全米屋外選手権男子1500m:ロビー・アンドリュースがマシュー・セントロウィッツを撃破し初の1500m全米王者に輝く

 

 

スリリングな男子1500mの終盤、ロビー・アンドリュースは得意のスパート。ラスト40mでマシュー・セントロウィッツを下し、3分43秒29で自身初となるアメリカ屋外タイトルを手にした。ラスト1周を52秒23、ラスト200mを25秒9で走り抜けた。

セントロウィッツは3分43秒41で2位となったが、レース後のインタビューで

「ウイルスにかかっていたので、全米屋外選手権では無理に勝負をしなかった」

と明かした。

3位は、コロンビア大学→オレゴン大学出身のジョン・グレゴリック(3分43秒99)、4位はクレイグ・エンジェル(3分44秒01)。エンジェルスは、Ole Missのウェアではなく、この日初めてナイキのユニフォームでレースに出場した。

グレゴリックはゴール手前ギリギリで、クレイグを下したかたちになった。リオオリンピックに出場したベン・ブランケンシップは、残り600mでリードし最終コーナーまで引っ張ったが、エネルギー切れとなり最下位から2番目でゴールした(3分46秒42)。ベン・ブランケンシップが唯一勝った相手は、リオオリンピック男子800m銅メダリストのクレイトン・マーフィーで、本大会男子800m、1500mと期待外れの結果となり、ハムストリングを故障していた。

最初の100mは皆が飛び出すように走り、それからスローになり最初の400mはセントロウィッツを先頭にして63秒。500mに入るところで、ロビー・アンドリュースが際どく、驚くべき動きに出た。彼がこれまで幾度となくしてきたように後方集団にいるのではなく、400m地点で後ろから3番目を走っていたが、ここで前に出る決断をする。490m地点で前に出て、先頭に踊り出た。駆け引きは800mまで続き(通過は2分08秒)、その後ブランケンシップが、アンドリュースが先ほど前に出たように、ここで動いた。ブランケンシップのこの動きは900m手前までとても力強く、このままラストまで先頭で走るかのように思われた。

ブランケンシップの900m~1100mの200mタイムは27.5秒、セントロウィッツだけが彼についていった。ラスト1周の鐘が鳴ったとき(2分50秒27)、ブランケンシップとセントロウィッツは、後方のマーフィー、エンジェルズ、アンドリュースに約5mの差をつけていた。1200m通過(3分03秒)地点では、その差は7~8mに広がっていた。バックストレッチで、セントロウィッツはブランケンシップのすぐ後ろを走り、エンジェルスとアンドリュースはその後方で競っていた。

最終コーナーに入るところで、エンジェルスがセントロウィッツのすぐ後ろにつき、アンドリュースがエンジェルスのすぐ後ろにつき突然、4人の争いへとなった。最終コーナーで、3人のリオオリンピックの選手とエンジェルスの4人の接戦にもつれ込んだが、ブランケンシップはここでエネルギー切れの様子。最終コーナーを曲がるところで、セントロウィッツが彼らを一度は追い抜き、エンジェルスもセントロウィッツの外側から回り込み一瞬先頭に立つ。

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しかし、セントロウィッツはそれにすぐさま反応して首位を奪い返すが、ラスト1周でずっとエンジェルスと競い合っていたアンドリュースが勝利に向かって飛び出してきた。アンドリュースとセントロウィッツの後ろでゴールしたグレゴリックは、鐘が鳴った時点は後ろから3番目を走っていた。しかし、残り200m地点で後ろから5番目のところからものすごいスピードで追い上げてきて、エンジェルスをとらえた。グレゴリックの最後400mのタイムは、アンドリュースとほぼ同じであった(アンドリュース:52秒23、グレゴリック:52秒36)。彼のラスト200mも驚くべき速さで、彼はゴールと同時ぐらいにエンジェルスに打ち勝った。

