レッツラン的、ロンドン世界選手権のアメリカ代表中長距離選手の成績表

素晴らしい戦いが繰り広げられた、2017年ロンドン世界選手権が幕を閉じた。(全成績)

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©2017 SushiMan Photography

ロンドン世界選手権を振り返って、アメリカ代表の中長距離選手にレッツランが※独自の成績をつけたので、ぜひご覧になっていただきたい。アメリカ代表の女子選手が4つのメダルを獲得し、アメリカを賑わせA+かそれ以上の成績を獲得した。まず初めにA+の選手の結果から振り返り、その後は種目ごとに見ていく。

(※この成績表は大会前に選手が期待された内容に対してどの程度応えてくれたかを基準につけられている)

 

A++ エマ・コバーン (ニューバランス 金メダル 9:02.58=自己新記録)

世界選手権の決勝で、5.05秒も自己記録を更新をすれば文句なしのAだ。しかし、自己記録を更新して、さらに金メダル獲得となれば、A++が妥当だろう。彼女の金メダル獲得は、アメリカ長距離界においては1964年の東京オリンピックでの※ビリー・ミルズ以来の衝撃だった。

(※内容が非常に良いウィキペディアの項目なのでビリー・ミルズの東京オリンピックの大番狂わせについて一度リンクを見て下さい)

9:02.58という素晴らしいタイムを出しても、コバーンのこの記録は今シーズンで5番目のタイムである。彼女の大学時代のチームメイトであるジェニー・シンプソンの2011年大邱世界選手権女子1500mでの金メダルもそうだが、コバーンの金メダルは“幸運の賜物”だといえるだろう。

優勝候補だったベアトリス・チェプコエチが最初の水濠を跳び忘れて逸走し、その後バックストレッチでは転倒もしてしまった (シンプソンが大邱世界選手権で金メダルを獲得した時にも、ヘレン・オビリとモーガン・ユーセニーが転倒している)。しかし、何が起きるかわからないのがスポーツの世界だ。仮にチェプコエチが金メダルを獲っていたとしても、コバーンが5秒も自己記録を更新して銀メダルを獲得していればA+の評価は与えられていただろう。

 

A++ コートニー・フレリクス (ナイキ 銀メダル 9:03.77=自己新記録)

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フレリクスも、今年で1番高い成績を獲得した。銀メダルは金メダルに比べたら色褪せてしまうが、彼女は3000mSCにおいて世界最高峰の舞台で15.32秒もの自己記録更新で銀メダルを獲得したのだ。驚いたことにフレリクスはこの結果に満足していなかった。ラスト1周のバックストレッチで、フレリクスは大胆にも先頭に出ようとスパートをかけた。フレリクスのおかげでコバーンが金メダルを獲得できたと我々は確信している。ラスト1周でフレリクスはコバーンをマークしながら金メダルを狙っていた。

コバーンは次のように語っている。

「ラストで、コートニーも一緒にいたことで、自分のモチベーションも上がったの。彼女は金メダルを狙ってるわ、私にだって出来るはずだって」

もしフレリクスが金メダルを獲っていたら、彼女が1番いい成績のA+++を獲得していただろう。彼女がこのロンドンで成し遂げたことは非常に大きい。彼女はクリーンだと信じているが、ドーピング (PED)問題の状況を考えても、彼女の今回の成績は誰よりも良いだろう。

 

A+ エイミー・クラッグ (ナイキ 銅メダル 2:27:18)

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©2017 SushiMan Photography

ロンドン世界選手権の女子マラソンには、自己記録が2:22よりも速い選手が10人もいるハイレベルな戦いだった。悪天候のレースではなく、マラソンにはちょうど良いコンディションでのレースだった。そんな中で、彼女は34歳にして世界選手権で初のメダルを獲得したのだ。クラッグにもA++を与えたかったが、コバーンとフレリクスの快挙をより評価しているのでA+としている。

 

A+ ジェニー・シンプソン (ニューバランス 銀メダル 4:02.76)

