ロナルド・ケモイ (男子1500mU-20世界記録保持者)の2017年3月01〜5月01日までのトレーニングメニュー【ドーハDL3000m7:28.73】

今シーズン男子1500mで世界ランキング2位、男子3000mで世界ランキング1位にランクイン (7月15日現在)しており、今シーズンさらなるブレイクが期待されるロナルド・ケモイ (男子1500mU-20世界記録保持者)のドーハDL3000m (7:28.73で優勝)前のトレーニングを紹介します。

ケモイは、日本の小森コーポレーションに所属していますが、2017年のニューイヤー駅伝に出場した後、ケニアに帰って今季のトラックシーズンで世界一を目指す為にレナート・カノーバコーチのプログラムの元でトレーニングを行いました。

(※参考:レナート・カノーバコーチについて – 望月次朗氏の取材内容)

http://www.shot-web.com/news/120410h.html

アベル・キルイ (マラソンで世界選手権連覇、ロンドン五輪銀メダル)とカノーバコーチ

 

レッツランの掲示板で情報発信している事でも有名なカノーバコーチは、ここでもケモイのトレーニング内容や、その目的について説明しています。

 

(以下、カノーバコーチ本人がレッツランの掲示板書き込んだ内容の日本語訳、※は補足であってカノーバコーチの書き込みではありません)

***********************

ロナルドは1月の初めに、日本からケニアに戻った後トレーニングを始めた。彼は日本の実業団 (小森コーポレーション)と契約をしており、4月1日での契約終了を予定し、彼はすでに契約終了の意思をチームの関係者に伝えていた。

(※現状として、現在も小森コーポーレーションに所属している)

トラック (ここでいうのは中長距離種目)で世界トップ3に入るには、日本の実業団のシステムに従っていてはダメだ。日本の実業団は、トラック競技のための練習環境や、世界のトップレベルの選手と競える可能性やその機会が、ほぼ無いに等しい。

(※過去にも今にも、日本で開催された大会で、1500m3:30切りや3000m7:30切り、5000m13:00切りのタイムは記録されていない。しかし、ケモイが狙うところは、すでにその上を越えてしまっている)

イテンで彼は、私がいるとき(例えば1月初旬から4月10日まで。カノーバコーチがボストンに行くまでの期間)は私のもとで、私が不在の時はアシスタントコーチであるジョン・リテイ (2006年英連邦大会 – コモンウェルスゲーム男子800m銅メダリストのケニア人)の元で、日々トレーニングを積んだ。もちろん、それは私のトレーニングプログラムに沿ってである。その中に2週間を超えるトレーニングプランは、私のプログラムにはない。

(※2週間以上の長いスパンのトレーニングメニューではなく、短いスパンのメニュー、それがカノーバのトレーニングプログラム=その時々で体調や気候に応じて修正を繰り返していく)

選手一人ひとりに沿った、テクニカルな戦略を準備する必要があり、かつ、それぞれの選手の現実的な状況をきちんと把握する (悪天候、家族や金銭の問題、怪我、病気、ビザ問題でナイロビの大使館に行くためにキャンセルになった練習スケジュール…etc)必要がある。

選手が長い期間で到達できる理論的なレベルを見る必要はない。

以下のトレーニングメニューは、2つの基本的な目標に基づいている。

適度な速さ、もしくは速いペースでのロングランをやることで※有酸素的能力を高めること、そしてトラックでハイボリュームの中~高強度セッションを行いスピード持久力を鍛えることである。

(※有酸素摂取能力の指標の一つとして最大酸素摂取量=VO2maxがある)

このプロジェクトでは、私の経験と考え方に基づいて、ロナルドのような“有酸素運動を効率的にできる選手”は、彼の今まで行ってきたトレーニングのタイプとは異なるものも含んだ、あらゆる種類のトレーニングを彼の生活の一部にする必要がある。

ロナルドの週間走行距離は180km~210kmで、状況によって異なる。

一週間のうち同じ曜日に同じトレーニングを繰り返す、古典的なミクロサイクルは使わない。しかし、トレーニングの強度によって、回復にかける時間を変えるなど、綿密なプランを使用したトレーニングプランを採用した。

(※ミクロサイクル:ここでの意味は、例えば、毎週火曜日はトラック、木曜日はファルトレク、土曜日はロングランといった具合にあらかじめ週で決まっている練習のサイクル。ケニアでは、グループ内の大人数の選手を管理するためには、ミクロサイクルの練習スケジュールが主流である)

 

以下に3月から始まるトレーニングを紹介していく。

(※以下のトレーニングは基本的にはケニアのイテン(標高2400m前後)やエルドレッド (標高2100m前後)近郊で行っているので、ケモイのレベルからしてそこまで練習でのタイムは速くない。またほとんどが不整地、または土のトラックである。これは、高地で生まれ育っていない我々日本人の感覚だと、以下のタイムは平地に比べて1000mごとで6〜7秒程度は遅くなると考えるのが妥当 (ロンドンオリンピックにマラソンで出場した藤原新選手のコメント)である)

 

3月01日 (水) 6 x 1600m:

4’41″5 – 4’37″1 – 4’37″0 – 4’35″5 – 4’36″0 – 4’36″6 (リカバリー2’30”)

 

3月06日 (月) 10km走:30’22” (15’13” + 15’09”)

 

