ダイヤモンドリーグユージン大会2日目展望(男子100m、200m、1マイル、3000mSC、女子400m、800m、1500m、5000m)

男子バウワーマンマイル:セントロが世界屈指の選手(そしてヤコブ・インゲブリクトセン)と対決する

選手 国籍 自己記録 今季最高記録
ベスウェル・バーゲン ケニア 3:50.42
ベン・ブランケンシップ アメリカ 3:53.04
マシュー・セントロウィッツ アメリカ 3:50.53
ティモシー・チェリヨット ケニア 3:49.64
シアゴド・ロザリオ・アンドレ ブラジル 3:51.99
クレイグ・エンゲルス アメリカ 3:57.67
ジョニー・グレゴリック アメリカ 3:54.94  3:54.94
ヤコブ・インゲブリクトセン ノルウェー 3:56.29
ヴィンセント・キベット ケニア 3:51.17
サイラス・キプラガト ケニア 3:47.88
エリジャ・マナンゴイ ケニア 3:49.08
クレイトン・マーフィー アメリカ 3:51.99
アヤンレ・スレイマン ジブチ 3:47.32
サムエル・テフェラ エチオピア  ※初1マイル
アマン・ウォート エチオピア 3:48.60

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プリクラシックを締めくくるには最高のレースだ。プリクラシックには世界屈指のマイル選手たちが多く集まった。だが、それだけではない。注目を集めるアメリカ人選手や17歳の天才ヤコブ・インゲブリクトセンが同じレースで対決する。注目せずにはいられない。

アメリカ人選手が最後に今大会のバウワーマンマイルで優勝したのは14年前のことだ。2018年はアメリカ人選手の連敗に終止符を打つことができるか。しかし、ベン・ブランケンシップ、ジョニー・グレゴリック、クレイグ・エンゲルス、クレイトン・マーフィーは優勝できるほどではない。セントロウィッツもオリンピックチャンピオンではあるものの(2015年のバウワーマンマイルでは2位だったが)、彼もまだベストな状態とはいえない。

セントロウィッツの他で、現実的に優勝の可能性がある選手は5人だ。イリジャ・マナンゴイ、ティモシー・チェリヨット、サムエル・テフェラ、サイラス・キプラガト、アヤンレ・スレイマンである。

キプラガトスレイマンは、出場選手の中でも1番速い自己記録を持っている。もし彼らがベストに近い状態であるのならば、優勝する可能性が高い。2人とも最近素晴らしい記録を出している一方(スレイマンは室内で3:35、キプラガトは昨年DLファイナルで2位)、2, 3年前の方が良い走りをしていた。土曜日のレースで、この2人のどちらかが勝つとは思っていない。
ということは、残り3人。

トレーニングパートナー同士のマナンゴイチェリヨット、そしてバーミンガム世界室内選手権王者のテフェラだ。昨年、ケニア勢がダイヤモンドリーグを独占しプリクラシックでも良い走りをしてトップ4をケニア勢がさらっていった。

昨年のバウワーマンマイル王者のロナルド・ケモイは出場しないが(コーチのレナート・カノーバによると、まだ疲労骨折が完治していないようだ)、マナンゴイ(昨年2位)とチェリヨット(昨年3位)は今年も出場する。ケモイが出場しないことにより、彼らが1位2位でゴールする可能性もある。

マナンゴイ、チェリヨットがベストな状態の時は、彼らは明らかに他の選手より抜きんでている。モナコDLで後方に3秒差をつけて優勝したり、ロンドン世界選手権で1位2位でゴールしたりする。どのレースでも毎回ベストな状態で走ることは難しいが、2018年はまだ序盤である。良い兆候がある。

マナンゴイチェリヨットは4月に行われたコモンウェルスゲームでワンツーフィニッシュを飾っており、それ以降マナンゴイは800mを1:45.48で走り(ドーハDLで2位)、チェリヨットは上海DLで3:31.48で今季世界最高記録を出した。彼らが優勝する選手となるだろう。戦歴を見れば、マナンゴイの方がラストのスプリントを持ち合わせており勝つ可能性がある(マナンゴイチェリヨットに対して2017年初めから5勝3敗。ロンドン世界選手権とコモンウェルスゲームでの勝利も含まれる)。

