世界最高の1500mのトレーニンググループの秘密:マナンゴイ、チェリヨット、コーチのバーナード・オウマがいかにしてRACを最強のチームに変えたのか? – その3

チェリヨットの辛抱は、翌年の2015年シーズンに花開いて報われることになる。2014年4月のマナンゴイのように、チェリヨットは世界リレー選手権の※ DMRのケニア代表を目指して、ケニア選考会でアスベル・キプロプロナルド・ケモイら1500mのサブ3:30の選手らと対決した。チェリヨットはこの時ケニア代表に選ばれなかったものの、その走りで注目を集めた。

(※)Distance Medley Relay:1走1200m、2走400m、3走800m、4走1600mの走順で行われる、短長〜中距離選手らによるリレー種目

「彼は途中でバトンを落としてしまった。バトンを取りに戻ったが、差は60m近くも開いていた。なんとかその差を埋めようと順位を上げて2位になったものの、ケニア代表に選ばれることはなかった」

その翌週の4月18日、チェリヨットはケニア陸連(Athletics Kenya)の競技会のためナクルに向かい、標高約1850mの水を含んだ土トラックにも関わらず、そこで3秒以上の自己記録更新となる3:36.3という(シーズン初めではあるものの)その時点でのシーズン世界最高記録を出した。

チェリヨットのこの驚くべき記録の評判は、瞬く間に広まった。その日、世界リレー選手権のケニアチームのマネージャーだったノア・ヌゲニ(2000年シドニーオリンピック男子1500m金メダリスト)がオウマに電話をかけてきた。

「コーチ、あの選手を送ってくれ!」

ヌゲニオウマにこう話した。

「君は先週選ばなかった、あの選手のことかい?」

オウマはこう返事をした。

チェリヨットはパスポートもないし身分証明証もないとノアに伝えた。もしチェリヨットのことを助けたいのなら、彼に電話して身分証明証を手に入れさせてくれ。君は政府の人間だろ。そして、パスポートもだ。そして、月曜日にティムはケニア陸連に呼ばれて、すべての手続きを終えて、その2週間後にはバハマ行きの飛行機に乗っていたよ」

世界大会でのレースとなると、チェリヨットは驚くほど初心者だった。彼の海外初レースとなった世界リレー選手権のDMRではチェリヨットは4走(1600m)を任され、オーストラリアとアメリカと同じぐらいの順位でバトンを受け取ったが、最初の1周を51.96という猛スピードで入ってしまった。

チェリヨットは※ 一時は25mほど後ろを引き離して先頭を走っていたが、アメリカチームの4走のベン・ブランケンシップに追い抜かれ、アメリカはそのまま世界新記録で優勝した。

(※)チェリヨットの1600mのラップ(51.96 – 58.65 – 62.19 – 59.95:3:52.75)

しかし、チェリヨットはこの経験から学びを得た。チェリヨットはその後行われた北京世界選手権の1500m決勝で、並み居る強豪の中でも7位に入る健闘をみせた。それ以来毎年、彼はどんどん速くなっていった。2015年の3:34から2016年は3:31、2017年は3:29、そして2018年は3:28と記録を伸ばしていった。国際大会ではマナンゴイにまだ勝ててはいないものの、今年最高の1500m選手の1人となった。

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チェリヨットが花開いた1番の理由は、彼の一貫性にあるとオウマは信じている。彼は毎日練習に来て、練習をして、帰る頃にはその日の練習始めより確実に良い選手になっている。これを4年間毎日行い、毎日の小さな積み重ねが大きな素晴らしい変化を彼にもたらしたのだ。

チェリヨットの代理人であるモヨスポーツマルコム・アンダーソンはこう付け加えた。チェリヨットは競技で得たお金などに左右されるような人間ではないと。

「彼は贅沢はしない。お金を派手に使ったりはしない」

アンダーソンはそう語った。

お酒や派手な車にお金を使うのではなく、チェリヨットは故郷の村にお金を投資している。家族のために3エーカーの土地を買い足し、そこでお茶やトウモロコシ、イモを育てている。そして、故郷のシンゴーウェットの町でトラクターを所持するたった2人のうちの1人となった。チェリヨットはまたレンタルハウスの建築を行うビジネスを始め、町で1番有名な男となった。

「町の人々はみんな彼のレースを観たがる。彼のレースがあると、ティモシー・チェリヨットのレースがあるというポスターを掲げ、町の集会所にテレビを用意して観るんだ」

アンダーソンはこう話した。

 

に続く。

 

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レッツラン記事

http://www.letsrun.com/news/2018/08/secrets-worlds-best-1500-meter-training-group-elijah-manangoi-timothy-cheruiyot-coach-bernard-ouma-turned-rongai-athletics-club-powerhouse/

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ダイヤモンドリーグオスロ大会:女子3000mSCでハプニング、男子1マイルでエリジャ・マナンゴイが順当勝ち、男子1500mで地元ノルウェーのヤコブ・インゲブリクトセンが自己新記録も敗れる

IAAF・U20世界選手権3日目:ジョージ・マナンゴイ(ケニア)がスリリングな競り合いを制する – 世界室内王者のサムエル・テフェラ(エチオピア)は5位でメダルを逃す

参考記事

For Manangoi and Cheruiyot, it’s the Rongai Athletics Factor(2017年8月13日)

Training with champions – Rongai Athletics Club(2018年1月22日)

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