2019年RAKハーフ展望:男子はサブ60:00が13人出場、女子はジェプチルチル(2016世界ハーフ優勝) vs. グデタ(2018世界ハーフ優勝)

レリサ・デシサは世界屈指の最強ランナーのひとりである。ボストンマラソンで2度の優勝経験がある彼は、昨年のニューヨークシティマラソンで優勝し、NYCで2:06を破った2人目の選手となった。昨年のNYCは、シュラ・キタタジョフリー・カムウォロルなどと競り合い、NYCマラソンの歴史でも類を見ない強者揃いのレースだった。世界のほとんどのレースにおいて、ニューヨークシティマラソンのチャンピオンは間違いなく優勝候補になる。

しかしRAKハーフは、そのほとんどのレースには入らない。RAKハーフは自他ともに認める「世界一の高速レース」である。昨年、デシサはRAKハーフに出場して10位に終わっている。今年はというと、彼は60:00より速い自己記録を持つ13人の選手のうちの1人にすぎない(デシサの自己記録は59:30。13人中10位)。そう、サブ60:00の選手が13人もいるのである。デシサはおそらく今年のRAKハーフでは優勝しないだろう。つまり、2019年RAKハーフマラソンには、それほど速い素晴らしい選手が集まっているのだ。

男女ともにタレント揃いである。エチオピアのアディス・ハディス(58:44)、ケニアのジョラム・オコンボ(58:51)、アレックス・コリオ(58:51)は、サブ59:00分の選手である。女子は2年前のRAKハーフで世界記録を出したペレス・ジェプチルチルが、昨年の出産を経てから初めてのレースとなる。2018年の世界ハーフマラソンで優勝したネサネット・グデタや、2015年北京世界選手権5000m銀メダリストのセンベレ・テフェリ(初ハーフ)が加わり、女子レースもエキサイティングなものになりそうだ。

そして、今回は新コースとなる。人工島のアルマルジャン島がスタートとゴールになる。去年の優勝記録の58:42(男子)、64:52(女子)よりも高速レースになることをレースオーガナイザーは願っている(ヘアピンカーブの数が、旧コースの3つに比べ、新コースでは2つに減っている)。

男女招待選手一覧

ライブストリーム(2/8 ライブストリームは日本時間11:30スタート、レースは女子11:45、男子12:00スタート)

誰がRAKハーフから生まれる次のスター選手となるか?

RAKハーフ男子の大会記録保持者はビダン・カロキであるが、これまでにRAKハーフでサブ59:00を達成した7人の実績は以下である。

これまでにRAKハーフでサブ59:00を達成した7人
1. 58:42, ビダン・カロキ 2018年優勝
2. 58:52, パトリック・マカウ 2009年優勝(マラソン元世界記録保持者)
3. 58:53, サムエル・ワンジル 2007年優勝(北京オリンピック金メダルなど)
4. 58:54, ジョフリー・カムウォロル 2013年優勝(世界ハーフ3連覇、世界クロカン2連覇、ニューヨークシティマラソン優勝など)
5. 58:56, スタンリー・ビウォット 2013年2位(ニューヨークシティマラソン優勝、マラソン2:03台)
6. 58:58 ジョフリー・ムタイ 2013年3位(ニューヨークシティマラソン大会記録保持者、ボストンマラソン大会記録保持者)
7. 58:59 ウィルソン・キプサング 2009年優勝(マラソン元世界記録保持者、WMM5勝)

カロキ以外の選手は全てWMMのレースで少なくとも1勝を挙げている。ワンジル、ムタイ、キプサングはそれぞれのマラソンキャリアで「歴代最強クラス」の称号を得た。気象条件が良さそうな今回のレースで誰がサブ59:00を達成するだろうか。我々の予想ではキャリアの浅い若手選手が達成するのではないかと予想する。下記の有力選手で最初の3人は正式に21歳、4人目は20歳、5人目は19歳である。

