シカゴマラソン男子展望:ゲーレン・ラップが優勝するためには、世界記録保持者、リオオリンピック銀メダリスト、シカゴマラソン前回王者を破らなければならない

今週末にシカゴマラソンを控え、我々はとても興奮している。最初に公表された招待選手リストから追加された最終的な男子の招待選手リストは、日曜日のレースに彩りを加えるものとなった。

8月の段階では、メンバー構成に乏しく、ゲーレン・ラップのためのレースのように思えた。2:08:00切りの自己記録を持っている選手が2人で、そのうちデニス・キメットはこの2年間で故障によって思うような成績を残せていなかった。

LetsRun.comの調査では、2013年に東京マラソンが、WMM(ワールド・マラソン・メジャーズ)に加入して以来、6大マラソン(ロンドン、ボストン、ベルリン、シカゴ、ニューヨーク、東京)の男子レースの勝者は、全てサブ2:08の記録を持つか、世界選手権またはオリンピックでメダルを獲得している選手であった。

(そのうち96.4%はサブ2:07の記録を持つか、世界選手権またはオリンピックでメダルを獲得している選手、92.9%はサブ2:06の記録を持つか、世界選手権またはオリンピックでメダルを獲得している選手)

そのようなこと(サブ2:08の記録を持つか、世界選手権またはオリンピックでメダルを獲得している選手)からみると、当初のシカゴマラソンの招待選手リストには3人の“優勝への該当者”しか入っていなかった。

しかし、シカゴマラソンの主催者の頑張りによって、招待選手が追加されたので、我々は今では不満を感じていない。今では8人の“優勝への該当者”ゼルセナイ・タデッセのBreaing2のゴールタイム – サブ2:07も含めると9名となる)が、今回のシカゴマラソンを走る事となった。

ほんの2週間前に、シカゴマラソンの主催者は、スタンリー・ビウォット(自己記録2:03:51 、2015年のニュヨークシティマラソン王者)とフェイサ・リレサ(自己記録2:04:52、リオオリンピック銀メダリスト)の2人を追加したと発表した。

さらに、それだけにとどまらず、2:05台の記録を持つエチオピアのシセイ・レマと、2:06台の記録を持つケニアのエゼキエル・チェビー、アムステルダムマラソンを2度制したケニアのバーナード・キピエゴを追加した。そして、8月の段階で招待選手としてリストに入っていた前回王者のアベル・キルイ(自己記録2:05:04)も、もちろん出場する。

勝者が誰になるか?という事にも注目が集まる中、もう1つの大きな焦点として、ゲーレン・ラップがどれぐらいのタイムで走る事が出来るか?と、いう点にも注目が集まる。これらの主要な招待選手の全員が今回のレースで上手く走れる訳ではないが、良いレースとなるためには、地力のある選手を集めることが重要である。

今年のボストンマラソンを例にとると、ジョフリー・キルイは、ボストンマラソンまでに(2016年のロッテルダムマラソン3位、2016年アムステルダムマラソン7位)大きな実績を持っていなかったが、彼は2:06台で走っていたので“優勝への該当者”の資格を得ていた。ゲーレン・ラップキルイとボストンでデッドヒートを繰り広げた事からも、ラップがこのシカゴマラソンでパフォーマンスを上げてくることは確実だろう。

©2017 Letsrun.com

主な招待選手リスト(全ての招待選手リスト

名前 国籍 自己記録 備考
デニス・キメット ケニア 2:02:57 世界記録保持者。2015年のロンドンマラソン3位から良い成績を残せていない
スタンリー・ビウォット ケニア 2:03:51 2015年のニューヨーク優勝。2016年のロンドンマラソンで2:03台。最近2回のマラソンは途中棄権
フェイサ・リレサ エチオピア 2:04:52 リオ五輪銀メダリスト。2017年のロンドンマラソン12位
アベル・キルイ ケニア 2:05:04 シカゴマラソン前回王者。2017年のロンドンマラソン4位
シセイ・レマ エチオピア 2:05:16 過去3年間のドバイマラソンで全て5位以内
エゼキエル・チェビー ケニア 2:06:07 2016年のアムステルダムマラソンで自己記録を更新。2017年びわ湖マラソン優勝
バーナード・キピエゴ ケニア 2:06:19 アムステルダムマラソン2勝。2011年のシカゴマラソン3位。WMMは未勝利
松村康平(MHPS) 日本  2:08:09 サブテンは1回のみ
ゲーレン・ラップ アメリカ 2:09:58 マラソン3戦とも好成績。初のWMMタイトル制覇となるか?
ゼルセナイ・タデッセ エリトリア 2:10:41 Breaking2のレースを2:06:51で走破=サブ2ペースの集団から脱落してのタイム
マイケル・シェリー オーストラリア 2:11:15 2014年コモンウェルス・ゲームズ優勝
宮脇千博(トヨタ自動車) 日本  2:11:50 びわ湖マラソン25位
松尾良一(旭化成) 日本 2:12:11 2月の延岡西日本マラソン2:13台で優勝
スティーブン・サンブ ケニア 2:13:35 初マラソンの2016年のシカゴマラソン5位

