2018年RAKハーフ:女子はファンシー・チェムタイ(ケニア)が世界記録にあと2秒に迫る世界歴代2位の1:04:53で優勝、男子はビダン・カロキ(ケニア)が世界歴代4位の58:42で2連覇

UAE(アラブ首長国連邦)の首長国の1つであるラス・アル・ハイマで朝6時30分スタートで行われた、2018年のRAKハーフマラソンには、これまでにないような実力揃いのメンバーが多く集結し、かつてない高速レースが期待された。そして、それは現実のものになった。女子の優勝者は、もう少しで世界記録に届くタイムで走ったのである。

男子優勝のビダン・カロキ(58:42)も、女子優勝のファンシー・チェムタイも、ともに世界歴代4位以内の記録で走った。カロキは、ゼルセナイ・タデッセの世界記録の58:23には及ばなかったが、チェムタイは、10月のバレンシアハーフでジョイシリン・ジェプコスゲイが出した世界記録の64:51にあと2秒と迫った。

(※世界記録を出せばタイムボーナスの$100,000=約1100万円の賞金が出る予定だった)

この記録は、23歳のチェムタイにとっては43秒の自己記録更新となる記録だった。チェムタイは2017年の、ジェプコスゲイが世界記録を出したバレンシアハーフで彗星の如く現れ、そこでは65:36で走った。

今回のRAKハーフのゴール前50mのラストスパートで飛び出すまでチェムタイは、レースが始まってから終始、メアリー・ケイタニーと並走していた。ケイタニーはこのRAKハーフで2年連続の自己新記録で走ったが(2017年35歳で65:13、2018年36歳で64:55)、2年連続で2位に終わった。彼女たち2人の走りは、史上最速のワンツーフィニッシュとなった。世界記録保持者のジェプコスゲイも出場していたが、中盤で失速し66:46の5位に終わった。

男子のレースを制したカロキは2位と18秒差をつけての優勝だった。2位のエチオピアのジェマール・イェメールは注目に値する選手である。21歳の彼は2017年の世界クロカンで4位、ロンドン世界選手10000mで5位(ファラーと終盤まで競り合った)だった。59:00という記録は初ハーフマラソンの男子の世界最高記録となった。

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女子のレースは、歴史的なレースだったといえる。これまでの女子ハーフマラソンの歴史においても1番のレースである。史上初、同じ大会で2人の選手がサブ65:00でゴールし、同じ大会で4人の選手がサブ66:00を達成したのも初めてである。7人の選手がサブ67:00を達成したのも初めて、9人の選手がサブ68:00、11人の選手がサブ69:00を達成したのも初めてのことである。

男子は、カロキイェメールの後ろでゴールした7人の選手がサブ60:00を達成したが、これは史上初の記録ではなかった。2014年エアテル・ニューデリーハーフで、9人の選手がサブ60:00を達成していた。

女子レース展開

ジョイシリン・ジェプコスゲイ(女子ハーフマラソン世界記録保持者ファンシー・チェムタイもレース前から世界新記録を狙う高速ペースのレースを希望しており、例年の如く男子ペーサーの先導によって、その通りの高速ペースでレースは進んだ。

先頭集団は5kmを15:13で通過し、10kmを30:33で通過した。この時点で、先頭集団は4人にまで絞られた。ジェプコスゲイ、チェムタイ、ケイタニー、そしてキャロライン・キプキルイだ。キプキルイは、1月14日のヒューストンハーフマラソンで2位の選手である。10kmが30:33というのは、64:27ペース=世界新記録ペースだった。

驚いたことに、14kmで失速して離れたのはジェプコスゲイだった。昨年、2回もハーフの世界記録を更新し、2017年のRAKハーフ以来ロードで負けなしのジェプコスゲイが先頭集団から離れた。キプキルイは、しばらく喰らいついた。20kmあたりで遅れ始めたが、それでもチェムタイケイタニーがゴール前のラストスパートに入るまで、その差を10mほどに保っていた。

20km通過は61:33(64:56ペース)、世界記録更新は最後の最後までわからない状況だった。チェムタイはゴール手前50mまではケイタニーと並走し、そこからラストスパートをかけるという作戦で優勝を勝ち取った。しかし、世界記録は実現しなかった。

もし彼女がもう少し早くから前に出ていれば(そして、フィニッシュラインで喜んでスピードを緩めていなかったら)、世界記録更新への望みをあと3秒を縮められたかもしれない(そして世界記録のタイムボーナスの$100,000も)。ただ、ハーフマラソン64:53という記録は、それだけで文句なしの記録なのだが。

