モジネット・ゲレメウとロザ・デレジェが2018ドバイマラソンを制する:マラソンの歴史上で最も衝撃的な7人のサブ2:05と4人のサブ2:20

◎参考:ドバイマラソン男子展望:タミラト・トラが2010年優勝のハイレ・ゲブレセラシエ以来の連覇を狙う

 

モジネット・ゲレメウロザ・デレジェが、2018年のドバイマラソン優勝。歴史に残る熱戦となったレース。男子では7人がサブ2:05、女子では4人がサブ2:20。

ラストは、まるでトラックレースのようなマラソンだった。

マラソンの歴史においてもっとも常軌を逸した、そしてかつてないほどの熱戦となった。数字で見る結果が、信じられないものとなった。男子7人がサブ2:05、2:04:00〜2:04:15に6人もの選手がゴールした。

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男子レースのラスト150mからのスパート合戦

女子4人がサブ2:20、あと2人は2:21を切った。

男子、女子においても、3位、4位、5位、6位、7位に入った選手のタイムがもっとも速いレースとなった。

レース自体は、最後の数100mまで誰が勝つかわからないほどの熱戦となった。エチオピアのモジネット・ゲレメウが2:04:00の大会新記録で優勝し、マラソンの歴史においてもかなり速いタイムで優勝を果たした。優勝タイムは2:04:00であったが、6人もの選手が優勝賞金$200,000(約2200万円)を目指して、最後の数100mまで競り合った。陸上競技の大会において、世界で最も高い優勝賞金である。

最後には、ゲレメウが一歩リードし、後ろにいたレウル・ゲブレシラセを引き離した。ゲブレシラセは、去年の覇者で今年も優勝候補と目されていたタミラト・トラを最後にかわした。ドバイマラソンは順位が1つ落ちると、賞金が大幅に少なくなるため、ゴールへのラストスパートで誰も最後まで気を抜いていなかった。

(※ラストは、まるでトラックレースのようなマラソンだった)

優勝賞金$200,000(約2200万円)、2位は$80,000(約880万円)、そして$40,000(約440万円)、$20,000(約220万円)、$13,000(約143万円)、$12,000ドル(約132万円)と、どんどん下がっていく。

(※$1=110円として換算)

貧乏くじを引いてしまったのは、6位に入ったビルハヌ・レゲセだ。優勝賞金$200,000からたった15秒差で賞金$12,000。8位に入ったエネウ・アラミレウからたった1000ドル多いだけの賞金である。しかも、ビルハヌ・レゲセエネウ・アラミレウの差は4分も空いている。

トップ10に入った選手はすべてエチオピア選手である。

【男子レースのラスト150mからのスパート動画】

【男子総合結果】

➊モジネット・ゲレメウ🇪🇹 2:04:00(自己記録を2:12更新)大会新記録
➋レウル・ゲブレシラセ🇪🇹 2:04:02(初マラソン)
➌タミラト・トラ🇪🇹 2:04:06(自己記録を0:05更新)
➍アセファ・メングストゥ🇪🇹 2:04:06(自己記録を4:35更新)
➎シセイ・レマ🇪🇹 2:04:08(自己記録を1:08更新)
➏ビルハヌ・レゲセ 2:04:15(初マラソン)
➐セイフ・ツラ🇪🇹 2:04:44(自己記録を4:42更新)

8エネウ・アラミレウ🇪🇹 2:08:56(初マラソン、ハーフマラソン出場経験無し)

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女子のレースもエチオピアのロザ・デレジェが2位と13秒差の2:19:17、こちらも大会新記録で優勝した。フェイセ・タデセ(2:19:30)、イェブルグアル・メレセ(2:19:36)、前回優勝の ワークネッシュ・デゲファ(2:19:53)の4人がサブ2:20でゴールし、1つの大会でのサブ2:20の数では今までで1番多かった。もう1つ、歴史は塗り替えられており、5位のハフタムネシュ・テスファイは2:20:13、6位のゲレテ・ブルカは2:20:45で走り、サブ2:21が6人というのは、これもこれまでのレースで1番多い人数だった。

【女子総合結果】

➊ロザ・デレジェ 🇪🇹 2:19:17(自己記録を3:26更新)大会新記録
➋フェイセ・タデセ 🇪🇹 2:19:30(自己記録を0:57更新)
➌イェブルグアル・メレセ🇪🇹 2:19:36(自己記録を3:15更新)
➍ワークネッシュ・デゲファ 🇪🇹 2:19:53(自己記録を2:43更新)
➎ハフタムネシュ・テスファイ 🇪🇹 2:20:13(初マラソン)
➏ゲレテ・ブルカ 🇪🇹 2:20:45(自己記録を5:18更新、※1500mの自己記録、3’58″79)

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【男子優勝のゲレメウ=ポジティブスプリット】

前半61:38 + 後半62:22 = 2:04:00(2:56.32 / km)

  1. 前半:14:32 – 29:09 (14:37) 43:48 (14:40) 58:25 (14:38) 1:01:38 (03:13)
  2. 後半:1:12:57 (11:19) 1:27:38 (14:42) 1:42:34 (14:57) 1:57:41 (15:07) 2:04:00 (6:20)