前回王者:アベル・キルイ(ケニア)

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35歳:自己記録2:05:04(2009年ロッテルダム)、60:11(2007年ロッテルダム)、2016年東京マラソン5位(2:08:06)、2016年シカゴマラソン優勝(2:11:23)、2017年ロンドンマラソン4位(2:07:45)

キルイは2012年ロンドンオリンピックで銀メダルを獲得したが、その後の3年間は良い成績を残せなかった。しかし、去年の東京マラソンで2:08の記録を出し、シカゴマラソンで優勝を果たし復活を遂げた。4月には、ロンドンマラソンをここ6年の間で1番良いタイムの2:07:45で走って4位に入り、現在、2009年と2010年シカゴマラソンで2連勝を果たしたサムエル・ワンジル以来の、シカゴマラソン連覇を目標にしている。

キルイと同い年(35歳)の多くのマラソン選手は、この年齢になってから練習環境の変化を好まない。しかし、キルイはここにきて、エリウド・キプチョゲと同じ、ケニアのカプタガトのパトリック・サングが率いるグローバルスポーツのキャンプに参加し始め、シカゴマラソンに向けてトレーニングを積んだ。

RunBlogRunのサブリナ・ヨハネスに対して、今でもレナート・カノーバの指導を受けて一緒に練習をしていると述べている。しかし、シカゴマラソンに向けた練習ではカプタガトのサングのグループに参加している。

「3か月前にカプタガトに行った。そこにいる選手たちを見てみたかった。彼らは速いタイムで走る選手ばかりだ。自分もそのタイムに近づきたい。自分は※“2:05の選手”だ。そこに参加すれば、もっと速くなれる」

(※Two-O-Five, トゥーオーファイブの選手だ、と読む)

キルイがシカゴマラソンで勝つには2:05分台で走る必要はない。去年は2:11:23で優勝している。しかし、2:05に近いタイムで走ることが出来ると、キルイヨハネスに話した。サングの指導下でスピードに磨きをかけたと、キルイは信じている。キルイに対抗して他の選手たちがこのレースでペースを上げるかどうかが、見ものである。キルイは世界選手権とオリンピックにおいて素晴らしい成績を残しているが、2:06:51より速いタイムで走ったのはたった1回だけである。

復活レースとなるか?:スタンリー・ビウォット(ケニア)

31歳:自己記録2016年ロンドンマラソン2:03:51、2013年ラス・アル・ハイマハーフ58:56、2016年ロンドンマラソン2位(2:03:51)、2016年リオオリンピック途中棄権、2016年ニューヨークマラソン途中棄権

最近のレース:7月30日ボゴタ・ハーフマラソン4位(65:54)

2016年の春、エリウド・キプチョゲは世界最高のマラソン選手で、スタンリー・ビウォットは世界ナンバー2の呼び声が高い選手だった。しかし、その後キプチョゲが長距離界を独占し続けていたのに対して、2015年のニューヨークシティマラソンで優勝し、2016年のロンドンマラソンではキプチョゲに次いで2位(2:03:51)でゴールしたビウォットは、その後良い成績を残せず苦しんでいた。

それはリオオリンピックに始まる。腹痛からリオオリンピックのマラソンを途中棄権。それから3か月も経たないうちに、連覇を目指してニューヨークシティマラソンに出場するも、レース前に痛めていたふくらはぎの故障により、またもや途中棄権。

今年の春はロンドンマラソンに出場したが、ハムストリングスに問題を抱えていたため、故障からの復帰として一から作り直さなければならなかった。ビウォットはまだ31歳である。そして、たった18か月前に2:03分台の記録を出している。彼の調子が良ければ、彼は日曜日に勝つ可能性があるが、彼の最近の成績を見ると、それは“あくまで大穴として”の話である。

