【LRCJオリジナルインタビュー記事】エリック・スピークマン(2017年NZ選手権男子1500m王者・サブ4マイラー)

オリンピックに向けて

「今、目指すものはオリンピックに参加できるレベル、自分の感覚としては3分34秒から35秒といった記録を狙っている。これからも1500mを中心にレースを行っていきたい。また1マイルでもいいレースをしたい。しかし1500mがあまり速くならなくなったら、将来的には5000mに種目の距離を伸ばしたいと考えている。5000mにいつ移行するかはわからない。ニックを見てもらえばわかるように記録は30歳を過ぎても伸び続けていくかもしれない、世界大会でいいレースを行えることも可能である。ただ選手1人1人にとっての種目の移行時期というものはあると思うがそれがいつであるかは予期できるものではなく、その時が来るまで誰にもわからない」

「自分自身では5000mというレースは自分のレーススタイルや体のタイプに合っていると思う。5000mに移行してもいいと思うが5000mの練習をできるほどの体力レベルに回復していない。ロングインターバルを行うには、今は故障の不安が大きくある」

「レース以前に現状では、まず今までのトレーニングをできる状態に戻すこと。トラックに戻って、スパイクを履いて、全力で走れるようになること。この状態に戻って初めて次の目標を目指せるようになる。特に来年は世界選手権がある。まずは国内シーズンでレースができる状態にすることが目標になるだろう。2020年には東京オリンピックがある。レースができる準備をしてオリンピックをもう一度目指してトレーニングができればと思っている。もうそんなに若くないから、東京オリンピックの後で次の目標ができるかどうかはまだわからないけれど、自分の競技力がもっと上がりそうであれば、その先も目指していきたい。何より走ることは楽しいからね」

「走ることは大好きだ。去年は手術を受けたことで全く走ることができなかった。最近ついに走れるようになった。これは本当に嬉しいことだ。そして今まで走れなかったからこそ、走ることを心から楽しめる。今までも同じだった。故障で1年間、2年間走れない。そして戻ってきたときの高揚感は言葉にできない。こうした気持ちでランニングを再開できることが本当に嬉しい。トレーニングを継続しているランナーにとって、“今日の練習はあまり行きたくない”という日は誰もが必ずあるように思う。逆に故障やハードトレーニングでも伸び悩むなどネガティブなことが続くと選手の気持ちは次第にランニングから離れていく」

「自分にとってのランニングは、そういったネガティブな気持ちがほとんどなく、走れるとき(故障などがない時)はいつも自然にランニングに向かっている。このランニングシューズを履いて外を走れる高揚感は、自分自身が心からランニングを楽しみにしているということを教えてくれている。手術とリハビリが終わりようやく走れるようになった日、外はひどい雨と風の日だった。しかし走れることに喜びを感じ、大きな笑顔で外を走っていた時に、走ることが楽しい!と心躍る瞬間を実感したばかりだ」

エリックの現状やキャリアは“順調”という言葉からはかけ離れているものかもしれない。しかし、その長い計画の中でもエリックのランニングへの気持ちは常に前を向いている。そして将来に希望を持ち、常に自信をもって一歩一歩を踏みしめている。ジュニアの時にニックの走りに憧れ、アメリカに留学し、ニュージーランドに戻ってきてからも変わらない希望と自信を持ち続けられることがエリック・スピークマンのランナーとしての強さの基盤であると筆者は考える。

 

現在エリックは大学に通いながら、教員免許の取得を目指している。エリックは世界のトップレベルで争うランニングレベルでなくなったら、ニュージーランドで次の世代の子供たちを見守っていく仕事に就くことになるだろう。

ジュニアの頃からの憧れであったニック・ウィリスとともに走って、4分の壁を突破したように、エリックを憧れた子供たちがエリックを目指して記録に挑んでいく日もそう遠くない未来であると思う。

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出典:エリック・スピークマンFacebookより(2017年NZ選手権1500m優勝)

しかし、今はまだエリックの挑戦は終わっていない。手術とリハビリを終えてランニングシューズを履いて外で走れるようになったエリックは、スタートラインから一歩踏み出した段階といえる。ゴールまでの道のりにどんなレースの展開があるのか、フィニッシュタイマーはどんな記録を刻むのか、フィニッシュラインを駆け抜けたその先に何を手にするのか、まだわからない。しかしエリックが残す一歩一歩の足跡にはランニングができる喜びと、ゴールへの希望、そして自信に満ち溢れている。

 

【筆者プロフィール:谷本啓剛】

ニュージーランド・ウェリントン在住

ランニングガイド・RunZ(ラン・ニュージーランド)代表、酒井根走遊会主宰

【RunZ(ラン・ニュージーランド)】https://runnewzealand.wordpress.com/

【酒井根走遊会(オンライン陸上部・駅伝部)】https://ameblo.jp/dashpiro

 

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