【LRCJオリジナルインタビュー記事】ジュリアン・マシューズ(リオオリンピック男子1500mNZ代表)その1

3:アメリカ留学とランニング

10か月の旅を終えニュージーランドに帰ると、自然とジュリアンの靴先はランニングの方向に向かった。ニュージーランドについて一息する間もなく、アメリカの大学へ。勉強すること、そしてランニングをさらに高めていくために。

大学では今まで5㎞のテンポ走であったトレーニングが16㎞のテンポ走(ペース走のようなもの)になるなど大学の練習は、10か月間の旅に出ていたことと1500mを中心に行いたかったジュリアンの体にとっては大きな負担となった。しかし、トレーニングには体は自然に順応していったという。

ジュリアンが最初に入学した大学は、コーチが常に結果を出さなければいけないと、焦っているような環境であった。そのため、ジュリアンは合わない練習とオーバーワークにより、いい状態で走ることができなかった。そして体以上に心が、『ここでは速くなれない』と意識し始めるに至った。

自分の走りと、練習の差異に気が付いたジュリアンは大学を中退し、別の大学を探すことにする。運よく自分の走りに合う大学を発見し、編入できたことが、ジュリアンの競技を中断させることなく繋げていく大きな助けとなった。そして3分50秒だった1500mの自己記録も毎年更新され、ついには1マイルで4分を切る『サブ4マイラー』の仲間入りを果たす。

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アメリカ東海岸のプロビデンス大で競技に取り組んだジュリアン(左)

ジュリアンは、アメリカ留学で得たものと、ニュージーランド国内でトレーニングを続けることに関して次のように挙げてくれた。

【アメリカでのランニング】

良い点

  • 学費を免除されること
  • 良いトレーニンググループがあるとこ
  • 多くのレースがあること
  • スポンサーを得やすいこと
  • 陸上競技がメジャースポーツであること ※少なくともニュージーランドに比べて

悪い点

  • 競争が激しすぎること(プレッシャーがある)
  • スポーツはビジネスであること
  • すべての大学チームのトレーニングが優秀なわけではない
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ニュージーランドのレースでの表彰台:ジュアリアン(左)、ニック・ウィリス(中央)、ハーミッシュ(右)

【ニュージーランドでのランニング】

良い点

  • 家族がいること
  • 慣れている環境であること

悪い点

  • 人口が少なく陸上競技の人気がないこと
  • 大会が少ないこと
  • ランニングのスポンサーシップがほとんどない

 

大学を選ぶうえで重要なことは、トレーニングプログラムの優劣ではなく、自分とコーチとの相性を調べてから行く必要がある。4年間という期間を見て自分のキャリアの一端を担ってくれるコーチがいるチームを探すべきである。“スポーツがビジネス”といったように、結果を出さなければならず焦っているコーチ・チームも多く存在している。こうした場所では自分のキャリアよりも目先の結果を優先されてしまう。すぐに結果が欲しい選手とコーチにとってはそれでいいかもしれないが、合わないのであれば場所を変える必要がある。

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ハーミッシュとは13歳の時にランニングの大会で一緒に走ってから、16年間もの間、いまだにライバルである。同じレベルでこの年齢まで競い合ってきたこと。お互いに自己ベストがほぼ同じであること(3分36秒14と3分36秒25)は2人のランナーが非常に似ているように思わせる。しかし、その通ってきた道のりは大きく違うものであり、ハーミッシュの方がニュージーランドを常に拠点にしてきたことで、自分よりも多くの山を越えてきていると思う。』

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2人は自他共に認める“良きライバル関係”を長年築いている

ハーミッシュとのライバル関係は、ニュージーランドの陸上競技の歴史の中で最も長いライバル関係だと思う。』

ジュリアンは楽しそうに話す。そして自分の通ってきた道のりと、ハーミッシュの通ってきた道のりが違うこと、ハーミッシュがどのようにここまで競技を続けてきたのかということもよく理解している。

選手として、友人として非常にリスペクトしている話が印象的であった。

 

その2に続く。

 

【筆者プロフィール:谷本啓剛】

ニュージーランド・ウェリントン在住

ランニングガイド・RunZ(ラン・ニュージーランド)代表、酒井根走遊会主宰

【RunZ(ラン・ニュージーランド)】https://runnewzealand.wordpress.com/

【酒井根走遊会(オンライン陸上部・駅伝部)】https://ameblo.jp/dashpiro

 

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