PLACE ATHLETE RESULT
1 Robby Andrews

adidas
3:43.29
2 Matthew Centrowitz

Nike / Nike Oregon Project
3:43.41
3 John Gregorek

ASICS
3:43.99
4 Craig Engels

Nike
3:44.01
5 Cristian Soratos

adidas
3:44.49
6 Jordan McNamara

Nike
3:44.81
7 Samuel Prakel

Oregon
3:45.02
8 Josh Thompson

Nike / Bowerman TC
3:45.07
9 David Ribich

Western Ore.
3:45.44
10 Benjamin Saarel

Colorado
3:45.57
11 Andrew Hunter

adidas
3:46.37
12 Ben Blankenship

Nike / NIKE OTCE
3:46.42
13 Clayton Murphy

Nike
3:50.55

過去2年間で3回、セントロウィッツに負けたロビー・アンドリュースが全米チャンピオンに。

過去2年、アンドリュースは全米屋外選手権に出場したがセントロウィッツに負け2位に甘んじていた。しかも、2015年は1.5秒差、2016年は0.79秒差で、どちらのレースも特に接戦というわけではなかった。2016年の室内選手権では、アンドリュースはセントロウィッツを追い上げたが、やはり0.07秒差で2位に終わっている。これまでの1500m / 1マイルのキャリアを通してみると、アンドリュースはセントロウィッツに1勝9敗の成績だった。たった一回の勝利は、2015年ストックホルムで、1200mまでリードしていたセントロウィッツがラスト200mで勝負を諦めたレース、たった一回である。

しかし、アンドリュースは今日のレースではベストな状態であった。その素晴らしい走りをラスト100mで見せた。アンドリュースは、セントロウィッツがオリンピックで金メダルを獲ったときのようなベストな状態ではないことを知っていたが、ミックスゾーンに入ってきた時はレース結果にとても喜んでいた。アンドリュースにとっては、およそ1年ぶりの屋外レースでの勝利だったし、ましてや全米屋外選手権である(2016年6月25日USATF クラブチャンピオンシップ男子800mが、彼が勝った一番最近のレースだった。)。

「これは本当の勝負だとは思っていない。彼は体調を崩していたと言っていた。それでも、レースに勝ってとてもうれしいよ。」

アンドリュースは今シーズンは3レースしか走っておらず、どのレースも特に素晴らしい結果を残せなかった。(Swarthmoreの1500mで3分38秒、6月5日に行われたアディダス・ボストン・ブーストゲームスの800mで1分47秒47の6位、9日前の800mは1分47分60で走っている。)

「今年はみんなにとってちょっとおかしな年だよ。今シーズン、自分の中にもたくさんの未知のことがあったよ。」

しかし、トレーニングがうまく進んでいたので、身体の状態も良くなっていると彼は感じていたようだ。レース終盤の調子は抜群だったし、あのすばらしいスパート力で彼は大方の予想を裏切ったのだ。

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「レース後半、自分は3番手を走っていたけど、いける!2番を狙える!と思っていたが、すぐに、優勝できる!って思ったよ。」

アンドリュースは、ロンドン世界選手権の1500mの標準記録を破っていないので、できるだけ早く標準記録を出したいと言っていたが、おおむね問題なく標準記録は切れるだろう。(2015年にも同じ状況であったが、全米屋外選手権直後のレースで標準を切った。)彼はポートランドで行われる7月2日トラックタウン・サマーシリーズに出場予定であり、その後7月6日にニューヨークでもレースがあり、標準記録を切るには絶好の機会が2回あることになる。

 

アンドリュースのコーチであるジェイソン・ヴィギランテに話を聞くと、

「Swarthomeでのレース結果が6位であったが、それには満足していた」

と話していた。8月にアンドリュースが結果を残すレースができるのが、一番の目標だからだ。

「自由に走る」が功を奏した日

アンドリュースは昨年のリオオリンピックでは調子もよく決勝に残れると思われたが、レース中の位置取りが悪く、準決勝にも進めなかった。それ以来、

「すっと背中に重い猿がのしかかっている」

ような気持ちだったと述べた。

「今日は純粋に直感にしたがったレースをした。いつもいろんなことを考えすぎる。今日は自由に走ろうって決めてたんだ。」

アンドリュースは今夜のレースについてあまり深く考えていなかったいえど、彼のレースはすごく戦略的だった。彼の素晴らしいラストスパートを発揮するには、いつも位置取りが後ろ過ぎると指摘されてきた。今日のレースでは、600mあたりからアンドリュースはリードしていた。残り900m地点で一度はリードを許すも、(ここでブランケンシップの動きには驚いたとアンドリュースは言った)5位以下に順位を落とすことはなかった。

アンドリュースは、

「このレースは2015年の全米屋外選手権に似ていた」

と指摘し、そのレースではセントロウィッツに次いで2位だった。しかし、2015年は10番手からスパートをかけたが、今回は4番手からのスパートだった。ロンドン世界選手権で世界の強豪選手たちにリードするのは、今日のレースよりずっと難しいだろう。しかし、オリンピックチャンピオンを負かした今、その展開もありうるだろう。

 

