2018シカゴマラソン:モー・ファラーが2:05:11の欧州新記録でWMM初制覇 – 大迫傑が2:05:50のアジア新記録・日本新記録で3位に入り1億円獲得

ゲーレン・ラップ:「自分より強い選手がいただけのことだ」

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2:06:21 はラップにとっては良い記録であったが、マラソンの世界記録が2:01:39に突入した現在、ペーサーがいるWMMで優勝できる記録ではなくなった。ラップは、今日のレースには後悔していないと話した。可能な限り先頭集団についていき、先頭集団から離れてからもできるだけ速い記録でゴールしようと走り抜けた。

「自分ができるベストな走りをした。うまくいかなかったことがあったわけじゃない。ただ自分が優勝するレースではなかっただけ。今日レースを走った選手はとても素晴らしく、自分より強かった」

大迫傑:アジア人初のサブ2:06

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©2018 K. Nakajima  2:05:50 – 歓喜の瞬間

元ナイキオレゴンプロジェクトのチームメイトであるファラーラップの直接対決に注目が集まった今回のシカゴマラソンであるが、ナイキオレゴンプロジェクトの元メンバーも現メンバーも1番驚いたのは、ファラーラップを破ったことではなく、大迫傑ラップの前でゴールしたことである。大迫は2:06:11の日本記録を破る2:05:50で3位に入り、日本新記録の報奨金として1億円を獲得した。

2015年、日本実業団陸上競技連合がはじめたプロジェクト「Project Exceed」。2020年東京オリンピックに向けて日本のマラソン界を盛り上げる試みである。基準タイムをクリアした日本人選手に報奨金が支払われる制度であり、その最も大きい金額が、2002年に高岡寿成がシカゴマラソンで記録した2:06:16という日本記録を破ったものに与えられる1億円である。今年2月に設楽悠太が2:06:11の日本新記録を樹立して1億円を手にするまで、高岡の記録は15年もの間破られなかった。

レース後の記者会見で、大迫はコーチであるピート・ジュリアンに賞金の一部をプレゼントすると話していた。一体いくらなのか?

「おそらく100,000ドル」と大迫は話した。

「とても感謝すべきことだが、そんなことはしなくていいと彼に説得すると思うよ」ジュリアンはそう話していた。

ラップ大迫は同じNOPのメンバーであるが、大迫のコーチはジュリアンラップのコーチはアルベルト・サラザールである。ジュリアンによると、大迫ラップは現在は滅多に一緒に練習をしないという。ラップはポートランドで練習することを好み、大迫はボルダーでの高地練習が好んでいるからである。今回のシカゴへの調整では、ポートランドで少し練習をともに行ったようだ。

ジュリアン大迫も、その報奨金については知ってはいたが、それが最後の数マイルでモチベーションになったという。しかし、シカゴへの準備段階では報奨金に集中していたわけではない。

「彼にとって重要なことは、良い戦いをすることだった。報奨金や記録について彼と話したことは1度もない。彼はただレースに出場してモーラップと一緒に走りたかった。それが彼の目標だった」

大迫はそれを見事に達成した。大迫の3位という順位はWMMで彼にとって最高位タイとなり(昨年のボストンマラソンでも3位に入っている)、2:05:50という記録はアフリカ以外の地域で生まれた選手として2:06を切った3人目の選手となった(注:ライアン・ホールを含めると)。

男子マラソン非アフリカ系歴代上位パフォーマンス
2:04:58 ライアン・ホール アメリカ 2011年 ボストン(非公認記録)
2:05:48 ソンドレ・モーエン ノルウェー 2017年 福岡国際
2:05:50 大迫傑 日本 2018年 シカゴ

信じられないかもしれないが、大迫は今回の走りでまだ2020年東京オリンピックの日本代表に決まったわけではない。2018年だけで9人の日本人選手がマラソンで2:09を切っている(シカゴマラソンで2:07:58で走った藤本拓も含まれる)。大迫はそのなかで確実に良い位置にいるが、ジュリアンによると、2019年9月のMGCで日本代表の2枠が争われるが、それでも日本代表の選考方法はかなり複雑だという。