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ラスト1kmを切って前回王者のタミラト・トラ(青いユニフォーム)が仕掛けた

【女子優勝のデレジェ=ネガティブスプリット】

・前半70:07 + 後半69:10 = 2:19:17(3:18.05 / km)

  1. 前半:16:46 – 33:21 (16:36) 49:50 (16:29) 1:06:27 (16:38) 1:10:07 (3:41)
  2. 後半:1:23:09 (13:02) 1:39:41 (16:32) 1:56:03 (16:22) 2:12:23 (16:21) 2:19:17 (6:55)

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見事なポジティブスプリットで大幅自己新で優勝したロザ・デレジェ

数秒の差が、賞金で大きな差をつくる

優勝賞金$200,000というのは、陸上界においてもっとも高い優勝賞金だ。しかし、上にも述べたように、順位が下がると賞金の“下げ幅”がかなり大きい。2:04:44で7位に入ったセイファ・テラは一体いくらもらえるだろうか。$11,500である。

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陸上競技において、世界最高額のドバイマラソンの賞金一覧

信じられないことに、ドバイマラソンは、アピアランスフィー(招待費)を支払っていないという情報を手に入れたが、それは嘘であってほしい。

モジネット・ゲレメウって誰?

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2:04:00の大会新記録で優勝したモジネット・ゲレメウ

もしあなたがドバイマラソンのレース展望をみていないなら、モジネット・ゲレメウのことを知らないだろう。

近い将来マラソンで、強力な選手となりうるゲレメウのことを知っておくべきだ。ゲレメウは、特にロードの長い距離のレースであるほど好成績を残してきた。25歳のゲレメウはトラックでは5000m13:17はまずまずで、10000m27:18はそれよりも少し良くて、ハーフ59:18はさらに良い。距離が伸びるほどパフォーマンスを上げている。

ゲレメウは昨年マラソンデビューを果たしてマラソンを走るごとに記録を縮めてきた。2017年1月の厦門(中国のアモイ)マラソンで2:10:20で2位に入り、優勝したのがレミ・ベルハヌ(2015年ドバイ優勝、2016年ドバイ2位であったことを考えると、この結果は悪くなかった。9月のベルリンマラソンで2:06:09で3位に入り、世界最強マラソン選手のエリウド・キプチョゲと初マラソン世界最高記録保持者のグエ・アドラには敗れたものの、3位と健闘した。

ロザ・デレジェって誰?

ロザ・デレジェのことを知らなくても、誰もあなたのことを責めたりはしないだろうドバイマラソンの主催者も、いつも我々が購読しているデータベースも彼女のことを詳しくは知らなかったので、彼女の誕生日を“不明”と記載していた。

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左下のData of Birth:Unknown=誕生日不明

彼女について知っていることと言えば、彼女がマラソンを走るのが大好きだということである。今日までで、今まで8つレース(そのうちマラソン7回、2016年と2017年に3回ずつ)の記録しか残っていない。彼女の戦績は以下である。

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デレジェのマラソンの戦績

今日、彼女は大幅に自己記録を更新した。3レース連続での自己記録の更新、最近6回のマラソンにおいて5回目の自己記録更新となった。それに加えて、去年の9月17日のコペンハーゲンハーフで初ハーフを走り67:23と好走した。その記録は、モリー・ハドルが最近更新した全米記録よりも2秒速いこと、昨年の3回のマラソンのレースの合間に出たハーフでの記録ということからも、明らかに彼女は才能にあふれている。

今日のレースはサブ2:04を5人達成できた可能性があった

男子のレースはラストのスプリント勝負となり、まるでロードの5kmレースのラストのようであった。もし、集団にサブ2:04ペースで早めに抜け出す選手がいたり、サブ2:04を出せば追加のボーナス賞金が出る“決まり”があれば、ゴールタイムはもう少し速くなっただろう。代わりにボーナス無しのラスト勝負だけに男たちは全身全霊をかけていた。

エチオピアの選手はこの一日でアメリカの歴代のマラソン選手たちを完全に上回った

ドバイのフィニッシュエリアには多くのエチオピアへの出稼ぎ労働者たちの声援があって、エチオピアの選手たちがそのレースを完全に支配した。 男子のトップ10はエチオピア人選手で、女子はトップ7がエチオピア人選手だった。 男子ではサブ2:04:45を7人のエチオピア人選手が、女子ではサブ2:20:45を6人のエチオピア人選手が達成した。一方、アメリカ歴代記録では、男子は1人もサブ2:04:45を達成しておらず、女子ではたった1人のみがサブ2:20:45を達成(ディーナ・カスターのみが達成)している。

レウル・ゲブレシラセとビルハヌ・レゲセの素晴らしいマラソンデビュー

過去のドバイマラソンでは、アエレ・アブシェロ(2:04:23、2012年)、レリサ・デシサ(2:04:45、2013年)、ツェガエ・メコネン(2:04:32、2014年)がそれぞれ素晴らしいマラソンデビューを果たした。

