7月21日にモナコで、ヘラクレス・モナコ (ダイヤモンドリーグ・モナコ大会)が開催された。
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男子1500m
エライジャ・マナンゴイとティモシー・チェリヨットの強襲
2010年以降、男子1500mにおいて3:30切りが記録された26回のうち、21回がこのモナコDLで記録された。今夜2人の選手が3:30切りを達成したので、2010年からの3:30切りは合計28回になり、そのうち23回がモナコDLで達成されたこととなった。
400m:53.75 800m:1:51.43 (57.68) 1000m:2:20 (29.0)
1200m:2:48.73 (57.31) 1500m:3:28.80 (300m:40.07、400m:54.21)
POS | BIB | ATHLETE | COUNTRY | MARK | POINTS | |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | Elijah Motonei MANANGOI | ![]() |
3:28.80 | PB | 8 | |
2 | Timothy CHERUIYOT | ![]() |
3:29.10 | PB | 7 | |
3 | Ronald KWEMOI | ![]() |
3:32.34 | 6 | ||
4 | Filip INGEBRIGTSEN | ![]() |
3:32.48 | 5 | ||
5 | Homiyu TESFAYE | ![]() |
3:33.47 | 4 | ||
6 | Charles Cheboi SIMOTWO | ![]() |
3:33.54 | 3 | ||
7 | Chris O’HARE | ![]() |
3:33.61 | PB | 2 | |
8 | Marcin LEWANDOWSKI | ![]() |
3:34.04 | 1 | ||
9 | Matthew CENTROWITZ | ![]() |
3:34.43 | |||
10 | Nicholas WILLIS | ![]() |
3:34.74 | |||
11 | Asbel KIPROP | ![]() |
3:34.91 | |||
12 | Justus Soget KIPLAGAT | ![]() |
3:35.04 | |||
13 | Marc ALCALÁ | ![]() |
3:35.85 | |||
14 | Sofiane SELMOUNI | ![]() |
3:36.14 | |||
Jackson Mumbwa KIVUVA | ![]() |
DNF | ||||
Andrew Kiptoo ROTICH | ![]() |
DNF |
モナコでのマナンゴイとチェリヨットの激走は、彼らがロンドン世界選手権でワンツーを獲るということではない
マナンゴイとチェリヨットのレースぶりはとても印象的だった。マナンゴイの3:28.80は世界歴代9位の記録で、モー・ファラーやロナルド・ケモイの自己記録よりも0.01秒速い。チェリヨットは初の3:30切りを達成する3:29.10の記録で、世界歴代15位に躍り出た。2人とも今シーズンのダイヤモンドリーグでは堅実な走りをしているが、今夜の走りでロンドン世界選手権でのメダル候補に一歩近づいたことは間違いない。
Embed from Getty Images Embed from Getty Imagesしかし、予選無しでペーサーが付いて、速いペースでレースが進んでいく1発勝負のダイヤモンドリーグと違って、ペーサー無しの予選、準決勝、決勝と3ラウンドある世界選手権は一味違う。マナンゴイとチェリヨットが今回良いレースをしたのは間違いないが、ほとんどの選手はロンドン世界選手権の3ラウンドの勝負争いを見据えて、慎重にレースを進めていた。
2010年以降の男子1500m世界トップ12
1. アスベル・キプロプ 3:26.69 (2015 モナコ)
2. サイラス・キプラガト 3:27.64 (2014 モナコ)
3. アスベル・キプロプ 3:27.72 (2013 モナコ)
4. アスベル・キプロプ 3:28.45 (2014 モナコ)
5. タウフィク・マクルフィ 3:28.75 (2015 モナコ)
6. アブデラティ・イギデール 3:28.79 (2015 モナコ)
7. エライジャ・マナンゴイ3:28.80 (2017 モナコ)
8. モー・ファラー 3:28.81 (2013 モナコ)
8. ロナルド・ケモイ 3:28.81 (2014 モナコ)
10. アスベル・キプロプ 3:28.88 (2012 モナコ)
11. モー・ファラー 3:28.93 (2015 モナコ)
12. ティモシー・チェリヨット 3:29.10 (2017 モナコ)
マシュー・セントロウィッツの各シーズンの世界選手権とオリンピック前のレース成績と本番の成績
年 | 本番前の最終レース | 結果 | 本番の結果 |
2011 | モナコDL 1500m | 3:34.46 (10位) | 1500m:3位 |
2012 | モートン・ゲーム800m | 1:47.72 (1位) | 1500m:4位 |
2013 | ロンドンDL 1マイル | 3:58.75 (16位) | 1500m:2位 |