彼の最近のレース、コロンビアの高地のボゴタハーフの65:54という記録は、2015年の同じレースで彼が63:15で走っていることを考えれば、あまり良い結果ではないように思える(レースは64:30でリレサが優勝)。しかし、ビウォットの前で、65:04でゴールしたのはエチオピアのシュラ・キタタで、彼は最近のハーフマラソンを60:10で走った。

フェイサ・リレサ(エチオピア)

27歳:自己記録2012年シカゴマラソン2:04:52、ハーフマラソン59:22(2012年)、2016年東京マラソン優勝(2:06:56)、2016年リオオリンピック銀メダル(2:09:54)、2016年ホノルルマラソン(2:15:57)、2017年ロンドンマラソン(2:14:12)

最近のレース:7月30日ボゴタハーフマラソン(64:30)、9月10日グレート・ノースラン(ハーフマラソン )3位(61:32)

2016年の中頃までリレサの調子は良かった。東京マラソンで優勝して、リオオリンピックで2位に入った。マラソンでゲーレン・ラップをやぶった※3人の中の1人である。しかし、ゴール手前で“X”のハンドサインをしながら、彼のエチオピアの地元で起こっている暴力行為に抗議をするリレサは、リオオリンピックの後に、アメリカのアリゾナ州フラッグスタッフに移り住み、妻や子どもたちから離ればなれになってしまうという、怒涛の数か月を過ごした。

(※エリウド・キプチョゲ、フェイサ・リレサ、ジョフリー・キルイの3人のみ)

今年のバレンタインデーの日に、エチオピアに住む彼の家族も、ついにアメリカに移り住むことができた。その後、リレサは4月にロンドンマラソンを走り、前半に積極的に飛び出したが(最初の5kmを14:13、中間地点を61:41)、最終的には2:14:12の12位に終わった。

しかし、このロンドンマラソンを除けば、リレサの2017年の成績は堅実なものである。3つのハーフマラソンは1番遅くて61:32(3月のニューヨークシティハーフでは60:04)、記録としては参考外にあたる7月のボゴタハーフマラソンではビウォットに1分24秒の差をつけて優勝した(リレサは標高2600m以上のこのレースで64:30)。

リレサは過去のシカゴマラソンでは好記録を出している。2012年には2:04:52の自己記録で2位に入った。※今回は前半61:41のような速さで通過しない考えると、4月のロンドンマラソンよりは良いタイムでシカゴマラソンを走るのではないだろうか。

(※シカゴマラソンは2年前からエリート選手用のペーサーを廃止した)

世界記録保持者の時代は終わったのか?:デニス・キメット(ケニア)

33歳:自己記録2014年ベルリンマラソン(2:02:57)、ハーフマラソン59:14、2015年福岡国際マラソン途中棄権、2016年ロンドンマラソン9位(2:11:44)

2012年のベルリンマラソンで2:04:16という初マラソンでの元世界最高記録を出したキメットは、突如現れた遅咲きの新星だった。その後の2年半、彼は世界でトップレベルのマラソン選手の1人となった。東京マラソンで優勝し、2013年のシカゴマラソンで大会記録を出した(2:03:45)。そして、2014年のベルリンマラソンで2:02:57という現在の世界記録を出した。

しかし、世界記録を出して以降、キメットが走ったレースで良かったレースは1回だけである。2015年のロンドンマラソン3位(2:05:50)。それから3レース、キメットは途中棄権2回、2:11を1回、そして2016年4月以降、どの距離の、どの大会にも出場していない。今年のボストンマラソンも1ヶ月前に出場を取り消した。

レースで走れなかった理由や、レース出場にまでこぎ着けられなかった理由として、様々な故障が原因だったとしているが、シカゴマラソンに向けての練習は順調で、彼は“まだ走れる”と言っている。先月のベルリンマラソンで、キプチョゲが世界記録に挑戦しているのを見て、キメットは、ケニアのメディアであるデイリーネイションに次のように語った。

「2014年に出した世界記録を破るのは難しいことだ。自分がもう1度復活して、自分で世界記録を更新する時がやって来た」

我々はそんなに楽観的ではない。キメットがマラソンで好成績を残してからかなりの時間が経った。彼の最近の状態も、昔の練習パートナーであるジョフリー・ムタイに似ている。ムタイは2010年の初めに世界最高のマラソン選手の1人であったが、その後何年間も苦戦を強いられている。キメットがシカゴマラソンで優勝できるほど調子が良いだろうか。

