2018ボストンマラソン女子展望:フラナガン、ハセイ、ハドル、リンデンらによるアメリカ女子マラソン最強決定戦

(※第122回ボストンマラソンは、4月16日(月)日本時間22:32に女子レースがスタート、23:00に男子レースがスタートの予定)

今年もこの時がやってきた。アメリカ長距離界において歴史的レースになるであろう2018年ボストンマラソンまで、あと1週間を切った。4人の最強アメリカ女子マラソン選手が、ボストンマラソンが賞金を出すようになってから初めてのアメリカ選手の優勝を目指し、月曜日のスタートラインに揃う。

シャレーン・フラナガン、ジョーダン・ハセイ、モリー・ハドル、そしてデジ・リンデン

女子のアメリカ人選手がボストンマラソンを最後に優勝したのは、1985年大会のリサ・レインズバーガーリサ・ラーセン・ウェイデンバッチという名前で出場)だった。この年のボストンマラソンは、大会の近代化と賞金授与を拒否した大会側に反抗して多くのエリート選手がボイコットを行って棄権した大会であった。

その翌年からボストンマラソンは、優勝者に賞金授与を開始し、それから32大会連続でアメリカ人以外の海外選手が優勝している。しかし、海外勢連続優勝も月曜日に終止符が打たれる可能性が高くなってきた。今年ももちろん海外の強豪選手は集まっている。

前回王者のエドナ・キプラガト、ドバイマラソンで3回の優勝経験があり、ロンドンでも1度優勝しているエチオピアのアセレフェチ・マージアなどもいるが、それでも月曜日のレースで優勝できるほど近年良い成績を出している選手は、今回そんなに多くない。

つまり、結果的に我々はアメリカの“ファンタスティック・フォー”に注目している。このレース展望でも、彼女らのレース展開について述べている。

女子レースを分かりやすく分析し、アメリカ人選手の優勝の可能性について探った。まずは女子のアメリカ人選手の“ビッグ4”を、反アルファベット順に語る。その後、海外勢についても少し分析を行う。上り坂の多いコースで、かつ当日は雨で強い向かい風が吹くという予報に耐えられる可能性のある海外勢だけを以下にピックアップした。

 

【女子招待選手】

選手 国籍 自己記録 備考
アセレフェチ・マージア エチオピア 2:19:31 ドバイ3勝、ロンドン1勝、ロンドン世界選手権銅メダル
ディーナ・カスター アメリカ 2:19:36 現在45歳、全米記録保持者だが今大会の優勝候補ではない
エドナ・キプラガト ケニア 2:19:50 37歳で’17ボストン優勝、ロンドン世界選手権銀メダル、’17ニューヨーク4位
ブズネシュ・デバ エチオピア 2:19:59 今大会の大会記録保持者だが、それは4年前の話である
ジョーダン・ハセイ

※欠場

アメリカ 2:20:57 ’17ボストンとシカゴの激走から半年、今回は優勝できるか?
シャレーン・フラナガン アメリカ 2:21:14 36歳にして’17ニューヨーク優勝、ボストンでも期待される
マミトゥ・ダスカ エチオピア 2:21:59 ’17ニューヨーク3位
デズリー・リンデン アメリカ 2:22:38 昨年を含みボストンで過去3回の4位以内
マダイ・ペレス メキシコ 2:22:59 ’17シカゴ4位
キャロライン・ロティチ ケニア 2:23:22 ’15ボストン優勝から不振だが、’17アムステルダムで2:26
グラッディズ・チェシル ケニア 2:24:51 大穴候補、’17アムステルダム初マラソンで2位
セレーナ・ビューラ アメリカ 2:26:53 ’17大阪国際女子で自己記録更新、ロンドン世界選手権11位
モリー・ハドル アメリカ 2:28:13 1月にハーフ全米記録を樹立、16ニューヨーク初マラソンで3位
クリスタ・デュシェーン カナダ 2:28:32 2015年から2:30を切ってない
ケリン・テイラー アメリカ 2:28:40 ’17ニューヨーク8位
ケリーズ・アリアス コロンビア 2:29:36 ’17バレンシア7位
ジェシカ・ピーターソン デンマーク 2:30:07 ’17シカゴ14位

アメリカ勢が優勝するとしたら、誰が勝つのか?