2015 | ストックホルムDL 1500m | 3:39.29 (11位) | 1500m:8位 |
2016 | TTサマーシリーズ 800m | 1:47.17 (4位) | 1500m:1位 |
2017 | モナコDL 1500m | 3:34.43 (9位) | 1500m:??? |
ニック・ウィリスがロンドン世界選手権の標準記録を突破
リオオリンピック銅メダリストである、ニック・ウィリスのモナコDLでの最優先事項はロンドン世界選手権の参加標準記録の3:36.00の突破であった。そして、見事に3:34.74で走り、ロンドン世界選手権出場を決め、これから調整に入る。
男子800m
エマニュエル・コリルが今シーズン世界最高記録の1:43.10で優勝し、ロンドン世界選手権への挑戦状を送る
NCAA (アメリカの大学スポーツ)のスターで、UTEP (テキサス大学エル・パソ校)からプロに転向した、ケニアのエマニュエル・コリル (2017年ケニア選手権800m優勝)は、今夜モナコでダイヤモンドリーグデビューを果たした。そして、1:43.10の今シーズン世界最高記録でで圧勝し、男子800mのフィールドで世界最高クラスにジャンプアップした。
400m:マクブライド49.8、コリル50.0
600m:マクブライド1:16.63 (26.8) 800m:コリル1:43.10 (200m:26.6, 400m:53.10)
コリルは2位のマクブライドをラスト200mで1秒以上離して圧勝し、1:43.10で0.63ほど自己記録を更新した。
POS | BIB | ATHLETE | COUNTRY | MARK | |
---|---|---|---|---|---|
1 | Emmanuel Kipkurui KORIR | ![]() |
1:43.10 | PB | |
2 | Brandon MCBRIDE | ![]() |
1:44.41 | ||
3 | Antoine GAKEME | ![]() |
1:44.54 | ||
4 | Pierre-Ambroise BOSSE | ![]() |
1:44.72 | ||
4 | Drew WINDLE | ![]() |
1:44.72 | ||
6 | Amel TUKA | ![]() |
1:44.94 | ||
7 | Erik SOWINSKI | ![]() |
1:45.12 | ||
8 | Samir DAHMANI | ![]() |
1:45.72 | ||
9 | Elliot GILES | ![]() |
1:46.10 | ||
Bram SOM | ![]() |
DNF | |||
Andrés ARROYO | ![]() |
DNS |
エマニュエル・コリルはもっともっと速く走りたい
「私はもっと速く走りたいと思っていました。私は1:42秒台を狙っていましたが、ペースメーカーがうまく機能しません(ちょっと速かった)でした」
とコリルはその後、IAAFに語った。
Embed from Getty Images「もちろん、ダイヤモンドリーグでの素晴らしいデビューを飾ることが出来ました。 ケニアのイテンのセント・パトリック高校の選手として2014年に400mの種目から走り始めました。それから800mに転向して、まだ1年目なのです。 ロンドンでは全力を尽くして、優勝します」
男子100m
風: +0.7
POS | BIB | ATHLETE | COUNTRY | MARK | POINTS | REACTION TIME | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | Usain BOLT | ![]() |
9.95 | 8 | |||
2 | Isiah YOUNG | ![]() |
9.98 | 7 | |||
3 | Akani SIMBINE | ![]() |
10.02 | 6 | |||
4 | Chijindu UJAH | ![]() |
10.02 | 5 | |||
5 | Bingtian SU | ![]() |
10.06 | 4 | |||
6 | Mike RODGERS | ![]() |
10.06 | 3 | |||
7 | Christopher BELCHER | ![]() |
10.12 | 2 | |||
8 | Yunier PÉREZ | ![]() |
10.20 | 1 |
男子400m
POS | BIB | ATHLETE | COUNTRY | MARK | POINTS | REACTION TIME | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | Wayde VAN NIEKERK | ![]() |
43.73 | 8 | |||
2 | Isaac MAKWALA | ![]() |
43.84 | 7 | |||
3 | Baboloki THEBE | ![]() |
44.26 | 6 | |||
4 | Gil ROBERTS | ![]() |
44.57 | 5 | |||
5 | Vernon NORWOOD | ![]() |
44.81 | 4 | |||
6 | Luka JANEŽIC | ![]() |
44.84 | 3 | |||
7 | Tony MCQUAY | ![]() |
46.04 | 2 | |||
8 | Teddy ATINE – VENEL | ![]() |