もし誰かがこの2人を破るとすれば、それはエチオピアの若き天才サムエル・テフェラだろう。上海DLではチェリヨットにあと0.15秒に迫る走りをし、バーミンガム世界室内選手権男子1500mでは戦略的レースで優勝できるスピードを見せてくれた。ペースが合えば、4年前のプリクラシックでアマン・ウォートが記録した男子1マイルエチオピア記録の3:48.60を塗り替えられるかもしれない。

歴史上もっともバウワーマンマイルで成功して選手であるアスベル・キプロプ(4度優勝)はEPOで陽性反応が出ているため、今男子1500mで世界ベストの選手は上に挙げた選手たちとなる。そして、アメリカ人選手が彼らのレベルにどのぐらい近づけるかどうか、プリクラシックはいい力試しの場所となる。

マシュー・セントロウィッツは、先週のOxyで800mを走ったすぐ後に1500mで優勝し調子は良さそうだ。しかし、苦労の多かった冬を超えて、プリクラシックでアメリカ人選手が出したことのない3:49というタイムで走れる力が彼にはあるのかどうか?この時期には、恐らくその力は彼にはないだろう。ベストな状態の時に、セントロはダイヤモンドリーグで優勝を狙いたいと思っていると思うが、それはシーズン終わりごろになるだろう。しかし今のところ、彼に多くを求めることはしない。バウワーマンマイルは、彼の成長を測るいい機会になるだろう。

ブランケンシップはバーミンガム世界室内選手権で5位に入って以降レースに出場していないが、3:53という自己記録に挑戦できる。ナイキオレゴンプロジェクトのクレイグ・エンゲルスは、高地トレーニングに苦戦したと語ったが、先週のOxy男子800mで優勝し、今回のレースもラスト勝負になれば、戦えるということがわかった。彼のチームメイトであるクレイトン・マーフィーは、上海DLで1:45で走った。彼が最近行っているトレーニングは800mよりもマイルに適しているトレーニングであるようだ。

マーフィーは長い間基礎固めをしてきたが、今はスピード強化のトレーニングに移った。今彼はすごく強い選手になった。スピードも徐々に戻りつつある」

と、サラザールは上海DLの後に話した。

セントロウィッツの他に、レースをかき乱してくれそうなもう1人のアメリカ人選手はジョニー・グレゴリックである。彼は今年1500mとマイルの両方の種目で優勝を手にしており、先週のOxyでは3:36の記録を出した。今大会での優勝は彼にとっては大きすぎるものであるが、グレゴリックは昨年のロンドン世界選手権ファイナリスト、走れる力はある。彼が目標にしている数字は3:51.34。これは彼の父親であるジョンが1982年オスロのドリームマイルで出した、彼の家族の最高記録である(ジョニーの自己記録は3:53.15(室内)である)。

そして最後に、ヤコブ・インゲブリクトセンだ。昨年1マイルの最年少サブ4:00記録を樹立した選手である。5月3日、ペイトンジョーダン招待でヤコブは、セントロ、エンジェルス、ポール・チェリモを1500mで破って優勝した。そこでの優勝が、今回のプリクラシックへの出場につながった。インゲブリクトセンは怪物的な才能を持った選手であるが、まだ17歳であり、今回のレースで優勝を狙うには大きな飛躍が必要となるであろう(ペイトンジョーダンでの彼の優勝記録は3:39であった)。

アラン・ウェブが2001年、高校生で出場した時にとった戦略、序盤は抑え最終ラップで選手を拾っていくアプローチをすれば、良い走りができるだろう。ウェブはこのレースで3:53.43の全米高校記録を出した。それ以来アメリカの高校生はこの記録に近づけていない。しかし、インゲブリクトセンはこの記録に挑戦する実力を兼ね備えている(それでもかなりの努力が必要であることには変わりないが)。

レッツランの予想:3つの違った筋書きがあるので、すごく楽しみなレースだ。

(1) 誰が優勝するのか?