キプキルイは自己記録を大幅に更新する65:07の3位でゴール、世界歴代5位の記録となった。もしそのタイムで1年前に走っていたら、世界新記録になっていた記録である。

テレビ放送の実況によると、先頭集団(ケイタニー、チェムタイ、キプキルイ)は10マイルをポーラ・ラドクリフの世界記録の50:01よりも早いペースで通過したとのこと。しかし、彼女らの正確なスプリットが放送されていなかったこと(アナウンサーのティム・ハッチングスが、後になって49:29だったと伝えたが)、IAAFが正式に10マイルの種目での記録を世界記録として認めていないことを考慮すると、その通過記録が世界記録として批准されることは期待できない。

男子レース展開

女子と同様に、男子も驚くほど速いスプリットで進んだ。5kmが13:53、10kmが27:48、そして更にすごいことに、10km地点で先頭集団には10人もの選手が残っていた。中間点で10人もの選手がハーフ58:36ペースで走っていた。

13kmでアレックス・キベットがペースを上げ、集団がばらけ始める。キベットの後方では4人の選手が1列で走っていた。カロキ、エドウィン・キプトゥー、58:48の記録を持つジョラム・オコンボ(出場選手の中で唯一のサブ59:00の記録保持者)、そしてハーフマラソンデビューとなったエチオピアのジェマール・イェメールの4人である。キベットは15kmまでそのペースを保ったが(10km~15kmが13:55)、しかし2連覇へのラストスパートをそこからかけたのはカロキだった。

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ラスト5kmで仕掛けたカロキは、後方の選手をみるみる引き離した(放送ではここで女子の方に画面が移ってしまったので、このカロキの動きを見ることができなかった)。そこからはカロキの独走だった。58:42という大会記録で2連覇を達成し、昨年のRAKハーフで出した自己記録からも28秒速い記録だった。58:42がどれほど速いのか?

5kmごとのスプリットは、13:53, 13:55, 13:56, 13:57である。そう、とてつもなく速い。

ジェマール・イェメールって誰?

イェメールは、去年のロンドン世界選手権10000mや世界クロカンで5位以内に入っていたが、世界の主要大会でのメダル獲得はまだなかった。初ハーフマラソンの世界最高記録で走ったイェメールとは一体誰なのか、知りたい人も多いだろう。彼のマネジメントをしているMoyoスポーツのツイートが、親切にも彼の紹介をしてくれている。

「彼には初ハーフで60分を切ってほしいと思っていたし、先頭集団がどんなペースでいったとしても彼ならやってくれると思っていた」

と、イェメールのエージェントであるマルコム・アンダーソンはレッツランに話してくれた。

「すごいいい走りを彼はしてくれた。2017年のシーズンに彼はすごく集中していて、ロンドン世界選手権で自己記録を出し(10000m26:56)、難コースのマルセイユ20kmでの彼の走りを見て、ハーフで60分はをれる自信があった」

アンダーソンが言ったように、イェメールは10月にマルセイユの20kmで優勝したが、そこでの記録の59:16は、今日のハーフマラソン(59:00)よりも遅かった。20kmよりも1.0975km長いにも関わらず。

「イェメールは3月24日の世界ハーフマラソン選手権出場を目指しており、世界ハーフに選出されなければ、3月11日のリスボンハーフマラソンを走る予定だ」

と、アンダーソンは話してくれた。

 

【男子総合結果:トップ18】※一般含めて計2278人が出場

 

ゼッケン 選手 国籍 5km 10km 15km 20km 記録 総合順位 種目別順位
1 ビダン・カロキ 13:53 27:48 41:44 55:55 58:42 1 1
19 Jemal Yimer 13:53 27:49 41:44 55:56 59:00 2 2
11 Alex Kibet 13:52 27:48 41:43 55:58 59:06 3 3
2 Jorum Lumbasi Okombo 13:53 27:48 41:44 56:27 59:36 4 4
43 Morris Gachaga 13:52 27:48 41:54 56:27 59:36 5 5
15 Wilfred Kimitei 13:53 27:49 42:02 56:38 59:40 6 6
8 Edwin Kiptoo 13:52 27:48 41:54 56:39 59:54 7 7
41 Benard Kimeli 13:52 27:49 42:10 57:06 1:00:16 8 8
9 Vincent Rono 13:53 27:49 42:17 57:07 1:00:24 9 9
10 Lelisa Desisa 13:53 27:49 42:10 57:06 1:00:28 10 10
4 James Wangari 13:52 27:48 42:22 57:34 1:00:50 11 11
12 Geoffrey Yegon 13:53 27:50 42:17 57:12 1:00:50 12 12
13 Shadrack Kimining 13:53 28:00 42:50 58:40 1:00:57 13 13
5 Josphat Tanui 13:53 28:02 43:21 58:53 1:02:07 14 14
6 Albert Kangogo 13:54 28:28 43:39 58:54 1:02:09 15 15
103 Anouar El Ghouz 15:14 30:28 45:48 1:00:50 1:03:57 16 16
150 Ismail Ssenyange 15:14 30:27 45:48 1:00:59 1:04:23 17 17
20 Bitew Endalew 14:52 28:38 45:46 1:01:09 1:04:45 18 18