46.36 | 1 |
ボツワナのアイザック・マクワラがラストの直線の入り口からリードを奪っていたが、ラスト30mほどからファン・ニーケルクの伸びに屈した。ファン・ニーケルクが43.73で優勝、マクワラが43.84で2位に入った。
Embed from Getty Imagesファン・ニーケルクは無敵ではない
ウェイド・ファン・ニーケルクは現在200m / 400mにおいて世界をリードしているが、それに立ちはだかるのがマクワラであった。30歳のマクワラは今シーズン復活を遂げた。マクワラはこの8日間で400mを43.92と43.84を走り、ロンドン世界選手権でのメダル候補に名乗りを挙げた。
女子3000m
ヘレン・オビリの今シーズン世界最高記録8:23.14の走り
ケニアのヘレン・オビリは、3000mの後半で爆発的にペースアップし圧勝したが、ゴールタイムは8:23.14だったので、中国人選手以外で初の女子3000mでの8:20切りにはならなかった。2014年にドーハで8:20.68の自己記録で走ったオビリは、もっと速いタイムを望んでいた。
ペーサーには1500mを4:08で通過してもらい、そこから先頭を走るはずだったが、そこまでペースが上がらなかったのだ。ペーサーが1500mを4:11で通過してコースアウトした後、オビリはすぐにペースを上げ、圧勝したものの“時既に遅し”であった。
レース前の自己記録が※9:41だったケニアのベアトリス・チェプコエチが8:28.66で2位に入り、故障からの復調を思わすローラ・ミューアは8:30.64で3位に入った。
(※9:41, 恐らくかなり前にケニアの高地で走った記録だろう。チェプコエチは最近3000mSCで9;00で走っている)
POS | BIB | ATHLETE | COUNTRY | MARK | POINTS | |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | Hellen Onsando OBIRI | ![]() |
8:23.14 | 8 | ||
2 | Beatrice CHEPKOECH | ![]() |
8:28.66 | 7 | ||
3 | Laura MUIR | ![]() |
8:30.64 | 6 | ||
4 | Eilish MCCOLGAN | ![]() |
8:31.39 | 5 | ||
5 | Lilian Kasait RENGERUK | ![]() |
8:32.73 | 4 | ||
6 | Shannon ROWBURY | ![]() |
8:33.38 | 3 | ||
7 | Agnes Jebet TIROP | ![]() |
8:35.37 | 2 | ||
8 | Shelby HOULIHAN | ![]() |
8:37.40 | 1 | ||
9 | Meraf BAHTA | ![]() |
8:37.50 | |||
10 | Karoline Bjerkeli GRØVDAL | ![]() |
8:37.58 | |||
11 | Dominique SCOTT | ![]() |
8:41.33 | |||
12 | Gelete BURKA | ![]() |
8:54.95 | |||
13 | Stephanie TWELL | ![]() |
9:01.04 | |||
Nelly JEPKOSGEI | ![]() |
DNF |
オビリは、レースの後半にペースを上げて、ロンドン世界選手権のリハーサルを行った
ヘレン・オビリ、5000mのリオオリンピック銀メダリストは今年まで、1500m以上のレースで無敗、しかも1マイルと5000m (14:18)でケニア新記録含む素晴らしい成績である。しかし、オビリがロンドン世界選手権で必ずしも優勝出来るとは限らない。
シファン・ハッサンが今日のモナコDLの800mを1:56で走ったという事実を考えれば、ハッサンの戦術的なレースは、オビリにとって大きな脅威になる可能性があるので、オビリにとってはロンドン世界選手権のレースでその真価が問われるだろう。
Embed from Getty ImagesハッサンのモナコDLの800mを走った後のコメントは、
「今回1:56.81の自己記録を出せてすごく良かったです。ロンドン世界選手権のために調整が上手くいっていることを示すことが出来たし、ロンドン世界選手権での1500mと5000mの2冠に向けて調子はキープしています。私はロンドンの1500mや5000mに出場する選手の中で一番速い800mの持ちタイムを持って参加することになるでしょう」
女子5000mにおいて、アメリカ人選手のメダル争いは難しいだろう
アメリカ代表は中長距離種目において、そのほとんどがメダル争いに参加するレベルにあるが、女子5000mはメダル争いには厳しいだろう(今回のモナコDLの女子3000mとは関連しない男子10000mも同じように)。
今回のレースで、シャノン・ローバリー(8:33)とシェルビー・フーリハン(8:37)はここで、かなりうまく走った(5000mのアメリカ代表メンバーの3人目のモーリー・ハドルは今回欠場した)が、オビリ、ミューア、ハッサン、そしてその他のアフリカ人選手達との争いに加わってメダルを獲得することは奇跡に近いだろう。
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