(2) アメリカ人選手はどんな走りを見せてくれるか?それには3つのプロットが考えられる

  • i) セントロが夏終わりにアメリカ記録を狙いにいけるような走りを見せてくれるか?
  • ii) ジョニー・グレゴリックはファミリーレコード(3:51.34)を破れるか?
  • iii)ブランケンシップ、マーフィー、エンゲルスの調子はどうか?

(3)17歳のヤコブ・インゲブリクトセンは、当時18歳のアラン・ウェブの記録(3:53.43)より速い記録を出せるのか?

このレースでの優勝に関しては、マナンゴイがドーハDLにて800mのスペシャリスト達を倒したのは素晴らしいことだった。モナコDLと昨年のロンドン世界選手権が証明してくれたように、彼のスプリントはまだまだ健在である。彼は現在の最高のマイル選手であり、結果として、マナンゴイが優勝すると我々は予想する。チェリヨットが2位、テフェラが3位、セントロが4位。インゲブリクトセンは、ウェブの3:53に一歩届かず、3:54でゴールすると予想する。

男子インターナショナルマイル:誰がプレクラシックで400人目となるサブ4:00の記録で走るだろうか

選手 国籍 自己記録 今季最高記録
コルビー・アレキサンダー アメリカ 3:54.94 3:56.07
Eric Avila アメリカ 3:56.50
Pat Casey アメリカ 3:52.62
Fouad El Kaam モロッコ 3:54.21
Blake Haney アメリカ 3:58.79
ブロデイ・ハスティ アメリカ 4:07.19
ドリュー・ハンター アメリカ 3:56.79 3:56.79
Cas Loxsom アメリカ  ※初1マイル
ジェームズ・マガット ケニア 3:49.43
Riley Masters アメリカ 3:56.75
ルーク・マシューズ オーストラリア 3:54.53 4:00.6h
ジョナサン・サウェ ケニア 3:55.76
Henry Wynne アメリカ 4:05.04
Izaic Yorks アメリカ 3:58.57

プリフォンテーンクラシックが1975年に始まって以来、TFNによると、これまで399人の選手が1マイルでサブ4:00の記録を出してきた。最初の選手は1977年スティーヴ・スコット(3:57.92)、1番最近の選手だと2017年アスベル・キプロプ(3:58.24)という記録である。その間、素晴らしいレースがいくつもあった。2001年アラン・ウェブの3:53、そして2014年大会の異常な記録ラッシュ。26人の選手がサブ4:00を果たした大会である。アヤンレ・スレイマンの3:47.32が優勝記録であったが、その記録はアメリカ国内のレースでは史上最速記録となった。

誰が今回のレースで優勝しようとも、1位の選手が400人目のサブ4:00を達成するだろう。では、それは誰になりそうか?先週のアディダスブーストボストンゲームを見てみると、ドリュー・ハンターの調子が良さそうだ。しかし、ハンターが破った選手たち(クリス・オヘア、ニック・ウィリス、チャールズ・シモトゥー)は今回のレースに出場する選手より戦歴は良いように見えるが、彼らはそこまで速いタイムで走れる準備ができていなさそうだった。

コルビー・アレキサンダーは今シーズン、ハンターより良いタイムを出しており、Oxy(USATFディスタンスクラシック)ではマシュー・セントロウィッツカイル・マーバーの後ろの3位に入った。(オーストラリア人のルーク・マシューズは800mの自己記録1:45.16の持ち主で、先月のコモンウェルスゲームで男子800m銅メダルを獲得したが、1500m決勝では12位に終わっているので、今大会では優勝候補には考えていない)。

ケニアの2人の選手の優勝にも少し疑問が残る。ジョナサン・サウェは4年前にヘイワードフィールドで開催された世界ジュニア選手権で優勝し、昨年はイタリアで開催された1500mに2レース連続で出場し、3:36で両方のレースで優勝しているが、それは中4日のレースだった。それ以来、彼はレースに出場していない。ジェームズ・マガットは自己記録3:49という出場選手の中では最速記録の持ち主であるが、彼も2016年6月以来レースを走っていない。

