プラハマラソン:ゲーレン・ラップが2:06:07の自己新で優勝

2016年リオオリンピックで銅メダルを獲得して以来、ゲーレン・ラップがマラソンで良いタイムを今後出していくだろうというのは明らかだった。そして、今日のプラハマラソンで、彼はそれを証明してみせた。

極寒で強風が吹いていたボストンマラソンを途中棄権してからたった20日後の今日、ラップは2018年フォルクス・プラハマラソンを2:06:07の記録で優勝した。最後まで競り合ったエチオピアのシセイ・レマを24マイル過ぎ(残り3km)で突き放しての優勝だった。

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レースコンディションは良かった(スタート時の気温は約13℃、ゴール時の気温は約17度。風は弱く、晴れていた)。7人の先頭集団(ペーサー1人含む)が中間地点を1:03:00で通過すると、ラップはこの良いコンディションを上手く利用した。中間地点を過ぎると全体のペースが遅くなったが、ラップはペースアップを図り25~30kmの5kmを14:39で走った。ここで、ラップレマ(1月のドバイマラソンで2:04:08のタイムで走った)が後方を突き放す。ラップレマは残り3kmまで先頭を争ったが、ラップが徐々にレマとの差を広げ、55秒差をつけて見事優勝を果たした。

ラップの記録は、ライアン・ホール(2:04:58)とハリド・ハヌーシ(2:05:38)に次いで、全米歴代3位の記録となった。公認記録のレースということで言えば、ハヌーシの2002年ロンドンマラソンの2:05:38と、2002年シカゴマラソンでの2:05:56という記録に次いで、ラップは※全米歴代2位の選手となる。公認コースにおけるアメリカ生まれの選手としては、歴代1位の記録となる。ハヌーシはモロッコ生まれで29歳まではモロッコ代表として活躍していた選手だ。

(※ホールの2:04:58という記録は、風の好影響を受けやすいIAAFの定めた条件から逸れている片道コースの非公認コースである2011年ボストンマラソンでの記録)

レース展開

先頭集団のペーサーは2:06:00ペースで走る設定であったが、昨年のシカゴマラソンでラップの後ろの4位でゴールしたレマはもっと速いペースで走りたい希望があり、レマと1人のペーサーはスタート直後から、第1集団から8秒前を走り、10kmを29:28で通過した。序盤からレマに差をつけられたくなかったラップは、レマについていこうと15kmを44:28で通過、この時2:05:05ペースで走っており先頭から3秒以内についていた集団6人の中にいた。

集団は次の5kmで少しペースダウン(15:16)し中間地点を1:03:00で通過。ペーサーが設定ペース通りに走るのがキツくなったのか、次の5kmは更にペースダウン(15:24)した。

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25km地点(1:15:08)、集団は2:06:48ペースで進んでおり、好記録を出す機会を逃したくなったラップはペーサーの後ろから徐々にペースを上げていき、28km手前で後方を引き離しにかかった。後方集団を引き離すことに成功し、30kmまででラップレマを先頭に後方集団とは差がついていた。25~30kmの5kmを14:39(この時点で、1番速いラップタイム)で刻み、2:06:16までペースを戻してきた。

これこそ、我々が期待していた対決だった。シカゴマラソン優勝、リオオリンピック銅メダリストのラップと、2:04:08という今大会出場選手で最速タイムの持ち主レマの対決。しかし、すぐにどちらかが仕掛けるということはなく、2人はお互いに先頭を何度か交代しながらペースを維持する走りをした。

しかし、ゴールが近づくにつれ、レマは落ち着いてレースを運んでいたが、ラップレマの守りの走りを察してか24マイル地点(ラスト3km)で仕掛ける。ラップはここでいけると見込み、スパートのタイミングを無駄にしなかった。ほんの数秒のうちにレマから50mの差を奪い、その差をゴールまで守り切り、レマは敗れた。私たちに残る疑問は、ラップが2:06の壁を切れることができたかどうかということだ。

最終的には2:05台でゴールすることはできなかったが、それでもラップは自己記録を大幅に更新し2:06:07でゴールした(昨年のシカゴマラソンでの2:09:20が以前の自己記録だった)。非公式ではあるが、彼は最後の2マイル(最後の3.2km)を9:26(2:56/km)で走り見事に自己記録更新を達成した。

ラストまでラップの調子は良さそうに見えたが、ゴール直後にラップは前屈みになり嘔吐したことを考えると、お腹の調子はあまり良くなかったのであろう。

レマは55秒後の2位でゴール、2:07:02の記録だった。プラハマラソンにおいて歴代で4番目に速い記録だった。ラップの2:06:07は、エリウド・キプタヌイが2010年に記録した2:05:39という大会記録に次いで2位の記録となった。ラップレマの後ろを見ると、3位はかなり差が開いており、スティーブン・チェムラニ(2:09:42)が入った。

女子では、ケニアのボーネス・ジェプキルイ・キトゥールが2:24:19で優勝した

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2:06:07 – ゲーレン・ラップはもう2時間09分の男ではない

Screenshot-2018-05-06-at-03.27.26-e1525599940432-400x208マラソンファンであれば、ラップが去年のシカゴマラソンで出した2:09:20より速い記録で走れる選手であることは知っていたと思うが、まだその日を見れずにいた。しかし、今日のプラハマラソンでラップは見せてくれた。良いペースと恵まれたコンディションを味方につけ、20日前にボストンマラソンを途中棄権したのにもかかわらず2:06:07の好記録で優勝した。

