シカゴマラソン記者会見:因縁の対決ではないゲーレン・ラップとモー・ファラーの直接対決

今週はじめにゲーレン・ラップモー・ファラーのこれまでの歴史について記事で振り返った。1年前にファラーがナイキオレゴンプロジェクトを去り、地元ロンドンに戻って以来、この2人がお互いについてどう思っているのかは、誰もわからなかった。

今日、ファラーラップ、そして2人の代理人を務めるリッキー・シムズに話を伺ったが、3人とも同じことを言っていた。「2人の関係が悪化したということではない」と。ファラーが2011年にナイキオレゴンプロジェクトに参加して以来、2人は多くの練習をともに行ってきた。しかし、2人が離れて練習するようになったのは、敵対心からではなく、お互いが別の方向を向きはじめたからだ。

ラップは2014年に父親になった。それ以来、ポートランドに住む家族と一緒に多くの時間を過ごすようになった(ラップの妻のキーラは2014年に双子の男の子と女の子を、2016年には男の子を出産した)。一方、ファラーは、冬の間はアフリカの高地トレーニングに行き、1年を通してトレーニングのために世界を飛び回るようになった。家族ができたラップにとっては、その練習スタイルは望むものではなかったのだ。

IMG_3967-400x300
ファラーとラップの再会

「僕らは今でも良い関係だ」

ラップはこのように話した。

「ただ単に、彼は地球の裏側に住んでいる、というだけ。確かに以前に比べれば話す機会は少なくなったが、それがアスリートだ。自分はもっと家族と一緒にいたい人間で、多くの時間を家で過ごしたい。家族と一緒にいるのが好きなんだ。妻や子どもたちと一緒にいるほうが、家族と離れている時よりも、いい選手でいれる気がしている。家族と過ごすのが好きなんだ。ファラーは高地トレーニングが好きで、それが彼にとってベストだと感じているんだと思う。それが彼にとってうまくいく方法というだけだ」

ファラーは、ラップを含め全ての選手がトラックで勝ちたかった選手であるが、それが原因で離れたわけではないと、ラップは話した。2012年ロンドんオリンピック男子10000mでの銀メダルというラップの素晴らしい快挙は、ファラーとの2年間の厳しい練習の成果であったのだから。

シカゴマラソンで優勢なのはどちらか?それはものすごく難しい。ラップはマラソンで5回素晴らしいパフォーマンスをみせており、最悪の天候で途中棄権をした今春のボストンマラソンのみが、彼の戦績でただ1点のシミである。ファラーは4月のロンドンマラソンで2:06:21の自己新記録で素晴らしい成績を残した。

気温の高いコンディションと前半61:00という異常なスピードを考えれば、なおさら素晴らしい記録である。マラソンで彼らの対決は初めてとなる。ロングランの練習を一緒にしていた時は、どちらがロングランが得意だったのか、ラップファラーに聞いてみた。2人とも明言は避けた。

ゲーレンのことはよく知っているし、彼も自分のことをよく知っている」

ファラーはこう話した。

「お互いのことはよく知っていると思う。彼が得意なことも知っているし、自分より優れている部分も知っている。自分の方が優れている部分も知っている」

ラップは、スピード練習に関しては“間違いなく”ファラーの方が得意だと認めていた。しかし、ロングランに関してはお互い良い日も悪い日もあったようだ。

2人とも、ファラーラップに対して21勝1敗という戦績であることを知っていたものの、ファラーは今回のシカゴマラソンは2人だけの戦いではないことを指摘した。

「いいかい、どのチャンピオンもどのアスリートも、他の選手に勝ちたいと思っている。ゲーレンは、素晴らしいファイティングスピリットを持っている。彼は僕に勝ちたいと思っているだろうし、自分もゲーレンに勝ちたいと思っている。日曜日は確実に素晴らしいレースになるだろうが、僕ら2人だけに注目すべきではない。他にも強い選手がたくさん出場する。日曜日には、1番強い選手が勝つんだ」

IMG_3968-e1538768507973-305x400
誰がレースで勝つだろうか?

今日知ったもう1つのことは、ラップはめったに高地トレーニングをしていないということである。理由は上でも述べたが、彼は家で家族と一緒に過ごしたほうが、良い選手になれると感じているからである(ラップは、高地の酸素状態を再現するためのシステムを自宅に完備している)。

高地で暮らして低地でトレーニングするのと(Live-high, train-low)、高地で暮らして高地でトレーニングするのと(Live-high, train-high)、そのことで起きる違いをよく知らないと言っていた。しかし、彼はマラソンの練習はほとんどポートランドで行い(今年のボストンマラソン以外は)すべて良い結果に繋がってる。

「僕にとって大切なのは、家で過ごすこと。たくさんの時間を家族と一緒に過ごすことだ。高地トレーニングをしないことで何かを失っているかもしれないが、家族と一緒に過ごすことで得られているもののほうが断然に多い。それが自分にとってベストな環境なんだ」