室内1マイルで4:00.05の記録を持っている高校生のブロデイ・ハスティも今大会でサブ4:00を狙っている。彼は火曜日にアトランタで行われたウィングフットマイルで4:07.19で走っているが、もし彼がサブ4:00で走れれば、アラン・ウェブ、ドリュー・ハンター、マイケル・サランゴウスキに次いで、プリクラシックで4:00を切った唯一の高校生の仲間入りを果たすことになる。

レッツランの予想:ハンターの調子がいいので、彼を優勝候補に選びたいと思っているが、他にも優勝の可能性のある選手が6人いる。もしケニア人選手の調子が良ければ、どちらか1人がレースを独占する可能性もある。しかし、我々は1500mの自己記録3:34の持ち主であるアレキサンダーを優勝候補として予想する。

女子800m:アジ・ウィルソンがキャスター・セメンヤに挑戦する

選手 国籍 自己記録 今季最高記録
Habitam Alemu エチオピア 1:57.05
Selina Buchel スイス 1:57.95
シャリーン・リプシー アメリカ 1:57.38 2:01.91
フランシン・ニヨンサバ ブルンジ 1:55.47 2:01.97
Raevyn Rogers アメリカ 1:59.10 2:01.86
キャスター・セメンヤ 南アフリカ 1:55.18 1:56.68
Eunice Sum ケニア 1:56.99
マーガレット・ワンブイ ケニア 1:56.87 1:58.07
Chrishuna Williams アメリカ 1:59.59 2:02.55
アジ・ウィルソン アメリカ 1:55.61 1:59.27

女子800mにおいて2016年の初めから、キャスター・セメンヤに勝った選手は誰もいない。今年の彼女の調子を見ると、2018年もセメンヤは勝ち続けるだろう。セメンヤはコモンウェルスゲームで1:56.68の記録で優勝しており、ドーハDLでは1500mを自己新記録の3:59.92で優勝している。

ブルンジ出身で、ユージンを拠点としてオレゴントラッククラブ(OTC)で走っているフランシーヌ・ニヨンサバは、常にセメンヤの1歩後ろにいる選手だ。2015年7月以来、800mにおいてセメンヤ以外に彼女が負けた選手は1人しかいない。3月、ニヨンサバは1:58.31でバーミンガム世界室内選手権で優勝した。この記録はここ7年間では室内最速記録となった。今大会では、彼女は2位ではゴールするだろう。

1番気になるのは、アジ・ウィルソンセメンヤニヨンサバとの差を埋めることができるかどうか、ということだ。昨年のモナコDLではセメンヤニヨンサバに迫る走りをした(実際にベルリンでは600mでニヨンサバを破っている)が、バーミンガム世界室内選手権を見るとウィルソンのレベルは、セメンヤニヨンサバのレベルにはまだ追いついていない。

バーミンガム世界室内選手権の決勝でウィルソンは完璧な走りをしたが、それでもニヨンサバの持って生まれたアドバンテージに勝てる程ではなかった。先週アディダスブーストボストンゲームではウィルソンナトヤ・ゴールを抑え1:59.27の記録を出し調子は良さそうであるが、セメンヤはコモンウェルスゲーム決勝でゴールに2秒以上の差をつけて勝っているので、セメンヤウィルソンが勝つにはまだまだやらなければいけないことがあるだろう。

また、シャリーン・リプシーが今年初めて真剣に800mを走るのも楽しみにしている。彼女は明らかに調子を上げており、選手のアディダスブーストボストンゲームでは1500mの自己記録を大幅に更新し、4:04で走っている。

レッツランの予想:女子800mは、どんなレース展開になるか大体予想がつくだろう。セメンヤが1位、ニヨンサバが2位だ。その後ろは、ウィルソンが3位に入り、マーガレット・ワンブイに勝つだろう。

男子100m:クリスチャン・コールマンが戻ってくる

選手 国籍 自己記録 今季最高記録
ロニー・ベイカー アメリカ 9.97 9.97
クリスチャン・コールマン アメリカ 9.82
Ben Youssef Meite コートジボワール 9.96
リース・プレスコッド イギリス 10.03 10.04
Gavin Smellie カナダ 10.01 10.01
蘇 炳添 中国 9.99 10.05
CJウジャー イギリス 9.96 10.08
Isiah Young アメリカ 9.97 10.02

