男子1500mで北京オリンピック、世界選手権で3回の金メダルを獲得したアスベル・キプロプの2017年の後半に採取されたサンプルから、禁止薬物のエリスロポエチン(EPO)に陽性反応を示したとして、イギリスの全国紙であるデイリーメール、ガーディアン、テレグラフなどの各紙がそれらの詳細を報じた。
キプロプは水曜日の夜に次のように語り、ドーピングについて否定している。
「自分のドーピング疑惑についての報道は読んだ。アスリートとして、ケニアのドーピング問題に最前線で関わってきた。ドーピング撲滅を信じ、サポートしてきた。2007年に初めて国際レースに出てからずっと関わってきたことを、無駄にしたくない。自分がクリーンなアスリートだということを証明できると願っている」
キプロプの代理人は、ロサ・アンド・アッソシアティ(Rosa E Associati)のエージェントであるイタリア人のフェデリコ・ロサ。過去にリタ・ジェプトゥー、マシュー・キソリオ、ジェミマ・スムゴングの世界クラスの選手たちのEPOのドーピングが発覚。これらの選手を当時、マネジメントしていたロサは、当時から現在にかけても、アンチドーピング機構のみならず様々な陸上関係者から糾弾されている。
ケニア陸連の発表では、過去5年間で40人以上の選手がドーピング検査で陽性反応を示し、ドーピングが発覚。その件数が年々増加している。
ケニアで多くの期間にトレーニングを行っているカナダのマラソン選手のリード・クールセットは、
「ケニアのドーピング検査の甘さは、カナダのドーピング検査の比にならないぐらいに甘い」
と以前に述べており、摘発されている選手は氷山の一角に過ぎず、潜在的にドーピングの闇が深いことを示唆した。
男子1500mにおいてこの10年で最高の選手
キプロプは男子1500mにおいて世界歴代3位の3:26.69の自己記録を持つ。現在28歳のキプロプはこの10年間で最高の1500m / 1マイルの選手と評されていた。
Embed from Getty Imagesキプロプは2008年北京オリンピックの1500m決勝で2着に入線し、銀メダルを獲得した。しかし、1着で入線し金メダルを獲得したラシド・ラムジがその後の2009年11月に、CERAによるドーピングによって金メダルを剥奪され、キプロプは繰り上がりで金メダルを獲得した。北京オリンピック当時、19歳だったキプロプは1912年以降で最年少のオリンピックの1500m王者となった。
その後キプロプは1500mにおいて、2009年ベルリン世界選手権では4位に甘んじたものの、2011年大邱世界選手権、2013年モスクワ世界選手権、2015年北京世界選手権において金メダルを獲得し、1500mで大会3連覇を達成した。
しかし、キプロプは1500mでリオオリンピック6位、ロンドン世界選手権9位と、この2年で今までのような実績を残せていない。今回のキプロプのEPOの陽性反応に対する処分は現在のところ明らかにされていないが、ラムジの例のように世界大会でのメダルを剥奪される可能性がある。
なお、男子1500mにおける北京オリンピックの2位はニック・ウィリス(ニュージーランド)、大邱世界選手権の2位はサイラス・キプラガト(ケニア)、モスクワ世界選手権の2位はマシュー・セントロウィッツ(アメリカ)、北京世界選手権の2位はエリジャ・マナンゴイ(ケニア)。
【アスベル・キプロプの2007年からの世界選手権 / オリンピック1500m決勝での順位】
- 2007年:4位
- 2008年:金メダル(繰り上がり)
- 2009年:4位
- 2011年:金メダル
- 2012年:12位
- 2013年:金メダル
- 2015年:金メダル
- 2016年:6位
- 2017年:9位
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