シンプソンの走りは、これまでの全ての国際大会でもそうであったように、今回のロンドン世界選手権でも素晴らしかった。毎年、彼女は自分のピークを上手く夏に合わせてくるし、もっと重要な事は、彼女がほとんど完璧にレースを戦略的に進めることである。シンプソンは、今シーズン15番目のタイムで銀メダルを獲った。この結果よりも良い事はないだろう。金メダルにあと0.17秒足りないだけだった。

 

A++ セレーナ・ビューラ (ナイキ 11位 2:29:32)

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ビューラは女子マラソンでトップ10にこそ入れなかったものの、彼女の走りは良かった。2017年の彼女の調子はよく、今回のレースで2:30を切ったのは今年2回目であった  (1月の大阪国際女子マラソンで2:26:53の自己記録を出している)。今年に入るまでは、彼女のキャリアにおいては2:30を2回しか切ったことがなかった

彼女は足に※癌性腫瘍を患いながら、このタイムを出したのだ (彼女はレース中もその足に癌性腫瘍を患っている事を知らなかった)。なんて素晴らしい事なのか。

(※がんせいしゅよう、悪性腫瘍)

21640689_1160479587385131_1462455982_o©2017 SushiMan Photography

デイビッド・モンティのツイート (2017年8月13日=ロンドン世界選手権の後)

“セレーナは数週間前に右足に小さな “しこり” があることに気付いた。7年前に癌陰影の摘出手術をした所と同じ場所だった。2日前にニューヨークの病院で診察を受け、癌性腫瘍の診断を受けた。彼女は来週、ニューヨーク市のスローンケッタリングがんセンターにて手術を行う予定だ。彼女はこれを克服するだろう”

デイビット・モンティ

「ロンドン世界選手権のマラソンを11位でゴールした、セレーナ・ビューラは“がん”と戦っている。彼女のために祈ろう。#SerenaStrong」

 

他にA+の選手はいないので、以下、種目ごとに見ていく。

 

男子800m

B ドリュー・ウィンドル (ブルックスビースツ 準決勝5着 1:46.33, 準決勝敗退)

自己記録1:45.65のドリューが世界選手権の準決勝に進めた事は、今年の初めだったら誰も考えていなかった事だろう。アメリカの男子800mは今やタレント揃いの種目、その中で彼がアメリカ代表入り出来ただけでも、我々の予想を大きく覆した。考えてみてほしい。クレイトン・マーフィー (リオオリンピック800m銅メダル)とボリス・ベリアン (ポートランド世界室内800m金メダル)は2人とも国際大会でメダルを獲得しているし、ドナヴァン・ブレイジャーは19歳にして1:43の記録を持っている。

しかし、ウィンドルはその中でアメリカ代表入りを果たした。なので、彼には成績Bをつけた。しかし、彼は将来、このロンドン世界選手権の準決勝落ちを“ほろ苦い思い出”として思い返す事になるだろう。まず第1に、アメリカ代表として走る事はウィンドルにとっては普通の事ではない。彼が今年経験したような機会は2度とやってこないだろう。

今年故障に苦しんだのは、マーフィーとブレイジャーだけではない。デイビッド・ルディシャも今年はロンドン世界選手権を欠場した。ウィンドルは準決勝で本来の実力を発揮できなかった (1:46.33の5位)ので、優勝タイムが1:45.21という低調な結果に終わった決勝のレースに彼がもし進んでいたら、どんなレースが出来ただろうと、彼はこの先ずっと思い返すことになるだろう。

ロンドン世界選手権後のポッドキャストで、我々は大胆にも、ウィンドルが決勝に進んでいたら、ウィンドルのラストスパートからして、メダルを獲れたかもしれないと、仮想の話で盛り上がった。ウィンドルのシーズンベストは、準決勝進出者の中で9番目のタイムだった。そのようなことからも、決勝進出はかなり現実的な話だったのだ。

 