クリスチャン・コールマンのヘイワードフィールドでの前回のレースは、全米学生選手権でのえ予選で100m全米学生記録を塗り替え、その後100mと200mで全米学生王者となった。22歳のコールマンは、もともとは今大会の男子100mと200mにエントリーしていたので、その種目での2連勝を狙っていた。しかし、100mに集中するために、ノア・ライレスとの対決を期待されていた200mの欠場を決めた。

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彼の代理人はTwitterで

「100mと200mの2連勝を予定してたが、今シーズン初めてのレースとなるので、100mだけの出場にした方が賢明だと判断した。彼の今シーズン初の200mは、ビスレットゲーム(6月7日オスロ)になるだろう」

と、ツイートした。

もしコールマンの状態が、室内60mで6.34で走った時と近い状態であれば、彼が100mで優勝するだろう。しかし、彼が2週間前の上海DLを欠場したことを考えると、彼の調子に一抹の不安を感じる(主催者発表によると、欠場理由は「身体的な問題」であった)。もしコールマンの状態が100%でなければ、この男子100m優勝は他の選手の手に移るだろう。

今年、人知れず良い成績を残しているロニー・ベイカーは、昨年の今大会で優勝しており、かつ9.97の今季世界最高記録を持っている。ポスト・ボルトの今、9秒台の記録を持っていれば世界のどんなレースでも優勝の可能性がある。今回の出場選手のうち6人は9秒台の記録を持っており、10秒を切っていない選手の1人にリース・プレスコッドがいる。皮肉なことに、彼だけが今年のDLで優勝している選手ということになる(上海DLで優勝)。

レッツランの予想:コールマンが100%の状態でなくとも、彼の自己記録は他の選手よりも飛び抜けて速い。彼がスタートラインに並ぶのであれば、我々の優勝予想はコールマンだ。

男子3000mSC:ジェイガーが戻ってきた!

選手 国籍 自己記録 今季最高記録
アンディー・ベイヤー アメリカ 8:14.46
ニコラス・ベット ケニア 8:10.07
ジェイラス・ビレチ ケニア 7:58.41
ヒラリー・ボア アメリカ 8:11.82
Tesfaye Deriba エチオピア 8:13.33 8:17.51
スーフィアン・エル・バッカリ モロッコ 8:04.83
エヴァン・ジェイガー アメリカ 8:00.45
スタンリー・ケベネイ アメリカ 8:08.30
Benjamin Kigen ケニア 8:11.38
コンセスラス・キプルト ケニア 8:00.12 8:10.08
アモス・キルイ ケニア 8:08.37 8:12.24
ポール・コエチ ケニア 7:54.31
ハロン・ラガト アメリカ 8:15.80
Getnet Wale エチオピア 8:12.28

昨年の男子3000mSCの戦いは、3人の選手の戦いとなった。アメリカのエヴァン・ジェイガー、モロッコのスーフィアン・エル・バッカリ、ケニアのコンセスラス・キプルトだ。彼ら3人で5つのDL優勝を分け合っている(エル・バッカリキプルトが2回、ジェイガーが1回)。昨年はジェイガーが8:01.29のシーズン世界最高記録を出しているが(1985年ヘンリー・マーッシュ以来、この種目で初めてアメリカ人がシーズン世界最高記録を出した)、昨年のロンドン世界選手権ではこの3人の中では一番最後にゴールしたのがジェイガーだった。

正直言って、前の段落で書いたことは少し誤解を与えるかもしれないぐらいにキプルトの評価を下げているかもしれない。昨年キプルトは記録においてはこの種目でランキング1位ではなかったが、それでも彼がゴールした大会ではすべて優勝している(ラバトDLでは故障の影響で途中棄権だった)。

かつ、彼が2016年に真剣に走ったレースでもすべて優勝している(2016年は1回だけ負けているが、それはケニアのリオオリンピックトライアルでラスト100mで2人の選手とジョークを交わしながらゴールした消化レースだった)。

