7月16日にモロッコのラバトで、Meeting International Mohammed VI d’Atlétisme (ダイヤモンドリーグ・ラバト大会)が開催された。
男子800m
失礼を承知で申し上げると、ディフェンディングチャンピオンのデイビッド・ルディシャではなく、ボツワナのナイジェル・アモスが来月ロンドン世界選手権の大本命だろう。23歳のアモスは現在4連勝中で、ダイヤモンドリーグではパリで1:44.24、ロンドンで1:43.18、ラバトで1・43.91と全て先頭で駆け抜けた。今こそ、ロンドンオリンピックのリベンジの時である。
Embed from Getty ImagesアモスはパリDLとロンドンDLと同じようにペーサーの後ろでレースを進め、ペーサーが抜けてからはそのまま先頭で押し切るというレースで優勝している。
400m – 49.81 (アモスは50.4) 600m – 1:17.10 (26.7)
800m – 1:43.91 (26.81) =50.4 + 53.51
POS | ATHLETE | COUNTRY | MARK |
---|---|---|---|
1 | Nijel AMOS | ![]() |
1:43.91 |
2 | Kipyegon BETT | ![]() |
1:44.28 |
3 | Donavan BRAZIER | ![]() |
1:44.62 |
4 | Brandon MCBRIDE | ![]() |
1:45.01 |
5 | Ferguson Cheruiyot ROTICH | ![]() |
1:45.26 |
6 | Nicholas Kiplangat KIPKOECH | ![]() |
1:45.37 |
7 | Robert Kiptoo BIWOTT | ![]() |
1:45.75 |
8 | Mostafa SMAILI | ![]() |
1:45.79 |
Bram SOM | ![]() |
DNF |
男子1500m – モロッコ・ワン・ツー・スリー!
1500 Metres - Men 1 Akachab , Brahim MAR 3:35.03 2 Elkaam , Fouad MAR 3:36.26 3 Essalhi , Younés MAR 3:36.90 4 Letting , Vincent KEN 3:37.96 5 Taki , Kumari KEN 3:39.52 6 Hedeilli , Takieddine ALG 3:39.96 7 Akankam , Hicham MAR 3:40.21 8 Ben Zahra , Abdelkarim MAR 3:43.07 9 El Jalaoui , Badr MAR 3:43.68 10 Zahaf , Amine MAR 3:46.52 Bustos , David ESP DNF Jamma , Samir MAR DNF Seurei , Benson Kiplagat BRN DNF Nabil , Oussama MAR DNS
女子1500m
Pl. | Athlete / Team | Cnt. | Result | |
---|---|---|---|---|
1. | Angelika CICHOCKA | POL | 4:01.93 | |
2. | Rababe ARAFI | MAR | 4:02.19 | |
3. | Brenda MARTINEZ | USA | 4:02.75 | SB |
4. | Laura WEIGHTMAN | GBR | 4:03.07 | |
5. | Malika AKKAOUI | MAR | 4:03.36 | PB |
6. | Shannon ROWBURY | USA | 4:04.73 | |
7. | Nelly JEPKOSGEI | KEN | 4:04.93 | |
8. | Zoe BUCKMAN | AUS | 4:04.93 | SB |
9. | Judith KIYENG | KEN | 4:05.20 | |
10. | Siham HILALI | MAR | 4:06.20 | SB |
11. | Solange Andreia PEREIRA | ESP | 4:06.39 | PB |
12. | Soukaina BELIL | MAR | 4:20.28 | PB |
13. | Imane EL BOUHALI | MAR | 4:24.67 | |
– | Jennifer MEADOWS | GBR | DNF |
男子3000m
地元モロッコのアブデラティ・イギデールが7:37.82で快勝。
1000m – 2:35.2 2000m – 5:10.2 (2:35.0)
3000m – 7:37.82 (2:27.6, ラスト400m55.6 , ラスト200m27.0)
3000 Metres - Men 1 Iguider , Abdalaati MAR 7:37.82 2 Mechaal , Adel ESP 7:38.35 3 Bouqantar , Soufiyan MAR 7:38.65 4 Aouad , Zouhair BRN 7:39.91 5 Fifa , Illias ESP 7:40.55 6 Kaazouzi , Brahim MAR 7:41.88 7 Gregson , Ryan AUS 7:42.19 8 Ngelel , Franklin KEN 7:42.56 9 Soi , Edwin Cheruiyot KEN 7:43.20 10 Cheboi , Collins KEN 7:45.13 11 Birgen , Bethwell Kiprotich KEN 7:47.28 12 Kibet , Vincent KEN 7:50.54 Briami , Adil MAR DNF Kangogo , Cornelius Kipruto KEN DNF