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デジ・リンデン:アメリカ、34歳、自己記録2:22:38(2011ボストン)、ハーフ70:34

この2回のマラソン成績:リオオリンピック7位(2:26:08)、2017ボストン4位(2:25:06)、調整レース:3月ニューヨークシティハーフ8位(73:33)

陸上専門家たちを集めて今回の女子のレース展開について話し合った際、リンデンについての結論はこうだった。アメリカ勢の中では一番優勝する可能性が低い。しかし、過去の彼女のボストンマラソンでの安定した走りを考えれば(過去4回出場して2位、8位、4位、4位)、彼女のポテンシャルを十分に発揮した走りをしてくれるだろう。

彼女のポテンシャルがどのようなものなのかは、正確にはわからない。リンデンは速いペースで押していくタイプの選手ではない。今年のニューヨークシティハーフのコンディションも良くなかった。そこでの彼女の73:33という記録はそこまで良い記録には見えないが、ボストンマラソンでそれ以上の速いペースで彼女が走ったとしてもなんら驚くことではない。

彼女の調整具合は正確には把握していないが(金曜日の招待選手の記者会見で少しは分かるだろうが)、把握していることももちろんある。その1つとして彼女の考えられうる限界点は、他の3人の選手ほどは高くはない。4人のアメリカ人女子選手の中でも、現時点では2:20切りはできないだろうと考えられる選手である。

ボストンマラソンのコースは高速コースではないが、それでもスピードという要は重要な要素である。彼女もそれと同じことを感じているのかもしれない。彼女は昨年の秋のマラソンを走らずにスピードに磨きをかけるトレーニングを積んできた。

もし、リンデンが優勝すると仮定すると、彼女が優勝するためには誰かの手助けが必要になるだろう。リンデンが自己記録を出し、他の選手も自己記録を出したのならばリンデンの優勝はない。それは仕方がのないことである。

調整不足や体調不良や戦略的なミスは、マラソンにおいてはいつでも起きることである。リンデンにはそのようなことは滅多には起こらない。昨年のボストンでは、彼女は前半と後半を完璧なイーブンスプリットで走った。前半が1:12:33、後半が1:12:33。もし誰かが前半速すぎるスピードで走って後半そのペースが落ちると考えると、後半もイーブンペースを保てるリンデンがその選手を飲み込む可能性がある。

しかし、他3人のアメリカ勢が強いため、月曜日にリンデンがアメリカ人トップでゴールすることはあまり考えられない。過去3回のボストンマラソンでの彼女の走りをみても、それはわかるだろう。2014年(2:23:54の8位)、2017年(2:25:06の4位)、リンデンはそれぞれいい走りをしたものの、同じアメリカ人選手の影に隠れてしまっている(2014年はフラナガン、2017年はハセイ)。

彼女のパフォーマンスは2014年も2017年も大体同じ感じであったが、2015年のレースに関してはフラナガンの走りが良くなかったので、リンデンはアメリカ人最上位の4位に入った。月曜日のボストンマラソンでフラナガン、ハセイ、ハドルの3人のうち誰かがA+の素晴らしい走りをしたらリンデンに勝ち目はないであろうが、いつも堅実に走るリンデンにとってライバルたちに何かハプニングが起こればチャンスはある。

レース当日、向かい風の予報となるのはリンデンには朗報かもしれない。ペースがそこまで上がらない可能性が高い。

 

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モリー・ハドル:アメリカ、33歳、自己記録2:28:13(2016ニューヨーク)、ハーフ67:25

前回のマラソン:2016ニューヨーク3位(2:28:13)、調整レース:1月ヒューストンハーフ7位(67:25)、3月全米15kmロード選手権優勝(47:50)

1月にハーフマラソンの全米記録を更新し、3月に全米15kmロード選手権を優勝した彼女の調子を考えれば、この記事を書く前でも彼女の2回目のマラソンの結果を楽しみにせざるをえないだろう。

月曜日の夜に、彼女のコーチであるレイ・トレーシーに話を聞き、さらに楽しみが増した。彼へのインタビューを一文で表すとすれば、こうだ。

「レイ・トレーシーは、モリー・ハドルの調整が完璧であると信じている」

幸いなことにインターネットに文字数の制限はないので、トレーシーの洞察を余すことなくシェアすることが可能である。プロビデンス大学の陸上部のヘッドコーチでもあるアイルランド出身のトレーシーは、物事を誇張して述べるタイプの人ではない。