今回のレースがどのような展開になるのか予想するのは難しい。今年は屋外での世界大会がなく、8:00切りという3人とも成し遂げたことのない記録を狙っている(ジェイガーキプルトは8:00、エル・バッカリは8:04のタイムを持っている)。しかし、それをプリフォンテーンクラシックで成し遂げるのは偉業ともいえる。

これまで男子3000mSCでサブ8:00を出した選手は36人いるが、アメリカ国内では出たことがない記録である。それは、ヘイワードフィールドの水濠に選手のスピードを遅くさせるなにかがあるだとか、そういったことではない。ちなみにセリフィーン・チェスポルは昨年のプリクラシック女子3000mSCで8:58.78で走っている。ドーピングをしたルース・ジェベットの記録を除けば、それが現在の世界記録である。

【男子3000mSCの7分台が達成された時期】

7分台の達成回数
5月 4回
6月 1回
7月 12回
8月 13回
9月 6回

 

 

1番大きな要因は、選手がピークの状態になるにはまだ時期が早いということだろう。ジェイガーは今年まだ1回しかトラックで走っていないし(3000mSCでなない種目で)、エル・バッカリは屋外レースをまだ1度も走っていない。キプルトは4月のコモンウェルスゲームで3000mSCを走り8:10で金メダルを獲得しているが、2週間前の上海DLでは男子5000mに出場し途中棄権している。

ジェイガーは過去に速い記録でシーズンインをしているが(過去2年のプリクラシックで8:08と8:05のタイムを出している)、彼らのピークは7月か8月に来るのであって、5月には合わせてこない。

レースそのものは素晴らしいものになるはずであるが、優勝の喜びの瞬間を見るのを楽しみにしている。キプルトは、ゴールするかなり前からガッツポーズをすることでよく知られている。エル・バッカリは、昨年ラバトDLで優勝した際に残り150mの時点でガッツポーズしていた。土曜日にホームであるアメリカでジェイガーが優勝した際、同じようなガッツポーズを見れるだろうか。

「もし、自分が20mとかそのぐらいリードしていればわからないが、最後の水濠を跳び終えるまではガッツポーズは絶対にやらない。最後の障害の前に優勝を喜んだら、ジェリー(コーチ)にすごく怒られるよ。だから、優勝を喜ぶのは最後の障害が終わってからだ」

と、昨年ジェイガーは話してくれている。

レッツランの予想:キプルトのラストのスプリントがずば抜けているのと、すでに今シーズン8:10で走っており、ロンドン世界選手権・リオオリンピック王者であることを考えると、彼が上海DLの5000mで途中棄権していても、この3000mSCでは彼を優勝候補に選ぶ。

1つ明確なことは、エヴァン・ジェイガーは今年は世界レベルの大会に3回以上は出場するべきだということだ(去年の彼がそうであった)。今年はピークに持ってくるべき世界選手権やオリンピックがないので、ダイヤモンドリーグに焦点をあてる必要があるだろう。

女子1500m:ジェニー・シンプソンとアメリカの強豪選手たちがローラ・ミューアと対決する

選手 国籍 自己記録 今季最高記録
Rababe Arafi モロッコ 4:01.75
Zoe Buckman オーストラリア 4:03.22 4:06.76
Winny Chebet ケニア 3:59.16 4:06.25
ベアトリス・チェプコエチ ケニア 4:03.09 4:03.09
アンジェリカ・チコスカ ポーランド 4:01.61
ケイト・グレース アメリカ 4:03.59 4:08.82
Hanna Green アメリカ 4:15.08 4:23.96
Linden Hall オーストラリア 4:01.78 4:03.67
シェルビー・フーリハン アメリカ 4:03.39 4:06.07
Mary Kuria ケニア 4:03.18 4:05.88
Dani Jones アメリカ 4:08.42
ブレンダ・マルティネス アメリカ 4:00.94
ローラ・ミューア イギリス 3:55.22
コリーン・キグリー アメリカ 4:03.93 4:07.01
ダウィト・セヤウム エチオピア 3:58.09 4:04.65
ジェニー・シンプソン アメリカ 3:57.22
ローエア・ウェイトマン イギリス 4:00.17 4:05.89

