川内優輝は、アメリカのマサチューセッツ州マーシュフィールド(ボストンの南東にある東海岸の海岸にある街)で2018年の元旦に開催された、マーシュフィールドニューイヤーマラソンで2:18:59で走り優勝した。
このレースはアメリカのNo-frills(サービスがほとんどない、パークランのようなシンプルな形式)のレースとしてはアメリカで最も歴史があるレースの一つである。このレースの参加料は無料で、事前エントリーはなく、当日エントリーのみで開催された。
この季節のアメリカ東海岸、特にボストン近郊の冬は厳しく、この日は-17℃の極寒(Japan Running Newsの現地レポートによると風もあり、体感気温は-23℃程度であったという)。11時には-13℃まで上昇したものの、厳しいコンディションのなか、ハーフマラソン に30名前後、フルマラソンに川内を含めて3人だけが出場し、川内を含めて2人が完走した。以下が、川内のフィニッシュ動画である。
【フィニッシュ動画】
雪が多いところで滑っている川内
川内はこのレースでサブ2:20を達成し、自身76回目のマラソンのサブ2:20を達成。アメリカのダグ・カーティスが保持していた、サブ2:20の達成回数75回を上回り、川内はサブ2:20の達成回数76回の世界記録保持者となった。
レッツラン記事
【以下、レッツランジャパンオリジナルの追記】
マラソンサブ2:20の達成回数の世界最高を更新
2018年のボストンマラソンに出場する川内は、年末年始の休暇期間を使ってボストンマラソンのコースを試走。今回その目的と同時に、現地で走れるマラソンを無いかと探したところ、この極寒のマーシュフィールドマラソンが該当した。
今回のレースでは、極寒のため川内は今までのレースでは初めてロングタイツで出場。3人しか出場していないので、スタートから単独走。また路面は凍結し、所々で滑る箇所もあった。中間点を1:10:29で通過し、極寒のため体の動きが悪かったという。
「自分はこんなところで何をしているんだ?」
という葛藤とのたたかいのなか、後半は気温が-13℃まで上昇したこともあり、ペースアップに成功。ネガティブスプリットで後半を1:08:30で走り、2:18:59でフィニッシュした。
川内優輝のコメント
「とりあえず、走っていて、かいた汗が凍るという経験したのは初めてだった。 前半寒すぎて(−17℃)、身体が動かなさ過ぎて途中の1kmで3分31秒かかった時は“何でこんな寒い思いして、自己ワースト記録目指して頑張ってんだ?”と思ったけれど、後半になって気温が−13℃まで上がってきたおかげで身体が動くようになってきて、前半よりも2分くらいネガティヴスプリットで帰ってきて、何とかサブ2:19。 とりあえず最低限のサブ2:20ができて良かった」
☆前半1:10:29+後半1:08:30=2:18:59
Japan Running Newsのレポートによると、今回の2:18:59の記録をもって、自身76回目のサブ2:20を達成。川内は現在、マラソンのサブ2:12~2:20まで1分刻みで、それぞれ達成回数の世界記録を持っている。
【川内のマラソンのサブ2:12~2:20達成回数=すべて世界最高達成回数】
- サブ2:12:25回
- サブ2:13:40回
- サブ2:14:48回
- サブ2:15:53回
- サブ2:16:62回
- サブ2:17:67回
- サブ2:18:71回
- サブ2:19:75回
- サブ2:20:76回
さらに、川内は今までにサブ2:11を20回達成しており、あと1回達成するとエチオピアのツェガエ・ケベデが持つサブ2:11の達成回数21回に並ぶこととなる。
この8週間で5つのマラソン(①ニース:フランス→②さいたま国際→③福岡国際→④防府読売→⑤マーシュフィールドニューイヤー)を走った、川内の今年の春のレーススケジュールは、2月18日の北九州マラソン、そして3月18日の台湾での萬金石マラソン(IAAFシルバーラベル)を予定しており、そのレースは4月のボストンマラソンの調整として出場する。
数字で見る川内の2017年のマラソン成績
2017年の川内のタイム順の成績は以下。
さらに、この成績(左)と、2017年のアメリカの男子の全選手のマラソン成績(右)と比較した表は以下。
アメリカ勢は、フラットコースではないボストンやニューヨークに出場するものがほとんどとはいえ、川内一人の昨年のタイムとそう変わらないようにみえる。
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