  • アバディ・ハディス, エチオピア(58:44)世界クロカン銅メダル、5000m12:56、10000m26:57を持つ彼はこのメンバーで1番のオールラウンダーだろう。昨年のバレンシアで58:44で走っているが、その走りを今回のRAKハーフで再現することができるだろうか。
  • ジョラム・オコンボ, ケニア(58:48)昨年のRAKハーフでは59:36で4位だったが、その後の世界ハーフでは18位に終わった。2018年は9ヶ月で7本のハーフに出場し、シーズン後半は不振に終わった。今回のレースは10月以来では彼の初のレースとなる。
  • ダニエル・キプチュンバ, ケニア(59:06)昨年のコペンハーゲンハーフでアブラハム・キプタム、ジェマール・イェマー、ヨミフ・ケジェルチャを破って59:06で優勝した。次世代のスターとなるポテンシャルを持っている。
  • スティーブン・キプロプ, ケニア(59:21)2018年2月までのレース結果のデータがないニューカマーであるが、彼は昨年3月に59:44で初ハーフを走り、10月のバレンシアハーフで59:21まで記録を伸ばした。
  • アメデワーク・ワレレン, エチオピア(59:22)公式に19歳のワレレグンは、昨年10月のニューデリーハーフでキプチュンバを59:22の自己新で破った。また、2017年の世界クロカンのジュニアの部で銀メダルを獲得している。
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ハディスは出場選手の中で最速の自己記録を持っているが、アブラハム・キプタムの世界記録と共に9人の選手が59:30を切った昨年のバレンシアハーフのように、今回たくさんの選手がそのような速い記録を出せるかどうかについては、我々は懐疑的である。昨年のバレンシアハーフは滅多に起こらないであろう高速レースだったが、RAKハーフ当日の天気次第ではハディスがいい記録を出せる可能性はある。

オコンボは昨年のRAKハーフのレース終盤でかなりキツそうだった。彼の調子が良いと証明されるまでは、オコンボの優勝に関しては太鼓判を押せない。キプチュンバ、キプロプ、ワレレンはまだ若いがセンスがあり、昨年良い成績を残している。この中の選手がまたひとつレベルを上げて上位に食い込んでくる可能性もあるだろう。

58:51の記録を持つアレックス・コリオが我々のリストにいないことにお気付きだろうか。2017年のコペンハーゲンハーフでサブ59:00の記録で走ったが、2018年のヒューストンハーフでは8位、その後のリヤドハーフでは5位に終わっており、その後3月の世界ハーフマラソン選手権では途中棄権をしているからである。彼は2018年の5月以降、レースで完走できていない。出場選手の中ではレリサ・デシサが最も成功している選手であるが、ハーフマラソンのスペシャリストが集まった今回のレースでは苦戦するかもしれない。デシサは4月のボストンマラソンへ向けて調子を上げたいところだ。

もう1人の注目すべき選手はスイスのジュリアン・ワンダースである。彼はまだ22歳であるが、昨年のバルセロナハーフで60:09で走って周囲を驚かせた。今年はさらに調子が良さそうだ。バルセロナハーフで60:09を出す前に、2017年の年末に南アフリカとフランスの10kmロードレースで、それぞれ28:13と28:02で走っている。2018年にも同じレースを走っており、今回の記録は27:32と27:25だった。どちらも欧州新記録となった。モー・ファラーのハーフマラソンの欧州記録(59:32)は破られないと思うが、ワンダースはサブ60:00で走る欧州の5人目の選手になれる可能性が十分にある。

レッツランの予想:我々の予想は単純で退屈かもしれないが、ハディスが優勝すると予想する。理由は以下の通りだ。彼は昨年トラックの5000mで12:56で走っており、最後のハーフマラソンでは58:44の自己記録を出している。他の選手でこれに並ぶ選手はいないだろう。だから、彼が優勝候補である。そしてワンダースは60:00を切るだろう。

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  1. ピンバック: [RAKハーフマラソン結果]ジュリアン・ワンダース、欧州新記録の快挙 | 走×旅 ~Running Journey~

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