イギデールはいつも大舞台でうまくまとめて走っている。彼の最近9年の選手権での1500mの結果は以下である。
2008年北京オリンピック:5位
2009年ベルリン世界選手権:11位
2011年大邱世界選手権:5位
2012年ロンドンオリンピック:3位
2013年モスクワ世界選手権:準決勝敗退
2015年北京世界選手権:3位
2016年リオオリンピック:5位
しかし、今年のレースでその実力を発揮出来ていない。今日は勝ったものの、メンバーが薄かった。イギデールが今どのぐらいの位置にいるのかを読むのは難しい。彼が来週のモナコDLで1500mを走れば、その答えが出るかも知れない。
“ペーサー”でイギデールと同じく、モロッコ人のアディル・ブリアミはフライングに気付かずにそのまま…
男子3000mSC
リオオリンピック金メダリストのコンセスラス・キプルトが途中棄権、エル・バッカリとエヴァン・ジェイガーが金メダルのダークホースとなった
Embed from Getty Images Embed from Getty Images21歳のモロッコ人、スーフィアン・エル・バッカリが、好メンバーの揃ったこのレースで地元の声援の後押しを受けながら、最後の1周でジェリアス・ビレチの前に出て、そのまま先頭で駆け抜けた。
Embed from Getty Images Embed from Getty Imagesエル・バッカリの印象的な勝利と同じくらい重要な出来事は、リオオリンピック金メダリストで2017年もこの種目を牽引しているコンセスラス・キプルトの途中棄権であった。
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レース後、キプルトは故障をしていることを確認した。
「私はまだ右足のかかとに多くの問題を抱えている。 (それでも)私はレースに出場することに決め、痛みが無くなることを願っていた。 しかし、このレースを欠場して、休養に当てればよかった」
彼が100%でないなら、ロンドン世界選手権では本命不在の混戦となる。 歴史的に、エゼキエル・ケンボイは世界選手権を制覇してきたが、彼は今、35歳で今シーズン8:30を切っていない。キプルトは8:04を今シーズン記録し、ランキング1位で、2位はエル・バッカリである。 来週のモナコDLで、エヴァン・ジェイガーについて多くのことがわかるだろう。
少しばかりのユーモアが欲しいならこの動画を。水濠で….
女子3000mSC
2015年の北京選手権の女子3000mSCで銅メダルを獲得したドイツのゲザ・フィリシアス・クローゼが9:18.87でダイヤモンドリーグのレースで初優勝となった。リオオリンピックの金メダリストで世界記録保持者のルース・ジェベットは欠場した。
Embed from Getty Images Embed from Getty Images3000 Metres Steeplechase - Women Pts 1 Krause , Gesa Felicitas GER 9:18.87 8 2 Tanui , Norah Jeruto KEN 9:20.51 7 3 Chepngetich , Rosefline KEN 9:20.69 6 4 Sidi Madane , Fadwa MAR 9:23.99 5 5 Kirui , Purity Cherotich KEN 9:25.55 4 6 Yavi , Winfred Mutile BRN 9:27.61 3 7 Tuigong , Caroline Chepkurui KEN 9:39.00 2 8 Garcia , Stephanie USA 9:40.63 1 9 Ketema , Maritu ETH 9:40.80 10 Gathoni , Ann KEN 10:02.42Embed from Getty Images
クローゼの調子はとてもいいが、女子3000mSCは2015年に比べると2017年のレベルが上がっているといえる。
クローゼは今年始めエチオピアでトレーニングをしていたが、あまり気に入らず、通常のトレーニング地であるケニアに戻った。彼女は今年すでに9:15.70の自己ベストを出しているが、2015年と同様、2017年世界選手権も厳しいメダル争いが待ち構えているだろう。
今シーズンは6人の選手が9:10(実際には9:08)より速く走っているが、2015年には、そのタイムで走ったのは1人だけだった。このレースのスプリットは、クローゼが2015年の北京世界選手権で銅メダルを獲得した時のレースのラップタイムに似ている。
北京世界選手権での最初の1000mは3:09.96、2000mは6:22.27で、クローゼは9:19.27で銅メダルを獲得した。今日のレースの最初の1000mは3:06.05、2000mは6:16.95で、クローゼは9:18.87で優勝。最後の1000mは3:01だった。
ジェベットが、パリDLの敗戦で調子を崩したので、今回新たなライバルが加わった。今年はジェベットがダイヤモンドリーグで1回しか優勝していないことを考えると、彼女が今この時期にしっかりと調整をしてこないと、ロンドン世界選手権で優勝することは難しいだろう。
レッツラン記事
ピンバック: ロンドン世界選手権:女子3000mSC展望 – アメリカのエマ・コバーンが混戦のなかでメダルを狙う – LetsRun.com Japan