ダイヤモンドリーグストックホルム大会:男子走幅跳19歳のエチェバリアが8.83m(+2.1)でダイヤモンドリーグ初勝利、女子1500mハイペースのレースが展開される

男子走幅跳:フアン・ミゲル・エチェバリアが追い風の力で8.83mの大跳躍

2週間前のローマDLで、バーミンガム世界室内選手権金メダリストのエチェバリアは何度か9m超えの跳躍をしたが、どちらもファールの判定だった。最終跳躍は白旗が上がり、8.83mの記録を出した。しかし、残念ながら追い風参考記録(+2.1)となってしまったが、それでも素晴らしい跳躍であったことは間違いない。もし風が+2.0であったならば、1991年にマイク・パウエルが記録した8.95mという世界記録以来の大跳躍となっていた。

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Screenshot-2018-06-10-at-11.50.27-400x225追い風参考記録ではあったが、エチェバリアも彼のコーチも、オリンピックチャンピオンのジェフ・ヘンダーソンら他の選手たちも、彼のこの記録には興奮していた。

「今日は8.50m超えを狙っていたけど、こんなに跳べるなんて思ってもいなかったよ!このぐらいのレベルをずっと維持し続けたいけど、まだシーズンは始まったばかりだから、一歩ずつ進んでいく。9mのことはまだあまり考えていない。9mを跳ぶにはまだ練習を積まなければならない、9mは大きな壁だ」

エチェバリアはこう話した。

【結果】
1 フアン・ミゲル・エチェバリア CUB 8.83 +2.1
2 Henderson , Jeff USA 8.39 +3.4
3 Manyonga , Luvo RSA 8.25 +0.7
4 Samaai , Ruswahl RSA 8.20 +1.9
5 Nilsson Montler , Thobias SWE 8.09 +3.3
6 Tentoglou , Miltiadis GRE 8.05 +3.1
7 Frayne , Henry AUS 8.04 +2.8
8 Smith , Tyrone BER 7.94 -0.8

(※エチェバリアはその後13日に開催されたオストラヴァ・ゴールデン・スパイクで8.66m(+1.0)の世界歴代11位タイの自己新記録で優勝した

女子1500m:ペーサーが1周目を60秒よりも速く暴走してしまった後にグダフ・ツェゲイが3:57で優勝

今年のロンドンマラソンで、ペーサーは最初の1マイルを4:22というとてつもないスピードで入ったが、そのロンドンマラソンが「今年最も悪かったペーサーの走り」のレースだと思われていた。

しかし今日、ベニン(アフリカ西部の小国)のノエリー・ヤリゴのペーサーとしての走りは、ロンドンマラソンに匹敵するものとなった。1周目を64秒で走る予定だったヤリゴは、1500mの最初の400mを59.96という速さで走った。これは、1マイル4:01ペースであり、1500mだと3:44ペースであり、ゲンゼベ・ディババの世界記録より6秒速い。

(※男子でいえば、1500mの1周目をペーサーが57秒で入るところを53秒切りで入るようなもの)

その結果、レースは序盤から縦長の展開となった。しかし、2人目のペーサーであるエミリー・ツエイヤリゴの後ろにつき、次いでエチオピアのグダフ・ツェゲイ(1周目60.7)、ケニアのネリー・ジェプコスゲイ(61.1)も続いたため、ヤリゴが独走になることはなかった。

2周目のラップは64.0で走り、ヤリゴは700m地点でペーサーを止めたが、800mのペーサーのツエイのスプリットは2:03.93であり、それでもかなり速いペースであった(ツェゲイの800mの通過は2:05.4だった)。

この時点で、ジェプコスゲイツェゲイと離れてはいなかったが、後方の他の選手はエチオピアのベス・サドを先頭にして約20m離れた位置を走っていた。2016年ポートランド世界室内選手権銅メダリストのツェゲイは、ラスト1周の鐘が鳴った時もまだ先頭を走っていた(2:54.2)が、その2.6秒ほど後ろを走っていたイギリスのローラ・ミューアがスパートをかけ始めた。

鐘が鳴った時点で3位だったミューアは、ラスト200mでジェプコスゲイを抜かし2位に順位を上げた。しかし、ミューアはまだツェゲイの10m後ろにいた。ツェゲイは最終コーナーでミューアの姿を確認しプレッシャーを感じたかもしれないが、それでも自己記録を大幅に更新する3:57.64で走り切った(それまでの自己記録は3:59.55)。ミューアは3:58.53のシーズンベストを出し、2018年のシーズンも良い成績を残し続けている。アメリカのジェニー・シンプソンは4:00.34で4位だった。

