全米5kmロード選手権記者会見での談話:ポール・チェリモは2018世界室内選手権3000mの金メダルを狙う、ブレンダ・マルティネスは800mを卒業

ニューヨーク – 全米5kmロード選手権は(アメリカ東海岸の現地時間の)土曜日の朝に、アボットダッシュ5km(ニューヨークシティマラソンの前座レース)の一部として行われる。

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©2017 LetsRun

リオオリンピック銀メダリストのポール・チェリモと女子5000m元全米記録保持者のモリー・ハドルが出場選手の目玉としてラインナップされた。我々はベン・トゥルー、ブレンダ・マルティネス、ハッサン・ミード、レオナルド・コリル、デジ・リンデンにインタビューをした。ブレンダ・マルティネスが800mを卒業する、という話を含めた各選手の話を以下にまとめた。

 

ポール・チェリモ、2018年に世界室内選手権での金メダルと、アメリカ5000m記録を狙う。彼の成功の秘密はアメリカ軍の“メンタリティ”の強さに隠されている

ポール・チェリモはリオオリンピック5000mで銀メダル、ロンドン世界選手権5000mで銅メダルを獲得している。モー・ファラーがトラックを引退してロードに転向した今、世界大会の5000mでチェリモが優勝を狙える位置にいることは、彼自身が一番知っている。これは、チェリモのこれから先の長期的目標である。

しかし、2018年は屋外のトラックの世界大会がないため、彼の直近の目標といえば、2018年の3月にイギリスのバーミンガムで開かれる世界室内選手権の3000mで優勝することを目標にしている。

さらに、彼のもう一つの長期的な目標は、屋外5000mの全米記録(バーナード・ラガトの2011年モナコDLの12:53.60)を破ることである。しかし、チェリモが全米記録を出す前に、最も現実的な目標は5000mの13:00切りを達成することで、彼の自己記録はリオオリンピック決勝で出した13:03.90である。

我々は、チェリモのチューリヒでのダイヤモンドリーグのファイナルでの失格についても話を聞いた。この※失格によってチェリモ$20,000(約225万円)の賞金を失った。“失格によるダメージは大きかった”と、チェリモは語った。

(※チェリモは2番手でフィニッシュラインに入線したが、その前にエドリスを押したため失格となった→レッツランジャパン記事

アメリカ軍のワールド・クラス・アスリート・プログラム(WCAP)の選手であるため、(大手スポーツメーカーのプロ選手とは違って“契約金”や“予算”が無く)保証を受けることが出来ず、そのためチェリモは他のアメリカ人の選手よりも“賞金”に頼って(生活をして)いる。その事実は、アメリカ軍(US Army)所属の選手であることの“欠点”ではあるが、彼が持つ確固たる“メンタリティ”は、アメリカ軍が彼を世界一流の選手の一人に育ててくれたことの存在が大きい。

「アメリカ軍は自分のために何でもやってくれて、いつも支えてくれる。その存在がなければ、こんなに成功していなかっただろう。一番大きな要素は“メンタリティ”だ。アメリカ軍は“身体的にも精神的にも強くなれ”と教えてくれる」

チェリモは、そう語った。

2018年からモリー・ハドルはマラソンに集中する

ハドルは今週末のニューヨークシティマラソンでマラソンを走る予定だったが、土壇場で5kmに変更した。

「もしほんの少しでも調子が良かったらマラソンに出場すると考えていた。かすかな望みはあるわ」

と、ハドルは語った。ハドルは、マラソンデビューを遂げた昨年のニューヨークシティマラソンで3位に入り“そこからマラソンに集中する”と述べていたが今週の日曜日になぜマラソンを走らないのか、その理由を聞かずにはいられない。ハドルは、

「2017年の全てをトラックのシーズンにしたくて、マラソンへ向けた調整を短縮したり急いだりはしたくなかった」

と、語った。

Embed from Getty Images

現在のハドルの焦点は、1月のヒューストン・ハーフマラソンである。コンディションが良ければ“67:00を切りたい”と語った。そのタイムは※全米記録である。ヒューストンは、これまでの彼女が走ったレースの中でも、一番速いレースになるだろうと、彼女は述べた。

