【LRCJオリジナルインタビュー記事】ハーミッシュ・カールソン(リオオリンピック男子1500mNZ代表)その1

ナショナルレベルからインターナショナルレベルへ

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2014年のニュージーランド選手権1500mで優勝したレース

2010年から、1500mではニュージーランド選手権5回優勝、3000m3回優勝(ハーフマラソン1回優勝※ハーフマラソンベスト66:05・マラソン2:27:16)と、国内でのレースではそのほとんどを優勝で飾っている。

彼にとっての初めての世界大会(※アメリカやヨーロッパでの国際大会を含めて)は2011年のワールドユースゲームズであった。オーストラリアのレースに参戦し、トップランナーが集まるレースには何度か出場したことがあったが、『世界水準』というレベルではなかった。

ニュージーランドの選手は、アメリカへ留学し多くの経験を積んで成長していく中で、世界水準を近くで見る、またレースに参加する、ということが最も自然な流れなので、ハーミッシュの選んだ道『ニュージーランドで成長し、ニュージーランドをベースに世界に挑む』という選手は非常にまれである。

ハーミッシュ自身『走ること』と『海外でレースをすること』を両立することは在学中は難しいと感じていたようである。そのため大学卒業後に本格的に国内外の多くのレースで経験を積み重ねることによって、20代後半になってもまだまだ成長し続けることができているのである。

まずは『大学で学業に専念すること』、そして選手としてゆっくりであるが確実に成長していくことが、2016年リオ五輪での彼にとっての最初のオリンピック出場へとつながっていく。

最も印象に残っているレース

ハーミッシュに、今まで見てきた中で最も印象に残っているレースは?と問うと、

『コモンウェルズゲームでのジョン・ウォーカーのレース』と、楽しそうに話した。

タンザニアのフィルバート・バイが3:32.16の世界新記録のタイムで優勝したレース。ウォーカーも当時の世界記録を上回る3:32.52で2位に入った

「自分が子供の頃に見たニュージーランド中距離のレジェンドであるジョン・ウォーカー(当時の1マイル世界記録保持者※3:49.4、1976年モントリオールオリンピック1500m金)のように自分も走りたい。」

そう話すハーミッシュ自身もニュージーランドを代表するランナーになり、多くの夢や希望をジュニアアスリートに与え、同世代のランナーの走ることへのモチベーションを高め、そしてマスターグレードのランナーや観衆を熱狂させる走りを毎年たくさん見せてくれるランナーである。

2016年のクックス・クラシックの1マイル。1位のニック・ウィリス、2位のハーミッシュ・カールソン、3位のエリック・スピークマンが春に向けたシーズン前に揃ってサブ4を達成

筆者の私自身、彼と同じチームで一緒に走るようになってからあまり日がたっていないが、その中でも多くのエキサイティングなレースを見せてくれた。そんな彼に、

「自分の最も印象に残っているレースは?」と聞くと、

「たくさんあるが、と少し間をおいて『2016516日の1500mの自己新記録を出し、リオオリンピック出場を決めたレース』」

と、答えてくれた。このレースでハーミッシュ3:36.25というリオオリンピックの男子1500mの参加A標準にわずかに届かなかったレースであるがその後、結果的にオリンピックの追加召集でリオオリンピックへの出場が決まる。

(※競技人口が多く、世界的にもレベルの高い1500mという種目では、参加標準記録の突破が非常に難しい。その1500m2016年にニュージーランド代表は3人の代表選手をオリンピックに送ることができた)

このレースではともにニュージーランド代表になったジュリアン・マシューズ3:36.14ハーミッシュ・カールソン3:36.25という非常にレベルの高いレースとなり、標準記録突破を目指すニュージーランドの中距離選手の活躍で、オリンピック前にニュージーランド国内では海外から届く映像に対して非常に盛り上がっていた。そして、ハーミッシュにとっては、

「オリンピックというレースは自分のランニングキャリアの中で忘れられない大きな大会となった」

とも話す。そんな国際的な選手に成長したハーミッシュ自身、オリンピック前には競技キャリアで非常に苦しい経験をしていた時期もあった。

ランニングとモチベーション

ハーミッシュが子どもの頃から取組んでいたクロスカントリースキーでは常にトップを走り、陸上競技を始めてからジュニア期の練習も毎日楽しく取り組めた。大学在学時、卒業後も少しずつキャリアを重ね、2016年に27歳で初のオリンピック出場を迎える。

客観的に見れば順風満帆な競技キャリアにも写るが、実際に長く競技を続けていく上ではうまくいかないシーズン・練習・レース・体調など様々な挫折があったようである。そういったネガティブなことを乗り越えられた最も大切なポイントとして『モチベーション』を取り上げて話してくれた。

コーチングに関して、練習・レースに関して、キャリアの中で、『モチベーション』が自身の競技生活な中で大切な部分を占めていると話すハーミッシュ。各ポイントでの気持ちの強さは逆境を乗り越える強さだけでなく、走ることへの情熱をさらに高めることで常に上昇曲線を描いていることが根幹にあるように感じる。

 

その2に続く。

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©2017 SushiMan Photography

2017年12月のホノルルマラソンの前日に行われたカラカウアメリーマイルに出場

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©2017 SushiMan Photography ゴール前

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©2017 SushiMan Photography

レース後のハーミッシュ・カールソン(右)と話す筆者(赤いTシャツ)

 

【筆者プロフィール:谷本啓剛】

ニュージーランド・ウェリントン在住

ランニングガイド・RunZ(ラン・ニュージーランド)代表、酒井根走遊会主宰

【RunZ(ラン・ニュージーランド)】https://runnewzealand.wordpress.com/

【酒井根走遊会(オンライン陸上部・駅伝部)】https://ameblo.jp/dashpiro

 

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【LRCJオリジナルインタビュー記事】ハーミッシュ・カールソン(リオオリンピック男子1500mNZ代表)その1」への7件のフィードバック

  1. Tk

    いつも楽しく拝見しています。更新されるのがとても楽しみで待ち遠しいです。ニュージーランドの選手のごく余り知られない陸上競技を志した「動機付け」が興味深かったです。日本では駅伝や地元の有名高校に憧れて・・なのでしょうが、彼らはいろんなスポーツを経験した末にたどり着いた選択肢。ジュニアから限定されないオールマイテイーなスポーツ経験の中から中長距離に辿り着いた。という部分で大きな違いがあるような気がします。おそらくウォーカーも様々なスポーツを経験した末に辿り着いた選択肢だったのかもしれませんね。そういう選手のもつ運動能力や神経回路は、種目が早期に限定される国内と大きく異なるのでしょうね。そのような魅力的な風土や環境も非常に興味深いです。ぜひニュージーランドに行きたいです。

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    1. コメントありがとうございます。陸上競技を子どもの時に取り組みながら、いまはオールブラックス(NZラグビー代表チーム)で活躍する選手もいたりと、小さい頃はマルチスポーツに取り組む文化です。これからもNZの情報を発信していきます。興味深い情報を発信できるよう、尽力致します。

      いいね

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