C+ ドナヴァン・ブレイジャー (ナイキ 準決勝7着 1:46.27, 準決勝敗退)

ブレイジャーは2016年の全米オリンピックトライアルや、2017年の全米選手権の時のように、予選での大きな失敗はしなかったので、それは良しとするが、今回のブレイジャーの走りは、2016年に19歳になったばかりの頃に1:43で走った選手の“圧巻”の走りではなかった。彼は準決勝3組目で、組の上位4人は決勝に進めたことを考えれば、彼にとって実りのある世界選手権にする為に、最低でも決勝に進まなければならなかった。

我々は、ブレイジャーの良い面に注目したい。今年彼は初めてアメリカ代表入りを果たし、予選を勝ち抜いた。しかし、もし彼のキャリアが終わってしまうまでに、世界大会でメダルと獲ることが出来ないならば、それは残念な事である。

 

A- イザヤ・ハリス (ペンシルべニア州立大学 準決勝4着 1:46.66, 準決勝敗退)

イザヤにはウィンドルよりもいい成績を与えている。彼らは2人とも準決勝敗退だったにも関わらずだ。何故か?それは、ハリスがまだ20歳であり、2年前の彼の自己ベストは1:49だったからだ。

 

女子800m

A アジ・ウィルソン (アディダス 銅メダル 1:56.65)

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アジ・ウィルソンはロンドン世界選手権前のモナコDLで全米記録を出していたので、大きな期待を背負ってこのロンドン世界選手権に出場した。金メダルを目指して出場して、銅メダルを獲得し期待に応えた形となった。彼女がこのレースで、金・銀メダルを逃したのは決して恥じることではない。なにせ、上位2人(セメンヤとニヨンサバ)はアジ・ウィルソンより3倍近いテストステロン値 (男性ホルモン)なのだから。

おそらく将来的には、選手の性別やホルモンに関する組み分けについて何かしら進展があるかもしれない。そうすれば、ウィルソンにも金メダルの可能性が出てくる。しかし、ウィルソンはそんな事は何も心配していないし、彼女はキャスター・セメンヤのような選手に勝てるように、より速いスピードで走ろうとしている、彼女のそのような姿勢が好きだ。

彼女への期待値がそんなに高くなければ、彼女の評価はA+だっただろう。アジは自分の思った通りの走りをしたとと言えるだろう。

 

A チャリーン・リプシー (アディダス 7位 1:58.73)

リプシーは今シーズン7位の記録を出し、ロンドン世界選手権でも7位になった。もしIAAFが高アンドロゲン症に関しての規則を元に戻す(上位2人が出場出来なくなる)とすれば、彼女は将来メダル候補になるだろう。それにも関わらず、彼女は自己ベストを2:00.60から1:57.38に短縮するなど、著しい進化を2017年に遂げた。全体的には、彼女の今シーズンはA++だ。今年どのアメリカ選手よりも大きな進化をしたのが、彼女だからだ。

 

B ブレンダ・マルティネス (ニューバランス 準決勝3着 2:01.31, 準決勝敗退)

マルティネスはロンドン世界選手権で素晴らしい走りをした。準決勝では、彼女はケニアのマーガレット・ワンブイのたった0.12秒後にフィニッシュしている。彼女が決勝に出ていれば、恐らく5位には入っていただろう。だから、準決勝3位で、決勝進出にならなかったことは決して悪いことではない。同じ組のワンブイとフランシン・ニヨンサバは決勝に進出した。しかし、彼女の準決勝の作戦は明らかに無謀であったし、批判されて当然である。彼女の作戦に関しては、Fを付けたいぐらいだ。

個人的に、もし準決勝を3組行うのであれば、各組上位3位の計9人で800mの決勝をやればいいと考えている。もしくは、予選の通過基準をもっと厳しくするか。予選が6組あるので、各組上位3名 (タイム基準は無し)が準決勝進出し、準決勝では1組9人になる。2組の準決勝から、各組トップ4人とタイム上位の1人で決まれば、決勝は9人になる。