【レース結果】
1 グダフ・ツェゲイ ETH 3:57.64
2 ローラ・ミューア GBR 3:58.53
3 Arafi , Rababe MAR 4:00.28
4 Simpson , Jennifer USA 4:00.34
5 Jepkosgei , Nelly KEN 4:01.95
6 Bahta , Meraf SWE 4:02.31
7 Sado , Besu ETH 4:02.81
8 Hall , Linden AUS 4:02.89
9 Weightman , Laura GBR 4:02.90
10 Grøvdal , Karoline Bjerkeli NOR 4:05.57
11 Martinez , Brenda USA 4:06.54
12 Alemu , Habitam ETH 4:08.19
Tuei , Emily Cherotich KEN DNF
Yarigo , Noélie BEN DNF

ツェゲイの力強い走り。一体彼女はどこまで速くなるのか?

ツェゲイが60.7で1周目を入った時、ラスト1周には力尽きてしまうだろうと思っていた。この速さで最後まで走ることは難しいし、ラストスパートの脚を残しておくのも困難だ。

彼女のラスト1周のラップ63.4は、他のDLの大会であれば優勝するには厳しいラストスパートであるが、今日はラスト1周の時点で2位のミューアに2.6秒のリードを奪っていたため、勝つことができた(ラスト1周の鐘の段階でミューアの前、2位を走っていたジェプコスゲイは力尽き、5位に終わっている)。

今回のレースで激しいペースの変動があったことを考えると、彼女が今年さらに速い記録を出してもなんら驚くことではないだろう。

ペースメイキングは最悪であったがこれまでの女子1500mの最も速かった1周目のタイムにはまだまだ大きな差がある

今回のレースを見て、これまでの女子1500mのレースの中でも1番速い1周目のラップタイムだと思っても、仕方がないだろう。しかし、それよりも速いレースが過去にあった。

PC Vazel氏によると、中国の曲雲霞(きょくうんか)が1993年に3:50.46という当時の女子1500mの世界記録を出した時、非公式ペーサーであったリウ・ドンは最初の400mを57.13で通過した。その後ろを走っていた曲雲霞は57.39で通過した。その時の動画を発見した。残念ながら400m手前で動画は切れてしまっているが、すごい速さで走っていることはわかる。しかし、当時彼女たちはドーピングをしていたことはほぼ明らかなため、この走りは参考程度にとどめておくべきだろう。

ローラ・ミューアの素晴らしい走り

ミューアは今年これまでやることが多く大忙しだ。バーミンガム世界室内選手権で2つのメダルを獲得し、グラスゴー大学の獣医学部を卒業し、そして今は夏のシーズンを戦っている。しかし、25歳の彼女はその全てを上手くやりこなしてきている。プリフォンテーンで1500m3:59、オスロDLで800m1:59、そして今回のレースで1500m3:58である。

アメリカ勢は良い走りができなかった

ジェニー・シンプソンの走りは悪くはなかったが(4:00の4位)、プリフォンテーンでミューアにもう少しのところで負けた後、今日のレースでは大きくミューアに差をあけられて負けている。ペーサーのペース設定がレース全体を混乱させてしまったことは明らかではあるが、シンプソンの経験値と戦略的な走りの腕前を持ってすれば、もっと上手く対処できたであろう。もう1人のアメリカ人選手のブレンダ・マルティネスも苦戦を強いられ、4:06の11位に終わった。

男子5000m:セレモン・バレガが今季世界最高記録でプリクラシックの優勝を確かなものにする

今回のレースは、最初の1000mを2:32.53で通過(12:42ペース)し、序盤から速いペースで展開した。その後、ペーサーのヴィンセント・レティングが2000mを5:10.20(12:55ペース)で通過。ペーサーが抜けた後も、先頭は13:01ペースで3000mを通過した(エチオピアのセレモン・バレガが7:48.75で先頭)。

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レースが進むとペースは少し落ちたが、それでも後方集団を引き離すには十分なペースであった。残り2周、エチオピア生まれの選手達(バレガ、アバディ・ハディス、ビルハヌ・バリュ)は後方集団の選手を完全に引き離す。ラスト1周でバレガが先頭に立ち、バリュが残り200mでバレガのすぐ後ろにつく。しかし、ハディスもまだ力尽きていなく、3人そろった状態で最終コーナーに入る。