つまり、彼が“もしモリーがベルリンやロンドンのようなフラットコースを今走れば、2:20は切れるだろう”と語れば、そういうことになる。念のために言えば、2006年ロンドンマラソンでのディーナ・カスター以外に、アメリカ人の女子選手でマラソンで2:20を切った選手はいない。

覚えているだろうか。彼女が前回のマラソン(初マラソン)を走った際、2016年ニューヨークシティマラソンで2:28:13の3位だった時、2016年のリオオリンピックで30:13という10000mの全米記録を出してからたったの12週間後だった。その年の7か月半でハドルがやったことの全てが、リオでの彼女の走りを可能にさせた。

ニューヨークシティマラソンへ向けた準備期間はそれよりも大幅に短縮され、レース自体も、彼女のマラソンデビューを成功させるためにリスクを避けたものになっていた。しかし、今年の状況は全く違うといえる。

「昨年のニューヨークシティに関して言うと、トラックからマラソンへの転向にとても慎重になっていた。今回のボストンマラソンに向けた様々なことを考えると、昨年のニューヨークシティに出場することはできなかった」

トレーシーはこのように語った。トレーシーによると、昨年のニューヨークシティの時とは違って、ハドルはトレーニングに関しては今回やれることは全てやってきたという。昨年のロンドン世界選手権以降、今年のボストンマラソンは彼女の長期的目標のゴールだった。彼女がハセイに73秒差をつけて67:25のハーフマラソン全米記録を出した1月のヒューストンハーフは、ボストンマラソンへ向けた“ミニ(mini)・ピーク”という位置づけだった(ハドルは3月10日に行われた全米15kmロード選手権でもハセイに50秒の差をつけて勝っている)。

ハドルはマラソンへスムーズに移行するためにこの冬の走り込みの前となる秋にかなり良い筋力トレーニングを積んでいた。ハドルは健康状態も完璧で、トレーシーハドルに与えた追加メニューも完璧にこなし、トレーシーを驚かせていた。

ハドルはかなり距離をふんでおり(トレーシーは10~12日間サイクルのトレーニングを取り入れている。おおよそハドルは週に110マイルほど=176kmほど走っている計算になる)、彼女のロングランはかなり長い。ニューヨーク前の最大22マイル(35.2km)に比べると、今回は最大24か25マイル(38〜40km)走っている。

また、“ヒューストンマラソンの週にハドルは風邪を引いていた”とトレーシーは明かしてくれた。“風邪を引いていなければ、67:00は出せただろう”と語った。

ハドルフラナガンリンデンのようなマラソン経験はないものの、ロードでは多くの成功を収めてきた。2012年3月以降、ハドルはロードレースでアメリカ人選手には負けなしである。そして、2016年のニューヨークシティのときよりも、かなりの準備ができている。

彼女がボストンマラソンを走り終わるころ、リスクを取るということにも自信をつけていることだろう。ハドルが初マラソンで良い走りをしたという事実を思い出してほしい。2016年のニューヨークシティで彼女が3位でゴールした時、ハドルはラスト5.2マイルを、優勝したメアリー・ケイタニーよりも速いペースで走っている(ケイタニーハドルに3:35秒差をつけて優勝しているが)。

ロードで養われたハドルの能力とそれによる成功は、彼女がいつかマラソンでも成功するだろうということを示している。月曜日のボストンマラソンは、彼女がそれを証明できるいいチャンスである。

 

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【※欠場】

ジョーダン・ハセイ、アメリカ、26歳、自己記録2:20:57(2017年シカゴ)、ハーフ67:55

この2回のマラソン成績:2017ボストン3位(2:23:00)、2017シカゴ3位(2:20:57)、調整レース:1月ヒューストンハーフ8位(68:38)、3月全米15kmロード選手権2位(48:40)

マラソンデビューとなった昨年のボストンマラソン前のハセイの期待度はかなり高かった。彼女の2回目のマラソンとなったシカゴマラソンよりもその期待度は高かったといえる。

