06), 30歳
2018年マラソン成績: ロンドン7位 (2:09:25)、アムステルダム優勝 (2:04:06)
調整レース:無し

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過去数年間でチェロノよりも安定した良いマラソン選手は数少ない。彼のこの8戦のマラソン成績は以下である。

8戦5勝(大会新4レース)
+2位2回+7位1回
2016年5月:2:07:24 (プラハ優勝, 自己新)
2016年9月:2:11:13 (衡水2位, 1位と4秒差)
2016年12月:2:09:30 (ホノルル優勝, 大会新)
2017年4月:2:06:21 (ロッテルダム2位, 自己新)
2017年10月:2:05:09 (アムステルダム優勝, 大会新, 自己新)
2017年12月:2:08:27 (ホノルル優勝, 大会新)
2018年8月:2:09:25 (ロンドン7位)
2018年10月:2:04:06 (アムステルダム優勝, 大会新, 自己新)

過去3年間で5回の優勝(4つの大会新を含む)、これらの大会記録が出た大会(アムステルダム、ホノルル)は昔から未来のメジャーマラソンでの優勝を目指す選手の試金石として使われてきたレースである(いわゆる現在の“準”メジャーマラソン)。昨年のアムステルダムで出した2:04:06は、2018年においては世界4位の記録であり、エリウド・キプチョゲとドバイマラソンでの記録を除けば1番速い記録である。また、世界歴代16位のタイ記録でもあり、今回の出場選手の中でも1番速い持ち記録を引き下げてチェロノはボストンにやってきた。

最近のレースにおける彼の唯一の欠点は、昨年ロンドンでの7位だが、ロンドンはチェロノにとってWMMのデビュー戦であったし、レース当時の気温も高くてほぼ世界記録ペースで進む先頭集団についていってしまった(前半61:34、後半67:51の2:09:25)。ボストンではそんなハイペースでは入らないだろう。天気とアップダウンに対処できれば、彼は優勝に近い男である。

もしボストンがフラットコースで、もしくは彼が過去にボストンに出場していたとすれば、彼を優勝候補のNo.2に挙げていた。しかし、我々のNo.2として予想する選手は、ボストンでうまく走れるということを幾度となく証明している選手である。

 

2. ジョフリー・キルイ, ケニア (自己記録 2:06:27), 26歳
2018年マラソン成績: ボストン2位 (2:18:23)、シカゴ6位 (2:06:45)
調整レース:無し

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(前回終盤に失速して2連覇を逃したキルイ)

この1年に起こった出来事を忘れてしまうのは簡単なことだが、昨年のボストンの残り5マイル(残り8km)で、我々はジョフリー・キルイのことをキプチョゲのような選手のように考えていた。

これは誇張ではない。

キプチョゲがロンドンで3回目の優勝を成し遂げる前の出来事であり、ベルリンで2:01:39という前代未聞の記録を樹立した前でもあった。キプチョゲは世界1のマラソン選手である。しかし、キルイが前回のボストンで優勝していたとすると…

・2017年8月ロンドン世界選手権で2:08:27で優勝しており、世界選手権における現在のディフェンディングチャンピオンである。
・ボストンで2連覇を達成するところだった。それは、2006~2008年3連覇したロバート・キプコエチ・チェリヨット以来となるはずだった。
・2017年ボストン→世界選手権→2018年ボストンとマラソン3連勝となるはずだった。

最後のポイントはさらなる検証が必要である。出場したほぼ全ての東アフリカの選手があの悪天候に屈した前回のボストンで、キルイはその悪条件に耐えた。ランニングジャケットを大風になびかせながらキルイは17.5マイル(28km付近)のニュートンの上り坂でロングスパートを仕掛け、35km地点では2位との差を91秒差まで差を広げていた。

この瞬間を見ていて息が詰まる思いだった。悪天候を問題としないぐらいに彼のそこまでの走りは良かった。

もちろん、その後悪天候は彼の走りに影響した。キルイのリードは40kmまでには20秒まで縮まり、最後の1マイルを7:18(4:32/km)かかってしまったキルイ川内が交わして2:25差をつけて優勝した。キルイのゴールタイムは2:18:23だった。しかし、レース前の優勝候補として挙がっていた選手で、ほぼ予想通りにゴールしたのはキルイだけだったので、尊敬に値する。

これは今年のレースへの予兆にもなっている。昨年悪天候のもと優勝をあと少しのところで逃してしまった経験から彼は学んでいるはずだ。昨年のような天気であれば、それに対処できるのはキルイが1番であろう。

昨年秋のシカゴでは2:06:45で6位であったが、丘陵地であるケニア・リフトバレー州のケリンゲット(標高約2700m)でトレーニングしているキルイは、ドーハ世界選手権とボストンのコース向けに練習を積み上げている。もしものことがない限り、彼が我々の優勝候補である…

 

1. レリサ・デシサ, エチオピア (自己記録 2:04:45)
2018年の主な成績: ボストン途中棄権、コペンハーゲンハーフ (59:52)、ニューヨークシティ優勝 (2:05:59)
調整レース:RAKハーフ13位 (60:36, 2月8日)

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(2013年、2015年大会で優勝したデシサ)

デシサは2010年代で最も成功したマラソン選手の1人である。彼は2013年の初マラソン以降に走った14回のマラソンにおいて4回優勝し、2位が4回、3位が2回。3回の途中棄権(ボストン×2、NYC×1)はあるものの10回もトップ3に入っている。彼の安定した成績はキプチョゲのレベルまでには達しないものの、デシサの調子が良ければ彼に勝つのは難しい。

(※)Breaking2を除いたボストン×5、NYC×5、ドバイ×2、大邱世界選手権、北京世界選手権の14レース

昨年11月のニューヨークシティマラソン(以下、NYC)は、デシサの強さを証明したレースであり彼は起伏のあるコースにおいて2:05:59で優勝した。NYCで2:05台が出たのは史上2度目であり、シュラ・キタタ(2018年ロンドンマラソン2位)と、2017年のNYCを制したジョフリー・カムウォロルを抑えての優勝だった。

もちろん、昨年のNYC当日はマラソンには絶好の気象条件であったが、今年のボストンはそうではない。デシサは、昨年のボストンの悪天候の犠牲者の1人でもあるが、月曜日の天候が歴史的な悪天候ではなく少し悪いぐらいであれば、デシサには影響はないであろう。デシサはすでに2回ボストンで優勝しており、2015年に優勝した時の気温は約4℃で雨が降っており、向かい風も吹いていた。

だからといって月曜日にデシサが優勝確実というわけではないが、彼が1番最初にフィニッシュラインにやってくる可能性が1番高いだろう。


(参考までに)

天候が悪化すればするほど、東アフリカ人の招待選手は途中棄権する可能性が高くなる。前回の東アフリカ人の男子招待選手で完走したのはジョフリー・キルイ=2位とスティーブン・サンブ=14位だけだった。現在の予報では、雨は強く降るものの気温は昨年ほど低くならない予報であり(変わる可能性もあるが)、昨年ほどの影響はないと思われる。

 

レッツラン記事

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