Simpson_JennyFV1-PreC15-e1433214599481女子1500mは近年もっとも競争が激しい種目である。2015年6月以降、ジェニー・シンプソンはダイヤモンドリーグでの優勝回数よりも、オリンピックと世界選手権でのメダルのほうが多く獲得している。

しかし、近年のダイヤモンドリーグでシンプソンを破ってきた多くの選手は今回は出場しない。フェイス・キピエゴンは出産のため今年は療養している。ゲンゼベ・ディババは女子5000mに出場する。シファン・ハッサンはプリクラシックに出場しない(故障でもしたのか?)。ドーハDLで優勝したキャスター・セメンヤは女子800mに出場する。

これは、2015年6月のローマDL以降、彼女がDLで優勝できる可能性が大きいということを意味している。彼女の1番のライバル選手はイギリスのローラ・ミューアだ。彼女は3月のバーミンガム世界室内選手権1500mで銀メダル、3000mで銅メダルを獲得している。

しかし、グラスゴー大学の獣医学部を卒業して以来、彼女は屋外のレースをまだ走っていない(今週の水曜日に卒業試験に合格したことが判明したばかりだ。ローラ、おめでとう!)。彼女が卒業試験で疲れているだろうと考える人もいるかもしれないが、彼女はずっと学業と競技を両立してきた。

もし彼女がナイキの選手でなかったら、彼女がわざわざユージンまで来るとは考えづらい。しかし、彼女はナイキ所属の選手だ。ナイキは基本的にプリクラシックを走らなければならない契約を選手と結んでいる。

ミューアの他だと、ベアトリス・チェプコエチ(コモンウェルスゲーム銀メダル)とアンジェリカ・チコスカ(昨年のロンドン世界選手権7位)が脅威となる選手だろう。ダウィト・セヤウムも先週のアディダスブーストボストンゲームで優勝している選手である。

そして他のアメリカ人選手も忘れてはならない(昨年シンプソンはアメリカ人選手の中では3位の成績だったことを忘れてはいけない)。全米室内選手権王者のシェルビー・フーリハンだ。フーリハンはバーミンガム世界室内選手権4位、昨年の全米選手権女子5000mで優勝した後も、2018年更にレベルを上げてきている。

彼女は自己記録を狙える状態で(自己記録4:03.39は2年前のプリクラシックで出している)、もし彼女が4:00に近づけるならば、優勝候補に入ってくるだろう。もし残り200mで彼女が残っていれば、注目である。

レッツランの予想:出場選手の中でシンプソンは最も成績を残しており、今月初めのドーハDLでも良い走りをしている(3000m8:30)。また、プリクラシックとは相性が良く(昨年は除いて)、まだコロラド大学の学生だった2009年にはプリクラシックのデビューで3:59のタイムを出している。シンプソンを優勝候補と予想する。

女子5000m:ゲンゼベ・ディババのショータイム

選手 国籍 自己記録 今季最高記録
Meraf Bahta スウェーデン 14:49.95 15:15.33
ゲンゼベ・ディババ エチオピア 14:15.41
レテセンベット・ギディ エチオピア 14:33.32
Margaret Kipkemboi ケニア 14:32.82 15:15.28
Maureen Koster オランダ 15:07.20 15:19.61
鍋島 莉奈 日本 15:11.83 15:22.78
アリス・アプロット ケニア 14:39.56
ヘレン・オビリ ケニア 14:18.37 15:13.11
Lauren Paquette アメリカ 15:14.45 15:19.17
リリアン・レンゲルク ケニア 14:36.80 15:55.20
Dominique Scott 南アフリカ 15:20.10 16:55.05
Gudaf Tsegay エチオピア  ※初5000m
Fantu Worku エチオピア  ※初5000m

昨年のロンドン世界選手権で失敗レースをしたディババだが(女子1500m決勝で12位)、バーミンガム世界室内選手権の1500mと3000mで2冠を達成し、彼女にはまだ勝ち続ける力があることを見せつけた。これが今季初の屋外レースとなり、過去2回のプリクラシックでいともたやすく5000mで優勝したことを考えると(2015年14:19、2017年14:25)、土曜日も同じような走りをしてくれると期待している。