 

男子1500m

A ジョニー・グレゴリック (アシックス 10位 3:37.56)

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グレゴリックが決勝に進出するなんて思っていなかった。彼は幸運な事に、予選では3組、準決勝では2組だったので、タイムで決勝進出を狙いやすかった。それが“運”であったとしても、彼にはAを与えよう。準決勝では決勝進出を逃した選手とたった0.04秒だったのだから。

 

C ロビー・アンドリュース (アディダス 準決勝途中棄権)

2015年の北京世界選手権では決勝進出を果たし、2016年のリオオリンピックも失格になっていなければ決勝に進出していたので、今回決勝に進めなかった事はアンドリュースにとっては残念な事だった。彼は怪我をしていたから準決勝で本来の力を発揮出来なかった。しかし、体調管理もスポーツの一部だ。

D+ マシュー・セントロウィッツ (ナイキ 予選1組最下位 3:48.34, 予選敗退)

この評価は厳しいように見えるかもしれないが、彼はリオオリンピックチャンピオンだ。もちろん、全米選手権前に彼が今シーズンを諦めなかった事は称えるべきだ。負けるのを恐れて試合に出てこないのは、我々が1番嫌いな事だ。デイビッド・ルディシャは故障によってロンドン世界選手権の出場を辞退した。セントロは、この舞台に来ただけでも評価に値する。ロンドン世界選手権に出場したことについてはA+だが、ロンドン世界選手権での結果としてD+だ。

 

女子1500m

A+ ジェニー・シンプソン (ニューバランス 銀メダル 4:02.76)

※冒頭部分に記載

 

A サラ・ヴァーン (ブルックス 準決勝10着 4:06.83, 準決勝敗退)

3人の子どもの母親でありながら、31歳にして初めてアメリカ代表入りを果たしたヴァーンは、今年陸上ファンを感動させた選手の1人だろう。彼女が準決勝に進めた事は素晴らしいことだった。

 

C  ケイト・グレース (ナイキ 準決勝11着 4:16.70, 準決勝敗退)

グレースは、去年のリオオリンピックでは800mでファイナリストだった。今回の準決勝で敗退してしまう為に1500mに距離を伸ばしたわけではない。彼女は葛藤に悩まされていた。※高アンドロゲン症に関しての規則が元に戻されなければ、彼女が800mでメダルを獲るのはほぼ不可能に近い。しかし、今の時点では彼女は1500mよりも800mに向いているように思う。メダルを獲りたいのならば1500mに出場することが正しい判断かとは思うが、それは簡単ではない。幸いなことに2018年は大きな国際大会が無いシーズンとなる。ここで、4:03という自己ベストを4:00か、もしくはそれより速いタイムに短縮して、1500mで戦える選手になって欲しい。

(※女子800mを独占しているセメンヤ、ニヨンサバは異常に高いテストステロン値 – 男性ホルモンが検出されている)

 

男子3000mSC

B エヴァン・ジェイガー (ナイキ 銅メダル 8:15.53)

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男子3000mSCにおいて、世界選手権初のメダルをアメリカにもたらした選手にBという成績は、恐らく厳しすぎるだろう。しかし、この成績表は大会前の期待にどの程度応えてくれたかを基準につけられている。ジェイガーは2016年のリオオリンピックで銀メダルを獲得し、去年に比べれば、今年2017年の男子3000mSCの競技全体のレベルは低いように思われた。

圧倒的な優勝候補や世界記録保持者がいなかったので、ジェイガーはロンドン世界選手権での良い成績が期待されていた。ジェイガーは良い成績だったが、素晴らしい成績ではなかった。なかには、ジェイガーはレースを積極的に引っ張ったのだから、もっと良い成績をあげるべきだと思う人もいるかもしれないが、これが彼の※勝ちパターンなのだ。

(※ラスト1周の切り替えがC.キプルトのようなレベルにない為、世界大会やダイヤモンド・リーグでジェイガーはいつも2000m過ぎぐらいからのロングスパートで後方を引き離そうとするのが彼の勝ちパターン)