バレガバリュハディスを引き離し、バリュも最後まで諦めなかったが、バレガとの僅かな差を埋めることはできず、バレガは今季世界最高の13:04.05で優勝、バリュは2位でフィニッシュ。バリュは13:04.25の自己新記録を出し、ハディスは13:06.76だった。

ベン・トゥルーは後方集団を引っ張っていたが、13:16.48の5位に終わり、4位にはカナダのモー・アーメド(13:14.88)。2人とも、トップを走る3人の後ろで良い走りはしたのだが。

セレモン・バレガのもう1つの大きな勝利

バレガはプリクラシックの2マイルでも優勝し、ダイヤモンドリーグのポイントとなる今レースで初優勝を果たし、プリクラシックでの勝利も確かなものと証明してみせた。記録ももちろん素晴らしかった。バレガの自己記録は10秒ほど速いが(12:55)、今回のレースは日が照る午後、気温約26℃で風の強いコンディションであった。このようなコンディションで今季世界最高記録を出すのは、大したものだ。バレガは、今や3000mと5000mで堅実に勝てる選手である。

ベン・トゥルーも良い走りをみせる。ハッサン・ミードは途中棄権

今年の全米選手権の男子5000mでの優勝候補はポール・チェリモであることは変わらないが、先月のペイトンジョーダン招待を体調不良のため欠場したトゥルーは、今回は堅実な走りを見せてくれた。昨年の全米選手権10000m優勝のハッサン・ミードは苦戦を強いられ、ゴール前に途中棄権した。

【レース結果】
1 セレモン・バレガ ETH 13:04.05
2 ビルハヌ・バリュ BRN 13:04.25
3 アバディ・ハディス ETH 13:06.76
4 Ahmed , Mohammed CAN 13:14.88
5 True , Ben USA 13:16.48
6 Kiplimo , Jacob UGA 13:19.66
7 Amdouni , Morhad FRA 13:19.93
8 Wolde , Dawit ETH 13:28.86
9 Ingebrigtsen , Henrik NOR 13:28.89
10 Ringer , Richard GER 13:37.37
11 Bouqantar , Soufiyan MAR 13:43.85
12 Ingebrigtsen , Filip NOR 13:46.40
13 Tanui , Paul Kipngetich KEN 13:49.06
14 Rutto , Cyrus KEN 14:10.08
Kangogo , Cornelius KEN DNF
Kazi , Tamás HUN DNF
Letting , Vincent KEN DNF
Mead , Hassan USA DNF
Mechaal , Adel ESP DNF

男子1500m:ヤコブ・インゲブリクトセンが再び優勝

17歳のヤコブ・インゲブリクトセンは今シーズンに入ってから素晴らしいパフォーマンスを残し続けているが、今日も素晴らしい走りをした。オスロDLで自己新記録の3:36.06を出したたった3日後、非DL種目の男子1500mで3:37.42で優勝した。2位だったオーストラリアのジョーディ・ウィリアムズに0.88差をつけての勝利だった。

男子800m:50年間破られていないドーベルのオーストラリア記録を狙って、二人のオーストラリア人選手ボルとデングが一騎打ち

ラルフ・ドーベルの男子800mのオーストラリア記録1:44.40は、メキシコシティでのオリンピックで記録が出て以来50年間破られていない。4年前のモナコDLで、アレックス・ロウがその記録に挑戦したが、わずかに及ばなかった。しかし、今日のレースでオーストラリア人選手ピーター・ボルジョセフ・デングが1位(1:44.56)2位(1:44.61)に入り、オーストラリア記録が近い将来破られる可能性高まってきた。

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デングは序盤から飛ばすと決め、400m地点でペーサー(400m通過50.24)の7m後ろを先頭で走っていた。最終コーナーでボルが2番手にあがり、ラストの直線でデングのすぐ後ろを走り、ゴール手前でデングを捉えた。彼らの年齢を考えると(ボルは24歳、デングは19歳)、ドーベルの記録が破られるのも時間の問題だろう。

しかし、アレックス・ロウが2014年にその記録を出した時は、22歳を迎えたばかりの頃だったが、それから彼はそれより速い記録を出せていない。

今年に入る前までは、デングは1:46.51でしか走ったことがなかった。レベルが高くなかったオーストラリア選手権で1:45.71を出し、先週のヘンゲロで1:44.97の記録を出した。tilastopaja.euによると、昨年1:45.21で走ったボルは、今年2月以降はレースに出場しておらず、今年に入ってからは1:46も切っていなかった。素晴らしい2人の走りだった。