そのような傾向からみて、LetsRunのロバート・ジョンソンはレース展望において、マラソンデビューの選手のなかでハーフで実績のあるビルハヌ・レゲセ(彼はハーフを59:47未満で3回速く走っている)を推薦した。

ロバート・ジョンソンの予想は半分当たった。レゲセは素晴らしいパフォーマンス(2:04:15、昨年のトラの大会記録記録からわずか4秒)で他のライバルたちを最後まで苦しめ6位に入った。レゲセが昨年、この記録で走っていれば当時の初マラソン世界最高記録であった。

しかし今年のレースでは彼を上回る選手が現れた。レウル・ゲブレシラセは2:04:02で2位に入り、賞金$80,000をを獲得した (ゲブレシラセは、昨年10月のバレンシアハーフで59:18で走っていた)。それらの記録は、初マラソン世界歴代2位と3位であった。

初マラソン世界歴代3傑(公認コース)

2:03:46:グエ・アドラ、2017年ベルリン
2:04:02:レウル・ゲブレシラセ、2018年ドバイ
2:04:15:ビルハヌ・レゲセ、2018年ドバイ

今日の男子のラストは2013年のドバイのフィニッシュと非常に似ていた

  1. 2013年のドバイではマラソンの歴史上で初めて、5人がサブ2:05を達成した。トップ5はわずか8秒の間での接戦だった。
  2. 2018年のドバイではマラソンの歴史上で初めて、7人がサブ2:05を達成した。トップ5はわずか8秒の間での接戦だった。

どちらがよいゴールシーンであったかはあなたの判断にお任せする(どちらかというと2018年のほうが白熱しただろう)が、どちらのレースもかなりの注目に値する。 彼らはサブ2:05が5人達成された唯一の2つのレースとして今後も歴史に残るだろう。

 

【補足】

現在までに、非公認コース(ボストンマラソン)を含んでマラソンサブ2:05は合計66回達成された。

  1. ➊位 ドバイマラソン 🇦🇪 ➋➋回
  2. ➋位 ベルリンマラソン 🇩🇪 ➊➏回
  3. ➌位 ロンドンマラソン 🇬🇧 ➑回
  4. ➍位 シカゴマラソン 🇺🇸 ➐回
  5. ➎位 ロッテルダムマラソン 🇳🇱 ➏回
  6. ➏位 ボストンマラソン 🇺🇸 ➍回
  7. ➐位 フランクフルトマラソン 🇩🇪 ➋回
  8. ➑位 東京マラソン 🇯🇵 ➊回

 

※Joaquín Carmona氏のツイートより

 

現在までの男子マラソン歴代記録において、 左の数字がケニアの歴代の選手のサブ〜〜達成人数であり、右の数字がエチオピアの歴代の選手の達成人数である。

🇰🇪 と 🇪🇹 の歴代のマラソン選手の記録の比較

  1. ●サブ2:03 ➜ 1人 – 0人
  2. ●サブ2:04 ➜ 6人 – 3人
  3. ●サブ2:05 ➜ 15人 – 24人(エチオピアのほうが多い)
  4. ●サブ2:06 ➜ 40人 – 34人
  5. ●サブ2:07 ➜ 104人 – 54人
  6. ●サブ2:08 ➜ 183人 – 81人
  7. ●サブ2:09 ➜ 277人 – 111人
  8. ●サブ2:10 ➜ 415人 – 166人
  9. ●サブ2:11 ➜ 551人 – 212人
  10. ●サブ2:12 ➜ 697人 – 251人

Joaquín Carmona氏のツイートより

速いマラソン選手の数、選手層は圧倒的にケニアが上回っているが、サブ2:05=つまり”2:04台”の選手はエチオピアの24人のほうが多い。 その多くが、サブ2:05が毎年達成されるドバイマラソンということである。

 

今回のドバイマラソンで達成された世界歴代最高記録は以下である。

  1. ➐人の♂️ サブ2:05😮 世界歴代最高
  2. ➍人の♀️ サブ2:20😮 世界歴代最高
  3. ➏人の♀️ サブ2:21 😮 世界歴代最高
  4. ➐人の♀️ サブ2:22 😮 世界歴代最高

Joaquín Carmona氏のツイートより

 

レッツラン記事

http://www.letsrun.com/news/2018/01/mosinet-geremew-roza-dereje-win-2018-dubai-marathon-deepest-marathon-history-7-men-break-205-4-women-break-220/

 

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モジネット・ゲレメウとロザ・デレジェが2018ドバイマラソンを制する:マラソンの歴史上で最も衝撃的な7人のサブ2:05と4人のサブ2:20」への2件のフィードバック

  1. ピンバック: 先週の振り返り:世界のマラソン賞金比較、ヴェイパーフライ4%の考察、日本の女子マラソン復活へ、ボストンvsロンドン、モー・ファラー2世の誕生ヨミフ・ケジェルチャなど – LetsRun.

  2. ピンバック: 東京マラソン2018男子展望:ウィルソン・キプサング(ケニア)が2連覇を狙う。日本新記録を狙う設楽悠太とともに日本人選手がどこまで奮起するか? – LetsRun.com Japan

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