しかし、両レースとも彼女は周りの高い期待にも臆せず素晴らしい結果を残した。ボストンマラソンでは2:23:00の3位に入り、女子の初マラソン全米記録を約3分更新した。その後のシカゴでは2:20:57の3位に入って全米歴代2位の記録を叩き出した。月曜日のボストンマラソンは彼女にとって3回目のマラソンとなり、彼女はここでも素晴らしい走りを見せてくれるだろう。

注目すべきは、これまでの彼女の素晴らしいマラソンでの記録の中に“優勝”という2文字を加えることができるか、ということだ。ハセイは目標としているレースに向けてたくさんレースを走ることを好む選手である。これまでのマラソン前にも、準備として多くのレースを走ってきた。

2017年ボストン 2017年シカゴ 2018年ボストン
調整レースその1 ヒューストンハーフ4位(68:40) ビーチ・トゥ・ビーコン10km7位(32:37) ヒューストンハーフ8位(68:38)
調整レースその2 全米15kmロード選手権優勝(49:28) 全米20kmロード選手権優勝(66:35=ハーフ70:14ペース) 全米15kmロード選手権2位(48:40)
調整レースその3 プラハハーフ3位(67:55) フィラデルフィアハーフ3位(70:42) 世界ハーフマラソン欠場

我々がここでポイントとして挙げるのはシカゴマラソンへ向けた準備の2レースは、かなり暑かった(記録が伸びなかった=参考外として考えてよい)ということである。2017年ボストンへ向けた調整と同じように、彼女は今回の調整においても調子を上げていった(2017年シカゴ前のフィラデルフィアハーフで70:42だが、それから1ヶ月も経たないうちにシカゴで2:20で走ったいうことで説明がつく)。

ボストン前の調整レースを見てみると、1つのポイントが見えてくる。2つのレースでハセイハドルに負けているが、ハセイは両レースでのタイムを昨年よりも上げてきている。最後の調整レースになるはずだった3月24日の世界ハーフマラソン選手権を、足底筋膜炎の症状で大事をとって欠場している。ボストンマラソンの3週間前のレースを欠場するというのは良い傾向ではないが、それに関しては我々はそこまで心配をしていない。

世界ハーフマラソン選手権をハセイが棄権すると発表された時、彼女の代理人であるリッキー・シムスは我々にこうメールをくれた。

「ボストンマラソンが近いため、大事をとって棄権した。ボストンでは彼女は回復しているだろう」

彼の言葉を我々は信じている。ハセイは4月2日に19kmのトレーニングを余裕をもってこなしている。思い出してほしい。ナイキオレゴンプロジェクトのチームメイトのゲーレン・ラップも、昨年のボストンマラソン前に足底筋膜炎に苦しんだが、それでも2位という結果を残している。

ハセイの残りのトレーニングも順調に進んでいる。コーチのアルベルト・サラザールが地元メディアのオレゴニアンに述べたところによると、コンディションが良ければハセイが2:20を切れると考えているとのことだ。しかし、予報によれば当日のコンディションは良いとはいえなさそうで、サブ2:20はお預けとなりそうだが、そのぐらい調子が良い彼女は優勝争いに絡んでくることは間違いない。

出来の良かったマラソンを2つ走った後に、ボストンでも出来の良い走りをするのは難しいとする悲観的な見方をする人もいるだろう。確かに3回連続でマラソンで好結果を残すのはかなり難しいが、我々はハセイを優勝争いから除外するつもりはない。成功した過去2回のマラソンの経験をもってボストンを走るのと、失敗した過去2回のマラソンからボストンを走るのでは、明らかに前者の方が希望はあるだろう。

もっと言えば、彼女はすでに素晴らしい選手だから、今回のレースでさらにいい結果を残す可能性もある。昨年はマラソン選手として初めての1年を過ごし、26歳の彼女にはまだまだ成長の余地はある。30代のフラナガンハドルは今でも強い選手であるが、2人ともハセイほど早い段階からマラソンを走ってはいなかった。ハセイの最高の1年がまだ先にある可能性は高い。

 

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シャーレーン・フラナガン:アメリカ、36歳、自己記録2:21:14(2014ベルリン)、ハーフ67:51

この2回のマラソン成績:リオオリンピック6位(2:25:26)、2017ニューヨークシティ優勝(2:26:53)