マシュー・セントロウィッツ、Oxyでの勝利後2-3週間走れず

2017年のシーズンは絶望的だったことを明かすレース後、オリンピックチャンピオン、セントロウィッツは2週間ほど前まではこのレースは走れないだろうと考えていたことを明かした。セントロウィッツはウイルスの影響で内転筋を傷めていた。もし10分ほど時間があるなら、彼のレース後のインタビューはとても興味深いのでぜひ見てほしい。

「2週間前にこのレースを走るかと聞かれてたら、走らないほうが身のためだと答えただろう。たった10日前に調子を戻そうとトレーニングを再開した。今日の一番の目的は、ロンドン世界選手権の出場資格を得る事、そしてロンドン世界選手までの5,6週間で状態を戻し、あわよくばロンドン世界選手でメダルを獲ることだ。」

とは言っても、やはり今日のレースでも勝ちたかったようだ。

「最初は3位ぐらいなら上出来だと思ったが、やはり勝てなかったのは残念さ。」

セントロウィッツは、アンドリュースの勝利を自身の怪我や病気のせいにしたくなかった。

「アンドリュースは才能豊かな選手だ。彼が勝ったことについて驚きはないし、代表になっても驚かない。彼は、レオ・マンザノのような選手でどんなシーズン成績であっても、アメリカチームに入る道を見つけ出してくる。」

セントロウィッツは、ゲーレン・ラップ、エリック・ジェンキンス、クレイトン・マーフィー、についても語っている。彼の怪我に関しては、4月に内転筋を痛めた。5月18日のOxyでモー・ファラーを3分33秒41で破るまでに回復した。Oxyの後の月曜日、胸の痛みを訴え心拍数が異常値になり、ER (救急センター)で検査を受けた。

2014年に、セントロウィッツは心膜炎(心臓の筋肉の炎症でウイルスを引き起こすことも)にかかり、それにより6週間の休養を余儀なくされ、室内シーズンをすべて逃してしまった。今回も心膜炎の発作であることを示唆した(ポートランドの他のトレーニンググループにも、同じ病気で苦しんでいるランナーがいるとのこと)。

今回は、セントロウィッツは2,3週間完全休養をとり、父親と一緒に1マイル10分の速さでエアロバイクを漕ぐ以外は、なんのクロストレーニングもしなかった。トレーニングを再開し、その3、4日後には本格的に練習を再開したが、右の内転筋がまた痛み始めた。回復まで十分な時間もなく、全米屋外選手権は出場できないと考えていたという。

この時、彼はどん底まで落ち、そして髪の毛を金髪に染めたのだという。

「怪我で何もかもうまくいかなかった。たった一つの怪我でも精神的に堪えるのに、4〜6週間のスパンでいくつものことが起こると、、、。今年はダメだろうと思った時に髪を染めたんだ。どん底に落ちたよ。今年は誰も僕のレースは見ないだろうと思って、今年は終わったと思ったから髪を染めた。髪を染めた次の日、このレースを走ることが決まったんだ。」

それがおおよそ2週間前、そして10日前に練習を再開した。そして、ロンドン世界選手権までの準備期間は、およそ6週間だった。

ベン・ブランケンシップ「最初から最後まで、タフなレースだった。」

ベン・ブランケンシップのロングスパートはこれまで成功してきたが(昨年リオオリンピック代表入りした際、鐘がなってから約200m、セントロが先頭を奪うまで、リードを守った)、今日のレースではスパート位置を見誤ったのか、残り150mで先頭を走っていたが、12位まで順位を落としてしまった。

きついレースで、「最初から最後まで、タフなレースだった。」と述べた。また、選手権の決勝の優勝タイムはなぜいつも (スローペースになり)遅いのか、という疑問に対して説明をしてくれた。

「いつもこの質問を聞くよ。オリンピックの決勝、なんでいつもこんなに遅いんだ?(引っ張った選手は最後に抜かれてしまう)5位(ぐらいの順位)を獲るために自らをリスクをおかしてまでも危険にさらす人がいるかい?たぶんいないね。」

ドリュー・ハンター、全米のシニア大会で初の決勝進出

(優勝したアンドリュースと同じくアディダスのプロ選手である)ドリュー・ハンターは19歳にして1500mで決勝進出を果たした。スローペースは彼にしとってみればベストなレース展開ではなかったが、スパートの際にもっといい位置取りをしておけばよかった、と語った。

 

レッツラン記事

http://www.letsrun.com/news/2017/06/string-misses-robby-andrews-takes-matthew-centrowitz-win-first-us-outdoor-1500-title/

 

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全米屋外選手権男子1500m:ロビー・アンドリュースがマシュー・セントロウィッツを撃破し初の1500m全米王者に輝く」への1件のフィードバック

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