ワールド・マラソン・メジャーズでキメットのことを我々が真剣に語るようになるには、キメットはマラソンでいい記録が出せるということを走りで証明する必要がある。

ゲーレン・ラップのインタビューその1(シカゴマラソンへの準備ついて)

ナイキ・オレゴンプロジェクトのゲーレン・ラップは、アメリカでも指折りのマラソンのスター選手であるが、このシカゴマラソンの前のレースでは特に速いタイムでは走っていない。しかし、彼らから話を聞くと、チームメイトのジョーダン・ハセイとともに2人とも日曜日のレースへの準備は万全のようだ。

ラップは4月のボストンマラソンでジョフリー・キルイに次ぐ2位でゴールし、素晴らしいレースを見せた。ミシガン湖畔のヒルトン・シカゴホテルで行われたレース前の会見において、ラップは、

「この風が強いシカゴマラソンでいい走りが出来るだろう」

と、自信のあるコメントをした。

「マラソンへ向けた準備としては、今までで一番良い」

と、ラップは述べた。

ゲーレン・ラップのインタビューその2(マラソンでのポテンシャルなど)

2016年2月のアメリカのオリンピック選考レースでマラソンデビューを果たして以来、ラップは3つのマラソンで素晴らしい結果と残してきたが、これらのマラソンへ向けた準備は、理想とは程遠いものだった。オリンピック選考レースとオリンピックに向けた練習は、※トラックの5000mや10000mの練習と、マラソンのトレーニングの2つを並行しながら行われていった。

(※ラップは、リオオリンピックで10000mに出場し27:08.92で5位。そして、その後のマラソンで銅メダルを獲得した)

リオオリンピックの8週間前、ラップは10000mのスピードを磨くため、距離走は2回しか行わなかったという。ラップがマラソンのためだけに練習するのは今年のボストンマラソンが初めてであったが、ボストンマラソンへの調整段階で、長引いていた※足底筋膜炎にも悩まされた。

(※それによって、”チームメイトの大迫傑とラップが一緒にマラソン練習が出来なかった”と、オレゴンプロジェクトのアシスタントコーチのピート・ジュリアンは、ボストンマラソンのレース後に話した)

今回、ラップはマラソンだけに集中して身体の状態もいい。他の選手にとってはかなり脅威となるだろう。コーチのアルベルト・サラザールがこのスピードコースであるシカゴマラソンに向けてスピード練習を追加したことを明かしたラップ。ラップは週に23〜25マイル(約37〜40km)、1番長いものでは27マイル(約43.45km)の距離走を試みた。

今回のシカゴマラソンには、世界記録保持者のデニス・キメット、リオオリンピック銀メダリストのフェイサ・レリサ、前回王者のアベル・キルイなど、強豪選手がひしめき合ってる。しかし、ラップはそれでも優勝候補である。

ラップの目標は優勝することを挙げ、”理想としてはタイムも狙いたい”と述べた。

「2:10のレースには出場してきた。次のステップは、2:06や2:07のレースに進むことだ」

その目標のタイムは最終的にはどのぐらいなのか?ラップは最終的な目標について、明確な数字を言わなかった。

「それを言ってしまうと、自動的に自分に制限(バリア)を設けてしまう」

しかし、どの距離のレースにおいても、彼の目標は常に世界最高の選手と競うことである。マラソンの世界においては、ロンドンマラソンかベルリンマラソンでエリウド・キプチョゲのような選手と対決するということだろう。

「最終的に2:02や2:03でマラソンを走りたいとなれば、それに向けた練習をもっとしなければならない。2:10のレースにたくさん出ていても、そのレベルに達するのは期待できない」

ラップが、全米ロード20km選手権で59:04で優勝(ハーフ62:18ペース)し、ロックンロールフィラデルフィアハーフが62:18だったことについても、ラップは特に心配していない。

どちらのレースも、速いペースで走ることに特に集中はしていなく、最後の4〜5マイル(最後の6.4〜8km)で追い込む、というレースをしたかった、という。実際、ニューヘイブン(全米ロード20km選手権)での走りがそうであった。フィラデルフィアでは、ラップは後半ペースを少し落としたが、走るには暑すぎる気象条件だった。