間違いなくアメリカの最強女子選手であるフラナガンは、マラソン史上最強ランナーであるメアリー・ケイタニーを前回のニューヨークシティマラソンで破っており、一度は引退することも視野に入れていたが、その5カ月後のボストンマラソンに出場を決めた。彼女のような圧倒的な優勝候補を加え、今回の女子アメリカ勢がいかに強いか、という期待がかかる。

ニューヨークシティマラソンでは、確かにフラナガンにとってラッキーな要素もあった。ケイタニーがレースの前に体調を崩し万全な状態ではなかった。しかし、それ以上にフラナガンの調子はこれまでにないぐらいに良く、強くそしてスマートなレースをみせてくれた。それが、いつものフラナガンの姿だ。

彼女はこれまで10回のマラソンを走って、ほとんどすべてのレースで堅実な走りをしてきた。途中棄権をしたこともなく、一番成績が悪かったので2015年のボストンマラソン9位である。しかし、その時の記録でさえも2:27だ。彼女がスタートラインに立つということは、良い結果を期待せずにはいられない。

フラナガンは背中の故障から去年のボストンマラソンを回避した後、体力回復のために休養を取って、ニューヨークシティに向けた調整に入っていき、これまでにないぐらいに調子を上げた。コーチのジェリー・シューマッハーはレース後に、“フラナガンはこれまでにないぐらいに調子が良かった”と述べた。それ以来、フラナガンに関しては悪い話は聞かない。1月にトラックレースを何本か走り、室内3000mで8:43という記録を出した。

マラソンに重点を置く36歳の選手としては素晴らしい記録である。ボストンマラソンへ向けたトレーニングは、順調に進んでいるだろう。考えすぎだろうか。5か月前のフラナガンは、競技人生の中でも一番調子が良かった。そして、ニューヨークシティマラソンで優勝した。今回のボストンで、彼女がアメリカ人トップでゴールしないなんて、誰が考えるだろうか。

彼女はきっとアメリカ人トップでゴールするだろう。ハセイの2:20:57 やハドルのハーフ67:25の記録もすごいが、ニューヨークシティマラソンでのフラナガンの優勝と比較してみても、彼女たちはこれまでにメアリー・ケイタニーのような選手を破ることはできなかったであろう。かつ、2人ともフラナガンのようにオリンピックでのメダルを獲得していない(マラソンではなく、トラックでの話ではあるが)。

その他の優勝候補は?優勝への必須条件はサブ2:24を達成していること

今回のボストンでアメリカ人選手の優勝の可能性について示す大きな理由がある。近年、我々はワールド・マラソン・メジャーズのレースで“優勝の可能性を持つ選手”を予想する統計を導き出した。最近のワールド・マラソン・メジャーズの女子の31レースの優勝者のうち、30人はそれまでにサブ2:24を達成している選手か、もしくは世界選手権でメダルをそれまでに獲得している選手であった。

いつもならこの条件を満たしているアメリカ人選手は1人ぐらいであるが、今回は3人(フラナガン、ハセイ、リンデン。そして、ハドルはどちらにも該当しないが、それでも優勝の可能性を持つ選手であると確信している)。実際には、45歳のディーナ・カスターを含めば4人となる。カスターを含んで合計10人サブ2:24達成者がいる(そして彼女たち以外の選手は誰も世界選手権のメダルを獲得していない)。

統計上は10人の優勝候補がいるわけであるが、その中でも本当の優勝候補は限られている。ボストンで優勝する可能性が高い7人の“優勝の可能性を持つ選手”(先述したアメリカのビッグ4を除いて)を以下にみていく。

 

