【LRCJオリジナルインタビュー記事】スティーブ・ウィリス(NZ中長距離代表コーチ)のコーチング哲学その1

初めてのオリンピック。コーチとして、家族として、兄弟として…

ニック・ウィリスが2008年北京オリンピックへ望むにあたって、ニックのアメリカでのコーチの奥さんの体調が悪化。

「コーチの代わりにコーチングをして欲しい」

と、ニックに頼まれ、『兄弟で目指すオリンピック』という舞台のために、スティーブは学校での仕事・コーチングを急遽やめ、家族全員でアメリカへ渡ることを決意する。

スティーブのコーチングを受けるニックは北京オリンピック3週間前のスピードを確かめるために800mのレースに参加する。オリンピックでベストパフォーマンスを発揮する指標として“800m1:45のスピード・5000m13:20のスタミナを持ち合わせていること”がコーチを含め共通の理解であった。

しかし、オリンピック前の800mでは1:47.80と平凡なタイムでしか走れず、家族・コーチ、何より代わりにコーチをしているスティーブはオリンピック直前に気持ちが沈んでいた。ニックはそういった気持ちや自身の感覚を確かめつつも北京オリンピックの1500mで予選・準決勝を勝ち上がり、初めてのオリンピック決勝の舞台で3着でフィニッシュ(動画)する

(※その後優勝したラムジのドーピングが発覚し、ニックは2位に繰り上がる=銀メダル獲得)

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「そのレースは今まで自分の見てきた中で最も刺激的で、最も心に残るものになった。急遽代理のコーチを務めることになったことや、初めてのオリンピックで兄弟が入賞する、隣で見ている父が本当に喜んでいる姿は一生忘れられない瞬間となった」

(※ニックは調子が悪くても、最終的に世界大会で決勝まで行けるレースも多く自分自身とレースをコントロールするのが非常にうまいという印象を受ける)

嬉しさと悔しさを繰り返して成長

スティーブに自分自身の最も印象に残ったレースを尋ねたところ、『1500mでの自己ベスト』と意外にも“1マイルのレース”ではなかった。

(※もちろんニュージーランド・ワンガヌイでの兄弟同レースで1マイルサブ4も彼の記憶に残っているレース)

1500mの自己ベストは、スタンフォード招待のAレースで記録したもの。スティーブが会場に到着し、エントリーリストを確認したところ、Bレースにエントリーされていた。そこでたまたまアメリカの中長距離代表コーチに自己紹介することになって、話の流れでエントリーをAレースに組み直してもらえた。

さらにレースでは、スティーブがラスト400mで仕掛け、結果的に3:40で2位になる。これはとても嬉しい結果であったが、同時に非常に悔しい結果でもあった。というのも3:40という、3:30台が目前でありながらも、それを切れなかったからである。

もう一つ、スティーブは長距離レースをニックと違って苦手としていたが、コロラドのクロスカントリー選手権の8kmを24:30(コロラドの高地でのタイム)の5位になったことがあった。それが自信になって次の年はトラックでシーズンを通して良い結果を出すことができた。このレースでは、メンタル面での自信がフィジカル面での強さにもつながったレースとして印象がある。

(※この点についてはコーチングの項目で記載する)

 

スティーブ・ウィリスのコーチング哲学その2(コーチング哲学とルール + 海外に渡るということ、練習・レース・コーチング)に続く。

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前からニック、ハーミッシュ、ティム、筆者、エリック。6マイルのテンポ走:キロ3:05ペース

 

【筆者プロフィール:谷本啓剛】

ニュージーランド・ウェリントン在住

ランニングガイド・RunZ(ラン・ニュージーランド)代表、酒井根走遊会主宰

【RunZ(ラン・ニュージーランド)】https://runnewzealand.wordpress.com/

【酒井根走遊会(オンライン陸上部・駅伝部)】https://ameblo.jp/dashpiro

 

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