皮肉なことに、ラップがもしボストンではなくロンドンでもっと良い記録を狙って走れば、更に良い記録を出せていただろう。ロンドンマラソンでの序盤のハイペース(5kmが13:48、中間地点1:01:00)によって、2:06:21より速く走れた選手は2人だけであり、そのうちの1人は史上最強のマラソン選手のエリウド・キプチョゲだった。しかし、今回のプラハマラソンでのペースはもっと賢明なペースとなり、結果としてラップは、以前のトレーニングパートナーであるモー・ファラーよりも速い自己記録を持つこととなった。

【男子マラソン全米歴代TOP5】

1. 2:04:58※ ライアン・ホール 2011年 ボストン
2. 2:05:38 ハリド・ハヌーシ 2002年 ロンドン
3. 2:05:56 ハリド・ハヌーシ 2002年 シカゴ
4. 2:06:07 ゲーレン・ラップ 2018年 プラハ
5. 2:06:17 ライアン・ホール 2008年 ロンドン
※追い風+下り基調のコース(非公認記録)

【男子マラソン非アフリカ系選手歴代TOP5】

1. 2:04:58※ ライアン・ホール アメリカ 2011年 ボストン
2. 2:05:48 ソンドレ・モーエン ノルウェー 2017年 福岡
3. 2:06:05 ロナルド・ダ・コスタ ブラジル 1998年 ベルリン
4. 2:06:07 ゲーレン・ラップ アメリカ 2018年 プラハ
5. 2:06:11 設楽悠太 日本 2018年 東京
※追い風+下り基調のコース(非公認記録)

ゲーレン・ラップはマラソンの強豪選手の地位を確立

ゲーレン・ラップはこれまで6回のマラソンを経験している。

2016年 オリンピック全米選考会:優勝 2:11:13
2016年 リオオリンピック:3位 2:10:05
2017年 ボストン:2位 2:09:58
2017年 シカゴ:優勝 2:09:20
2018年 ボストン:途中棄権
2018年 プラハ:優勝 2:06:07

過酷なコンディションの影響で、23人もの招待選手が途中棄権した、2018年のボストンマラソンを除けば、ラップはマラソンで3度優勝、昨年レッツランが世界No.1の男子マラソン選手としたジョフリー・キルイに次いでの2位が1回、そしてリオオリンピックで銅メダルを獲得している。マラソン選手として悪くない成績であり、ラップは走るたびに自己記録を更新している。ゲーレン・ラップは素晴らしい10000mの選手だったが、そのキャリアが終わった時、彼は更に素晴らしいマラソン選手へとこれから飛躍するだろう。

2020年東京オリンピックで金メダルを獲得できるか?

レースに先駆けて、ゲーレン・ラップはブラジル人のユーチューバ―に、彼に1番の目標は“東京オリンピックで金メダルを獲ることだ”と語っている。

「東京オリンピックで金メダルを獲りたい。それは、走り始めてからずっと僕の目標となってる。今やっていることはすべてそこにつながっている。すごく大きな挑戦になることはわかっているけど、それに向かってやっているよ」

我々は、東京オリンピックの男子マラソンの金メダル候補に常にラップを入れている。彼の戦績を見ると、ラップはマラソンで(世界歴代上位に入るぐらいの)速い記録をまだ出していない。2:06:07は、2:04とは全く違う。しかし、それでも2:06:07は好記録であるし、ラップは今日のレースで更に速いタイムで走る力があるということを示してくれた。

ラップは暑い気候の中で走ることのできる最強の選手の1人であるという事実を考慮すると、他にもっと必要なものは何なのか?彼はすでにオリンピックで銅メダルを獲得しており、その後もマラソンで成績を残し続けている。

今日のラップの走りは、我々が期待していたそのものだった。プラハマラソンでラップより速いタイムで走っている選手がいるので(大会記録は2:05:39である)、今日の結果だけで彼について誇張することはしたくないが、今回のコースはフラットコースでないので、ラップは素晴らしい走りでこの記録を出してくれたと考えていいだろう。

スタート時の天候は晴れ、気温13.3℃、風速1.3m/秒、非常に良い気象条件
スタート2時間後の気温17.2℃(非公式なもの)

【ラップのスプリットタイム】

5km:14:52
10km:14:44 (29:36)
15km:14:52 (44:28)
20km:15:16 (59:44)
中間点:63:01
25km:15:24 (1:15:08)
30km:14:39 (1:29:47)
35km:15:02 (1:44:49)
40km:14:52 (1:59:41)
フィニッシュ:2:06:07  ※ラップは最後の2.2kmを5km14:39ペースで走った

 

レッツラン記事

http://www.letsrun.com/news/2018/05/galen―rupp―runs―20607-smash―pb―win―prague―marathon/

 

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プラハマラソン:ゲーレン・ラップが2:06:07の自己新で優勝」への1件のフィードバック

  1. ピンバック: (過去記事)ゲーレン・ラップはリオでメダルを取れるのか? – ラップとアルベルト・サラザールの15年間とリオオリンピックへの戦略 – LetsRun.com Japan

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