2018年レッツラン世界ランキングTOP10【800m】

4. アダム・クチョット • ポーランド • 29歳 • シーズン最高記録 1:44.59(ランキング18位)• 世界室内選手権金メダル • 欧州選手権金メダル(3連覇)

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DL成績: ドーハ4位, ユージン6位(非DL種目), ローマ7位, ストックホルム4位(1000m), ロンドン6位, バーミンガム6位

クチョットは、800mという難しい競技において、位置取りと自らのレース運びをする力に長けている。それによって、彼は2016年以来、18回の室内レースで17勝もあげている。しかし、コリルアモスなどと戦う、1:43前半のタイムが求められるDLのような高速レースでは、クチョットは苦戦している。

クチョットをランクインさせるかは難しい判断だった。彼は室内レースでは素晴らしい走りをする。出場した室内7レースすべてで優勝をしており、バーミンガムで開催された世界室内選手権決勝でのタクティカルなレースでの優勝も含まれている。8月のベルリンでは、屋外の欧州王者に3回連続で輝いている。しかし、ベルリンでのこの優勝は、今年屋外10レースのうち唯一の優勝となっている。DLでの走りも芳しくなく、6レース走って4位以上に入れなかった。彼のシーズンベスト1:44.59は、今季世界18位の記録にとどまっている。

しかし、今年彼にとって大きなレースで2勝しており、2018年に“世界王者”と名乗れるのは彼だけである。

 

5. ファーガソン・ロティチ • ケニア • 29歳 • シーズン最高記録 1:43.73(ランキング9位)• アフリカ選手権5位

DL成績: ドーハ5位, ユージン7位(非DL種目), ローマ2位, ストックホルム優勝(1000m),  パリ優勝(非DL種目), バーミンガム4位, ブリュッセル3位(DLファイナル)

ロティチはDLで堅調は走りをみせた。DLファイナルでは3位、ローマDLではキンヤマルの後ろ2位に入り、パリ(非DLレース)とストックホルム(1000mのレースであったが、800mのDLポイントとして加算された)では優勝。クレイトン・マーフィーロティチが4勝0敗)やジョナサン・キティリト(4勝3敗)に勝り、我々のランキングで5位にランクインした。

2019年は彼にとって大事な1年となるだろう。彼は毎年安定した走りをしている。我々のランキングでは5年連続でトップ10入りを果たしており、その間にオリンピックと世界選手権のケニア代表に選ばれている。2015年の北京世界選手権では4位、2016年リオオリンピックでは5位。しかし、世界大会でのメダルはなく、これより上位にランクインさせるには、もう1つ飛び抜けた走りが足りないのだ(※彼は2016年DL王者であったが、その年DLファイナルでは優勝しなかった)。30歳を超えた800m選手は多くはない。ロティチは来年30歳になる。ドーハ世界選手権で、念願のメダルを獲得できるだろうか?

(※)当時は年間の総DLポイントの1位がDL年間王者となっていたが、現在はDLファイナルで優勝した選手がDL年間王者となる。現在のDLファイナルには年間の総DLポイントに応じて出場者が決定する。

 

6. ジョナサン・キティリト • ケニア • 24歳 • シーズン最高記録 1:43.46(ランキング7位)• ケニア選手権優勝 • コモンウェルスゲームズ6位 • アフリカ選手権6位

DL成績: 上海2位, ローマ3位, パリ2位(非DL種目), モナコ5位(非DL種目), バーミンガム2位, ブリュッセル転倒による途中棄権(DLファイナル)

 

7. クレイトン・マーフィー • アメリカ • 23歳 • シーズン最高記録 1:43.12(ランキング3位)• 全米選手権優勝

DL成績: ドーハ6位,上海6位, ロンドン2位, バーミンガム10位, ブリュッセル5位(DLファイナル)

 

8. ソウル・オルドニエス • スペイン • 24歳 • シーズン最高記録 1:43.65(ランキング8位)• 世界室内選手権銅メダル

DL成績: パリ3位(非DL種目), モナコ3位(非DL種目)

 

9. ブランドン・マクブライド • カナダ • 24歳 • シーズン最高記録 1:43.20(ランキング5位)• 北中米カリブ選手権金メダル

DL成績: 上海5位, ローマ4位, モナコ2位(非DL種目), バーミンガム9位

 

10. マーチン・レワンドウスキ • ポーランド • 31歳 • シーズン最高記録 1:44.32(ランキング15位)

DL成績: 上海3位, モナコ8位(非DL種目), バーミンガム5位, ブリュッセル2位(DLファイナル)

(※)男子1500mでも8位にランクイン

女子800m

パリDLで世界歴代4位の1:54.25で優勝したセメンヤ

1. キャスター・セメンヤ • 南アフリカ • 27歳 • シーズン最高記録 1:54.25(ランキング1位)• ダイヤモンドリーグ王者 • アフリカ選手権金メダル • コモンウェルスゲームズ金メダル