ラップの状態に関して、故障等の報道はなかったが、4月のボストンマラソン以降にリークされたUSADAのレポートで、サラザールラップを含めたオレゴンプロジェクトの選手についてのドーピング情報があった。

しかし、ラップはSNS嫌いを公言しており、SNSから距離を置いている。そのレポート自体は読んでいないものの、その内容に関しては全く心配していないという。

「真実を知っているから、そんなレポートを読むのは時間の無駄だ。自分がやってきたことは自分が1番知っているし、本当の事を知っている。真実がいつか明るみに出るということは自信を持って言える。何も間違ったことをしていないのに、心配することなんで何もないさ」

その他の選手

これまで述べた選手たちはマラソンでこれまで成績を残してきた選手だ。しかし、キルイラップ以外の選手には不安要素がある。そこであと5人、シカゴマラソンでの注目選手を挙げよう。

シセイ・レマ(エチオピア)26歳:自己記録2:05:16

レマは強い選手だ。そして何よりもコンスタントに成績を出しているマラソン選手である。10回のレースのうち、9回のマラソンで2:10を切っている。過去7回のレースのうち6回は、遅くても2:08:04の記録である。ヴェネチアマラソンとフランクフルトマラソンで優勝し、最近では1月のドバイマラソンで3位に入った。レマのタイムは2:08:04だったが、彼の走りはタイム以上の価値があった。前半を61:36で通過し、後半も必死にペースを保とうと粘っていた。レマの自己記録が2:05:16であり、サブテンをコンスタントに達成していると考えると、今回のレースも問題なく走れるだろう。しかし、ドバイマラソンの後、ボストンマラソンで途中棄権だった事を忘れてはいけない。

エゼキエル・チェビー(ケニア)26歳:自己記録2:06:07

彼はこのシカゴマラソンが、WMM(ワールドマラソンメジャーズ)のデビュー戦となり、彼にとって、これほどいいタイミングはないだろう。昨年の秋、アムステルダムマラソンで自己記録を1分以上更新して2:06:07で走った(ただし、順位は5位だった)。そして、3月のびわ湖毎日マラソンに出場し、これから将来が見込めるマラソン選手だということを証明してみせ、強風の中の悪条件にも関わらず優勝を果たした。

また、ハーフマラソンで59:05という自己記録を持っており、主要な世界のマラソンで勝てる才能を兼ね備えている。しかし、先月のレースはいい結果ではなかった。9月2日のフランスで行われたハーフマラソンで62:51のタイムで11位。6月にオランダで走ったハーフマラソン での63:40から見れば、タイムは縮まっているのであるが。

バーナード・キピエゴ(ケニア)31歳:自己記録2:06:19

レマと同様に、キピエゴもコンスタントに結果を出している。しかし、これまで出場した9回のWMMのレースではまだ勝利を収めていない。過去8回のレースのうち、7回のマラソンでは、1番遅くても2:08:10で走っており、坂が多い2015年のボストンマラソンは悪天候で2:10:47の4位だった。

2014年と2015年のアムステルダムマラソンで優勝した後、キピエゴの順位は後退しており、昨年秋のアムステルダムマラソンは8位(それでも2:06:45のタイム)、2月の東京マラソンは2:08:10で6位という結果だった。WMMへの10回目の挑戦で、主要な世界のマラソンで彼はついに優勝を収めることができるだろうか?

ゼルセナイ・タデッセ(エリトリア)35歳:自己記録2:10:41

タデッセの公式な自己記録は2:10:41で、2013年以降にWMMで優勝してきた選手のタイムよりかは遅いタイムになる。しかし、5月に行われたナイキのBreaking2では、2:06:51で走っている。ナイキのイノベーションの恩恵を受けてのこのタイムだとしても、2:06:51はタデッセの今までの実績からすれば妥当なタイムである。彼はこのBreaking2で前半を※60分台前半のハイペースで入り、このタイムを出している。

(※キプチョゲは59分台後半で通過し、その後2:00:25でゴールした)

表面的に、Breaking2が解決したとされるタデッセの今までのマラソンでの大きな問題は水分補給であった。ナショナル・ジオグラフィックスのBreaking2のドキュメンタリーによると、タデッセは過去のマラソンにおいて水分補給をしたことがなかった。しかし、これが本当にタデッセがマラソンで抱えていた問題だとすれば、それを解決するために、今まで何故こんなにも時間がかかったのか理解できない。彼のマネージャーは2年以上前に、彼のマラソンでの水分補給に関する問題について認識をしていた。