7. ディーナ・カスター、自己記録2:19:36:現在45歳、2006年以来2:24を切っていない。優勝の可能性はない。
6. マダイ・ペレス、自己記録2:22:59:昨年のシカゴ4位(2:24:44)、しかし2006年に1度サブ2:24を達成したのみ。前哨戦のニューヨークシティハーフでは73:40(リンデンの7秒後の9位)、優勝の可能性は、ほぼない。
5. ブズネシュ・デバ、自己記録2:19:59:2014年ボストンで大会記録で優勝、2015年ボストンでは2:25:09で先頭と14秒差の3位、しかしながら、それが現在30歳の彼女の最後のサブ2:30だった。それからのWMMでは7位が最高順位である。近走で安定していないので彼女の優勝の可能性は少ない。
4. キャロライン・ロティチ、自己記録2:23:22:2014年ボストンで優勝、しかしその後2015年ニューヨークシティ10位(2:33)、2017年アムステルダム6位(2:26)の2レースしか完走していない。前哨戦のニューヨークシティハーフでは73:38の10位(気象条件があまり良くなかった)優勝の可能性は非常に少ない。
3. マミトゥ・ダスカ、自己記録2:21:59:現在34歳で2012年以来でサブ2:24を達成していない。この2回のボストンでは9位と12位と苦戦している。2016年フランクフルトで優勝(2:25:27)、2017年ニューヨークシティでフラナガンケイタニーに破れての3位。彼女は前哨戦のニューヨークシティハーフで72:50だったが、そのレース73:31だったベッツィー・サイナがこの日曜日のパリマラソンを2:22:56で優勝した。とはいえダスカの優勝の可能性は少ない。
2.アセレフェチ・マージア、自己記録2:19:31:ドバイ優勝3回(2011、2012、2015)、ロンドン優勝(2010)、2015年ドバイを2:20:02で走って以来、2:23:53よりも速い記録を出していなかったが、2017年ロンドンで2:23:08の3位に入った(ロンドン世界選手権は12位)。比較材料としていえば、現在36歳のフラナガンが、昨年のニューヨークシティを優勝する前に、2012年からマラソンで優勝しておらず(優勝は2012年全米オリンピック予選のみ)、そして2014年からサブ2:25を達成していなかった、という事実がある。そのようなことから総合的に考えて彼女を優勝候補としてみておくべきだろう。
1. エドナ・キプラガト、自己記録2:19:50:2017年ボストン優勝、その後のロンドン世界選手権銀メダル、しかしその後のニューヨークシティでは4位。彼女は現在38歳であり、年齢が数字であるだけということを証明できるか。

 

以上のように、過去の成績と最近の傾向を見る限り、5人の選手が優勝候補として挙がるだろう。マージア、キプラガト、ハセイ、フラナガン、ハドル、そのうち3人がアメリカ人である。アメリカ人選手が最近の素晴らしい走りや、ケイタニーディババのような強力な選手が今回出場しないことを考えれば、このレースの優勝予想のオッズでアメリカ人選手は、ワールド・マラソン・メジャーズが始まって以来、一番期待値が高くなっている。

彼女たちのオッズは間違いなく、昨年のニューヨークシティでのフラナガンの優勝を期待するときのオッズよりも、ケイタニーが昨年のロンドンを2:17:01で優勝したときのような圧倒的なオッズを示している。かといって、それは必ずしもアメリカ人が優勝するとことを意味しない。前回王者のキプラガトが調整をうまくしてきたと仮定すれば、彼女を優勝候補の筆頭として挙げるべきである。

確かに、フラナガンは昨年ニューヨークシティでキプラガトに勝ったが、キプラガトは2回の世界選手権での金メダル、ボストン、ロンドン、ニューヨークシティでの優勝経験、そして自己記録は2:19:50であり、彼女はアメリカ人選手の誰よりもマラソン経験を持っている。彼女は現在38歳であるが、ボストンに優勝しロンドン世界選手権で銀メダルを獲得したように、2017年の間に年齢による理由でパフォーマンスを落としたとは考えにくい。

一方、マージアは出場選手中で最速の自己記録を持っているが、昨年の彼女の2回目のマラソンはあまり良くなかった(ロンドン世界選手権12位)。それでも昨年のロンドンで3位に入り、彼女に勝ったのは現在の女子マラソンで世界最強の2人、ケイタニーディババだった。 フラナガンやハドル、ハセイがマージアよりも優勝候補であると主張することもできるが、マージアが今回のレースで優勝する事をイメージするのは難しいことではない。

私たちの知っていないところでいえば、キプラガトマージア、そして彼女たちの代理人とコンタクトをとっていないので、彼女たちの今の調子を把握できていないが、金曜日の記者会見でそれについて探る。彼女らが良い調整をしてきていたとしても、今回のアメリカ人の優勝の確率は少なくとも50%はあるだろう。

 

レッツラン記事

http://www.letsrun.com/news/2018/04/2018-boston-marathon-womens-preview-shalane-flanagan-jordan-hasay-molly-huddle-desi-linden/

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