ヘレン・オビリは現在のこの種目の世界王者であるが、2018年はあまり調子が良さそうでない。ドーハDLの女子3000mでは8:53で14位だった。これは、5000mにすると14:49ペースである。ディババなら寝ていても走れるスピードである。

レテセンベット・ギディは14:33の記録を持っており、ドーハDLでは8:30という堅実な走りをした。一方、アリス・アプロットは10000mが得意な選手であるが、昨年のカンパラ世界クロスカントリー選手権で銀メダルを獲得している(また、ロンドン世界選手権女子10000mでは4位だった)。リリアン・レンゲルクは昨年のプリクラシックで14:36の2位だった。

レッツランの予想:ディババの調子が悪ければ、ギディ、アプロット、レンゲルクにも優勝の可能性があるが、もっと起こりうる展開は2015年と2017年の再来であろう。ディババがレース序盤から他の選手を引き離し、10秒以上の差をもって優勝するであろう。

女子400m:アリソン・フェリックスがショーナ・ミラーと世界王者のフィリス・フランシスと対決

選手 国籍 自己記録 今季最高記録
Jessica Beard アメリカ 50.52 50.52
アリソン・フェリックス アメリカ 49.26
フィリス・フランシス アメリカ 49.92
Stephenie Ann McPherson ジャマイカ 49.92 50.80
ショーナ・ミラー バハマ 49.44
Courtney Okolo アメリカ 49.71 51.46
Jaide Stepter アメリカ 50.91 51.24
Shakima Wimbley アメリカ 50.18 50.18

今大会の女子400mは良いレースになる。去年のロンドン世界選手権のメダリストが2人出場するが、ロンドンで4位に終わったショーナ・ミラーはこの2人には含まれていない。金・銀メダリストのフィリス・フランシスサルワ・エイド・ナセルは今年屋外の400mレースをまだ走っていないが、注目すべきはミラーフェリックスだ。

特にミラーは、何か特別な走りをしてくれるかもしれない。彼女は上海DLで既に22.06で走り女子200mで優勝しており、先週はアディダスブーストボストンゲームでの150mで16.23という世界新記録を出した。今大会は彼女にとって今年初めての400mレースとなり、これらの彼女の走りを考えると、彼女が50秒を切る走りをしても何ら驚きではない。

そして、フェリックスだ。彼女は素晴らしいキャリアの持ち主であるが、現在32歳で既に人生の半分以上をプロフェッショナルの陸上選手として生きてきている(彼女にとって今年はプロ16年目のシーズン)。彼女は昨年49.65で走っているが、彼女が今のレベルでどのぐらい居続けられるだろうか。

レッツランの予想:ミラーが優勝する。

男子200m:ノア・ライルスがプロとして初めてヘイワードフィールドを走る

選手 国籍 自己記録 今季最高記録
Aaron Brown カナダ 20.00 20.18
ラミル・グリエフ トルコ 19.88 20.11
Anaso Jobodwana 南アフリカ 19.87 20.07
ノア・ライルス アメリカ 19.83 19.83
アイザック・マクワラ ボツワナ 19.77 20.10
Nethaneel Mitchell-Blake イギリス 19.95 20.37
Jereem Richards トリニダードトバゴ 19.97 19.99
Ameer Webb アメリカ 19.85

コールマンが200mに出場予定だった時でも、男子200mの優勝候補にはノア・ライレスを選んでいただろう。ライルスは200mの選手であり、ドーハDLで19.83という素晴らしい記録で優勝している。先週、アディダスブーストボストンゲームの150mでも優勝し、今シーズン終わりには19.4に近づきたいと話してくれた。誰が彼の言うことを疑うだろうか。

レッツランの予想:ライルスが優勝。もし追い風が助けになれば、光のように速いホームストレートでの走りで自己記録が出るかもしれない。

 

レッツラン記事

http://www.letsrun.com/news/2018/05/2018-pre-classic-saturday-preview-lyles-coleman/

http://www.letsrun.com/news/2018/05/2018-pre-classic-bowerman-mile-preview-centrowitz-mananagoi-cheruiyot-tefera/

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