2019年2月8日
2007年の第1回大会以来、UAEで行われているRAKハーフマラソンは世界トップレベルのハーフマラソンの1つとして評価されてきた。そして、今大会もその評判を上げる良いレースとなった:男女ともに高速レースかつ、ラスト100mまで勝敗がわからないスリリングなレースが展開された。男子のサブ60:00は11人、そして欧州新記録と、悪くないレース内容だった。
男子のレースは、20歳のケニアのスティーブン・キプロプが21歳のエチオピアのアバディ・ハディス(5000m自己記録12:56)がリードしていたラスト200mで追いつき、ラストスパートを決めて58:42の大会タイ記録(ビダン・カロキの昨年の58:42は旧コースでの記録)で優勝。ラスト400mは非公式計測で56.0(おそらくラスト400mの距離表示が少し短い地点にあった)。それまでの自己記録が59:21だったキプロプは今回58:42で走り、カロキとエリック・キプタヌイと並んで世界歴代7位にランクインした。また、2位に入ったはハディスは昨年のバレンシアハーフ以来の58:44で走り世界歴代10位となった。
後続でフィニッシュした選手をみると、スイスの22歳のジュリアン・ワンダースは3位争いには敗れたものの(エチオピアのフィカドゥ・ハフトゥが59:08で3位)、モー・ファラーの欧州記録を21秒更新する59:13の欧州新記録をマークした(ファラーは2015年のグレートノースランで59:22で走っているがこのレースは片道レースの非公認大会)。さらに、ワンダースの記録は非アフリカ系選手の歴代最速記録にもなった(それまでの記録はブラジルのドス・サントスの59:33)。また、欧州生まれの選手としてもアントニオ・ピントの59:43の記録を更新した。
ワンダースの後ろではさらに7人がサブ60:00で走り、合計11人がサブ60:00とレベルの高いレースとなった(1レースでの史上最多のサブ60:00達成者:これまでは昨年のバレンシアハーフでの10人)。
レースが大きく動いたのは、28:10で先頭集団が通過した10km以降。ペーサーが外れてからハディスがペースを急に上げ、10kmからの5kmを13:38でカバー。キプロプはフィニッシュラインの手前までハディスにリードを許し続けたが、最後のスプリントで逆転に成功した。
女子のレースでも好記録が生まれ、最後にスプリント勝負を制した初ハーフのセンベレ・テフェリが65:45のエチオピア新記録で優勝。同タイムの2位に昨年の世界ハーフ選手権優勝のネサネット・グデタが入った。
RAKハーフでは好記録が続出し、女子ハーフマラソンの世界歴代10傑のうちの6つがRAKハーフでの記録となった。また、女子ハーフマラソンの世界歴代16傑のうち15つがこの2年間での大会で生まれた(男子ハーフマラソンの世界歴代11傑のうち8つがの2年間での大会で生まれた)。
もし速くなりたければ、世界中を旅する覚悟が必要である
オレゴンプロジェクトに所属するアメリカ人以外の選手が、大陸を越えて異国の地でトレーニングを重ねて成功を冷める姿 – かつてのモー・ファラーのように、人生の覚悟を決めて彼らは競技に取り組んできた。
ワンダーズも同じような決断をした。5000mの自己記録が14:06だった4年前、当時18歳のワンダースはその頃からケニアでトレーニングを始めた。そして近年の彼の活躍は、その決断が正しいものだったことを証明している。昨年はバルセロナハーフで60:09のU23欧州新、その後の世界ハーフマラソン選手権では非アフリカ系選手で唯一のトップ20入りとなる8位入賞。10月には10kmロードで27:32、12月には同じく27:25と2回も欧州記録を更新し、今ではハーフマラソンにおいても欧州記録保持者となった。
今となっては、欧州最速のハーフマラソン選手(ワンダース)と欧州最速の(非アフリカ系の)マラソン選手(ソンドレ・モーエン)がともにケニアでトレーニングの大半を積んでいるといるということは偶然ではないだろう。
(↓2ページ目でワンダースのインタビュー動画を見ることができる)
靴がすべてではない
最近、ナイキのヴェイパーフライ4%のシューズについて多くの記事を見かけるが、先月のドバイマラソンでも男女ともに優勝者がこのシューズを履いていた(ともに大会新での優勝)。 しかし、今日のレースではヴェイパーフライ4%を履いている選手はたくさんいたものの、男女ともに優勝者はそのシューズをを履いていなかった。これは、ヴェイパーフライ4%以外のシューズでも速く走ることができるという証明であった(ちなみにジュリアン・ワンダースはヴェイパーフライ4%を履いていた)。
【男子結果】
Place | Name | Country | Time | Diff | Pred.time |
---|---|---|---|---|---|
1 | スティーブン・キプロプ | KEN ![]() |
58:42 | – | 58:42 |
2 | アバディ・ハディス | ETH ![]() |
58:44 | +0:02 | 58:44 |
3 | Fikadu Haftu | ETH ![]() |
59:08 | +0:26 | 59:08 |
4 | ジュリアン・ワンダース | SUI ![]() |
59:13 | +0:31 | 59:13 |
5 | Morris Gachaga | KEN ![]() |
59:22 | +0:40 | 59:22 |
6 | Mule Wasihun | ETH ![]() |
59:34 | +0:52 | 59:34 |
7 | Daniel Kipchumba | KEN ![]() |
59:36 | +0:54 | 59:36 |
8 | Amedework Walelegn | ETH ![]() |
59:39 | +0:57 | 59:39 |
9 | Abel Kipchumba | KEN ![]() |
59:40 | +0:58 | 59:40 |
10 | Shadrack Kiminning | KEN ![]() |
59:42 | +1:00 | 59:42 |
11 | Kaan Kigen Ozbilen | TUR ![]() |
59:48 | +1:06 | 59:48 |
12 | Edwin Kiprop Kiptoo | KEN ![]() |
1:00:20 | +1:38 | 1:00:20 |
13 | Lelisa Desisa | ETH ![]() |
1:00:36 | +1:54 | 1:00:36 |
14 | Alex Korio | KEN ![]() |
1:01:11 | +2:29 | 1:01:11 |
15 | Sikiyas Misgenaw | ETH ![]() |
1:01:31 | +2:49 | 1:01:31 |
【女子結果】
Place | Name | Country | Time | Diff | Pred.time |
---|---|---|---|---|---|
1 | センベレ・テフェリ | ETH ![]() |
1:05:45 | – | 1:05:45 |
2 | ネサネット・グデタ | ETH ![]() |
1:05:45 | – | 1:05:45 |
3 | Zeineba Yimer | ETH ![]() |
1:05:46 | +0:01 | 1:05:46 |
4 | Degitu Azimeraw | ETH ![]() |
1:06:07 | +0:22 | 1:06:07 |
5 | Valary Jemeli Aiyabei | KEN ![]() |
1:06:14 | +0:29 | 1:06:14 |
6 | Peres Jepchirchir | KEN ![]() |
1:07:36 | +1:51 | 1:07:36 |
7 | Paskalia Kipkoech | KEN ![]() |
1:07:38 | +1:53 | 1:07:38 |
8 | Naom Jebet | KEN ![]() |
1:08:19 | +2:34 | 1:08:19 |
9 | Gerda Steyn | RSA ![]() |
1:12:35 | +6:50 | 1:12:35 |
10 | Anne-Mari Hyrylainen | FIN ![]() |
1:13:40 | +7:55 | 1:13:40 |
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