2018年ヒューストンハーフ男子:ジェイク・ロバートソン(ニュージーランド)が強豪揃いのレースをラスト3kmからのスパートを決め60:01で制する

ヒューストン ジェイク・ロバートソン(ニュージーランド)は日曜日に開催されたヒューストンハーフマラソンで60:00を切れなかったが、彼のゴール後のリアクションに落胆の色は全くなかった。ゴールテープを切ると、拳を振り上げ、喜びと共に身体を躍らせた。強者揃いのレースで優勝したのだ。

2018 Houston Marathon Weekend

©2018 Photo Run

ハーフマラソン60:00切りの記録を持つ選手が6人出場し、今年のヒューストンハーフマラソンは歴代のアメリカ国内でも最もレベルの高いレースのひとつとなった。60:01で優勝したのはジェイク・ロバートソンだった。ラスト2マイルあたりの11マイル手前で仕掛け、後方集団を引き離し、彼のキャリアの中でもかなり重要な意味を持つ勝利となった。

昨年のベルリンマラソンで2:03:46で2位という衝撃的なマラソンデビューを果たした、エチオピアのグエ・アドラは、唯一ジェイクのスパートについていったが、アドラでさえも最後までは耐え切れず、20km地点でジェイクに10秒の差をつけられた。ジェイクはラスト1.1kmを、4:28ペース=1km2:47ペースで走り切った。アドラは、60:15で2位に終わった。

順位は下がるが、サム・チェランガは27秒自己記録を更新し60:37で6位に入り、アメリカ人選手トップでゴールした。彼は、ライアン・ホール、レオナルド・コリル、デイゼン・リツェンハインに次いで、全米歴代4位に踊り出た。チェランガのトレーニングパートナーであるハロン・ラガト(※バーナード・ラガトではない)はさらに大きな飛躍をみせ、61:01の10位でゴール。

10年ぶりのハーフマラソンとなったハロン・ラガトは、以前はダイヤモンドリーグの3000mSCのペースメーカーなどとして活躍したが、今回のハーフマラソンで61:01の10位に入り、全米歴代9位に浮上した。メブ・ケフレジギと、たった2秒差である。

ケフレジギに関連していうと、43歳のバーナード・ラガトが62:00で15位に入り、ケフレジギの持つ63:02の全米マスターズ記録を更新した。アメリカ人選手で他に良い走りをみせたのが、元ルイビル大学のスター選手/全米学生3000mSC王者のエドウィン・キビチェ(13位61:46)、ディエゴ・エストラーダ(14位61:46)、2016年リオオリンピック全米マラソン代表ジャレード・ワード(16位62:10)だ。オレゴントラッククラブ(OTC)エリートとしてのデビュー戦となったルーク・プスケドラは、63:40の34位に終わった。

2018 Houston Marathon Weekend

©2018 Photo Run

26人の選手が63:00切りのタイムで走り、多くの選手が結果に満足できたレースとなった。アメリカ国内レースでは、これまでにない強豪揃いのレースとなった。しかし、ダニエル・ワンジルだけは、満足した気持ちでレースを終えられなかった。ワンジルは2017年のロンドンマラソンで優勝しており、ハーフマラソンで59:20の記録を持っていたが、62:55の25位という結果に終わった。

レース自体は、ロバートソンが大きく仕掛けるまでは特に動きがないレースだった。15km地点では先頭集団に12人いた。この時点で、チェランガハロン・ラガトも先頭集団にいたが、他の選手同様に、ロバートソンの仕掛けには反応することができず、ロバートソンは15kmから20kmを14:08で走り、後方の選手を振り落していった。