【女子総合結果:トップ25】※
一般含めて計766人が出場

ゼッケン 選手 国籍 5km 10km 15km 20km 記録 総合順位 種目別順位
23 ファンシー・チェムタイ 15:15 30:34 46:07 1:01:35 1:04:53 1 1
22 メアリー・ケイタニー 15:15 30:35 46:08 1:01:34 1:04:55 2 2
29 Caroline Kipkirui 15:17 30:36 46:08 1:01:40 1:05:07 3 3
27 Joan Chelimo Melly 15:31 31:17 46:46 1:02:14 1:05:37 4 4
21 Joyciline Jepkosgei 15:15 30:34 46:25 1:03:04 1:06:46 5 5
34 Degitu Azimeraw Asires 15:32 31:18 47:15 1:03:26 1:06:47 6 6
28 Brigid Kosgei 15:32 31:17 47:15 1:03:26 1:06:49 7 7
25 Gladys Cherono 15:32 31:17 47:15 1:03:34 1:07:13 8 8
33 Helen Tola Bekele 15:32 31:17 47:29 1:04:08 1:07:47 9 9
32 Naom Jebet 15:32 31:17 47:59 1:04:45 1:08:22 10 10
26 Eunice Chumba 15:32 31:38 48:09 1:04:45 1:08:22 11 11
30 Lucy Cheruiyot 15:32 31:18 48:27 1:06:25 1:10:41 12 12
115 Anne-Mari Hyrylainen 17:02 33:50 50:45 1:07:36 1:11:10 13 13
35 高島由香 16:34 33:33 50:39 1:07:36 1:11:18 14位 14
148 Emily Waugh 17:57 35:43 53:30 1:11:16 1:15:11 15 15
36 Laura Hottenrott 17:49 35:32 53:36 1:11:53 1:15:45 16 16
3773 Belainesh Yami Gurmu 18:39 36:49 55:33 1:14:26 1:18:32 17 17
2392 Julia Njari 19:31 38:02 56:35 1:19:36 18 1
182 Jannica Granbacka 19:35 38:45 58:14 1:18:01 1:22:09 19 18
185 Sheila Kasyoka Mbaku 18:10 37:49 58:37 1:19:04 1:23:27 20 2
184 Katy Hallside 19:39 39:23 59:06 1:19:20 1:23:59 21 3
1158 Helen ONeile 21:06 41:53 1:03:00 1:09:00 1:29:15 22 19
2684 Tia Jones 21:55 43:10 1:04:22 1:25:19 1:29:49 23 1
110 Debbie Powell 20:55 41:54 1:03:36 1:25:44 1:30:35 24 4
363 Pia Hansske 21:26 42:57 1:04:43 1:27:06 1:31:55 25

 

レッツラン記事

http://www.letsrun.com/news/2018/02/oh-close-fancy-chemutai-runs-just-misses-wr-runs-6453-2-time-bedan-karoki-runs-5842-4-time-2018-rak-half/

 

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2018年RAKハーフ:女子はファンシー・チェムタイ(ケニア)が世界記録にあと2秒に迫る世界歴代2位の1:04:53で優勝、男子はビダン・カロキ(ケニア)が世界歴代4位の58:42で2連覇」への3件のフィードバック

  1. ピンバック: 【ブログ】レッツラン・ケニアその1:ンゴング・ケンスウェド高校訪問 + 駿河台大1年生コンビ武者修行の様子など – LetsRun.com Japan

  2. ピンバック: 2018世界ハーフマラソン選手権展望:ジョフリー・カムウォロルがバレンシアハーフ3勝を誇るアブラハム・チェロベンらを相手に世界ハーフ3連覇を目指す – LetsRun.com Japan

  3. ピンバック: 世界のメジャーハーフマラソン14撰 – LetsRun.com Japan

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