MGCでの優勝者は自動的に2020年東京オリンピック代表に選出される。2位と3位の選手でどちらも基準タイムをクリアしていれば上位の選手が優先的に代表になれるが(どちらか一方のみがクリアしている場合はその選手が選出される)、男子の基準タイムは今回の日本新記録よりも速い2:05:30である。大迫が今日出した日本記録よりも20秒も速い記録である。

「当然であることなんて何もない。日本代表の選考レースはタフ。日本代表になるには、今日の彼よりも強くならなければならない」

【ピート・ジュリアンコーチのレース後のインタビュー】

(補足)アメリカはマラソンのオリンピック選考会で1〜3位の選手を自動的に代表選手とするが、日本でそれを行えば、福岡国際、びわ湖、東京、名古屋、大阪国際などの指定大会は事実上の消化試合となり、視聴率低下、スポンサー減に繋がることが容易に想像できる。このように日本のマラソンの主要大会においては、マラソンの日本代表選考において古くからその選考レースの“歴史”と“興行”が優先されてきた背景がある(それでも廃止となったエリートマラソン大会は数多くある)。代表選考に関してはそれらの調整が非常に複雑である。

2:05:50の日本新記録:価値あるネガティブスプリット

26秒〜 大迫傑の歓喜のフィニッシュ

大迫の今回の日本新記録は非の打ち所がない快記録である。雨と風のあるコンディションで、ペーサーがいたにも関わらずペースの上げ下げがあったなかで、素晴らしいネガティブスプリットを刻んだ。特に、25〜35kmの28:58というペースは、マラソンではなかなかお目にかかれないペースアップであり、大迫は見事にそのペースアップに対応してみせた。

【大迫傑のスプリットとラップ】2:05:50(前半63:04 + 後半62:46)※非公式

5km 14:53 5km毎
14:53
10km毎 備考
10km 30:12 15:19 30:12
15km 45:07 14:55
20km 59:52 14:45 29:40
中間点 1:03:04
25km 1:15:19 15:27
30km 1:29:46 14:27 29:54 25〜35km
35km 1:44:17 14:31 28:58
40km 1:58:59 14:42 29:13 ラスト2.195km
42.195km 2:05:50 6:51

このように、レース中盤から終盤にかけて、今回でいえば25kmからのペースの上げ下げは、今後のMGCであっても、東京オリンピックの舞台であっても十分に想定されるペース変化である。この激流に対応可能となれば、今後の大迫のレースにも期待が集まることだろう。

これまでの大迫のマラソンでのペース判断ではこれといった失敗がない。初マラソンとなったボストンマラソンや福岡国際マラソンでは終盤のペースアップに対して、即座に対応せずにマイペースを貫いた結果、終盤の落ち込みをセーブしている。

かたや、今回のように大幅なペースアップにも対応できた大迫は、その記録以上の強さをみせたといえるだろう。これまでも、そして今後も日本記録保持者として記録にフォーカスされるであろう大迫であるが、マラソンにおいては記録とともに、大崩れのない安定した成績を積み上げていくことであろう。

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2018シカゴマラソン:モー・ファラーが2:05:11の欧州新記録でWMM初制覇 – 大迫傑が2:05:50のアジア新記録・日本新記録で3位に入り1億円獲得」への4件のフィードバック

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  2. ピンバック: 2018シカゴマラソン男子展望:ラップvs.ファラー、そして昨年の世界王者ジョフリー・キルイ。大迫は今年2人目の男子マラソン日本記録更新者となれるか – LetsRun.com Japan

  3. ピンバック: シカゴマラソンで直接対決へ:かつての練習パートナー 、モー・ファラーとゲーレン・ラップの歴史を振り返る – LetsRun.com Japan

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