3月08日 (水) 2 x 3000m:8’49″3 – 8’57″0

+ 3 x 2000m:5’56″5 – 5’50″9 – 5’54″2 (リカバリー2’30”)

+ 3 x 1000m:2’53″2 – 2’52″2 – 2’51″6 (リカバリー2′)

 

3月10日 (金) 10km走:30’39” (午後)

 

3月12日 (日) 30 x 200m (リカバリー200mjog1’05” / 1’15”) @イテンのタータントラック

27″ – 26″7 – 26″6 – 28″ – 27″ – 27″4 – 26″8 – 27″5 – 27″1 – 27″3

26″8 – 27″3 – 26″9 – 27″3 – 26″5 – 27″5 – 26″8 – 27″ – 26″7 – 27″5

26″5 – 27″9 – 26″2 – 28″ – 25″9 – 27″7 – 25″7 – 28″2 – 26″ – 23″3

この200m × 30本のトレーニングでは、新しいトレーニングパートナーのノア・キプケンボイがペースメイクをした。彼は長い距離でとても良く、ロナルドよりかは速い。最後の200mは23″3でカバーし、トレーニングの目的が長い距離の持久力を高める事である時でもハイレベルなスピードを維持できる事を示した。

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15日の水曜日、ケモイはマラソンランナーのジョフリー・キルイ (2017年のボストン優勝)とアベル・キルイ (2016年のシカゴ優勝)と1日合計41kmの特別な合同練習を一緒に行った。

(※レナート・カノーバはジョフリー・キルイやアベル・キルイの指導もしている)

 

3月15日 (水) 朝:10km走 32’41” +10km走 30’15”

午後 :10km走 33’40”  + 7 x 1000m (トラックで。リカバリー1’30”)

2’56” – 2’58” – 2’55″6 – 2’55” – 2’54″2 – 2’56″3 – 2’51″5

 

3月18日 (土) 2セット x (10 x 400m) (リカバリー1′, セット間8′) 

①:61″ – 64″4 – 63″1 – 65″1 – 62″1 – 63″2 – 62″9 – 62″8 – 63″6 – 63″6 (レーシングシューズ)

②:61″2 – 61″7 – 61″8 – 61″3 – 61″1 – 61″3 – 61″ – 60″ – 59″4 – 55″ (スパイクに履きかえて)

 

3月21日 (火) 6 x 1000m (リカバリー2’45”) + 4 x 300m (リカバリー30″/38″)  

1000m:2’38″1 – 2’37” – 2’39″3 – 2’38″1 – 2’36″3 – 2’37″3

300m:42″8 – 42″3 – 41″ – 41″3 (1000m後のセット間6′)

ロナルドは小森コーポーレーションでのレースの兼ね合いで10日間日本に行き、トレーニングの一環として金栗記念5000mを13’24″42で勝ち、ラスト200mは24″8だった。

 

次は4月に行ったメインセッションを紹介する。

 

4月09日 (日) 25 km走 (丘陵地の上り坂で):1’31’40” (3’40″/km)

 

4月11日 (火) 10 x 1200m (リカバリー2′) 

3’23″6 – 3’26″1 – 3’23″1 – 3’24” – 3’24″1 – 3’23″4 – 3’26″3 – 3’25″4 – 3’21″6 – 3’21″4

その6分後に600m:1’22″3

 

4月13日 (木) 30km走:1 ’40’24” (3’21″/km)

 

4月15日 (土) 5 x 600m (リカバリー1′ , 1’30”, 2′, 2’30”)

1’33″2 – 1’33″4 – 1’28″5 – 1’27″6 – 1’24″1

 

4月18日 (火) 午後 : 3 x 2000m (リカバリー3′) + 10 x 400m (リカバリー1′)

2000m:5’40″2 – 5’32″5 – 5’38″9

400m:59″2 – 62″0 – 61″1 – 58″9 – 59″7 – 59″7 – 58″7 – 59″2 – 60″ – 53″1 (セット間5′)

 

4月20日 (木) 60分間ファルトレク (20 × 1’/1′ ) + (20 × 30″/30″) :合計18,84km

 

4月27日 (木) 5 x 1200m (リカバリー2’45”) +  5 x 600m (リカバリー2’45”)

1200m:3’15″2 – 3’15″1 – 3’12″3 – 3’14” – 3’13″1

600m:1’25″4 – 1’27″5 – 1’29″2 – 1’28″8 – 1’29″7 (セット間6′, 脚の疲れがかなりあった)

 

4月29日 (土) : 60分ジョグ (ほどほどのペースで) + 8km走:23’52”

 

5月01日 (月) (ドーハDL前の最後のポイント練習) 10 x 400m (リカバリー: 2’30”) 

55″3 – 54″3 – 55″5 – 54″2 – 54″3 – 54″9 – 55″ – 55″1 – 54″2 – 53″1

 

少しずつトラックでのスピードは速くなっているが、ある特定のスピード持久力トレーニングにはまだ至っていない。

5月05日 (金) ドーハDL3000m (7:28.73=世界歴代22位, この5年で2番目の記録で優勝)

次のレースはプレフォンティン・クラシック(ユージンDL)の1マイルだ。

(※プレフォンティン・クラシックの男子1マイルでもケモイは優勝した)

 

(原文) Renato Canova – Can you provide any insights to Kwemoi’s training?

http://www.letsrun.com/forum/flat_read.php?thread=8191628

 

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