世界最高の1500mのトレーニンググループの秘密:マナンゴイ、チェリヨット、コーチのバーナード・オウマがいかにしてRACを最強のチームに変えたのか? – その4

週に3回はジムでのトレーニングも行う。RACが行っていることは、すべて速く走るためのものだ。筋力トレーニングに関しては、オウマはシンプルな哲学を持っている。速く走るためには、走るときに使う筋肉を強化しなければならない。

「速くなるためにジムに連れて行く」

と、オウマは話す。

「例えば、お尻は振り子のように使う。お尻は走る時の軸となるポイントだ。お尻が速く動くとなると、お尻にも筋力がなければならない。このように、筋力トレーニングは特定の筋肉に働きかけるように行う」

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RACスタイルのレジスタンストレーニング

オウマの選手はめったにフリーウエイトのトレーニングを行わない。オウマはレジスタンストレーニングを強く支持している。オウマの好きなセッションはタイヤやチューブを使うトレーニングだ。選手の腰にハーネスをつけ、紐でタイヤと繋げる(さらに重みを追加するために、タイヤの中に石を入れる場合もある)。

オウマは選手を起伏のある約1kmのコースに連れて行き、5~7分走らせることもする。タイヤの代わりに自転車に乗って抵抗を生み出すためにブレーキを踏む、というようなトレーニングも行う(バイクのタイヤが早く消耗してしまうのが問題だとオウマは話す)。

誰がタイヤ引きのトレーニングをするかは、オウマが厳正に選ぶ。現在は、最も経験がある選手、マナンゴイチェリヨットチェベットだけがこのタイヤ引きのトレーニングを許されている。かなりの高頻度で行われ、シーズン中には週に1回、レースが控えていない時期は週に2回行うこともある。

「背中を正しく使わないと怪我をしやすくなる」

と、オウマは話す。

タイヤを使ったトレーニングは屋外に限られたものではない。オウマはRACの選手をジムに連れて行き、そこでタイヤを持ち上げたりひっくり返したりするトレーニングもさせるのだ。

オウマのトレードマークである精密さの中で1つ欠けているものは、距離(マイレージ)だ。週間走行距離に関しては、オウマはあまり気にしていない。

「距離を積み上げることに関してはあまり重視していない。ペース走や距離走でのペース、つまりは乳酸性作業閾値(LT)でのトレーニングが重要だと考えている。何km走ったかではなく、そのペースだ。距離走でどのぐらい追い込めたか。乳酸は作られたかどうか?」

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タイヤ引きの代わりに自転車を使用したレジスタンストレーニング

オウマは選手が走った距離を記録していない。というよりも、記録するほどの距離を走っていないともいえる。オウマの選手が1回に走る最長時間は、長くて90分である。それも、冬季練習での話である。シーズン中は1時間以上走ることは滅多になくなる。

「距離走の日は、朝に17kmぐらいだ。最長で16〜17km」

と、マナンゴイは話した。

なぜそんなに多くの距離を走らないのか?オウマには違った疑問がある。

「1500mで優勝するのに、練習で25kmを走る意味はあるのか?」

と、オウマは話した。

しかしRACの選手がレースに出る時は、オウマは選手に全力を出し切ることを要求するのだ。(筆者は)今年のユージンDLのバウワーマンマイルで優勝したチェリヨットをミックスゾーンで待っていた。オウマの後をつけて、お祝いの言葉を伝えようとしたが、オウマは祝福モードではなかった。オウマチェリヨットに求めていた記録は3:46か3:47だった。

チェリヨットの優勝記録は3:49、オウマはペーサーのペースメイクに苛立ちを覚えていた。7月のモナコDLでチェリヨットが3:28.41で走り、世界歴代7位の好記録を出した時でさえ、オウマは完全に満足をしていなかった。オウマは「チェリヨットはもっと速く走れる」と感じていたのだ。

「もし、速く走れる体があるのなら、もっと速く走ってほしい」

オウマはそう話した。

 

に続く。

 

【RACの1500m選手の試合期の週間トレーニング例:標高1700m前後】レッツランより

月曜:60’jog(15km)+ ジムセッション

火曜:トラック
① アップ 1kmjog(5分)+ 30-30(2km = 30″ jog / 30″加速走 × 6セット)
② 400m × 10(平均58″ r90″)→  200m × 10(平均26″ r60″)※ r = リカバリー
③ ダウン 1kmjog(5分)

水曜:60’jog(15km)+ ジムセッション

木曜:16kmペース走(51分間 = 1km3:11/km平均 ※LTペース)

金曜:60’jog(15km)+ ジムセッション

土曜:トラック
① アップ 1kmjog(5分)+ 30-30(2km = 30″ jog / 30″加速走 × 6セット)
② 200m – 400m – 800m – 1000m – 1500m – 1000m – 800m – 400m – 200m
(26″ – r30″, 56″ – r60″, 1’57 – r2′, 2’29 – r2′, 3’48 – 4′, 2’28 – r2′, 1’56 – r2, 57″ – r60″, 27′ – r30″ )
③ →②の終了後、1kmjog(5分)→ 200m × 4(平均26″ r60″)→  100m × 4(平均13″ r30″)
④ ダウン 1kmjog(5分)

日曜:休養

総走行距離:93km

備考【RACの1500m選手の冬季練】
①:試合期よりもボリュームの多いスピード練習を週1回
もしくは
②:①よりもボリュームの少ないスピード練習を週2回
を行い、ジョグとペース走は試合期の設定とほとんど同じものを行う。

それに加えて週に1度は20〜25km走を行い、1週間のうちに2日連続でイージーの日を設ける(おおよそ日曜日と月曜日)。週間走行距離は冬季が約120km(月間約500km)、試合期が約90km(月間約390km)である。

 

ロンガイ・アスレチッククラブFacebookTwitter

レッツラン記事

http://www.letsrun.com/news/2018/08/secrets-worlds-best-1500-meter-training-group-elijah-manangoi-timothy-cheruiyot-coach-bernard-ouma-turned-rongai-athletics-club-powerhouse/

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ダイヤモンドリーグオスロ大会:女子3000mSCでハプニング、男子1マイルでエリジャ・マナンゴイが順当勝ち、男子1500mで地元ノルウェーのヤコブ・インゲブリクトセンが自己新記録も敗れる

IAAF・U20世界選手権3日目:ジョージ・マナンゴイ(ケニア)がスリリングな競り合いを制する – 世界室内王者のサムエル・テフェラ(エチオピア)は5位でメダルを逃す

参考記事

For Manangoi and Cheruiyot, it’s the Rongai Athletics Factor(2017年8月13日)

Training with champions – Rongai Athletics Club(2018年1月22日)

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