男子5000m:モー・ファラー、トラック最後のレースでリベンジなるか。ムクター・エドリスと再び対決
Name | Country | PB | SB |
Moh Ahmed | Canada | 13:01.74 | 13:08.16 |
Yenew Alamirew | Ethiopia | 12:48.77 | 13:06.81 |
Selemon Barega | Ethiopia | 12:55.58 | 12:55.58 |
Collins Cheboi | Kenya | ||
Paul Chelimo | USA | 13:03.90 | 13:08.62 |
Muktar Edris | Ethiopia | 12:54.83 | 12:55.23 |
Mo Farah | Great Britain | 12:53.11 | 13:00.70 |
Cornelius Kangogo | Kenya | 13:10.80 | 13:21.26 |
Yomif Kejelcha | Ethiopia | 12:53.98 | 13:01.21 |
Ronald Kwemoi | Kenya | 13:16.14 | 13:24.42 |
Birhanu Legese | Ethiopia | 13:08.88 | 13:26.40 |
Adel Mechaal | Spain | 13:15.40 | 14:07.93 |
Alber Rop | Bahrain | 12:51.96 | 13:04.82 |
Ben True | USA | 13:02.74 | 13:10.83 |
チューリッヒの男子5000mには偉大な歴史がある。ハイレ・ゲブレシラシエが2度も世界記録を出した場所だ。1995年には、今でも語り継がれる12:44.39という、当時の世界記録から10秒も更新した素晴らしい記録を打ち立てている。 そのレースを見たことがないのなら、今この瞬間に見た方がいい。彼が世界記録を破ると確信したアナウンサーが我を忘れて実況する様子が見れる。
チューリッヒは、アメリカの陸上ファンにとってもいい思い出の場所である。1996年にボブ・ケネディが12:58.21の自己ベストを出し、その13年後、同じトラックでディゼン・リッツェンヘインが12:56.27で走り、ケネディのアメリカ記録を更新したのだ。 しかし、12分台の高速レースを期待するファンにとっては残念であるが、木曜日のチューリッヒでの5000mのレースでは歴史的な高速レースを見れる可能性はあまりないだろう。(男子5000mのダイヤモンドリーグ最終戦ということもあって)賞金50,000ドルという、速さよりも順位が重要となるレースになるだろう。
エドリスやファラーなど、ロンドン世界選手権で上位6位までに入った選手が勢揃いするレースだけに、スピードレースを期待できないのは残念だ。エドリスは今シーズン世界最高記録の12:55を出しており、ファラーは自己ベスト (12:53)が出せる調子だと言っているが、日曜日のバーミンガムでの3000mで勝利を収めた後に “エドリスなどのライバルを追う展開になれば、スピードを上げていく”と語っていた。
「賞金が高いから、今回のレースで他の選手がどういう走りをするかは見当がつかない」
とファラーは述べた。 ファラーだけではなく、ポール・チェリモも相当に調子を上げてきている。ロンドン世界選手権で銅メダルを獲ったチェリモは、13:00を切って走ってくることが出来るだろうし、仮に今回のレースが (その確率は少ないにしても)タイムトライアルのような高速レースになると、バーナード・ラガトの持つ12:53.60のアメリカ記録をも上回る勢いで来るかもしれない。
エチオピア勢のエドリス、ケジェルチャ、バレガもいるので、高速レースになる可能性もまだあるが、ペースメーカーがいなくなった後の、後半部分を積極的に引っ張る選手が果たして出てくるだろうか。
Embed from Getty Images誰が勝つか?ということに関しては、誰もがファラー崩しを狙ってくるだろう。しかし、エドリスの調子は抜群に良く、ロンドン世界選手権でもラスト1周を52.3というキレのあるスパートでファラーをくだし、名高いパリDLとローザンヌDLのレースでもエドリスはトップクラスの選手達に勝っている。 しかし、ロンドン世界選手権でのファラーの敗北は、この4年間の彼の出場した5000mなかで唯一の敗戦であったため、ファラーはキャリア最後のトラックレースで確実に勝ちを狙ってくるだろう。
しかし、ロンドン世界選手権でファラーとたった0.08差だったチェリモも見過ごせない存在だ。アメリカ記録更新はかなり高速なレースにならないと狙えないが、それでも13:00切りは虎視眈々と狙ってくるだろう。2013年9月以降にバーナード・ラガトが13:00を切ってから、アメリカ人選手の13:00切りが出ていない。いずれにせよ、彼にとって十分にいいレースとなるだろう。
ロナルド・ケモイがスタートリストに載っていることは、少しばかり驚きである。今年はじめの調子はすごく良く、ドーハDL (3000m)とユージンDL (1マイル)で勝ったが、先月怪我をした影響が残っていて、走りも振るわず、ロンドン世界選手権では1500m準決勝で姿を消している。
ケモイはチューリッヒDLの1500mに出場もできたが、彼は5000mを選んだ。おそらく、短い距離でマナンゴイやチェリヨットのようなスピードのある選手に対抗するよりかは、少し長い距離でペースが落ち着くようであればラストスパートで勝つことができる可能性の方があると思ってのことだろう。もしそうなれば、レースは慎重に進みスローペースになりうる。もしケモイが100%の状態でなかったら、エドリスやファラーのいるなかでそのスパートは炸裂しないだろう。
アメリカのベン・トゥルーも、パリDLとローザンヌDLで6位に入ったため、今回のチューリヒDL5000mの出場権を得ている。彼がベストな状態で走れたとしても、このレースでは苦戦するだろう。8月5日のビーチ・トゥ・ビーコンの10kmのロードレースで、ステファン・キベットとのラストの競り合いに負け、27:56でゴールしている (キベットは27:55)。
レッツランの予想
ファラーは一番の最高の選手であるが、今はエドリスの調子の方が良い。ロンドン世界選手権のように、完璧なエンディングは誰も予想できないが、ファラーの最後のトラックレースは、エドリスに負けて幕を閉じるだろう。
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