ロバートソンは直前に追加エントリーされた選手ということもあって、彼の優勝には驚かされた人も多いだろう。しかし、彼自身は大きな期待と共にこのレースに挑んできた。

「身体は氷のように冷え切っている(ヒューストンは寒い)けど、気持ちは燃えてるよ。ヒューストンハーフマラソンで火をつける準備はできている」

レース前日にロバートソンは、こんな投稿をインスタグラムにしていた。

ロバートソンには良い記録を出す自信があり、自費で飛行機をビジネスクラスにアップデートした

レース前の記者会見で、

「福岡国際マラソンを棄権した12月以降、このヒューストンハーフマラソンをずっと走りたいと思っていた」

と、ロバートソンは語っていた。しかし、1週間前の日曜日まで彼のエントリーは確定されなかった。

ジェイクは、ケニアで自身のトレーニンググループ(ケニア人のトレーニングパートナー数名とグループを形成)を持ち、今はセルフコーチで練習を積んでいるが、ヒューストンでいい走りをする自信があったため、自費で飛行機をビジネスクラスにアップデートし、良い睡眠時間を確保した。

「大会記録を狙っていた(フェイサ・レリサが2012年に出した59:22)。集団のペースが落ちたときに、記録は思ったよりも良くないかもしれないと思った」

“この寒い天候で、いつもよりもハムストリングスが固まってしまった”とも言った。

しかし、ジェイクは優勝に向けて仕掛けると“後続の選手が自分について来れてないことに驚いた”という。しかし、グエ・アドラだけは反応した。

グエがぴったりとついてきていることはわかった。ベストを尽くして走らないといけないと思った。グエが離れたときは、勝負は決まったと確信したよ」

ジェイクの兄弟のゼーンは、エチオピアに滞在していた時にアドラと共にトレーニングをしていた。それもあって、ジェイクアドラの調子をよく知っていた。

「ベルリンマラソンの前に、アドラの調子が良く世界記録に向けて練習している」

と、ゼーンから聞いていたようだ。このレースで優勝するということが、いかに意味あることか、ジェイクは理解している。

「わお。グエは世界でも最高のランナーのひとりだ。出場していた選手みんなそうだ。だから、優勝できて言葉も出ないぐらい嬉しい。素晴らしい気持ちだ」

ジェイクは、英連邦大会(コモンウェルスゲーム)と世界ハーフマラソン選手権には出場せずに、びわ湖毎日マラソンでマラソンデビューとなる。その後、アメリカでロードレースをいくつか走る予定だ。

【ヒューストンハーフ男子レース動画】

※20秒〜ジェイク・ロバートソンのラスト2マイルからのスパート、8分50秒〜ゴールシーン

ジェイクは前回のグレートノースランのゴール後よりも幸せそうだった

ケニアを拠点としてトレーニングに励んでいるロバートソンにとって今日は幸せな一日となった。彼の前回のレースであるグレートノースラン(2位)のゴール後に、彼女であるマグダライン・マサイへのプロポーズを成功したときよりも、今回のゴール後のほうが喜んでいるように見えた。勝利の喜びは格別である。

ロバートソンはまだハーフ60分切りを達成していないが、彼の強さを示すのは今日の結果で十分である

ロバートソンは今日のハーフをもって、キャリアで3回目のハーフマラソンを走り、その全てでハーフ60分切りに肉薄した。彼は2017年の3月のリスボンハーフを60:01で優勝し、ハーフマラソンデビュー。その後9月のグレートノースランではモー・ファラーとの競り合いには敗れたが60:12で2位。今日のヒューストンでは、ラスト2マイルからのスパートで並みいる強豪を撃破し、再び60:01の記録で優勝を果たし、彼にとって最高の結果となった。

その強豪たちというのは、エリウド・キプチョゲをベルリンマラソンで最後まで苦しめたアドラ、リオオリンピックのマラソン銀メダリストで、ハーフ59:22のフェイサ・リレサ、シュラ・キタタ(2017年ローマ優勝、フランクフルトマラソン優勝)、アレックス・コリオ(9月のコペンハーゲンハーフで58:51)を達を含んでいる。

