レナート・カノーバが語るセルゲイ・レビドのトレーニング(欧州クロカン優勝9回・世界クロカン銀メダル)

「ショートインターバルはクロカンには適しておりトラックには適していない」事に関する説明

セルゲイの最大の強みは、スプリント力ではなく、ジワジワとペースを上げていくラストスパートである。彼はキック力はそれほどでは無いが、最後の400-600mの間でロングスパートがかけられる。

逆にセルゲイの悪い所は、レース序盤の速い流れについていけないということである。彼はマイペース以上のオーバーペースで走る必要があり、何人かの選手(アフリカ人が良くやるように)がスピードの変化を見せた時に即座に対応できない。

彼は※1500m3:39.5のPBを持っていて、良いトレーニングをすれば3:36まで記録を伸ばすことができる。しかし、エルゲルージ、キボウェン、チェビィ、キプチョゲといった選手は皆彼よりも速い。

(※)2003年当時。その後3:38.44まで記録を伸ばした

また、セルゲイは10kロードは28:12、ハーフ61:49のPBを持っている。これは良い記録だがベケレ、キプチョゲ、その他の選手ももっと速く走ることができる。だから、レースで戦うためにはエドモントン世界選手権5000mのような戦術的なレースをしなければならない。

ここで重要なのは(2003年当時の)新世代のトップランナー(特にベケレキプチョゲのような選手)がレースを「待つ・ついていく」のではなく、レースを「作る・組み立てる」ということである。

だから、本当に私は(主にトラックで)トップ6を争うような選手のポジショニングは正しいルールのもとでしっかりと考えられなければならないと思っている。

「ショートインターバルはクロカンには適しておりトラックには適していない」ことに関する質問について、私の答えは非常に明白である。

クロカンでは、特に泥だらけの時には、高速レースで活かされるスピード持久力を活かす事ができない。筋力(セルゲイはケニア人より強いが、ベケレよりは強くない)と、高いスピード持久力が重要になり、非常に高い有酸素能力を必要としない。

ここで、ハイボリューム重視のトレーニングは(体力的にも精神的にも)「強靭さ」鍛えるトレーニングとして非常に重要である。ショートインターバルに関しては、ペース変化への対応力とレースの終盤にスパートをかけることに適している。

しかし、これは最初からレースが遅いときにのみ起こり得る。なぜなら、ロングランと非常に短いトレーニング(ショートインターバル)では、“速く長く走る”能力を高めることはできないからである。

この能力を身につけるためには、彼がリディアードシステムに基づいて行なっていなかったロングインターバル(レースペースの102-105%)を必要とする。人々はいつもリディアードについて話している。とても素晴らしいコーチだったが、クロカンシーズンに向けての準備に関しての話はあまり聞いたことがない。

リディアードシステムでは、冬季に向けて調子を整えることは難しい。(2003年当時に)世界クロカンで勝ちたいなら、10kmを27:20またはそれより速く走る必要がある(ベケレが26:40を切る状態ならまた別の話)。

だから、選手たちはやや多めのボリュームと、やや遅いスピードで、トラックシーズンとほぼ同様のトレーニングを行わなければいけない。ロングインターバル(3000mまたは2000m、および6-10 kmの速いペース走)無くして※世界クロカンでメダルを獲得することはできない。

(※)ぬかるみが特にひどいなど特殊な条件下で行われるレースを除いて

レビドのトレーニングについてより詳しい解説

以前の彼の練習について、通常のロングランは1kmあたり3:45のペースで、最後の15分だけ速いペースで行っていた。トラックでのインターバルに関しては、彼は通常、速いスピードでショートインターバル(200-400m, 28”/62”)を行なっていた。

私たちがともにトレーニングをする前に彼がやってこなかったのは、いわゆる “イタリアン・メディオ“と呼ばれているもので、これは10000mで自己記録の95%程度のペースで6~15kmを走るペース走である。

リビドの場合(彼の10km28:08は「真のベストタイムでは無く」、ピーク時には27:20に実行できると考えるため)、「メディオ」は、例えば3:00 / 3:03/kmのペースでの12km走などである。

セルゲイはほぼ毎週のレースを頻繁に利用しており、それが彼の “メディオ”トレーニングである。その代わりに私たちがトラックシーズン中に、ほんの少しのレースにしか出場しない場合はトレーニングで1000~2000m程度のインターバルを行う必要がある。彼は以前は決してこのような練習を行わなかった。

彼はサンモリッツでこれらの練習を行い始め、ケニアのマーク・ベット(私の指導する選手で5000m12:55と10000m27:02の記録を持っている)と一緒にトレーニングを始めた。この種のトレーニングを導入した後、レビドは3000mから10000mまでのすべてのウクライナ記録を更新し、モナコやベルリンのような国際競技会で好走した。

彼が11月から12月(欧州選手権の前)に自宅にいるとき、彼はたくさんの丘を使って、坂の多いのコースでの走り込みを行なっている。彼は筋力が非常に強いが、レース序盤でペースが非常に速いと先頭集団についていく事ができない。私はこの問題は「速いペース走」の欠如が原因であり、同時に生理学的および「心理的問題」であると思っている。

彼がラストのキックを強化するために好んでいるワークアウトの1つは以下のメニューだった。

400m(61″)→   R 200m(45″)→  300m(45″)→   R 200m(45″)→  200m(27″)→  R 200m(45″)→ 100mスプリント(合計1600m4:40)

× 5セット(セット間4 or 5分)

セルゲイの通常の練習は、遅いペースでの走り込みとトラックでのショートインターバルなので、これでは特定のスピード持久力を伸ばす事はできない。この能力を高めるには速く長く走るトレーニングが必要になる。

コースが泥だらけのときは彼は好走する。泥は速く走れる機会を減らし、常に高速化においてのスピード持久力を必要としないので、高速レースを得意としない選手にとっては利点である。セルゲイの場合は泥の多い2001年の世界クロカンで銀メダルという結果に現れた。

彼はよりトラックレース特有(つまり、悪条件下ではなく好条件下)の持久力を必要としている。路面がフラット、もしくは乾燥している条件(つまり不整地以外)で世界の強豪と戦うには、彼のスピード持久力はまだ十分ではない。

 

【参考】

Why is Lebid so dominant in the winter?

http://www.letsrun.com/forum/flat_read.php?thread=290418&page=4

Renato Canova and right way to train ST- runners for XC

http://www.letsrun.com/forum/flat_read.php?thread=2829613

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