【レース結果】
1 ピーター・ボル AUS 1:44.56
2 ジョセフ・デング AUS 1:44.61
3 Van Rensburg , Rynhardt RSA 1:45.73
4 Webb , Jamie GBR 1:46.37
5 Roth , Thomas NOR 1:46.52
6 Bube , Andreas DEN 1:46.66
7 Engholm , Elmar SWE 1:48.19
8 Andersson , Joakim SWE 1:50.19
Roth , Andreas NOR DNF
Smaili , Mostafa MAR DNF

女子800m:レガサが2:01で優勝

今回の女子800mは非DL種目であり、今年2:00を切った選手の出場はなかった。クリシュナ・ウィリアムズが600m地点で先頭だったが(1:30.75)ラストの直線でエチオピアのシュマ・チャルトゥ・レガサとウガンダのハリマ・ナカイが他選手よりひとつ上の走りをし、レガサナカイを破り優勝した。

クリシュナ・ウィリアムズはまだまだ苦戦中

ウィリアムズは2016年に1:59.59の記録を出し、リオオリンピック全米代表になった。昨年は2:00.03、今年は出した記録はまだ2:02.55だ。

【レース結果】
1 シュマ・レガサ ETH 2:01.16
2 ハリマ・ナガイ UGA 2:01.37
3 Oskan-Clarke , Shelayna GBR 2:02.09
4 Hinríksdóttír , Aníta ISL 2:02.21
5 Sharp , Lynsey GBR 2:02.78
6 Williams , Chrishuna USA 2:02.80
7 Lindh , Lovisa SWE 2:02.81
8 Hermansson , Hanna SWE 2:03.11
9 Hynne , Hedda NOR 2:03.87
Bibik , Olha UKR DNF

男子1000m:ファーガソン・ロティチが優勝

ペーサーのブラム・ソムは400m通過が52.5(2:11.25ペース)で入るように設定されていた。1000mの世界記録が2:11.96であることを考えると、すごく速いペースである。1周目を52.62で通過しソムはほぼ設定ペースで進むが、驚いたことにスウェーデンのアンドレアス・クラメールがそのペースについていた。ラスト1周の鐘がなると(1:20)、ソムが外れ、クラメールが15m程先頭に立つが、ラストスパートをかけた選手が後方から追い上げてきた。

第1コーナーでクラメールを最初に抜いたのはバーレーンのサディク・ミクウだったが、2016年リオオリンピック5位に入ったケニアのファーガソン・ロティチがバックストレッチでスピードを上げ800m地点で先頭に立つ(1:48.8)。

ミクウは最終コーナーを2番手で入ったが、誰もロティチに挑戦できる者はいなく、2:14.88でロティチが優勝した。ミクウは2:16.09の2位。3日前にオスロDLで9位に甘んじたジェイク・ワイトマンは、今レースでは2:16.27でスコットランド新記録を出した。

【レース結果】
1 ファーガソン・ロティチ KEN 2:14.88 8
2 サディク・ミクウ BRN 2:16.09 7
3 Wightman , Jake GBR 2:16.27 6
4 Kszczot , Adam POL 2:16.58 5
5 Gakeme , Antoine BDI 2:16.85 4
6 Bett , Kipyegon KEN 2:16.98 3
7 Osagie , Andrew GBR 2:17.18 2
8 Kipketer , Alfred KEN 2:17.40 1
9 Kramer , Andreas SWE 2:18.30
10 Bodena , Tolesa ETH 2:18.87
11 Berglund , Kalle SWE 2:19.21
Som , Bram NED DNF

ファーガソン・ロティチ復活か?

ロティチは2015年北京世界選手権と2016年リオオリンピックでトップ5に入り、2016年のダイヤモンドリーグ年間王者にもなっている。しかし、DLのレースでほぼ2年間勝利をあげていなかった。彼が最後に勝ったのは2016年6月ストックホルムDLだった。

そのようなことからも、彼は今回の勝利を喜んでいるだろう。今回のレースにはナイジェル・アモスエマニュエル・コリルなどはいなかったが、そのレースに出場している選手に勝てばいいのだ。ロティチはライバルたちを破り、進化し続けている(プリフォンテーンで7位、ローマDLで2位)。

 

レッツラン記事

http://www.letsrun.com/news/2018/06/2018-stockholm-recap-young-stars-duplantis-echevarria-fly-first-diamond-league-wins-womens-1500-goes-sub-60/

 

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