ロバートソンは優勝賞金の2万ドルを獲得し、60:30を破ったタイムボーナスとして5000ドルをさらに獲得した(60:00を破ればさらに5000ドル獲得できた)。

実力者揃いの男子のレースで60分切りが出なかったのはなぜか? – 特に女子のレースで好記録が続出したことを考えると、男子のレースとの 大きな違いは:女子のレースは男子のペーサーがいた。男子のレースではペーサーはいなかったように思われ、レースの多くはアレックス・コリオが先頭を引っ張った。

コリオのペーシングで5km14:23、10km28:32(14:09)15km42:50(14:18)

☆ラスト2マイル(3.2km)からロバートソンがスパートし1:00:01で優勝、15〜20kmは14:08

スコット・シモンズ率いるアメリカ・ディスタンス・プロジェクト(ADP) / WCAPにとっての再び訪れた革命的な一日

※ADP=American Distance Project、WCAP=(U.S. Army)World Class Athlete Program

サム・チェランガハロン・ラガトは、他の多くのアスリートと同様に、多くの期待を寄せて、コロラドスプリングのスコット・シモンズのトレーニンググループに参加し、以前からの環境を変えて、大きな飛躍を遂げた。

チェランガはリバティ大学在籍中に全米学生タイトルを手にし、10000mでは27:08の全米学生記録を樹立した。しかし、ナイキへのプロ転向後はパッとしていなかったが、2016年の終わり頃にADP / WCAPのトレーニンググループに入り、2017年の世界クロカンシニアの部ではアメリカ勢トップの個人総合11位、そして今日は、ハーフマラソンでの大幅自己新となる60:37(全米歴代4位)を記録した。

しかし、それよりもサプライズを起こしたのはハロン・ラガトだった。 チェランガは2013年にボストンでのハーフで61:04で走っているが、ラガトは10年ものあいだハーフマラソンを走っていなかったが、レース終盤に振り落とされるまでは先頭集団に残っていたことからも、今でも素晴らしい走りしていて自信を持っている。 ラガトはいまだに3000mSCの選手(2017年全米選手権5位)であるが、ロードレースでの将来の可能性を残している。

「今年、プレフォンティンクラシック(ダイヤモンドリーグユージン大会)で3000mSCを走りたいと思っている」

と、ラガトは述べた。しかし、彼の望みはロードへの転向である。そして、2020年東京オリンピックでの全米マラソン代表を目指している。

「このレースで、自分自身の予想を超えた走りができたが、先頭を走ったことで少し調子に乗ってしまい、そのツケがラスト1マイルできて、1マイル5:00ペース(1km3:07)に落ちてしまった」

と、彼は語った。しかし、それでも61:01という素晴らしい“デビュー”を果たしたのである。今、彼は3月の世界ハーフ選手権での全米代表入りの発表を心待ちにしている。

チェランガはシカゴマラソンでの、マラソンを初完走したときにも苦戦(2:15:02でフィニッシュ)したが、今日はとてもいい走りを見せていた。

(※チェランガのマラソンデビューは2016年の全米オリンピック選考会での途中棄権)

チェランガは、彼の大幅な自己新は“自分にとっては驚きだった”と述べた。

「このレースでは自己新を意識しておらず、世界ハーフ選手権の出場権を狙いにこのレースに出場した」

年齢の衰えを感じさせないバーナード・ラガトは少し頑張りすぎた

62:00の自己新で走ったバーナード・ラガトは、同時に全米マスターズ記録も樹立した。しかし、10kmの通過では60:35ペースで走っていた。世界マスターズ記録はハイレ・ゲブレセラシエが持つ61:14である。ラガトは15kmの通過では61:13ペースにペースを落とし、最終的には 62:00にまでペースを落としてしまった。ラガトは先月43歳になったばかりであるが、まだまだやれるだろう。

【男子総合結果】

top-30-houston-men-finish

 

レッツラン記事

http://www.letsrun.com/news/2018/01/jake-robertson-6001-crushes-stacked-field-final-2-miles-win-2018-houston-half-marathon/

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