Kenenisa Bekele Holds Off Mo Farah In One Of The Most Thrilling Road Races In History – 2013 BUPA Great North Run
2013年9月
Embed from Getty Imagesレースというものは、大体は期待外れに終わってしまう。しかし、2013年のBUPAグレート・ノース・ランは我々の期待を大きく上回ったレースだった。
Embed from Getty Images2013年のBUPAグレート・ノース・ランの男子のレースは、長距離界の偉大なる3人のランナーに注目が集まった。
元マラソン世界記録保持者で40歳(当時)のハイレ・ゲブレセラシエ(オリンピックと世界選手権で6回優勝を果たしている)
現5000mと10000mの世界記録保持者であり、オリンピックと世界選手権合わせて8度も優勝している31歳(当時)のケネニサ・ベケレ
そして、現在の長距離界のキング、30歳(当時)のモー・ファラー(ここ最近のオリンピックと世界選手権で5勝している)
この3選手である。
このレースでは、最後にケネニサ・ベケレがファラーを破って、素晴らしい勝利を収めた。
Embed from Getty Images(しかし、そのレース展開は驚くもので) なんと、ベケレはレース序盤の10km手前の地点で、ゲブレセラシエとファラーに20m以上引き離されていたのだ。しかし、ベケレはすぐに追いつき、ゲブレセラシエが若干引っ張るかたちで並走する3人。そこからのベケレの勝利は、文句なしの見事な勝利だった。
Embed from Getty Images(レース終盤)12マイル手前の下り坂とそれに続く上り坂で、ベケレがスピードを上げる。ゲブレセラシエの優勝の可能性はここで消え、ファラーも遅れをとってしまう。しかし、残り400mで、今シーズン5000mのラスト1周を50秒89(超スローペースでのレース)で走っているファラーは粘りを見せ、ベケレと3秒差まで追い詰める。
ファラーは全力を出し切るかたちで猛烈な追い上げをみせた。何度も後ろを振り向いていたベケレは“必死に追いつかれまい”とスパートする。残り100mでファラーはベケレを捉えようとするも、ベケレが60:09で逃げ切り、ファラーは60:10でゴールした。
Embed from Getty Imagesその後、ゲブレセラシエは60 :41というマスターズ世界新記録の3位でゴールした。
ベケレはわざと遅れた?
レース後にベケレは、ロードレースの歴史上初となる偉業を成し遂げた。ベケレは今季ヨーロッパのレースでも苦戦を強いられており、世界選手権のエチオピア代表にも選ばれていなかったが、レース序盤にファラーとゲブレセラシエから遅れをとってしまった。
しかし、ベケレはここで調子を落としていたのではない。彼はわざとペースを下げていたのだ。ゲブレセラシエとファラーは、ベケレの調子が悪いのを感じ取りペースを上げている。レース後、序盤で遅れをとったことについて聞かれると、ベケレはこう語った。
Embed from Getty Images「あの時、疲労していたわけではない。ペースを少し上げたかったが、3人一緒になってしまうと、お互い牽制し合ってスローペースになってしまう。ペースを上げるために、自分がわざと後ろに下がったんだ」
レース後、このレジェンド3人の合同会見の場でBBCのコリン・ジャクソンにベケレはそう語った。これを聞いたファラーは、横から少し皮肉っぽく
「うまくいったね」
と、言った。ベケレは、この勝利にとても喜んでおり、ベケレを正真正銘のエリート選手として甦らせた。
「(モスクワ世界選手権の代表落ちをした後)きついトレーニングに集中して取り組んだ。自信はあった。怪我もだんだん良くなっていった。いいトレーニングができていたし、だから優勝出来た」
と、ベケレは述べた。
ファラーの反応
「すごくいいレースだった。フィニッシュもよかった。ラスト1マイルでケネニサが前に出た時、ペースがあり得ないほど速いと思ったよ。でも、少しずつ差は詰められるとも思った。ちょっとずつ近づこうとしたけど、彼には及ばなかったよ。ケネニサは素晴らしいスピードの持ち主だ」
「残り200mでラストスパートしたけど… でも素晴らしいレースだった、本当に。モスクワ世界選手権に向けて調整していて、今の主軸はそれだ。あと2,3週間時間はあるが、同時に今日2位だったことは悔しいよ。でも、ただの2位じゃない。偉大な選手たちと競っての2位だ」
Embed from Getty Imagesファラーは、ハイレのおかげでペースを保て、そして常に攻めの姿勢でレースに臨めたと、敬意を称していた。ゲブレセラシエはレースの感想をこう述べた。
「今日はスタートから飛ばしていくことが、自分の作戦だった。レース自体、とても素晴らしいものだったよ。オーガナイザーにも感謝だ。マスターズ記録も更新できた」
ベケレの最後の400mは60.3。レッツランの時計によると、30.88と29.35で走っている。ファラーのラスト400mは58.2(29.22、28.94)。クレイジーな速さだ。
距離表示が100%正確かどうかは分からないが、それにしてもすごい速さである。
次の目標を聞かれた3人。ベケレはマラソンと言ったが、40歳のゲブレセラシエは、
「マラソンは、走らないね…」
と、言って会場を笑わせた。
【レース終盤の動画】
(5分38秒〜:男子ハーフマラソン19km地点の映像)
(6分30〜34秒:ゲブレセラシエがベケレに “ここでスパートしろ” と合図を出す)
(10分41秒〜:ラスト400m, ベケレ60.3(30.88 + 29.35)ファラー58.2(29.22 + 28.94)
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