ペレス・ジェプチルチルの復帰戦は世界ハーフ王者のネサネット・グデタとの対決か。トラックで良績を残しているセンベレ・テフェリが初ハーフ
ペレス・ジェプチルチルは、2016年の世界ハーフマラソンのチャンピオンとして2017年のRAKハーフに出場し、65:06の世界記録(当時)で優勝した。その時は彼女が世界最高の女子ハーフマラソンの選手だった。しかし、それ以来彼女はレースに出場していない。
ジェプチルチルは2018年に出産したこともあり、2017年のRAKハーフから丸2年レースに出場していないが、その2年間に女子ハーフマラソンのレベルがグンと上がった。1つは彼女は今では世界記録保持者ではないということ。2017年のプラハハーフでジョイシリン・ジェプコスゲイが64:52の世界新記録(ジェプコスゲイはその後バレンシアでこの記録を1秒更新)出したことで、わずか7週間でジェプチルチルは世界記録保持者でなくなってしまった。また、2018年のRAKハーフでファンシー・チェムタイとメアリー・ケイタニーがサブ65:00を達成。ジェプコスゲイは今では世界歴代5位にランクダウンしてしまった。
女子ハーフマラソン世界歴代6傑
1 | 64:51 | 現世界記録 | ジョイシリン・ジェプコスゲイ | ケニア | 25歳 | バレンシア | 1位 | バレンシア | 2017年10月22日 | |
2 | 64:52 | ファンシー・チェムタイ | ケニア | 23歳 | RAK | 1位 | ラスアルハイマ | 2018年2月9日 | ||
3 | 64:55 | メアリー・ケイタニー | ケニア | 37歳 | RAK | 2位 | ラスアルハイマ | 2018年2月9日 | ||
4 | 65:04 | ジョアン・チェリモ | ケニア | 28歳 | プラハ | 1位 | プラハ | 2018年4月7日 | ||
5 | 65:06 | 世界記録(当時) | ペレス・ジェプチルチル | ケニア | 25歳 | RAK | 1位 | ラスアルハイマ | 2017年2月10日 | |
6 | 65:07 | キャロライン・キプキルイ | ケニア | 24歳 | RAK | 3位 | ラスアルハイマ | 2018年2月9日 |
※ Tilastopajaより
上のリストから分かるように、過去2年以内に生まれたこの女子ハーフマラソンの世界歴代6傑のうち、4人がRAKハーフで自己記録を更新している。ジェプチルチルの今回の復帰戦でこのリストでのランクアップを望むのは酷であるが、彼女が2年前までは世界最高のハーフマラソンの選手であったことはここであえて強調する。彼女はまだ25歳で、これからもレース経験をたくさん積むべきである。
今回のレースの本命は2018年の世界ハーフのチャンピオンであるネサネット・グデタであり、彼女はその世界ハーフで女子のみのレースの世界最高記録である66:11を記録した。この記録は男子ペーサーが引っ張ったレースの女子ハーフマラソンの世界記録64:51よりも1:20も遅いが(RAKハーフは男子ペーサーが女子レースを引っ張る)、グデタが今回のレースで大幅な自己新を出したとしても驚かない。世界ハーフでは最後の5kmは追い風の恩恵を受けたが、そのレースの前半は強い向かい風があったことも事実である。そして、彼女は世界ハーフで優勝したが、世界記録保持者のジェプコスゲイに43秒もの差をつけての圧勝だった。
しかし、そのレースはグデタの2018年の唯一の突出したパフォーマンスではなかった。6月にはオロモツウで2位に2:30差をつけて67:30で優勝、7月のボゴタ(標高2640m)では71:34で優勝した。しかも、2位のブリジット・コスゲイに対してグデタは3:06差をつけた。コスゲイはその後、10月のシカゴマラソンで2:18:35で優勝し、年末に10kmでは29:54で優勝(下り勾配)、1月にヒューストンでは65:50で優勝した。
このような理由からグデタが今回の本命であり、彼女が世界記録ペースで走り続けてもおかしくないだろう。
注目選手が他にも何人かいる。エチオピアのセンベレ・テフェリは昨年トラックの5000mで14:23の自己新記録を出した。彼女はまた、昨年のドバイマラソンで初マラソンを2:24で走ったが、奇妙なことに今回が初ハーフとなる(マラソンを経験して、ハーフを経験していない)。
エチオピア生まれのアリア・モハメド・サイードは現在UAE(アラブ首長国連邦)国籍の選手であり、UAEで行われるRAKハーフでも有力選手である。昨年10月のバレンシアハーフでは初ハーフながら66:13で走った。20歳のエチオピアのゼイネバ・イェメールは昨年の世界ハーフで5位に入り、その後のコペンハーゲンハーフでは66:21の自己新だった。
レッツランの予想:グデタは昨年の世界最高のハーフマラソンの選手だった。彼女がこのレースの本命である。
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