(補足:レッツランの共同設立者のウェルドン・ジョンソンとコーチのジョン・ケロッグは、ラップの環境は理想だと考えている。「高い場所に住み(高地、もしくは高地の酸素状態が再現出来ている平地の家)、低い場所で練習する」という考えを支持しており、だからレッツランはアリゾナ州フラッグスタッフで創業されたのである。7000フィート(標高約2130m)で暮らし、車で標高約300mのフェニックスまで下って練習をするのである)。

ファラーにとっては3度目のマラソンとなる。彼は、マラソン選手としての強い部分と弱点を、まだ研究しているところだという。今春のロンドンマラソンとは全く違ったレースになるだろう。キプチョゲもいないし、前半61:00で入る選手もいないだろう。つまり、ファラーはマラソン選手としての自分を改めて試すことができるのである。

「マラソンでどんなレースが自分にあっているのか、試していかなければならない。スローペースなのか、速いペースのレースなのか。ペースの上げ下げが多いレースなのか。自分に何が必要なのか?自分のこれまでのトラックでのキャリアは、どこともなく現れて勝てたんじゃない。トラックのことを知るためには何年もかかったし、自分が何が得意で何が不得意なのか、それを知るのも何年もかかったんだ」

ファラーは調整練習をフラッグスタッフで行い、ロンドンマラソン前との違いは走行距離だという。ロンドンマラソン前に練習していたエチオピアでは標高約3000m(超高地)の環境であったが、フラッグスタッフは標高約2100m。つまり、標高が低い分距離を増やしやすいのである。

日曜日のレースについて、ペーサーのペース設定はまだ最終決定されていないようだが、ラップは前半を62:00〜63:00で予定している。しかし、ロンドンマラソンでのファラーのように、ラップは先頭集団についていくように走ると言っていた。

「他の選手に先にいかせ、その選手たちのスピードが落ちてくるのを待つ、というメンタルは大嫌いなんだ。自分は常に積極的に走りたい。スピードは速くなると思うが、楽しんで走りたい」

前半62:00 〜 62:30がちょうど良いペースかどうか聞かれたファラーは、自身も速いペースで走る準備は出来ていると述べた。

「62:00でいきたいね」

ファラーは話した。

ファラーが目指すのは、ソンドレ・モーエンの欧州記録2:05:48の更新、ラップハリド・ハヌーシの全米記録2:05:38の更新である。もしくは、ライアン・ホールが2011年ボストンマラソン(非公認記録)で出した全米最速記録2:04:58も視野に入れているかもしれない。

レッツラン記事

http://www.letsrun.com/news/2018/10/galen-rupp-mo-farah-want-beat-chicago-no-grudge-match/

関連記事

2018シカゴマラソン:モー・ファラーが2:05:11の欧州新記録でWMM初制覇 – 大迫傑が2:05:50のアジア新記録・日本新記録で3位に入り1億円獲得

2018シカゴマラソン男子展望:ラップvs.ファラー、そして昨年の世界王者ジョフリー・キルイ。大迫は今年2人目の男子マラソン日本記録更新者となれるか

シカゴマラソンで直接対決へ:かつての練習パートナー 、モー・ファラーとゲーレン・ラップの歴史を振り返る

2017シカゴマラソン男子:ゲーレン・ラップが自己新の2:09:20で優勝 – 男子で35年ぶりにアメリカ生まれのアメリカ人がシカゴマラソンの頂点に立つ

2018ロンドンマラソン:男子はキプチョゲが2:04:17で優勝、女子はチェリヨットが世界歴代4位の2:18:31で優勝

世界のメジャーマラソン13撰(WMM6大会 + 7大会)

 

〈 TOP 〉

広告

シカゴマラソン記者会見:因縁の対決ではないゲーレン・ラップとモー・ファラーの直接対決」への3件のフィードバック

  1. ピンバック: 2018シカゴマラソン男子展望:ラップvs.ファラー、そして昨年の世界王者ジョフリー・キルイ。大迫は今年2人目の男子マラソン日本記録更新者となれるか – LetsRun.com Japan

  2. ピンバック: シカゴマラソンで直接対決へ:かつての練習パートナー 、モー・ファラーとゲーレン・ラップの歴史を振り返る – LetsRun.com Japan

  3. ピンバック: 2018シカゴマラソン:モー・ファラーが2:05:11の欧州新記録でWMM初制覇 – 大迫傑が2:05:50のアジア新記録・日本新記録で3位に入り1億円獲得 – LetsRun.com Japan

コメントを残す

以下に詳細を記入するか、アイコンをクリックしてログインしてください。

WordPress.com ロゴ

WordPress.com アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト /  変更 )

Google+ フォト

Google+ アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト /  変更 )

Twitter 画像

Twitter アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト /  変更 )

Facebook の写真

Facebook アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト /  変更 )

%s と連携中