タデッセが主要なマラソンで勝てるかどうか、その実力に対してはまだ懐疑的ではあるものの、Breaking2は彼にとっては前進することの出来たきっかけであったし、彼は58:23(2回目の更新)と58:30(1回目の更新)というハーフマラソンの世界記録を持っている。

スティーブン・サンブ(ケニア)29歳:自己記録2:13:35

彼の自己記録をもとに考えると、サンブは“勝つ可能性がある選手”ではない。しかし、去年のシカゴマラソンでこのタイムを出している。去年のシカゴマラソンの優勝タイムは2:11:23(サンブは5位)。サンブのハーフマラソンの自己記録(60:41)とロードレースでの成績(6月ボストン10kmで28:04、8月のファルマスロードレースでは4年連続で優勝)を考慮すると、日曜日のレースペースが速くなれば、サンブは自己記録を上回るタイムで走れる可能性がある。

男子レースのポイント:誰が先頭集団をリードしてペースを作るのか?

2年前、レースディレクターのキャレイ・ピンコウスキはシカゴマラソンからペーサーを廃止するという決定をし、それによって良い面も確かにあった。アメリカ人選手が、これまでよりも長く先頭集団に残れて、去年は終盤まで勝負がもつれ込んだ。1番大きな影響があったのは、ゴールタイムである。

ペーサーがいなくなる前の3年間、シカゴマラソンでの優勝タイムは2:04:38(大会記録)、2:03:45(大会記録)、2:04:11だった。ペーサーがいなくなってからこの2年の優勝タイムは、2:09:25、2:11:23である。ここ2年の招待選手の顔ぶれも寂しくなってきている(全盛期のデニス・キメットが2013年に優勝し、エリウド・キプチョゲが2014年に優勝)。

昨年のシカゴマラソンの優勝タイムである、2:11:23のタイムで優勝できるのは、世界の主要なマラソンではかなり珍しく、1990年以来のニューヨークシティマラソンではこれより遅いタイムでの優勝者はいない。しかも、ニューヨークシティマラソンのコースは、シカゴに比べると後半の急激な上り坂を含んだ難コースである。

もし、シカゴマラソンの優勝タイムを速くさせるためには、簡単な解決策がある。多くの中国のマラソン大会で実施されている事をする、それはつまり、サブテンを達成出来なければ賞金を50%下げる、ということだ(悪天候などの場合は、賞金の引下げ率は50%から変更される)。遅いゴールタイムはいつも悪いというわけではない。もう1度言うが、2016年のゴールは素晴らしいものだった。

しかし、今年のシカゴマラソンが速いペースになると考えられる理由が2つある。

1つ目は、2015年と2016年よりも強い選手が多い。つまり、序盤からペースを上げようと考えている選手がいるということだ。2つ目は、ゲーレン・ラップが走るからだ。ラップが、優勝する事か、もしくはタイムを狙う事、どちらに比重を置いているかはわからないが、ラップがニューヨークシティマラソン(招待選手の出場料に関してはかなりの資本があるとされる)ではなく、シカゴマラソンを選んだのは、シカゴのコースの方が速く走れるからである。

2015年と2016年よりも優勝タイムは速くなる、と予想するが、それがどのぐらい速くなるかは天候によって変わってくる。

天候について

ベルリンマラソンでエリウド・キプチョゲの世界記録を阻んだ天気を覚えているだろうか。日曜日のシカゴの天気予報は、ベルリンと同じような感じである。現在の予報だと、日中の気温は24℃ほど、※時々雨が降り、風は12mph。スタート時間は現地時間で朝の7:30なので、レース全体を通しての気温は15℃ぐらいだと予想される。しかし、ゴールが近づくにつれて太陽が出始めると暑くなると思われる。

(※前日の夜の時点で、シカゴマラソン当日の天気予報は晴れの予報に変わりつつある)

ベルリンより湿気が無いのは良い点である。ベルリンでの天気は、マラソンにおける理想的な条件ではなかったが、それでもグエ・アドラによって初マラソン世界最高記録が出たので、日曜日のシカゴはどうなるか、見ものである。

 

レッツラン記事

http://www.letsrun.com/news/2017/10/wr-holder-olympic-silver-medalist-defending-champ-guys-galen-rupp-must-defeat-win-chicago/

 

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