(※ハドルの自己記録は67:41で、ハーフマラソンとマラソンの全米記録保持者であるディーナ・カスターのハーフの自己記録は67:34である。非公認記録としてはカラ・ガウチャーがグレート・ノース・ラン=下り勾配のコースで66:57で走った)

「ニューヨークもかなり良いコースで高速レースになったけど、ヒューストンのコースも本当に良くて高速レースになるわ」

ハドルは毎年、年に1回しかハーフマラソンを走らない。もっとハーフマラソンのレースを走れば、彼女がもっと速く走れる可能性が高まってくる。

「ハーフマラソンは、今や世界中のたくさんの選手が多く走っている種目で、才能ある女子選手たちは、今はトラックよりもロードに集中しているから、今後(ロードの種目の)タイムはどんどん速くなると思う。(そのような傾向は)アメリカの選手も同じよ」

日曜日のマラソンの予想についても彼女に聞いてみた。彼女は女子ではメアリー・ケイタニーを選び、男子はというと…

メブ(ケフレジギ)は絶対に入れなきゃだめ。だからメブね。彼はいつもみんなの予想を裏切って優勝するわ。これが他の42歳の人だったら選ばないけどね。メブが優勝よ」

ベントゥルーは新しくレイ・トレーシーに師事し始めた

来月で32歳になるトゥルーはプロ選手としてこれまで何人かのコーチと共に練習をしてきた。ユージンのマーク・ローランドが率いるオレゴン・トラック・クラブ(OTC)で短期間の練習を積み、その後ニューイングランド(アメリカ東海岸)に戻ってマーク・コーガンティム・ブローのもと、トレーニングを積んだ。

今年、トゥルーは特定のコーチを持たないセルフコーチのスタイルで練習をしていたが、彼の練習メニューをきっちりと管理するコーチが欲しいという希望に加えて、コーガンの勧めもあって、モリー・ハドルエミリー・シッソン(ともにロンドン世界選手権女子10000m全米代表)のコーチでもあり、プロビデンス大学のコーチでもあるトレーシーにこの度、師事することとなった。

とはいえ、トゥルーがアメリカ東海岸のニューハンプシャー州のハノーバーを引き続き彼の拠点にする事は変わらないであろう。トゥルーは、トレーシーの“筋力強化のプログラム”が気に入って、普段のトレーニングでかなり追い込みすぎてしまうトゥルーの問題の解決の糸口になると期待している。そのことはここ数年、トゥルーが頭を悩ませていたことである。

「彼は“リカバリー”にすごく重点を置いている。一定期間であまりにも多くのトレーニングはしないんだ。ここ数年は自分で走ってきたが、“少し闇雲に走りすぎた”と思っている。ここで少し休養をとることが、自分のためになると思う」

と、トゥルーは語った。

トゥルーは土曜日に5kmのレースに出場する。彼が再び走り始めて4週間しか経っていないため、彼に多くを望んではいない。しかし、彼は5kmロードの全米記録保持者である。我々は彼にも少しの期待を寄せている。トゥルーはまたNYRRのゲスト(彼は日曜日のマラソンの先導車に乗る予定)でもある。彼は将来的にはマラソンも視野に入れているものの、少なくともあと2年はトラックで競技を続けたい、という意向である。

ブレンダ・マルティネスは800mを卒業して種目の距離を伸ばしていく

ブレンダ・マルティネスは2013年モスクワ世界選手権女子800mの銀メダリストとして知られている。しかし、30歳になった今、800mを卒業して1500mへの本格的な転向、将来的には5000mへの可能性について語った。

「選手権での800mはもう終えて、距離を伸ばして1500mと5000mで自分の力でどれだけできるかというのを試してみたい」

2016年のリオオリンピックで1500mに出場したマルティネスは、そう語った。

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「800mにはドラマがあって、それは自分でもどうしてもコントロールできないことが多い。距離を伸ばす時期がきたのよ」