 

A スタンレー・ケベネイ (ナイキ 5位、8:21.09)

ロンドン世界選手権前のモナコDLのレースで、ケベネイは8:08.30という全米歴代2位の記録を出した。それによって、今シーズンのランキングの5位まで上がり、ロンドン世界選手権でも5位に入った。しかし、4位との差が5.29も開いていた。

 

C ヒラリー・ボア (※アメリカ軍=ADP / WCAP 予選5着 8:27.53, 予選敗退)

8:11.82という自己記録で、今シーズンのランキングで10位だったボア。予選3組目で走り、8:25で走れば決勝進出出来たのだが、それが出来なかったのはとても残念であり、それを無視する事は出来ない。

(※ADP=American Distance Project / WCAP=Army’s World Class Athlete Program、スコット・シモンズコーチのもとで、スポンサーがないアメリカ軍の彼らは競技に取り組んでいる)

 

女子3000mSC

A++ エマ・コバーン (ニューバランス 金メダル 9:02.58=自己新記録)

※冒頭部分に記載

 

A++ コートニー・フレリクス (ナイキ 銀メダル 9:03.77=自己新記録)

※冒頭部分に記載

 

【評価不可】コリーン・キグリー (ナイキ 予選失格)

もし予選で※失格になっていなかったら、キグリーが決勝でどのような走りをしたか、今は考えがまとまらないのは申し訳ない (彼女がロンドン世界選手権の後に再度3000mSCを走ってくれれば、考えがまとまるかもしれない)。キグリーはルールを破った、という人もいると思うし、実際にそうだったのだが、もしかしたらそのルール自体が馬鹿げたものだったかもしれないし、コーンの置き場所が正しい位置に置かれていなかった事で大会側のミスにより発生したとも言える。

(※キグリーはレース中の水濠を跳び終えた後に、内側を走り過ぎてコーンの内側に入ってしまった事で失格となった。レース中はもちろん気づいていないまま走り、予選通過の順位でフィニッシュするも失格となった)

 

男子5000m

A ポール・チェリモ (アメリカ軍=ADP / WCAP 銅メダル 13:33.30)

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2016年のリオオリンピックでは銀メダル、2017年のロンドン世界選手権では銅メダルだったが、彼の走りは素晴らしかったので、Aより悪い成績にはしない。リオオリンピックではファラーとは0.60差、今回のロンドンでは“誰も倒せない”ファラーにあと0.08差まで迫り、もう少しでファラーに勝てるところだった。

 

C エリック・ジェンキンス (ナイキ 予選10着 13:31.09, 予選敗退)

素晴らしいマイルのスピードの持ち主 (去年のニューヨーク5番街マイルでセントロウィッツを3:53で破った)であるジェンキンスが、決勝に進めなかったのはショックであった。男子5000mの予選は2組あり、※1組目を走るのは不利なのは十分理解している。しかし、決勝にも進めなかったのはジェンキンスにとってもショックな出来事だっただろう。(NCAAの大学生である)ジャスティン・ナイト が予選通過をしたのだから、(ナイキのプロ選手である)ジェンキンスも予選通過するべきであった。

(※2組目は1組目のタイムを見ながらペースを決める。1組目はスローペースになる事が多いので、結果、2組目以降にペースをそこそこ上げて、タイムで決勝に拾われる選手が多くなる)

 

【評価不可】ライアン・ヒル (ナイキ 病気のため決勝を棄権)

ヒルは予選2組を13:22で走って決勝に駒を進めていて、彼は決勝でどのような走りをするかを楽しみにしていた。しかし、彼は予選の後にウイルスにかかって、決勝を棄権した。※たくさんの選手がウイルスにかかってしまったので、これは不幸としか言いようがない。

(※ボツワナの短距離選手のアイザック・マクワラはその影響で400mの決勝を走る事が出来なくなり、その後200mを1人で走った=救済レース)