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DL成績: オスロ優勝, パリ優勝, モナコ優勝, チューリヒ優勝(DLファイナル)

(※)女子1500mでも7位にランクイン

セメンヤは3年連続で女子800mでは負けなし。今年は屋外での世界レベルの選手権大会がなかったが、今年は彼女にとって最も印象的な1年になった。1:56を5回切り、1:55を3回も切った(2018年以前は1:55を切ったことさえなかったのだ)。歴史上このどちらかもの偉業を成し遂げたのは、たった1人しかいない。パメラ・ジェリモだ。彼女は、2008年のシーズン中に1:55を4回切り、1:56を8回切ったのだ。

セメンヤが前年よりも、2018年になぜ速く走れるようになったのか、それは彼女が勝負に徹することよりも、記録を出すことを選んだからだ。パリDLとモナコDL、オストラバでのコンチネンタルカップにおいて、ペーサーなしのレースで、セメンヤはスタートから飛ばし、これまでの彼女のキャリアにおいて歴代上位3つの最速タイムを記録した。パリでの素晴らしい自己記録の1:54.25もその1つで、これは世界歴代4位の記録となった。彼女は常に批判にさらされている。彼女は優勝してもあまり表情を変えないため、意識的に感情を出さないようにしていると考える人もいる。とても速いペーサーの存在が彼女の記録の手助けになっているともいえるが、2018年のセメンヤは自分自身を限界まで押し上げたといえる。

ここで問題になるのは、我々はこのキャスター・セメンヤの最終バージョンを目撃しているのだろうか、ということだ。IAAFは、400mからマイルの種目(セメンヤの専門種目)で、女子選手のテストステロン制限を含む出場資格の規制を適用すると発表している。セメンヤはこの決定に異議を唱えており、2019年3月にスポーツ仲裁裁判所(CAS)で予定されているこの件についての判決が女子800mの将来を左右するものになる。なぜなら、インターセックス(DSDs, 性分化疾患)やトランスジェンダーではない選手でセメンヤに勝った選手は誰もいないからだ。

 

2. フランシン・ニヨンサバ • ブルンジ • 25歳 • シーズン最高記録 1:55.86(ランキング2位)• 世界室内選手権金メダル • アフリカ選手権銀メダル

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DL成績: ユージン3位, オスロ2位, パリ2位, ローザンヌ優勝, ラバト優勝, モナコ2位, チューリヒ6位(DLファイナル)

2016年2017年と、ニヨンサバセメンヤと同じぐらい負けなしの選手だった。セメンヤと同じレースを走れば、ニヨンサバは2位でフィニッシュする、そんな感じだった。セメンヤがレースにいなければ、ニヨンサバが優勝する。この2シーズン、彼女が走った800mのレース18レース中17レースは、そのように進んだ。

しかし2018年、ニヨンサバにはもろさが垣間見えた。世界室内選手権ではアジ・ウィルソンとの攻防を制してニヨンサバは1:58.31で優勝し、2011年以来室内最速の記録だったのだが、ユージンDLではウィルソンに負け(800mでウィルソンに負けたのは初めて)、チューリヒDLでは6位という残念な結果に終わった。そうはいっても、ニヨンサバは世界室内選手権でのタイトル、好記録(1:56を2回出した。これを上回るのはセメンヤだけ)、そしてローザンヌDLとラバトDLでの優勝を考慮すれば、彼女は我々の選ぶ2位に値する選手だ。

 

3. アジ・ウィルソン • アメリカ • 24歳 • シーズン最高記録 1:56.45(ランキング4位) • 世界室内選手権銀メダル • 全米選手権優勝 • 全米室内選手権優勝 • 北中米カリブ選手権金メダル

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DL成績: ユージン2位, パリ3位, ローザンヌ2位, モナコ4位, チューリヒ2位(DLファイナル)

IAAFが定めた新ルールのもとでは、ウィルソンはこの種目で世界No.1の選手として2018年を締めくくることになるのだが、現状のルールではダイヤモンドリーグの全ての女子800mのレースが高速レースとなっており、アメリカ史上最高の女子800m選手としての立場を立証していく今後必要がある。彼女は全米選手権でレイビン・ロジャースの挑戦に打ち勝ち、室内でも屋内でも全米チャンピオンに輝いている。誰もが望ような成績を残しており、1:58を6回切った。そして、彼女はまた世界室内選手権の銀メダルも獲得した。

セメンヤ同様に、ウィルソンの2019年シーズンもIAAFの新ルールに基づくCASの決定に左右されることになる。CASのルールはセメンヤと同様にニヨンサバにも適用されるため、ウィルソンがドーハ世界選手権の優勝候補になるかもしれない(IAAFが2015年に高アンドロゲン症のガイドラインを保留する前の2013年と2014年は、ウィルソンセメンヤに3勝0敗だったのだ)。しかし、CASの決定がセメンヤの希望通りになれば、ドーハでウィルソンが優勝するのは難しいだろう。

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2018年レッツラン世界ランキングTOP10【800m】」への1件のフィードバック

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