マルティネスは、このレースで試しに“5kmを走ってみる”という感じである。彼女は2014年の※カールスバッド5kで15:24という素晴らしいタイムで走っている。土曜日のレースの目標は“先頭集団に出来るだけ付いていく”ということである。

(※春先にアメリカ西海岸のカールズバッドで行われる5kmロードレース)

モリー・ハドル(ロード5km全米記録保持者)も出場する。誰が先頭を引っ張ろうと私は付いていく。2マイルまでは強気で走れる調子だけども、ラストの1マイルは全力で走るわ」

9月に開催されたニューヨークでの5番街マイル(レッツランジャパン記事)の後、マルティネスはアキレス腱の炎症を起こし、その治療をしてきた。それ以来、アキレス腱の痛みは感じていないという。それはいい兆候で、彼女はアキレス腱の故障に2年以上も苦しんできた。彼女の練習パートナーであるボリス・ベリアン(2016年世界室内選手権800m王者)も“今年にアキレス腱治療を受けたので、2018年には回復して復帰するだろう”とマルティネスは述べた。

ハッサン・ミードとレオナルド・コリルはポール・チェリモのレベルへ

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オレゴン・トラック・クラブ(OTC)のハッサン・ミードと、ワールド・クラス・アスリート・プログラム(WCAP)のレオナルド・コリルはともにロンドン世界選手権で10000mを走コリルは13位、ミードは15位だった。その結果では(リオとロンドンでメダルを獲得した)チェリモのレベルには到達していない。 しかし、ミードは土曜日のレースの優勝候補がコリルであると思っている。コリルは(ロンドン世界選手権の後も)この秋にレースを転戦しつつ調子を維持しているからである。

ミードはまた、彼がチェリモよりも速い5000mの自己記録(13:02.80)を持っていることについて述べた。(自己記録はミードのほうが速いが)チェリモは大きなレースにしっかりと調整してくることに加えて、実績をきちんと残していることから、ミードコリルの両者が、そのレベルに到達したいと考えている。

今こそ変革のとき:デジ・リンデン

リンデンはリオオリンピックのマラソンで7位入賞、今春のボストンマラソンで4位だった。そこでは良い結果であったが、リンデンの最終的な目標には達していない。 リンデンは今年の秋に※別のマラソンに活路を見出すことが出来たかもしれないが、マラソンランナーとして次のレベルに辿り着くためには、今までと同じやり方を続けるのではなく、物事を変える(練習方法やそのアプローチ、レースの選択…etc)ほうが良い、と彼女は感じていた。

(※ジョーダン・ハセイが全米歴代2位の記録で3位に入ったシカゴマラソンや、サラ・ホールが自己記録を更新したフランクフルトマラソンなど)

「私は、ある種の“壁”に当たっているような気がしている」

と、リンデンは語った。

「それを乗り越えるには、もっとスピードをつける必要があって… もし私が※今トラック種目で10000mを走れば32:50ぐらいだから、もっと速いタイムで走れるように、スピードを手に入れないといけない」

(※リンデンの10000mの自己記録は2011年の全米選手権での31:37.14であるが、マラソン選手になった今、彼女はその時よりも“スピードが落ちている”と感じている)

彼女は今年の秋から、短い距離のレースをスケジュールに混ぜている(彼女は2週間前にボストンで、5kmのクロスカントリーレースであるのメイヤーズ・カップを走った)。特に、マラソンランナーの彼女は、普段のレースで自分と一緒に走ることのない選手とレースを走れることを楽しみにしている。

※2:22:38の持ちタイムを持つマラソンランナーのリンデンと、800mで1:57.91の記録を持つ中距離ランナーのブレンダ・マルティネスの5kmのロードレースでの勝負は面白くなるだろう。

(彼女の2:22:38の記録はボストンマラソンでの記録なので非公認記録)

 

レッツラン記事

http://www.letsrun.com/news/2017/11/paul-chelimo-aiming-world-indoor-3k-gold-brenda-martinez-done-800-abbott-dash-finishline-usatf-5k-notes/

 

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