 

女子5000m

C シャノン・ローバリー (ナイキ 9位 14:59.92)

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ローバリーは決勝で9位だった。この成績は、全米記録保持者としての彼女に期待していた結果よりは悪いものだった。もちろん、(アフリカ勢が上位独占する現在の状況で)トップ5に入るのは難しいが、ロンドン世界選手権で、例えば自己記録が14:53のオランダのスーザン・クルミンズなどの選手には勝てるだろうと思っていた。ローバリーの自己記録は14:38なのだから。

 

B シェルビー・フーリハン (ナイキ 13位 15:06.40)

リオオリンピックに続いて2年連続で、フーリハンは決勝進出を果たしたが、このロンドン世界選手権では13位と、リオオリンピックの11位よりも順位を下げた。しかし、予選で15:00.37の自己記録を出している。いつも言っているのだが、自己記録を出したら、そんなに文句は言えないのだ。彼女の決勝のタイムは、ロンドン世界選手権前の自己記録から数秒遅いぐらいだった。

 

C モーリー・ハドル (サッカニー 12位 15:05.28)

ハドルが予選で大きな失敗をしなかったこと、決勝に進出出来るタイムで走れたことは評価できる。しかし、彼女の実力からすれば、14分台を出せず決勝で12位というのは、良くない結果だ。アメリカの選手がこの種目でメダルを獲れる可能性がゼロだということを考慮すれば、この結果にそこまでこだわる事ではない。

彼女はロンドン世界選手権で10000mも走っているのだから、彼女は5000mは出場しないで、全米選手権で4位だった選手が走れば良かったのでは、と考えていた。しかし、その選手はミズーリ大学のカリッサ・シュウェイザーで、彼女は全米大学クロスカントリー選手権のチャンピオンである。※大学生は8月に走らない方が得策なので、ハドルが走ってくれて良かったと思っている。

(※アメリカの大学生はトラックシーズンを終えて、クロスカントリーシーズンに向けてオフをとった後、夏に合宿期間を迎える)

 

男子10000m

A シャドラック・キプチルチル (アメリカ軍=ADP / WCAP 9位 27:07.55, 自己新記録)

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©2017 SushiMan Photography

9位というのは素晴らしい結果ではないかもしれないが、キプチルチルは全米歴代3位にまで記録を伸ばしてきた。2016年に27:58.32で走り、そして今や彼の自己ベストは27:07.55だ。彼は素晴らしい走りをした。素晴らしい事に、Aを与えるのが世の常である。

 

B+ レオナルド・コリル (アメリカ軍=ADP / WCAP 13位 27:20.15, 自己新記録)

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©2017 SushiMan Photography

彼は自己記録を15秒も更新し、順位もリオオリンピックから1つあげた。13位は低い順位に聞こえるが、順位が上がっていることは良いことである。

 

B- ハッサン・ミード (ナイキ 15位 27:32.49 自己新記録)

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©2017 SushiMan Photography

自己記録を出せば文句は言えないと先ほど述べたが、ここで自らそれを否定して、自己記録を更新したハッサン・ミードにはB-を付けた。ハッサン・ミードが全米選手権で優勝したことを考えれば、ロンドン世界選手権でアメリカ人選手の中で3番目の結果だった事は、とても残念である。しかも、彼は自己記録をたった0.55更新しただけだった。

 

女子10000m

B エミリー・インフェルド (ナイキ 6位 31:20.45, 自己新記録)

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©2017 SushiMan Photography

インフェルドも自己記録を更新したが、彼女は2015年の北京世界選手権の銅メダリストだ。彼女の前の自己記録は31:22.67である。もし、彼女が非アフリカ系選手以外でトップの成績だったならば、彼女にAを与えていたが、インフェルドはオランダのクルミンズに負けてしまった。

 

C+ モーリー・ハドル (サッカニー 8位 31:24.78)

