ウィルソン・キプロプのトレーニング [2010年世界ハーフマラソン優勝者]

2010年世界ハーフマラソン&アフリカ選手権10000m王者のウィルソン・キプロプのトレーニングについて紹介します。

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ウィルソン・キプロプを指導するイタリア人のフリーランスコーチ (専属ではない)、レナート・カノーバは、現在ケニアのエルドレット近郊に住み、世界各国のトップランナーの練習プログラムの作成に関わっています。

またカノーバコーチは、Letsrun.comの掲示板でも練習メニューや理論を公開し、積極的に陸上ファンと議論している事でも有名です。

ここでは世界ハーフ直後にカノーバコーチ自身が細かく書き込んだ内容を要約し紹介しています。
[ウィルソン・キプロプの競技スタートから、世界ハーフマラソン優勝まで道のり要約]

・ウィルソンは高校を卒業してから競技をはじめ、まずはトラックランナーとしてキャリアをスタートさせた。

・彼は片足や背中、ひいては身体全体に問題があったが、大部分のアフリカのランナーと異なり、ジムで身体を強化するアイデアを受け入れた。イテンで非常に優れたプロフェッショナルフィジオ (オランダのジェロン・ディーン)とガブリエル・ニコラコーチの下、長い期間(約6ヶ月)週3-4回ジムでのトレーニングを行った。

・今年 (2010年3月7日)パリハーフマラソンで低温で雪が降る厳しい条件の中、61分26秒で勝利した。既にシーズン中に60分を切っていたエチオピアのリレサに勝てたのは大きかった。

・パリから戻って来て、我々はマラソンに挑戦する事を決めた。マラソンでは非常に沢山の練習量をこなすことを求めていたが、同時に彼はトレーニングでスピードも維持していた。

・ウィルソンは目標の5月8日プラハマラソンで2時間09分09秒で走った。優勝者と37kmまで競り合っていたが、その後マラソン特有の練習不足を感じた。(私は今回は彼にマラソン練習をさせたくなかった。主に練習量を増やす事で、10000mに向けての有酸素運動の土台を築くのが目的だった)

彼は1週間で回復し、3週間後のケニア選手権に出るための地方大会で10000mを28分17秒で優勝した (キタレの標高2300mのトラック=27分台前半に相当)

・ケニア選手権に向けては、12-15kmのトラックセッションを含む、10000m特有のトレーニングを行ったが、ロングランも短縮しなかった。例えばケニア選手権の6日前には30kmを1時間36分で走った。

・6月26日のナイロビで行われたケニア選手権では27分26秒 (平地での26分台中盤に相当)で走った。これには彼自身も驚いた。私も高地の世界記録 (27分44秒)は破ると思っていたが、ここまで走るとは思っていなかった。

・次のアフリカ選手権ではより戦術が重要になり、前半の5000m通過が14分03秒、ラスト1周のスピードでは最速ランナーの1人であるウガンダのモーゼス・キプシロを倒すため後半の5000mを13分29秒で走った。ラストの1000mが非常に速く、最後の1周は55秒だった。

・そして我々は8月8日から世界ハーフマラソンに向けての準備をスタートさせた。9月4日のリールハーフの結果をもって正式に代表入りが決定。

・ウィルソンは特定のスピード持久力の向上にフォーカスした(2:46/km)。ハーフマラソン世界記録保持者のゼルセナイ・タデッセを打ち負かすのは本当に困難で、ハーフ58分40秒で走れる力をつけ、なおかつラストの優れたスピードが求められている事はよく理解していた。レースは全てうまくいった。

・彼は身体をコントロールする事ができ、身体の効率を維持するために何をしなければいけないか知っている。これから12月10日まで週3回ジムでの練習を行う予定だ。

[世界ハーフマラソンに向けたトレーニング]

通常、ポイントとなるトレーニングは週2回行われる。水曜日はトラック練習、土曜はロングラン。ここではいくつかの練習を紹介する。

トラック練習はエルドレット大学の土トラック (標高2100m)。ロード練習はカプツリの一本道、道路脇の不整地 (標高2200m)

※エルドレットが2100mでイテンが2400m。その間の一本道にあるのがカプツリ。エルドレットからイテン=東に向かう程なだらかに上っていく丘になっている

2200m前後の標高だと1kmあたりで6秒前後は変わる。また、ロードは不整地、トラックは土なので、日本の環境と比べる時には注意が必要。

土曜日 8月14日
30km走:1:42:32 (ラスト5km:14:51)  

水曜日 8月18日 (1000m+800m+600m+400m リカバリー2分) セット間のリカバリー4分
2’44″7 – 2’09″3 – 1’33″8 – 58″8
2’37″8 – 2’06″3 – 1’35″2 – 60″1
2’41″1 – 2’04″1 – 1’35″5 – 60″7
2’42″4 – 2’06″4 – 1’33″8 – 56″9

土曜日 8月21日
15km走:44:42

水曜日 8月25日 (2000m×7 リカバリー3′) :
5’36″1 – 5’35″1 – 5’38” – 5’35″2 – 5’36″8 – 5’33″2 – 5’36″8

土曜日 9月04日 : リールハーフマラソン (59:39で優勝)

水曜日 9月15日 (3000m + 500m×5 リカバリー1’+2000m+400m×5 リカバリー1’+1000m+ 300 m×10 リカバリー45″) セット間のリカバリー4′
8’37″2 – 1’22″4 / 1’22” / 1’21″2 / 1’21″3 / 1’19″2 – 5’39″2 – 64″2 / 64″2 / 62″2 / 62″9 / 63″7 – 2’43″6 – 45″4 / 46″1 / 45″9 / 45″8 / 45″7 / 46″ / 46″2 / 45″5 / 45″2 / 44″3

土曜日 9月18日
20km走 (泥んこ道もあり) 1:02:12

水曜日 9月22日 (1200m×10, リカバリー2’30”)
3’19″7 – 3’20″5 – 3’18” – 3’17″8 – 3’13” – 3’20″7 – 3’17″9 – 3’19″7 – 3’11″4 – 3’06″8

土曜日 9月25日
30km走 1:37:28 (ラスト1km2’54”)

水曜日 9月29日 (3000m×2+2000m×3+1000m×4, リカバリー3′)
8’30″9 – 8’32″1 – 5’37” – 5’36″2 – 5’40″8 – 2’46″2 – 2’44″8 – 2’42″2 – 2’38”

土曜日 10月02日 (4 km×3 リカバリー1km+1km×3 リカバリー1km)
12’14” / 3’47” – 11’47” / 4’02” – 12’04” / 3’55” – 2’53” / 3’48” / 2’53” / 4’19” / 2’50”) 20km:1:04:32

水曜日 10月06日 (2000m×6 – ペースを上げたり下げたり – リカバリー2’30) :
5’27″3 – 5’45″7 – 5’24″8 – 5’43″2 – 5’27″7 – 5’40″5

 

(ウィルソンは自分自身をコントロールできるので、これらの練習は全て最大強度に達する事は無く行われている)

 

・原文
Wilson Kiprop : who is who

http://www.letsrun.com/forum/flat_read.php?thread=3749986

 

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