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©2017 SushiMan Photography

去年、彼女はリオオリンピックで30:13.17で走っていて6位だった。このロンドン世界選手権では31:24.78で8位だった。彼女は5位までなら目指すことが出来たと思うが、ロンドン世界選手権ではアメリカ王者からアメリカ2位に順位を落としてしまった。

 

B エミリー・シッソン (ニューバランス 9位 31:26.36)

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©2017 SushiMan Photography

世界選手権に初出場してトップ10に入り、さらに自己記録 (31:25.64)の更新もあと少しだった。遅かれ早かれ、彼女にはいつかロードに転向してほしいものである。彼女は10000mよりもフルマラソンでの活躍が期待できると、我々は考えている。

 

男子マラソン

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©2017 SushiMan Photography

B エルカナ・キベット (アメリカ軍=ADP / WCAP 16位 2:15:14)

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これが彼にとって今年に入って3回目のマラソンだったことを考慮すると、彼は堅実な走りをした。1月のヒューストンでの初マラソン (2:17:25)よりかは、良いレースだったと言える。彼より順位が良かった選手の中で、キベットの2:11:31よりも遅い自己記録の選手は、2人しかいなかった。

 

C ボビー・カーティス (ハンソンズ-ブルックス 42位 2:21:22)

2:21は良い記録ではないが、彼の引退を目前にして、もう1度アメリカ代表のユニフォームを着て走った選手に悪い評価を付けるつもりはない。2008年の全米大学選手権の5000m王者というアメリカのマラソン選手としては※異色の経歴をもっているだけに、彼の引退は惜しまれる。

(※ケニア、カナダ、イギリス、オーストラリアなど様々な国からの留学生を抱え、レベルの高いNCAAの全米大学選手権でアメリカ人選手が5000m王者に輝く事は近年では珍しい。しかし、今年はスタンフォード大学のグラント・フィッシャーがそれを達成したが。

さらに言うと、アメリカのトラックのエリート選手は、その競技や、それよりも少し距離を伸ばした種目において世界で勝負するので、日本のようにハーフマラソンの延長で若くしてマラソンに転向するという選手が少ない。

それこそがアメリカのトラックでの強さでもあり、マラソンの層の薄さでもある – トップはもちろん強いがこの男女のラインナップを見れば分かる通り層は厚くない=サブテンは滅多に出ない)

カーティスはプロ選手として目立った成績を残せなかった (彼がトラックでアメリカ代表になった事はない)。3000m:7:43, 5000m:13:18, マラソン:2:11:20という自己記録を残して引退するというのは、彼からアメリカ長距離界へのある種、遺言のようだ。

 

D アウグストゥス・メイヨ (アメリカ軍=ADP / WCAP 途中棄権)

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©2017 SushiMan Photography

※“たなぼた”で世界選手権のマラソンを走るのは簡単な事ではない。それに挑戦しただけでも、彼に評価を与えたい。

(※ゲーレン・ラップやアブディ・アブディラマンなど…ロンドン世界選手権の男子マラソン代表を巡って多くの辞退者が出た。故障や、シカゴマラソンへの出場など…その結果、ほとんど成績を持っていないメイヨがロンドン世界選手権の男子マラソンのアメリカ代表となった)

 

女子マラソン

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©2017 SushiMan Photography

A+ エイミー・クラッグ (ナイキ 銅メダル 2:27:18)

※冒頭部分に記載

 

A++ セレーナ・ビューラ (ナイキ 11位 2:29:32)

※冒頭部分に記載

 

C リンジー・フラナガン (ミズノ 37位 2:39:47)

過去3年間、フラナガンは毎年2回のマラソンを走っており、どちらか一方の成績の方が際立って速い。今年もボストンマラソンを2:34:44で走った後、世界選手権で2:39:47という結果に、その事があらわれている。2:29:28の自己ベストを持った選手として、素晴らしいタイムではない。

 

レッツラン記事

http://www.letsrun.com/news/2017/08/grades-usa-distance-runner-report-cards-world-championships-london/

 

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